2019/05/17

加賀白山の動画


YouTubeで見るならこちらへ。https://youtu.be/yA5kXVRmBZc

| | コメント (0)

2019/05/14

Slide and Ride 扇ノ山(滑り納め大ヅッコ)

 ゴールデンウィークが終わり、日差しは強まり気温も上がってきた。冬の降雪は少なかったが、3月4月は何度も寒の戻りがあり、特に4月の平均気温は昨年より2度も低かった。これにより雪が遅くまで溶け残った山は、思いのほか長い残雪シーズンとなった。
 今シーズンも滑り納めは扇ノ山だ。もう登山口までクルマで入ることができ、車道歩きしなくてもよくなっているようだ。さらに、登山道にも雪はほとんどないだろう。まとまった残雪は大ヅッコの北斜面だけだと思われる。その北斜面の雪はどのくらい残っているか。
Img_7775Img_7774

 2年ぶりに兵庫県新温泉町の上山高原からのアプローチ。ブナもすっかり緑の葉をつけている。高原には、散策や山菜取りの人の姿がほんの少し。さらに車道を進んでいく。ショウブ池のあたりから大ヅッコと扇ノ山山頂が見える。多少残雪もみられるがブナの緑の葉に隠れてどのくらい雪が残っているかよくわからない。上山高原避難小屋から2km余りで小ヅッコ登山口。1台のクルマが止まっている。さらに1km弱進み、鳥取県との境を越えて「水とのふれあい広場」へ。6台ほどのクルマが止まっている。ここへ駐車。MTBとスキーの準備。その最中、クルマがやってきて水を汲んだり、食事をし始めたり。
Img_7777Img_7778

 河合谷登山口が近いのだが、クルマで来た道を引き返し小ヅッコ登山口へと自転車で移動。そしてそちらから入山。
Img_7779

 すぐに人が下山してきた。単独の男性。大きな補注網を持っている。彼と入れ替わるようにMTBを押してやや急な坂を上る。並木道のようなブナ林を少し進むと、小ヅッコ避難小屋。さらに登山道を行く。木の根っこや段差などがしばらく続くが、だんだん登山道がフラットになってくる。そしてしばし乗車。扇ノ山から大ヅッコを経て北に延びる稜線はなだらかで、その上につけられた登山道はMTB向き。登りでもいくらか乗車できる。
Img_7782Img_7784

 乗車したり押したりしながら進むと、西からの河合谷登山口の分岐。登山道はブナ林の中だがすぐ西側はダイコンなどの畑となっていて、緑の葉の向こうは開けて明るい。
 小ヅッコと河合谷の登山道分岐点あたりまでは少し勾配があるが、さらに行くと登り勾配はほとんどないといっていいくらいの道となる。乗車率が上がる。これで木の根っこがなければずっと乗っていけるのだが。全くといっていいほど雪は見られず、さらにぬかるみも少ない。ゴールデンウィーク後半からほとんど雨は降らず、高温低湿の日が続いたので、雪解け水を含んだ土壌も乾いてきている。MTBにはいいが、スキーがどれだけできるか心配になってくる。
 何組かの下山パーティとすれ違う。まずはMTBに気付き、少し遅れてスキーに驚いている。そして、「滑れるかなぁ」と心配してくれる。雪の量などこの先の状態について、アドバイスのようなことをしてくれる人もいるが、はっきり言ってほとんど参考にはならない。なぜなら、その人はやったことがないことだから。自分がその場で判断するだけのことだ。
 登山口から小一時間、登り勾配がややきつくなり、登山道に水の流れが見られてきた。いよいよお目当ての斜面へ到着だ。
Img_7786Img_7787

 うっそうとしたブナ林に広がる雪原。ただし、広さは小学校の運動場かそれよりやや狭いくらいで、先月来た時には雪に埋もれていた細かい木が顔を出し、ツリーホールは大きく成長し、ブナの芽を包んでいた殻が雪面に散らばっている。とても快適に滑れる状態ではないが、もちろん快適さなど求めていない。雪のシーズンの終わりを感じられればいい。
 雪原斜面の下部にMTBを置いて、スキー板を下ろしてブーツに装着。斜面を登る。ステップソールで軽快に上れる緩斜面だ。雪原の最上部でザックを下ろす。シールもビーコンもツェルトも持たない代わりに、持ってきた荷物を出す。水とのふれあい広場で汲んできた水をコッフェルに移し、湯を沸かす。そしてラーメンをゆでる。
Img_7790

 3人組が降りてきた。男性2人と女性1人の、「ドリカム」あるいは「いきものがかり」パーティ。私のスキー板を見て「滑れそうですか」と声をかけてくる。雪さえあれば、後は滑れるように滑るのみ。スキーだけでは不完全燃焼に終るかもしれないと想定し、別のお楽しみとしてMTBも用意しているのだ。とはいえ、そんなことを説明するのは面倒だし、わかってもらええるとも思えないので、「はい、滑りますよ」とだけ答える。彼らはもう少ししたらMTBに気付き、変わった人がいるもんだ、と思うことだろう。
 ラーメンを食べたら滑走の準備。滑り降りるのに2分もかからないだろう。木とツリーホールを避け、ブナの芽の殻で滑りの悪い雪面を下る。短い斜面で何度も尻餅をつく。楽しむためというより、ただ下山するための滑走。先週の加賀白山の滑降の終盤、中飯場の上部辺りのような状況だ。1本滑れば十分。もう登り返す気持ちは湧き上がらない。もちろん、山頂を目指す必要もない。
Img_7792

 さあ、今度はMTBで下ろう。登りではスキー板をMTBに積載、つまりベルトでフレームにくくりつけてきたが、下山は板を背負うことにする。理由は2点。背負う荷物が重くなってもペダルを漕がなくてもいいので体の負担は少ないだろう、ということと、荷物のがたつきが気になるから。
 しかし、板をつけたザックを背負っての乗車はかなり難儀した。まず、重心が高くなって不安定である上に、重い荷物のため姿勢の自由が利かず体を後方に引くなどのポジションの調整がしにくい。バランスを崩せばリカバリーもできず、板を背負って転倒すれば怪我をしそうだ。
 結局、勾配があるうちは全く乗れなかった。勾配が落ち着いてからなら何とかなると思ったが、ちょっとした木の根を越せずいつ前転するかわからない恐怖に襲われまともに乗車できない。
 ザックから板を外し、自転車にくくりつける。この方がよかった。板のトップを自転車のダウンチューブに、板のビンディングの少しトップよりを自転車のサドル下にくくりつける。板のビンディング部分からテールにかけては後方に突き出している。これにより、重心が後方に位置して後輪が浮き上がりにくい。前転しにくくて下りでは好都合だ。
Img_7793

 これで乗車率は上がったが、やはり板のがたつきが気になる。あまりにもガタガタという音がうるさいので振り返ってみると、サドルの下に固定しているベルトがなくなっている。このベルトには、トゥストラップを利用している。現在のようにビンディングペダルが普及する前、ペダルに足を固定するトゥクリップとあわせて使うベルトのことだ。きつく締め付けて、しっかりと固定できるので、緩んで抜けてしまったとは考えにくい。おそらく切れてしまったのだろう。これまではほとんどが舗装路、たまにダートの道でスキー板を積んで走ったことがあるが、やはりシングルトラックは過酷だったようだ。段差を降りる衝撃がきつかったと思われる。
 進行方向左手は、ブナの新緑の向こうが明るく開けている。つまり大根畑が広がっている。そちらの農道なら板を積んだ自転車でも快適に下れるが、藪を越えるのが大変なのだ。雪が積もっていれば比較的簡単に行き来できるのに。
 とにかく、ストラップを回収に行こう。自転車を置いて登山道を戻る。500mくらい戻ったところで、ストラップを発見。やはり留め金の根元で千切れていた。自転車に戻り、ベルトの両端をまとめて留め金に挟む形で固定。これで下ってみる。
 小ヅッコ登山口と河合谷登山口の分岐に到着。今度は河合谷登山口へ。しばらく行くとまたガタガタ音が大きくなってきた。ストラップが消えていた。回収。もう登山口はすぐそこなので、乗車せずに押して行く。最後は木段の下り。これを担ぎ上げるのが大変なので、往路は小ヅッコ登山口から入山した。
Img_7795

 木段からアスファルトに降り立つ。舗装路にでれば、自転車が威力を発揮する。が、クルマを止めて水とのふれあい広場までは300m程しかない。私のクルマ1台だけが残っていた。
Img_7796

 スキーをするには雪解けが進み、MTBにはスキーが重荷となって、どちらも快適とはいえなかった。MTBを使ったにもかかわらず、登りより下りの方が時間がかかってしまった。それでも、状況に合わせていろいろな道具を工夫してみるのは楽しい。サドル下にスキー板を固定するのに、今度は自転車のタイヤチューブをを使ってみよう。これならスキー板程度の負荷で切れることはないし、弾力があるのでがたつきも押さえられるのではないか。だけど、短い行程、標高差も200mほどしかなかったのに、なんだか疲れた。腹筋や背筋など体幹が疲れている。
 これで、今シーズンのスキーは、全日程終了だ。

 5月上旬

| | コメント (0)

2019/05/09

久しぶりに滑るビッグマウンテン加賀白山(観光新道-弥陀ヶ原-エコーライン-砂防新道)

 例年5月下旬に冬季閉鎖が明ける加賀白山の登山口「別当出合」までの石川県道33号線(白山公園線)が、4月26日に開通した。雪が少なかったということか、それとも「超大型連休にはぜひ白山にいらしてください」ということか。とにかく、朗報だ。ゴールデンウィークに別当出合までクルマが入れるようになったことは、2002年以来だろうか。毎年訪れているわけではないので完全に把握できていないが。連休後半は安定した初夏の陽気が続き絶好のチャンス。17年ぶりのゴールデンウィークの白山を滑りに、いざ行かん。
 5月4日22時半ごろ丹後半島の自宅を出発。舞鶴から若狭湾沿いを行く。深夜の国道27号線の流れはいいので、わかさ自動車道や若狭西街道を使わずに行く。小浜からは若狭梅海道で大型トラックも普通車もほとんどいない自由なドライブに切り替える。敦賀からは北陸自動車道に乗り、福井北I.C.で中部縦貫自動車道(無料区間)へ。勝山まで一気に到達。福井・石川県境の谷峠を越えて白山市白峰へ。別当出合の駐車場にはトイレがないので、その手前の一ノ瀬の駐車場にクルマを止める。到着は、2時半。携帯電話のアラームを4時半にセットして仮眠。
 目が覚め、アイマスクを外すと薄明るい。時刻は4時25分。アラームの5分前だ。機能到着した時にいたはずの周りのクルマはもういない。朝食をとって、別当出合へ移動。
 駐車場手前の道路脇のスペースの駐車。どんどんクルマが到着し、道路脇が満車となる。別当川の谷へ降りたところにある駐車場は、上段は満車の様。下段は空いているようだが、標高を下げるのが嫌な人たちが駐車場へのアプローチ道路に長い縦列駐車の列。
Img_7614Img_7617

 スキーとMTBの準備を整えて、5時半スタート。チェーンと大きな石の車止めを越えて、舗装路を500m進んだ休憩小屋のある地点へ。白山も登山届が義務化され、この休憩小屋にある用紙に記入して提出ポストに投函する。
 みんな吊り橋を渡って登山道へと入っていくが、私は舗装路をさらに進む。コンクリート舗装の道は主に砂防工事の車両に利用される作業道だが、実は石川県の県道33号線らしい。ちなみに、白山の頂に至る登山道も県道120号線に指定されているらしい。ただし、よく使われる砂防新道ではなく、観光新道が県道のようだ。確かに、観光新道の方が、古くから山岳信仰の道として開かれた歴史を持った登山道である。
 これまでにも何度かこの作業道で中飯場の少し上まで自転車で登り、跡は砂防新道を歩いて山頂を目指したことがある。途中にダートもあるので、ブロックタイヤ装着のMTBが最適だ。板を自転車にくくりつけ、スキーブーツでペダルを漕ぐ。急勾配をゆっくりと登る。
Img_7619

 すぐに路面を覆う残雪が現れた。小規模で薄く、そして硬く凍てついているため、自転車を押して乗り越える。手前、つまり下側の路面は、残雪が解けて流れた水が凍結しているので滑って転ばないように注意して行く。これまで自転車でこの道を通ったのは、5月下旬か6月上旬だったので路面に残雪は全くなかったが、さすがに今回は時期が早い.そうした残雪帯を数箇所乗り越えたが、とうとうずっと先まで残雪に覆われた区間が現れた。必ずしも雪は下から解けるとは限らない。日当たりの関係で、その先でまた路面が現れているかもしれない。でも、今日はここで自転車を諦めることにする。自転車から板を下ろし、装着。ステップソールがあるのでシールは使わずに雪の車道を歩く。その先、雪の切れ目は本のわずかだった。自転車を乗り捨ててよかったようだ。
Img_7626

 いくつかヘアピンカーブを超えると、雪面に着いた真新しいくっきりとした足跡があるのに気付く。おそらく今日のもの。古くても昨日夕方だ。それ以前のものは日差しと気温上昇で雪が解けてもう少しぼやけた足跡になるはず。下りのようだ。はて、誰にも出会っていないんだけど。
 別当谷を右に見て進んで行く。法面からの落石がある。見上げれば、不安定な岩も見える。こわごわ通過。
Img_7632Img_7637

 砂防新道は、別当谷の対岸にある。だから、橋を渡るのだが。なんと、その橋が外されているではないか。鉄骨を渡し、その上に鉄板を敷いただけの橋は、こうして取り外すためのものだったのか。雪解け期の土石流を伴ったスラッシュ雪崩による橋の破損を防ぐための工夫かもしれない。
 さて困った。水量も、流速も、地形も険しい。とても渡渉など試みる気にならない。中飯場まであと一息だが、引き返すしかなさそうだ。
 この後どうするか。時刻はすでに8時。自転車が使えなかったせいで、過去に同じコースを着たときよりも1時間も押している。別当出合、つまりふりだしへ戻れば、3時間以上のロスとなる。登頂は無理。どこまでいけるだろう。せめて弥陀ケ原までは登りたい。では、砂防新道ではなく、観光新道ではどうだろうか。途中で立体交差する観光新道を潜り抜けてきた。自転車をデポした地点から少しスキーで歩いたところだった。これならあまり戻らなくて済むのではないか。しかし、確か観光新道は砂防新道よりも険しいはず。あと、観光新道をスキーで滑り降りる記録を見たことがない。やはり滑降するのは砂防新道だろう。ならば、自転車をどうする。
 しばし考え、観光新道を登ることに決めた。スキーでの滑降は、いつものようにエコーラインから砂防新道へ。自転車は、別当出合に降りたあと、回収に来ればいい。安全圏の別当出合に下山してしまえば、仮に暗くなってからでも自転車の改修はできる。ライトもあるし。
 方針が決まれば、もう迷いはない。来た道を滑り、観光新道との立体交差へ戻る。その立体交差が見えてきたところで、ふとその上のヘアピンカーブの先端から観光新道へ接続できそうだと思いそちらへまた引き返す。すると、つぼ足の男性単独登山者に出会った。登ってきたのではない。下山だ。状況がわからないまま、挨拶を交わしその登山者を見送る。そうか、やはり観光新道との接続ポイントがこの上にあるのだ。ならば、彼の足跡をたどればいい。朝見かけた足跡も、観光新道を下山してきた人のものだったわけだ。
 結局、立体交差の上の2つ目のヘアピンカーブの先端から法面へ目を凝らすと、登山道が見えた。これだ。
 板をザックに装着して背負う。そして2m程の高低差の雪の壁を登り、その上の地肌、1m弱の高低差を越える。雪がないとキックステップができないので、木にしがみついて登る。
 何とか、観光新道を捕まえることができた。しかし木段の急登が続く。砂防新道は黒ボコ岩に近づくにつれ勾配が増していくが、こちらは出だしが一番きついみたいだ。
 その後何度か残雪が登山道を覆う区間が現れる。残雪に乗り上げるところでは、段差が大きかったり、踏み抜いたりして苦労する。
 おそらくたくさんの人が登っている砂防新道とは対照的に、こちらはほとんど誰も通らない。それでもたまにふと気付けば、背後に登山者が見える。スキーを背負っていることを言い訳に先に行ってもらう。そうやって、3人のつぼ足登山者に追い越された。
 沢筋を直登する区間を越えた直後、先ほど私がいた辺りで「カン!カン!」と硬いものがぶつかる音が聞こえた。落石だ。笹が揺れているのはまさに私が今通り過ぎた沢筋。危ないところだった。タイミングによっては、一撃でアウトか、、そうでなくても行動不能になる可能性もある。帰宅してからGPSトラックを見てみると、登山道はジグザグに付けら手いるがどうしても雪に隠されてしまう残雪期には、ブッシュの中に白く浮かび上がって目立つ沢筋をたどってしまうようだ。
 急登にあえぎながら、どうにか稜線へと上り詰めた。「唐松平」あるいは「白山禅定道分岐」というらしい。とりあえず休憩だ。稜線にあがればさすがに展望がすばらしい。どれがどれかはわからないが、赤兎山、大長山、取立山などの山々が見える。そして、白山そのものの様子もよくわかる。何度も上り下りしている砂防新道を見下ろす。ただし、御前ヶ峰を含めた弥陀ケ原から上の山頂部分は見えない。
Img_7647Img_7648

 さて登行再開。雪のない木段と石段を行くが、やはり残雪が現れ、登るにつれ残雪の割合が大きくなる。そしてやはり、段差と踏み抜きに苦労する。
 登山者が降りてきた。なんでもこの先で岩の難所があるという。こちらも先ほどの落石のことを伝える。
 しばらく行くと雪に覆われた痩せた稜線に立ち塞がる黒い大きな岩に行き着く。先ほどの登山者が行っていたのはこれだろう。岩にしがみつくようにトラバース。足元は切り立った斜面。板を背負いスキーブーツを履いた状態では特に厳しい。無事に越えることができてほっとする。ああ緊張した。
 これは仙人窟と呼ばれ、岩が積み重なったトンネルをくぐるのだそうだ。数日後の記録では、雪解けが進みくぐり抜けることができたようだ。
 標準コースタイムをかなりオーバーして、殿ヶ池避難小屋に到着。標高2000mを越えていて、砂防新道の甚之助避難小屋よりも少し標高が高いようだ。
Img_7667Img_7668

 登るにつれてどんどん展望がよくなる。前方には黒ボコ岩、そしてその直下の十二曲がりが見えてきた。別当谷を見下ろせば、朝引き返した車道や橋が外された沢も見える。
 とにかく標高2702m山頂まで登ることは、私の力ではもう無理。それどころか、2600m付近と思われる残雪(水屋尻雪渓)の最高点も、2400mの室堂も厳しい。でも、あの黒ボコ岩のすぐ先、弥陀ケ原まで行こう。そうすれば御前ヶ峰と対面できるし、エコーラインを滑降することができる。
Img_7684Img_7685Img_7671

 その先は、雪が多くなりかえって歩きやすくなる。コースタイムほどではないが、少しだけペースがよくなる。
 黒ボコ岩の手前で、スキー板をザックから外し、ブーツに装着。ステップソールで歩ける勾配だ。
 砂防新道の十二曲がりの急斜面が近づいてきた。その下のトラバース道は雪が切れているが、雪のつながった部分にシュプールが引かれている。ああいうコース取りをすればいいのか。さらに、十二曲がりの手前、足元の斜面にはつぼ足のトレースもなく、より快適に滑って砂防新道へと下ることができる。黒ボコ岩まで登らなくても、もうここから滑り降りられるのだ。
Img_7691

 でもやはり、黒ボコ岩、そして弥陀ケ原を目指すことにする。十二曲がりに見える人々はほとんどは下山中。でも数名登っている人も見られる。この時間に登っているということは、やはりペースが遅い。室堂泊まりの可能性もあるが、明日は天気が悪い予報なので、ほとんどの人は今日中に下山するだろう。
Img_7697

 ようやく黒ボコ岩を通過。やっとのことで御前ヶ峰とのご対面。弥陀ケ原から室堂、さらにその上部にはまだ人の姿が見られる。その多くは下山スピードが速いスキーヤーだ。私もここから下山開始すれば、彼らと同じタイミングで下山するということになる。
 エコーラインへと向かう。弥陀ケ原は平坦なので、のんびりお散歩気分だ。ステップソールで軽快に歩く。結局シールを使うことはなかったわけだ。
 御前ヶ峰を見ながら休憩をして、そして滑降準備。エコーラインへ。十二曲がりと同じくらいの急斜面だが、十二曲がりが谷筋なのに対してエコーラインは尾根。だから展望がいい。そして、東側の景色が開けているのも重要なポイントだ。しばらく滑っていくと、お目当てのものが見えてきた。御嶽山だ。本当にうっすらと見える。すぐ上には白い雲が浮かび、白い峰との区別が付きにくく紛らわしい。この前日は、北アルプスも御嶽山も誰が見てもわかるほどはっきり見えていて、インターネットに上げられた記録にはその峰々の写真が掲載されていた。しかし、この日もたくさんの人が入山したくさんの記録が上げられているのに、北アルプスや御嶽山の写真を載せているものは皆無。見えたという記述もない。見えていることに気付いていないということのようだ。確かに、見つけてやろうという意思が必要な、うっすらとした姿。でも、そういう意思を持たないということは、山岳展望にあまり関心がないということなのだろうか。
Ontake

 気持ちよく滑りながら、先行者のシュプールに注意する。その本数が少なくなってきたら甚之助避難小屋上部へとトラバースを開始。それには少々ブッシュを越えないといけない。ほとんど5月下旬以降に来ているので、雪が切れ切れで等高線に沿った南竜道を板を外して歩いていた。ちなみに、過去に一度だけゴールデンウィークに訪れた2002年は、白山スキー登山が初めてだったこともあり、南竜道より下に滑り降りてしまい、甚之助小屋へ戻る藪こぎに苦労した。今回は、そうならないように注意だ。
 いくつかの先行トレースのひとつについていくと、ブッシュ帯へ。先行スキーヤーが板を外して通過中。私は板をつけたまま通過した。ステップソールの板はこういう場面に強い。
Img_7704

 そして、甚之助小屋上部の斜面を滑る。私より先行していたはずのスキーパーティが後方から滑り降りてくる。ガイド役の男性1人と3,4人の女性で、熟年世代のようだ。
 甚之助小屋の周囲では、たくさんの人が休憩していた。スキーヤーもいればつぼ足登山者もいる。先ほどのスキーパーティに続いて下山開始。熟年女性たちは、特別スキーの技術が高いわけではないが、でも元気いっぱい。どんどん引き離される。結局追いつくことはできなかった。滑るにつれてブッシュが邪魔になり、つぼ足の人に追いつかれ追い越されるようになる。
Img_7719

 中飯場の避難小屋の少し上で空き板を外してザックに固定。後は歩いて下る。雪が切れ始め、さらに残雪が少なくなって行く。木々に板が引っかかって歩きにくい。スキーなしの人にどんどん追い越される。車道を自転車で通れたら、あっという間に別当出合まで下れる。せめて橋が架かっていれば、スキーで滑り降りられるのに。
Img_7727Img_7731

 登りと下りのコースが分かれた区間へきた。吊り橋が見えてきた。あと少しだ。もう登山道に雪はない。
 ようやく別当出合休憩小屋に到着。とりあえずザックを下ろして一休み。すると、車道をゆっくり歩いて降りてくる者がいた。人間ではない。四つ足だ。イノシシ?
 カモシカだった。特別天然記念物のお出迎えだ。好奇心が強いので人を見ても逃げ出さないで、悠然としている。
Capricornis

 そのカモシカもいなくなり、板もザックも休憩小屋に残して、自転車を回収へ。たぶん、1kmほどだ。朝日を受けていた山々が今度は夕陽を浴びている。小規模な残雪帯は、朝よりさらにボリュームを下げている。
Img_7745

 自転車に再会したら、一気の下り。別当出合の休憩小屋でザックと板を回収し、クルマへと戻る。
 想定外のコース変更があり、山頂へ到達することはできなかったが、初めての観光新道は険しかったが展望はすばらしかった。そして、御嶽山も見ることができたし、カモシカにも会えた。それなりに充実度と達成感を味わうことができた、と思う。ただし、落石や仙人窟の通過など、結果オーライ、誤った成功体験という側面があることも否めない。やはり次からも砂防新道だな。
Img_7761

 帰り道は急ぐ必要がない。明日も休日だ。だから高速道路は無料の中部縦貫道のみ、北陸自動車道は使わない。永平寺や一乗谷を経由し、木の芽峠を越えて敦賀へ。勝山の恐竜博物館を含め、越前の名だたる名所を横目にした、夜のドライブだ。後は若狭梅海道と国道27号線で京都府に戻る。帰宅は日付が変わって、6日の1時。

| | コメント (2)

磯砂山は丹後の展望台

 5月3日午後、京丹後市峰山町鱒留(ますどめ)から磯砂山(いさなごさん)へ。
 標高661mの山頂からは、ぼんやりだったけれど東に天橋立、北西に久美浜湾の小天橋、そして南に大江山連峰、西に高竜寺ヶ岳、北に依遅ヶ尾山と海山のランドマークが見られた。
 また、野田川流域の加悦谷平野、竹野川流域の平野を見下ろす。天女伝説の山であるが、仙人になった気分で人々の生活圏
を高みの見物。

Img_7600

| | コメント (0)

2019/04/17

残雪がいまだに多し扇ノ山

 もうそろそろかな。2度の残雪調査からひと月経過した4月上旬、扇ノ山に足を向けた。寒の戻りの波状攻撃で、記録的な暖冬のわりに近畿地方の桜の開花は平年より1,2日早いくらいだし、満開は平年並みか1日遅くなった。3月中に解けてしまうんではないかと心配した扇ノ山の残雪も、かなり持ちこたえていると思われる。
 扇ノ山の残雪期の登山口として京都府丹後半島から一番近い上山高原までは、まだ除雪されていないかも知れない。例年、4月下旬に行われる野焼きにあわせて除雪が行われる。雪が少ない年には早めに除雪されることがあるが、そのあたりは不確定要素だ。今シーズンのこれまでの情報では、少なくとも上山高原の少し下の標高700m付近までは雪が溶けてクルマが入れるようだが、車道歩きが長い。標高900mの上山高原からの2.8kmの車道歩きだけでも十分だ。過去には標高600mのシワガラの滝入り口から歩いたこともあるのだが。
 それよりも最近のお気に入りは、河合谷牧場からのアプローチだ。兵庫県を越え、鳥取県まで行かねばならないので、クルマの走行距離は片道10kmと少し伸びるが、ある程度雪解けが進むと標高860m付近までクルマが入れるようになる。車道歩きが3.3km。上山高原からの車道歩きと比べて少し長い。ただし、河合谷高原からの車道は、日当りがよいため雪が解けて路面が露出した区間が長く、自転車が使える。雪解けは、必ずしも下から進んでいくとは限らない。日当たりの影響も大きいのだ。クルマは、最初の残雪区間の手前までしか入れないが、自転車は残雪の上を押して乗り越えることができる。
 というわけで、8時半過ぎに家を出る。山陰近畿自動車道の無料区間が延伸し一気に兵庫県を通り抜け、鳥取県に入ってすぐに岩美町から南下。雨滝集落から河合谷牧場へ。
 深く深く山に入る。3月上旬の残雪調査で行く手を阻まれた残雪区間を過ぎる。だが、クルマの通行こそできるものの、道路の両脇には結構雪が残り、ひと月経過した割に雪解けがあまり進んでいない感じだ。日当りのよいところには全く雪が見られないが、山影になるところには雪が残る。そして、道の両側に雪の壁ができている区間があった。これは明らかに除雪の跡だ。今まで、この道が除雪されていることはなかった。年によっては、薄い残雪を乗り越えながら標高860m地点までたどり着いた。今日もその覚悟で、ノーマルタイヤへの交換を延ばし、スタッドレスタイヤを装着したままのクルマで来ているのだ。
Img_6959Img_6961

 河合谷牧場の入り口分岐を過ぎ、除雪の壁を何ヶ所か見ながら標高860m地点へ。ここは横向きに張り出した支尾根を回り込む区間で、支尾根の北側は多くの雪が解け残る。残雪期にはクルマはここまでしか入れない状態が長く続く。今日はここまで除雪されていた。
 何はともあれここまで着たら十分だ。自転車を組み、スキー板をフレームとサドルに固定。出発前に、少しパンを食べて腹ごしらえ。すると軽自動車がやってきた。クルマから1人の男性が降りてきて、話しかけてくる。こういう場合、大概「この先にはもう行けませんかねぇ」と、一目瞭然のことを訪ねてくるのだが、やはり今回もそうだった。わかっていても聞かずにはいられないのだろう。熊の調査だという。名残惜しげに引き返していった。
 さて、出発する。作為的に雪が積まれてクルマを通れなくしてあるが、その先も除雪が続いている。積まれた雪を乗り越えたが、100mも進まずに残雪に当たった。雪が積まれている理由はわからない。
Img_6964

 自転車を押して残雪の上を行くが、雪が緩んでいて足も車輪も雪に埋もれて進みにくい。支尾根を南側に回り込めば雪が解けて路面が出ていることを期待して進むが、きついラッセルを強いられなかなか進まない。雪面は真っ白。まだ積もったばかりの雪なので、締まっていないと言うことか。いや新雪の下の根雪も随分緩んでいる。もう自転車を諦めて、スキーを履いて歩こうかと、心が折れそうになる。かなりの時間を浪費してようやく支尾根の南側へ。やはりこちらは雪が解けている。やっと自転車の活躍の時だ。
Img_6973

 嬉々として自転車にまたがる。上り坂をスキーブーツでのペダリングではあるが、重い濡れザラメ雪のラッセルよりは劇的にスピードアップ。
Img_6971Img_6988Daisen

 西側の景色が開けてきた。北西方向に鳥取市街や鳥取砂丘、第1回扇ノ山残雪調査に訪れた時に一周した湖山池もはっきり見える。真西には稜線に雪を頂いた峰々。あれは三国山だ。一度登ると親しみが湧く。あの帰り道に第2回残雪調査をしたのがひと月前だ。さらには奥に大山の姿がうっすら見える。春霞のこの時期、大山が見えるのは珍しい。
 しかし、自転車活躍の場面はつかの間、すぐに残雪に行く手を阻まれる。三日天下どころか数分の天下だった。1kmも走っていないんじゃないか。せめて路肩の50cm位アスファルトが露出していれば十分なのだが。帰宅してからGPSトラックを解析したところ、最初の雪上区間は約600mで、ここを通過するのに30分近いくかかった。それに続くアスファルト露出区間も約600mで、写真撮影の停止を含めても10分弱。アスファルト露出区間は下りでは劇的に速くなるが、残雪区間は下りも難儀することが予想される。せめて雪が締まっていればいいのだが。
 そのあとは小刻みに、残雪とアスファルトが交代で現れる。この辺りでこの春の残雪は思いのほか多いのではないかということに気付き始める。西日本の平野部、特に日本海沿岸の記録的な寡雪の印象が強く、寒の戻りが繰り返し訪れたといっても平年よりは残雪が少ないと決め付けていた。ちなみに、昨シーズンは10日程遅い4月半ば過ぎに扇ノ山を訪れたが、かなり雪解けが進んでいた。天気の週間予報からしても、今シーズンあと10日で昨シーズンのその日と同程度まで雪が解けるとは思えない。1月には久美浜湾(海ですよ)が凍結し、2月には京丹後市の平野部(標高35~40m)の我が家の周囲で50~70cmもの積雪深を記録した昨シーズンよりも、1cmも雪が積もらなかった今シーズン方が、ここへ来て雪が少ないということなのだ。
 さらに、2016年には、今シーズンのこの日と同時期に扇ノ山を訪れているが、2年前のあの日車道はすっかり雪解け。無雪期の登山口までクルマで乗り付けた。そして登山道に入っても雪はなく、山頂を諦め、最も雪が残る大ヅッコ北斜面を滑るだけだった。
 2000年のゴールデンウィーク後半、つまり5月初旬に初めて訪れて残雪の多さに驚いてから毎年欠かさず通い、20シーズン目の扇ノ山となるが、最も雪が少なかったのは2007年。雪があるうちにと3月に何度か試みるも、藪に阻まれたり寒の戻りの新雪ラッセルで山頂にたどり着けなかった。満を持して4月に訪れたらもう雪が解けていた。今年もそうだが、真冬に雪が少ない年には寒の戻りがしつこく繰り返されることが良くあり、訪れるタイミングが難しい。というわけで、この2シーズンだけ扇ノ山の山頂にたどり着けなかった。今日は間違いなく、山頂から滑ることができる。

Img_6996Img_6989

 結局、車道区間の半分を少し過ぎた1.9km地点で自転車を諦める。スキーを装着して雪の上を歩くのは、なんと快適なことだろう。その先はスキー板を外さねばならなかったのは1ヶ所のみ。残雪が丘のように盛り上がったところもあり、自転車を諦めたのは正解だった。
 自転車が活かせず残念な気持ちになるが、スキーが主目的なのだから雪が多いのはいいことではないか、ということを思い出す。
Img_7003

 山水が湧いている「水とのふれあい広場」も、周囲は雪に覆われている。そのすぐ先が河合谷登山口。この登山口は取り付きに木段が組まれている。急斜面で雪が付きにくく木段が露出していることが多いが、今日は雪に覆われている。スキーでも登れそうだが、それはシールがあっての話。ステップソールでは急すぎるので、いつものようにもう少し進んで段々畑を縫う農道から入山する。
 県境を挟んで、兵庫側の小ヅッコ登山口と鳥取側の河合谷登山口が比較的近い距離にあり、それぞれの登山道は山に入ってすぐに合流して県境の尾根をたどる。両方とも登山口からしばらくの間は藪、つまり細かいブナの木や、倒木、落ちた枝を除けながら歩かねばならないが、鳥取側はブナ林に隣接して大根の段々畑となっている。雪が解けてくると段々畑のエッジが露出して、農道を辿るしかなくなるが、今日は一面の大雪原となっている。
Img_7013Img_7011

 その雪面にスキーのトレースが数本。数日前のものだ。さらに今日のトレースも加わった。今日のトレースは下りのもの。今までは見られなかったことから兵庫側、上山高原からのアプローチだろう。登りはブナ林を歩いたものの、縦横無尽に滑ることができる段々畑に出てきたというところか。上山高原までは車道の残雪が途切れなくつながっているだろう。問題はどこまで除雪が進んでいるかだ。このトレースの主がネットに記録を上げてくれたら、その様子がわかるのだが。
Img_7016

 段々畑を登り、大ヅッコ手前で林の中の登山道へ。ここまで来ると、疎林となるため歩行はもちろん下りでも楽しいツリーランができる。
 大ヅッコを越えたら一度鞍部へ下る。ステップソールのお陰でアップダウンは問題ない。南向きで雪が解けて地面が出ていることもあるが、やはり今日は分厚い雪に覆われている。ややブナの木の密度が高いが快適なザラメの滑降だった。
 そして山頂への登り返し。十分に雪はあり心が躍る。
Img_7025Img_7042Img_7045

 誰もいない山頂へ到着。東山、そして氷ノ山がくっきり。氷ノ山もまだ白い。東尾根は一の谷まで十分滑れるんじゃないか。扇ノ山の山頂の小屋の周囲は、ブナの根明けのように丸く雪が解けている。積雪深は場所によってはまだ1mを軽く越えている。壁が垂直ではないので単純には言えないが、170㎝あまりのスキー板と比較して150㎝以上の積雪ありそうだ。
Img_7027Img_7052

 風が冷たいので小屋に入って休憩。ブーツを脱ぐのが面倒なので、土間でパンを食べる。
 さあ、いよいよ滑降だ。程よい斜度の山頂東斜面は十分な積雪。ただし、冷たい風でややクラスト。滑り出しでいきなり転倒。そのあとは、足の裏で雪質を探るように慎重にターン。もう登り返しはせず、そのままトラバースで大ヅッコとの鞍部へ。
Img_7053 

 大ヅッコへ登り返して、大ヅッコ東斜面へ。東斜面は、早く日が陰るのでクラストして滑りにくいが、こちらから東側の景色も見ておきたい。山頂からは東に延びるブナに覆われた尾根に阻まれるが、大ヅッコからは東の展望が開けている。
 青ヶ丸と仏ノ尾の間に見える鉢伏山はすでに茶色だ。でも、3月末までハチ北高原は営業していた。さらにうっすらと見えるのは丹後の山、依遅ヶ尾山。独特の形が目印だ。これが見えるということはこの時期にしては見通しがいいということだ。
Img_7058Itigao

 そのあとは大ヅッコの北斜面でツリーランを楽しみ、段々畑に飛び出す。この先の登山道は濃い藪の緩斜面となり、スピードを抑えて歩くようにいかねばならない。それに比べて段々畑は障害物がなくスキー場の初級者ゲレンデのようなオープンの緩斜面。スピードを殺さずに縦横無尽に滑り、あっという間に車道まで降りる。河合谷牧場の向こうに広がる鳥取平野に向かって滑降する場面もあって総会だ。雪は緩んでいて板の滑りはあまりよくない。歩きためのステップソールと、ターンのためのシングルキャンバーの板だから、滑りが犠牲にされている。滑走時にステップソールの影響を抑えるダブルキャンバーなら少し滑りがよくなるかもしれないが、この雪質ではターンに苦労することだろう。
 もし上山高原からきていたら、段々畑を少し滑ったら藪の中に戻り小ヅッコ登山口へ戻るか、畑を河合谷登山口まで滑り降りてから雪の車道を歩いて小ヅッコ登山口へ戻ることになる。
Img_7059

 水とのふれあい広場を過ぎ、河合谷牧場の中の車道を下る。自転車に戻るが、やはり雪の上は苦労する。雪のゆるみが増して重い濡れザラメのラッセルがつらい。最後の雪上600mは特に厳しい。自転車にくくりつけたスキー板を下ろし、ブーツに装着。スキー歩行で自転車を押す。こうすれば、足は雪面を踏み抜かないし、軽くなった自転車もあまり沈まなくなる。しかし、何のために自転車を持ってきたのだろう。最後の数十mはアスファルトの上。スキー板を簡単にザックに固定して自転車にまたがる。
 こうしてクルマへと戻った。数日後、ネットにあがった記録によれば、4月6日の時点で上山高原までの除雪が完了していた模様。その日は除雪の限界からずっと雪も途切れず小ヅッコ登山口、そして山頂まで続いていたようで、そちらからのアプローチが最も効率的だった。まあ、効率だけを求めるのではないけどね。
Img_7075

 こうしてクルマへと戻った。数日後、ネットにあがった記録によれば、4月6日の時点で上山高原までの除雪が完了していた模様。その日は除雪の限界からずっと雪も途切れず小ヅッコ登山口、そして山頂まで続いていたようで、そちらからのアプローチが最も効率的だった。まあ、効率だけを求めるのではないけどね。
 また、車道を下山しているときにクルマのわだちを見た。残雪に挟まれたアスファルト露出区間だ。登山口側の残雪に乗り上げようと試みるも、全く歯が立たず断念した痕跡だ。どうやってクルマがここに来たのだろうかと思いながら周囲を見ると、急勾配の枝道があった。牧場内の作業道だ。クマの生態調査の人がいろいろあがいたのかも知れない。いずれにせよ、1,2か所の残雪帯を越えても、どんどんと厚みを増した残雪が現れる。どうせ登山口まで来るまで行くことは無理なのだ。
 とにかく、扇ノ山の残雪は、ここへ来て平年並みまで持ち直したといってもいい。おそらく大ヅッコ北斜面はゴールデンウィークも滑れそう。さすがは扇ノ山だ。

| | コメント (0)

2019/03/14

雪原を歩いて恩原三国山(みくにがせん)

 「そうだった、まだ三国山を滑っていなかったな。」先日ネットの記録を見て、ずっと忘れていた山のことを思い出した。三国山の存在を知ったのは、15年くらい前。氷ノ山のスキー登山に同行して知り合った岡山県の津山のテレマークスキーヤーの記録を、ネットで読んでのことだった。登山口の恩原高原は、何度かクルマで通過したことがある。あの近くにこんな山があるのか、と思った。
 そんな三国山を一度目指したことがある。スキーではなく自転車で。2006年の8月下旬のことだ。恩原高原スキー場からダブルトラックで途中まで登ったが、唐突に道がなくなりそこまで。自転車はMTB、その先シングルトラックがないかと探したが、見つからず。舗装のダブルトラックをブロックタイヤの音を響かせて走っただけだった。広くなだらかな稜線は恩原牧場で、ダブルトラックはその作業道。牧場の敷地内にしか道がないのは当たり前の話。道は途中で途切れているのは地図の通りだし、もし地図にないシングルトラックがあっても草ぼうぼうの季節。途中撤退は想定内で、あくまで本番は雪の時期というつもりだった。でも、遠いからだろうか、いつの間にかすっかり忘れていた。
 そういうわけで、快晴の土曜日に行動を起こす。先日のネットの記録の日から1週間後のことだ。満天の星空の元、5時半に自宅を出発。
 往路は国道482号線を使う。東は丹後半島、西は蒜山高原を結ぶ国道。平成の大合併以前の1990年前後、国道のない(そして鉄道も空港も高速道路もない)町や村が集まった「ないないサミット」の活動により、国道に昇格した路線のひとつ。ただし、国道482号線の兵庫・鳥取県境は2004年の台風23号以来ずっと通行止。国道昇格から随分遅れて開通した区間だが、開通からわずか2,3年で災害で通行止となり復旧していない。道路が損傷していなくても、1年のうちの3分の1は雪に閉ざされてしまうわけだから、いったい通れたのは何日だろうか。まるで明智光秀の三日天下のような区間だ。ちなみに、私は2003年5月18日に一度だけクルマで通り抜けている。
 というわけで、戸倉峠で兵庫県から鳥取県へ。その手前、養父市大屋町は合併前の町域にまだ国道がない、今や稀少な存在である。
 若桜町で国道482号線に復帰し、八頭町を経て鳥取市へ。といっても平成の大合併以前の鳥取市までは行かず、旧用瀬町から旧佐治村へ。佐治川の谷に集落が点在する秘境だ。市役所の支所がある中心集落辺りはやや谷が開け、進行方向に白い山並みが青空をバックに輝いている。本日の目的、三国山の峰々に違いない。佐治川の流れと白い峰が見える位置にクルマを止め、ここで朝食。
Img_6164Img_6167

 佐治川ダムを越えると、最終集落。その奥で道は急激に標高を上げ、周囲に雪が見られるようになる。そして、標高800m近い辰巳峠。その向こうは岡山県鏡野町、旧上斎原村。いわゆる片峠で、深い谷の鳥取県側に対し岡山県側は高原となっている。峠から1km進んだかどうかというくらいのところで、明るい落葉樹林の中の国道を右折、恩原湖畔を抜け、恩原高原スキー場へ。このスキー場は、レイクサイドゲレンデとパノラマゲレンデの2つのベースを持つうちの、パノラマゲレンデ下駐車場へ。ちょうど9時。171km、3時間半のドライブだった。
 スキー場は先日、今シーズンの営業を終えたばかり。スキー場関係者のものと思われる岡山ナンバーのクルマが数台止まっている。正面に見えるゲレンデは、上半分が雪解け。三国山から南西に延びる稜線の末端にあるのがこのパノラマゲレンデで、最後にゲレンデ滑走で下山を締めくくるつもりでいたが、それは明らかに無理だということがわかる。稜線の雪はどのくらい残っているだろうか。なだらかなゲレンデベース部は一面雪に覆われている。勾配が緩くて雪が積もりやすいのだろう。
Img_6170Img_6172

 さて、入山の準備を進める。風はやや冷たいが、春の日差しが降り注いでいる。下界では最高気温が15度を越える予報だ。春の装備でよいだろう。念のために持ってきたシールは、やはりクルマに置いて行こう。2日前の寒の戻りのものと思われる新雪がまだサラサラで薄く積もっているが、この日差しですぐにザラメとなるだろう。ステップソールが真価を発揮してくれるはずだ。
Img_6174

 9時25分、ベース部の緩斜面を歩き始める。メインゲレンデを左に見て、13年前に自転車で走った牧場の作業道をたどる。すると左右両側にそれぞれゲレンデが現れた。右側のゲレンデは尾根の向こうのレイクサイドゲレンデとつながっている。左側は、三国山からの尾根に設けられたゲレンデ。左側にはリフトが見当たらないので、駐車場から正面に見えたゲレンデと上部でつながりリフトを共有しているということだろう。しかも、うれしいことに全面真っ白だ。下山の最後にここを滑ることができる可能性が高まる。稜線の雪のつながり方しだいだ。ちなみに、帰宅してから調べてみると、駐車場の正面の半分雪が解けた斜面は「表斜面」、全面雪が残った方は「裏斜面」と呼ばれているそうだ。
Img_6175Img_6176

 両サイドにゲレンデがあるエリアまでは立木もなく一面圧雪整備された緩斜面だったが、その先はまばらに潅木も見られ、舗装のダブルトラックが雪面に浮かび上がる。そして、その上には無数の足跡がある。圧雪をされていないと雪が緩んだ時に足が沈むということだ。
 進行方向右側、つまりレイクサイドゲレンデとパノラマゲレンデを分ける尾根は、三国山から南西に伸びた主稜線から分かれた支尾根。その主稜線と支尾根の間の谷を進んで行く。すると、左の稜線上に2本ほどのアンテナと、急斜面につけられたガードレールが見える。あの道を登るのだ。
Img_6177

 車道としては急勾配でも、スキーでは緩斜面。シールを貼らずともステップソールで十分対応できる。そうならば擦り足の抵抗が少ない分、シールよりステップソールの方が軽快だ。また、比較的平坦なため雪が積もりやすく、周囲の斜面が雪解けしていても車道には雪が残っていることが多い。さらに、立木や岩、そして沢といった障害物もない。スキーゲレンデを登る手もあるが、スキーの場合、直登できる勾配には限界があり、急斜面だとトラバースでジグザグに登ることになる。先ほど左に見たゲレンデも直登は無理。車道は距離が伸びるというが、急斜面のジグザグもそれなりに距離が長くなるはずだし、足場が悪い分体力の消耗が激しい。とにかく、車道、つまりダブルトラックがあるということは圧倒的に楽なのだ。そのダブルトラックに足跡。つぼ足の登山者が1人先行しているようだ。
Img_6185Img_6188

 さあ、主稜線に乗り上げた。なだらかな丘が連なる大雪原が広がる。恩原牧場だ。その丘の間を縫うようにダブルトラックが伸びている。丘もダブルトラックも全面雪に覆われている。スキー場ゲレンデまで藪こぎしなくてもたどり着ける見込み。ということで、今登ってきたダブルトラックで下山しなくて良さそうだ。ダブルトラックでも板が走りそうな勾配があり、快適に下山できそうだが、自由にコース取りできる斜面を滑降するほうが楽しい。
 進んでいくと景色が開け、進行方向はるか先には丘というより、小山の連なりが見えてきた。あの辺りが三国山なのだろう。遠いなあ。
Img_6191Img_6192

 右手はるか先には、白い峰が見える。ああ、あれに見えるは氷ノ山じゃないか。特に三ノ丸の純白が目立つ。急いで左後方を振り返る。一目でわかる白く鋭い、大山の姿。山襞の陰影がくっきりと見える。烏ヶ山や蒜山を従え、ひとつの大きな山塊となっている。右に視線を戻す。氷ノ山の南に東山、後山も。よく見れば、三室山も山頂を覗かせている。氷ノ山の北に扇ノ山が手前ブッシュの陰から顔を出した。これで、主要メンバーがそろった。いや、那岐山を忘れていた。しかし、余りなじみがなくどれが那岐山かわからなかった。
Img_6199Img_6197Img_6205

 蛇行するダブルトラックをショートカットしながら行く。丘を越えるアップダウンとなるが、この方が変化があっていい。スキーだから滑走が楽しいし、ステップソールのお陰で登りもらくらく。想定したとおり、ステップソールの真価が発揮されるコースだ。一応登り基調ということだが、それも微々たるもの.復路でもアップダウンを繰り返して少しずつ高度を下げていく形になる。そのため、スキーで三国山を訪れる場合、中津河(なかつこ)がベースとなることが多いようだ。先週、先々週にスキーで訪れた記録は、いずれも中津河からのピストンだった。
Img_6213

 恩原牧場の稜線から三国山に向かって左手に見えるのが中津河川の谷。谷底のダブルトラックを遡り、二股に分かれたうちの左の谷をつめ、ダブルトラックの終点から尾根に取り付いて西側から三国山に登る。これが、中津河からのコースの概略だが、その尾根の様子が良く見える。今回は、初めての山ということで、安全で楽なコースを選んだ。中津河川のダブルトラック終点から尾根の取り付きの序盤の沢のスノーブリッジがもう危険だと、先々週の記録にでていた。そして、いずれもロングコースであるが、谷底の歩きが長いことよりも稜線歩きが長い方が満足度が高い。
 小山の連なりが近づいてきた。黒々とした杉林のピークの奥に白いピーク。白い方が三国山かな、とこのときは思っていたのだが、実際には三国山はさらにその奥。白いピークの左に見える貧祖な、いや控えめなピークだった。
 雪面に顔を出していた柵や東屋のような建築物がなくなり、牧場を通り過ぎたことがわかる。ダブルトラックも終ったようだ。昨日の朝までに積もった新雪は、少し深くなったが、吹き溜まりで5cm程度。
 登り勾配が増し周囲は落葉樹林となった。木々の密度が高く、まっすぐにはコースを取れない。復路の下りが気にかかる。
Img_6222Img_6226

 そのまま、杉に覆われたピークに登っていくのかと思われたが、その前にひとつ鞍部があった。落差は大きくないが、それでも結構急な下りに直面する。木々の間を上手く滑り降りられるだろうか。
 幸いなことに、ザラメ雪の上に解けかけの新雪が薄く乗った、要するに単なるザラメでいい、雪面は思いのほかスキーのコントロールがしやすく、転倒することなく、そして楽しく鞍部に降り立つ。
 ここで、先行の登山者とすれ違う。軽快な足取り。健脚のようだ。挨拶を交わし後姿を撮影させてもらおうと振り向いたが、もう見えない。逆に、後姿を撮影されていたことが、後日判明する。
Img_6231Img_6233

 杉に覆われたピークへの登りだが、手前から見るほどきつい斜度ではなく、ステップソールんグリップもよく、割にあっさり標高差100mを登りきった。
Img_6236

 しかし、そのあとの下りが難所だった。尾根がやせ細り、立木や大きな岩がある。右側は少しだけ雪庇になっている。基本的に慎重に下るが、ここは大丈夫だろうとスピードを出したら、段差が現れ宙に飛ばされる。50cm程度の段差だが、パニックで体が動かず尻餅をつく。でも日差しで緩んだ雪はやわらかく、足から落ちたので体に痛みはない。落ちた場所も雪庇ではない。息が整うのを待って立ち上がり、改めて体もスキーも傷んでいないことを確認する。
 その先、先行者の足跡に従うように、左側に稜線を外して鞍部に下りる。北西斜面で、雪がふわふわだ。この雪質ならば滑落の心配は余りないので、復路はやせ尾根まで登り返さずに北西斜面を巻いていこう。ふわふわといっても、積もりたてのさらさらではなく、日差しを受けてやや湿った、つまり粘着性がある安定した雪なので、雪崩の恐れもない。
 さあ白いピークへの登りだ。これが三国山と期待しているのだが、どうも見た目の距離とGPSレシーバの地図に引いたコースの長さが合わない。お勧めできないことだが、実は初めての山にも関わらす紙の地図を持参していない。バッテリー切れや故障の恐れがある、電子機器の地図のみだ。GPSレシーバには予備の電池を準備しているし、もう一台タブレット端末もある。でも、タブレット端末はザックに入れたまま。GPSレシーバに搭載された地図は等高線が薄くて、今日のような強い日差しの下では地形を読み取れない。予定コースの軌跡が頼りだ。
 手元にあるGPSレシーバは、半年前に買ったもの。これで5代目だ。GPSレシーバを使うようになって17年で5代目だから、平均すると4年で代替わりしていることになる。1台2万円くらいなので、とうとうこれでGPSレシーバに10万円も費やしたことになる。さらに今のモデルは日本全国の地図が付きのセット。ずっと地図を無料で手配していたのだが、とうとう地図にまでお金をかけてしまった。その地図は、クルマは自転車で使いやすい縮尺だとロードマップ、登山で使いやすい縮尺に拡大すると等高線などの表示が加わるように、表示レベルが設定されている。お金をかけて手に入れただけのことはある、と思ったが実際に使うときに見えなければ意味がない。コースの軌跡をインストールしておけば大丈夫だろう、という考えも甘かった。今日はともかく、何かの都合でコース変更することもある。やはり、CustomMapを使おう。CustomMapとは文字通りカスタマイズされた地図で、パソコンソフトの「カシミール3D」で作成できる。カシミール3Dに表示された地図の必要な範囲を切り出し、GPSレシーバに保存する。もちろん、晴れの屋外で見やすいように、表示濃度を調整することもできる。夏に電源スイッチが壊れて起動しなくなった先代GPSレシーバの内部メモリに、これまで訪れたエリアののCustomMapが大量に保存されている。起動しないからもうフィールドで使うことはできないが、パソコンにUSBで接続すれば内部メモリにアクセスできるから、データの発掘は可能だ。
Img_6238Img_6240

 白いピークに立つ。やはり、GPSレシーバ上のコースはまだ続いている。先を見ると、手前半分が白く開け、奥は杉と落葉樹の林に覆われた次のピークは、このエリアの主峰というには随分控え目な佇まい。そして、その奥には風格あるピーク。もしかして、2つ先のピークまで行かないといけないの。もう十分歩いたよぉ。心の支えは、GPSレシーバに描かれたコースの残りが余り長くないこと。
 とりあえずは、鞍部への下り。立木が少なくザラメの楽しい滑り。そしてわずかな登り返しで次のピークへ。GPSレシーバのコースはここまで。念のため、ザックからタブレット端末を取り出してOSに続いて地図アプリを起動し、GPS受信機能をONにして、衛星の電波を受信するまでしばし放置。
Img_6241Img_6256Img_6245

 やはりここが三国山だ。要するに、1200m級の峰が続く3つの尾根の交差点。いわゆるジャンクションピーク。因幡、伯耆、美作の三国を分ける山である。ただし、南と北に伸びる尾根にはより高いピークが、西に伸びる尾根には同等のピークが隣接している。さらに、三角点は、北隣に一頭三角点「三国山」、先ほど越えた南隣の白いピークに四等三角点「ギラガ仙」が置かれている。ウィキペディアによれば、北の一等三角点ピーク「北嶺」、(今到達した)ジャンクションピーク「南嶺」の二つの嶺を持つが、南嶺が本来の三国山にあたる、とのこと。ちなみに、それぞれの標高は、ジャンクションピークで主峰の南嶺1212m、北嶺1251m、ギラガ仙1247m。また、西の尾根上で隣接するピークも1213mでわずかに主峰より高い。中津河川の谷からだと、西の尾根がルートになる。
 目的地に到達したし時刻もちょうど正午過ぎなので昼ごはんを食べたいところだが、やはり展望のよいギラガ仙まで戻ってからにしよう。その前に、なだらかなジャンクションピークを散策。落葉樹林の中に、杉の大木が数本。これが結構遠くから良く見えた。開けた南側はいいが、北側の展望はブッシュに阻まれる。
 その開けた南斜面を滑り降りる。いい感じだ。でも、目の前に立ちはだかるギラガ仙。ちょうど、扇ノ山の北の鞍部から大ヅッコへを見上げるような感じだ。登り返し斜面を見ながらだと、滑降の楽しみが少し弱まってしまう。そして、そのくだりもすぐに終る。
Img_6258Img_6257

 実際に登って見ると、ギラガ仙への登り返しは大したことなく、ご機嫌の大展望と昼ごはんにありつく。ごはんと言ってもパンだけど。視界は360度。三国山南嶺からは見難かった北側の日本海や北条砂丘の風車群、そして山陰近畿自動車道の高架も確認できる。大山や氷ノ山などの峰々は、少し霞んできている。往路では、色々なことに気を取られて気付かなかったが、潅木に小さな「ギラガ仙」と書かれた札が付いていた。
Img_6279Img_6266Img_6251

 ギラガ仙を滑り降りる。気持ちの良い滑降だが、残念ながら短い。すぐに次の、杉に覆われた黒いピークへの登り返し。こちらは、ギラガ仙から見下ろす形だったので、威圧感は薄い。そしてやせ尾根に登り返す手前で、北西斜面をトラバース。ふんわりとした新雪の感触を楽しむ。
 杉の黒ピークは、ネットに上がっている記録には「ギラガ仙南峰」と書かれていることもある。その南斜面は、林の開けたスペースがあり快適なザラメ滑降。そして次の鞍部殻の登り返しはやや急だが、短いので楽々クリア。心配された密度の高い落葉樹林も、斜度は余りきつくなく、ザラメ雪はコントロール可能で、やや開けたスペースも見つかり快適に下ることができた。
Img_6289Img_6291Img_6294

 そして恩原牧場へ。緩やかな下り基調。なだらかな丘を越えるアップダウン。往路より下りの割合が多目であるはずだが、余り滑降という雰囲気ではない。行く手には、往路でつけたスキーのトレースとつぼ足のあとが絡み合いながら延々と続いている。日差しで雪が緩んでいて、復路のつぼ足の足跡は深い。
Img_6297

 ダブルトラックが主稜線から外れるポイントまで戻ってきた。ここで往路のトレースと分かれ、主稜を突き進む。余り標高は変わらないはずなのだが、だんだんブッシュが出ていたり、雪が切れたりしてくる。枯れススキを踏みながら、どうにか雪のつながった部分を歩いて行く。そしてようやくリフト降り場を発見。あそこがゲレンデ最上部だ。
Img_6312Img_6316

 リフト降り場から、南側の表斜面と東側の裏斜面へと滑りこめる。せっかくなので、表斜面を少し降りてみる。すぐに雪が切れ、茶色の斜面が広がっている。朝、駐車場から見上げてわかっていたことであるが、改めて納得。
Img_6321Img_6322

 リフト降り場まで登り返す。ステップソールのお陰で自由自在に動ける。そして、裏斜面へ。強い日差しのせいで、朝よりも浮きが薄くなっているようだ。地面が透けて見えているところを避けて滑る。この斜面が、今日一番の滑降だった。
Img_6330Img_6331

 向かい合う斜面にもスキーのシュプールが見える。麓には、親子連れが遊んでいる。その脇を抜け、ベース部の緩斜面を行く。雪が緩んで板が走らない。ステップソールだからなおのこと。ストックで漕いで漕いでようやく駐車場へ。
Img_6334

 ゲレンデ入り口の管理施設兼レストハウスの建物の脇の雪の切れ目に、まだ開封されていないお茶のペットボトルが2本置かれている。朝にも見かけたが、そのまま放置されている。スキー場の職員が、日差しで暖めるために置いているのかと思ったが、そのまま忘れられているのだろうか。もう完全に暖まっているはずだ。
 15時40分、クルマに戻りスキーなどを撤収。ああ満足、満足。大展望とザラメ雪に恵まれた。13年暖め、満を持して訪れただけのことはある。といっても忘れていたのだが。前述の通り2006年晩夏にMTBで下見したものの、2007年は雪が少なくて初めての山どころではなかった。神鍋や鉢伏山のスキー場が、2月中旬に雪不足で営業休止に追い込まれるほどの寡雪。氷ノ山も、扇ノ山も藪が完全に埋まらず満足に滑ることができなかった。
 さて、本日のマイナス面を強いて言えば、滑降の楽しみが薄かったか。もし次回があるならば、中津河川の谷に滑り降りるコースを考えてみようか。でも、恩原牧場の大展望稜線歩きも捨てがたい。ならば周回コースか。単独でも、自転車を利用すればいい。難点は、林道に降りる手前のスノーブリッジ等、要注意の箇所を登りで確認できないことだ。その時の雪の量だとかをよく考えて計画しよう。
 さて、午後の日差しが降り注ぐ恩原高原スキー場を後にする。辰巳峠、佐治村、用瀬を経て、船岡までは来た道を引き返す。そこから若桜に向かうのでなく、国道29号線を北上。鳥取市に入る前に、郡家で右折する。その理由の一つは、鳥取市街の道路の混雑を避けること。各地に無料の高速道路が張り巡らされた鳥取県だが、なぜか鳥取市中心街は一般道しかない。そして、今日こなす予定の要件がもう一つ。扇ノ山残雪調査の第2弾だ。
Img_6352

 田舎道を走って、国府町雨滝。河合谷林道へ。クルマで入ることができたのは、河合谷牧場入口分岐の少し手前まで。標高560m位。2か所ほど残雪を乗り越えてたどり着いたが、さらに深い残雪に阻まれた。その残雪にもクルマの轍がついていたが、かなり深い。車輪が大きく最低地上高の高いクロスカントリー4WDだろう。こんな山深いところでスタックしたら、助けが来るまで相当待たされる。だからチャレンジはしないで引き下がる。別に今日入山するわけではないのだから。
Img_6353

 河合谷林道を降りて、岩見に北上。日本海沿いの国道178号線で兵庫県を抜けて京都府の丹後に帰還。河合谷林道の往復を差し引けば、鳥取市内を経由する場合とほぼ同じ距離。また往路の戸倉峠経由ともほぼ同じ。ロスのない寄り道だった。
3月上旬

 

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2019/03/04

扇ノ山残雪調査と湖山池一周

 2月中旬を最後に新たな雪の供給は途絶えたまま、3月を迎えてしまった。この後も、大きな寒の戻りの見通しはない。残雪期も短いことだろう。チャンスを逃さぬよう残雪の状況を見極めておこう、と扇ノ山へと向かった。京丹後市からは、神鍋高原を経由し蘇武トンネルで村岡に抜け国道9号線に乗るルートと、日本海に近い国道178号線で香住、余部、浜坂を経由し湯村温泉から国道9号線に乗るルートがあり、どちらもほぼ同じ距離。とりあえず、往路は後者の国道178号線ルートを使うことにした。竹野からの山陰近畿自動車道が、以前は余部までだったのが、浜坂まで延伸していた。屈曲の多い峠越えからトンネルで山を貫く自動車専用道路に変わり、わずか10kmほどの区間だが5分以上の時間短縮になるようだ。
 湯村温泉から国道9号線で鳥取方面に向かい、県境手前で左折。海上集落へ。除雪が行われるのはこの集落まで。例年3月初めには集落の奥までしかクルマが入れないことがほとんどだ。でも今年は別。予想通り、路肩にもほとんど雪が見られず、どんどんクルマは山間部へ。芝桜公園となっている丘とその周囲に田んぼが広がるエリアにもほとんど雪が見られない。周囲の山にもまだらに雪が残る程度。ただし、上の方はガスで見えない。
 さらに進むと日当たりの悪い区間に入り、雪が出てきた。シワガラの滝の入り口付近で、路面が雪に覆われクルマはここまで。だいたい予想通り。路面の雪は薄いので、がんばれば乗り越えられるかもしれないが、300~400m先のヘアピンカーブで残雪は厚みを増しているはずなので、がんばってもあまり意味がない。この雰囲気からすると、日当りのよい上山高原の雪解けはかなり進んでいそうだ。
Img_5937Img_5935Img_5933


 状況によっては、このまま扇ノ山を目指すことも考え、自転車とスキーを用意してきたのだが、今日は撤退。まず天気が悪い。上の方雲に覆われているし小雨も降っている。ただし、この状況は山間部だけ。平野部では日が射していた。
Img_5939


 ついでに河合谷牧場側も調べておこうと、国道9号線に戻り県境の蒲生峠を越えてすぐに左折、蕪島へ。しかし、蕪島集落から十王峠を越え雨滝へ向かう極細の道が通行止。今年は雪がないから冬季閉鎖は関係ないのだが、土砂崩れだそうだ。おそらく昨年の梅雨前線による7月豪雨だろう。となると岩美からのアプローチとなるが、だいたいの雰囲気はわかったから、もう割愛しよう。
 せっかくここまで来たのだから国道9号線で鳥取を目指す。鳥取市街地手前で国道はまたも自動車専用道路となる。
 鳥取市中心街を抜け、湖山池の南東の畔の桂見駐車場へクルマを止める。スタッドレスタイヤからノーマルタイヤへ、クルマのタイヤ交換をしている人がいる。私は、自転車をクルマから下ろす。春の日差しが降り注ぎ窓を閉め切ったクルマの中はぽかぽかと暖かいが、車外に出ると風が冷たい。ヘルメットは自転車用でなく、耳当てが付いたスキー用を使うことにしよう。自転車は今年初めてMTBだ。ただし、タイヤはスリック。
Img_5940Img_5944

 では、湖山池一周スタート。もちろん、反時計回りの周回だ。まずは、公園の中の遊歩道のような小道を行く。湖山池公園お花畑ゾーンだそうだ。そして、その小道には、「湖山池一周コース」との文字が随所に描かれている。
 湖山池と日本海をつなぐ湖山川を渡ると、広い畑のが広がる。鳥取だからラッキョウかな、と思いながらも、今の時期は何も植えられていない。いずれにせよ、元々は砂丘だったのだろう。
Img_5950Img_5955Img_5956


 その畑の向こうに鉄筋コンクリートの建物が並んだエリアが見える。鳥取大学だ。学生マンションらしき建物が学舎の周囲を囲むように建っている。
 畑と湖の境界線を走る小道は唐突に途切れてしまった。少し引き返して、内陸へ。学生マンション街を抜けると、湖の北岸へ。湖山池一周コースは車道との共用区間となるが、並走する山陰本線の線路の反対側の車道が幹線のようで、湖側の道は静かに走ることができる。湖の畔には「グリーンフィールド」で、運動場や公園があり、その中の小道へレーンチェンジ。どうやらこちらが「一周コース」のようだ。このコースの案内を見落としてしまいがちなのだが、そもそもこれは自転車道ではなく(自転車通行禁止とはかかれていないが)、歩行者の速度ならば見落とすことはないのかもしれない。
Img_5960Img_5961

 すぐにグリーンフィールド区間は終わり、車道との共用区間となり住宅街の中を行く。そして、廃棄物の処理施設らしき荒野を抜けるとまた湖畔の小道となる。山肌が湖に迫り、小さな入り江が並ぶ入り組んだ湖岸となる。前方の小さな岬の辺りに人影が見える。湖岸から数m沖に石を積み上げた人工の小さな島のようなものが浮かび、その上に長いさをのようなものを持った5~6人がなにやら作業をしている。このしばらく後にわかることだが、これは石がま漁と呼ばれる湖山池独自の漁法だそうだ。この人工島は魚が潜む迷路のような魚道ができるよう石が積まれていて、それを上から棒で突いて魚道の奥へと誘い込み、最奥部の胴函(洞檻)という捕獲装置(中に魚が入ると入り口を塞ぐことができる箱)で魚を捕らえるのだそうだ。この漁が行われるのは冬場で、1月下旬の大寒の頃から2月頃まで、年によっては3月上旬まで行われるとのこと。ただし、毎日というわけには行かず、水温が比較的暖かい魚道に魚が住み着くのを数週間から1ヶ月ほど待って、水は冷たいが波は穏やかな日に漁を行うのだそうだ。魚道の外に魚が逃げ出さないように、すべての魚が洞檻までの迷路を抜けるまで4,5時間みんなで棒でつつき続けるのだという。そんな珍しい伝統漁法を見ることができたのは、ラッキーだね。
Img_5966Img_5968Img_5971


 三津という漁村集落から車道との共用区間を行く。クルマはほとんど通らず快適。もう湖の西岸だ。
 湖畔にまたも公園があり、そちらの中の小道へ。小さな岬は「防己尾城跡」で、それを越えてもまた公園が続く。公園の片隅にリゾートホテルがあり、それを過ぎると車道との共用区間。今度はクルマが通る県道21号線。もう南岸に差し掛かっている。あと少しの辛抱だ。
Img_5980

 一周までもう一息のところ、湖山池最大の島「青島」へと渡る橋の袂の公園にやってきた。「オートバイ通行禁止」との注意書き、さらに「公園整備や工事関係車両は通行可」とされているが、自転車についての記述はない。敷地内にある「湖山池情報プラザ」という建物、要するにビジターセンターに入る。中は、湖山池や山陰海岸ジオパーク、さらには全国のジオパークの資料が展示されている。前述の石がま漁の説明もされていた。
Img_5989Img_5981Img_5982

 とにかく、自転車通行禁止とはどこにも書かれていないので、橋を渡って青島へ。遊具の並ぶ公園があり、なんと桜が咲き始めている。キャンプ場や展望台もあるようだ。遊歩道で島を一周する。ウォーキングの人も利用している。あっという間に一周を終えて、橋を戻る。
 再び県道21号線を行くが、すぐにクルマを止めた桂見駐車場に到着。青島一周を含めてちょうど20km。諏訪湖一周と同じくらいだ。また、都市と隣接した水辺、緑地公園の向こうにビルが並ぶ風景は台湾の淡水河に似ているような気もした。台北ほど大きな街ではないが、鳥取も県庁所在都市なのだ。
 自転車をクルマに積んだら、帰路に着く。鳥取市街でラーメンを食べ、東へ。鳥取市からだと、日本海178号線ルートが近い。正味2時間ほどで丹後に到着。
 3月上旬
 参考「湖山池研究所

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2019/02/25

神鍋アルペンローズで春の新雪を滑り20世紀を懐かしむ

 先日の大江山連峰鳩ヶ峰での新雪滑りが楽しかったので、2匹目のドジョウを狙う。2月中旬には北からの寒気団が日本付近に南下、長く居座ってくれたおかげで、弱いながら寒波が波状攻撃してきた。これはまたチャンス到来。冷たい雨が降る丹後を出発。但馬の国との境の河梨峠はうっすら雪化粧。豊岡盆地に降りると雪は全くないが、神鍋高原へと登るとまた雪景色となった。空から降ってきているのも雪だ。一度は雪不足で営業を休止せざるを得なかった神鍋山アップ神鍋スキー場も息を吹き返し、全面真っ白。今シーズン最後のひと花を咲かせている。
 右にアップ神鍋、左に万場、奥神鍋のゲレンデを見ながら蘇武トンネル方向に進み、万劫集落へ。集落の外れ、かつてのアルペンローズスキー場の駐車場だった広場にクルマを止める。昨日からの新雪が積もっているが、除雪されるほどではない。15~20cmといったところか。湿った春の雪だ。
Img_5625


 それなりに新雪が積もっているので、今日はステップソールの板ではなく、新雪専用の太めの板を選択。今シーズン初めてシールの出番。いずれの板でも今日のコースはシールが必要だ。確か、昨シーズンはシールを使う機会がなかったので2シーズンぶりか。
 ここに来るのも2年ぶり。昨シーズン1月、2月はたっぷり雪があったにもかかわらず、アルペンローズを滑ることができなかった。1回の寒波で雪が積もりすぎたのだ。ニュースに出るような大規模な立ち往生まではいかないが、各所で交通障害が発生。渋滞や事故のリスクを避けて、不要不急の外出を控える必要があった。その点、雪不足の今年の方が道路は全く普段通りに走れて身動きがとりやすい。
 板を担いで、万劫集落へ。驚くほど雪が少ない。これまで身長くらいかそれよりも高い雪の壁に挟まれていたのに、今日は足首程度の積雪だ。古い家が撤去され更地が増えているので余計開放的に見えるのかもしれない。(下の写真左側が今年、右は2年前)
 Img_5636Dscn9374

集落の最奥で板を装着。ダブルトラックへ。墓地となっていていくつかの墓石が並んでいるが、それらよりひときわ大きいコンクリートの塊がそそり立っている。かつてのリフトの支柱だ。
Img_5638Img_5642Img_5643


 1965年に西神鍋スキー場としてスタート。1970年代にリフトがかけられ、隣の稲葉集落をベースとする別経営のリフトと合わせてアルペンローズスキー場となり、スキー場が群雄割拠する神鍋高原の穴場としての存在だった。映画「私をスキーに連れてって」のヒットやスノーボードのブームで、1990年代初めまでは賑わいを見せた神鍋高原だが、スキーバブルの崩壊で1999-2000年のシーズンには、アルペンローズは土日のみの営業となり、次のシーズンはリフトのワイヤーに椅子が吊るされることがなかった。
 ダブルトラックを登っていく。車道としては急勾配で、かつてはスキーの下山コースだった。しばらく登っていくと分岐。どちらもすぐ上の平らな部分に出るのだが、道なりでない方、つまりショートカットする方を選ぶ。こちらがかつてのスキーコースなのだが、現在は使われなくなっているようで細かい木が生えて通行に難儀する。下山は、道なりの方がいいかもしれない。
 広い雪原に出た。歩き始めたときよりも何となくガスが薄くなってきているようだ。万劫集落よりもこの平原が実質的なスキー場のベース。ゲレンデ食堂やレンタルスキーの店、そしてリフト中間駅がある。中間駅は普通は下車専用だが、ここは珍しい乗車専用の中間駅だ。つまり、下半分が登行リフトとしての役割。朝は麓からリフトに乗車するのだが、入山してゲレンデやコースを繰り返し滑るには麓集落まで降りずに中間駅から乗車する。そのため、朝の入山の混雑時に麓から乗車する際は、中間駅から乗車する人のため一つおきに乗車するルールとなっていた。
Img_5646


 広い雪原に降りてくるコースは2つ。山頂から一気に急降下してくるススキコースと、このスキー場で随一の広さを持つあすなろゲレンデ。初心者、初級者、家族連れが安心して楽しめる緩やかな斜面がないのことが、ここが穴場だった理由。しかし、シングルリフト3本のみの小規模のわりに、二つのベースを持ち、あみだくじのように交錯するコースは中級者以上には面白く、私もよく訪れた。
 平原からあすなろコースにかけても細かい木が密集して生えている。小さなアップダウンがある中、できるだけ歩きやすい部分をつないで歩いていくと密林の中に入り込んでしまった。木々の密度が高く、身動きが取れなくなるのではないか、脱出に苦労するのではないか、と心配したが並木道のような一本の道があった。山仕事の人の通路なのかもしれない。中級ゲレンデを直登する形だが、シールとクライミングサポートのおかげでぐいぐい登れる。雪は足首程度のラッセル。新雪だが、湿って重い春の雪であまり沈まない。
Img_5648Img_5650

 木々がまばらになってあすなろゲレンデの上部に来た。このあたりが標高差の中間点。あともう少ししたら狭いコースとなる。ガスがはれて麓の神鍋高原やアップ神鍋スキー場のある神鍋山が見えてきた。さらに足どりが重くなってきた。シール面に雪が貼り付いているようだ。湿り気の多い雪はこうなってしまう。
Img_5658Img_5655

 狭いコースがスイッチバックするように山肌にレイアウトされている。この辺りは3本のリフトが集まる交通の要衝で、コースであると同時に連絡通路でもある。山頂へ向かう斜面に鉄の支柱が並んだままだ。山頂へのリフト乗り場もこの辺りのはずだが、そちらは跡形もない。山を切り開いた狭い場所のため、山頂リフト乗り場はリフト待ち行列を蛇行させる広さがない。そこで2列縦隊を形成し、1列目がなくなってきたら係員が合図ととも仕切りのロープを持ち上げ、2列目が横移動して1列目に昇格する。たまたまその場に居合わせた見ず知らずの面々が整列した状態で合図を受けて一斉に動く様子を、今思い出せば特徴的。乗車専用の中間駅といい、個性あるスキー場だった。
 さらにしばらく登ると稲葉からのリフト降り場。こちらも何もない。
 その先は山頂に向けての尾根コースだ。「馬の背コース」とスキー場として営業していた頃は呼ばれていたが、その名前ほど狭いわけでなく中級者が楽しく滑れる。ここまで来たら、標高差は残り100m余り。あと3分の1だ。
 このあたりにも灌木が生えているかあすなろゲレンデのように密生せずずっと疎らなままでいてくれている。
 脚が重い。たまらず板を外しシールワックスをかける。ついでに行動食のパンを半分ほど食べる。でも飲み物がない。飲料水を忘れていることには、歩き出してしばらくして気付いたのだが、もうとりに戻る気持ちにならなかった。
 シールワックスのお陰で劇的に歩みが軽くなるが、効果は一次的。すくにまた重くなった。山頂はもう近い。このまま行こう。
Img_5662


スキー場最上部が近づくとコース内に灌木はほとんどなくなる。北向き斜面のため雪質もよく、早く滑りたい気分になる。けれど、残念ながらこちらを滑り降りる予定ではない。
 そして山頂に到着。標高698m。万劫集落から標高差350m程を2時間余り。山頂と呼んでいるが、三川山、蘇武岳、妙見山と1000m前後の山が連なる稜線の支尾根の末端近くの小ピーク。三等三角点「万劫」がある、アルペンローズスキー場の最高地点だ。山頂リフト降り場の施設は撤去されて、何もない。
Img_5664Img_5665

 霧が薄くなり、その切れ間から神鍋高原が覗く。雪はほとんど止んでいる。そして無風。気温は高めで、汗をかいている。脱水症状になるほど汗をかいていないのが幸い。またパンを食べ、滑降に備えてシールを剥がす。
 さて、ススキコースへと滑り込む。万劫からのリフトの中間駅のある広場へと一気に滑り降りる中上級者向けのコースだ。圧雪されない斜面では、このくらいの勾配があるほうが楽しい。ススキコースを滑降する前に、馬の背コースを少し滑り降りて登り返すという案もちらりと頭をよぎったが、飲料水がないので却下。ススキコースでの最初のターンでその選択でよかったと思う。雪が湿って重いのだ。まあ、新雪だから操作はできるしふわふわ感はあるのだが。
Img_5668Img_5669

 徐々に成長してきた潅木の間を抜けていく。中腹では潅木が濃い。スキー場クローズから19年、だんだんと滑るのに支障をきたす密度になってきた。自由の利く新雪だからいいが、雪が悪いとさらに大変だ。とにかく林の中でスピードは出せない。ターン一回ごとに停止だ。木々は直径5~10cm程だが、例えば雪崩で流されているときに引っかかったらこの程度の木でも脚の骨は折れる。雪崩でなく、つまり流れる雪の圧力がなくても、スピードが出た状態でぶつかれば、やはり危険である。ここは我慢のしどころ。慎重に抜ける。
Img_5675Img_5681Img_5685


 潅木帯を抜けると、広い雪原が見えてきた。リフト中間駅のプレハブ小屋がまだ残っている。
Img_5686Img_5687


 滑り降りたら、平原を歩いて横断。万劫集落へと降りるダブルトラックへ。積もりたての新雪の滑降はそれなりに楽しめた。でも重く湿った春の新雪。2本目を挑みたくなるほどではなく、思い残すことなく下山できる。自分がつけたトレースを辿れば1本目より楽に登れるとはいえ、飲料水もないことだし。
 潅木が邪魔な下山コースを避ける。植物のつるがからみ、お化け屋敷のようになったゲレンデ食堂兼レンタルスキーの店の建物を回りこむ。車庫として使われている部分の屋根が落ちナンバープレートのない軽トラックにかぶさっている。そこからのダブルトラックは山仕事の人が使うのか、路上にブッシュはない。雪が薄く路面が見えている箇所があるので、慎重に。幸い勾配が緩く板が走らない。すぐに、ブッシュに覆われた道と合流。つまり、かつての下山コース。勾配も雪も十分あり、あっという間に万劫集落へ。駐車場の雪は、ずいぶんとけていた。
Img_5689Img_5691

 高原の中央のリゾートホテルの裏山の斜面に人影が見える。スノーボードで遊んでいるようだ。あそこも、かつてのスキー場ゲレンデ。神鍋ファミリースキー場(新神鍋スキー場)跡地だ。アルペンローズと同じ、20世紀の遺構である。
Img_5692Img_5693

 2月中旬、11:05~14:10

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2019/02/18

鳩の山に雪を!2019(大江山連峰鳩ヶ峰スキー登山)

 スキー登山を始めた頃の1996年以来、23シーズン途切れることなく雪の大江山連峰を訪れてきた。過去最も雪が少なかった2007年にも、金曜に寒波、土曜に出動とタイミングの良い降雪でどうにか大江山連峰を滑ることができた。それに次いで雪が少なかった、2016年、1998年にも寒波集落に合わせてスキー登山を実現できた。しかし、丹後半島では、今年2019年は、過去の寡雪の年を上回る深刻な雪不足。スイス村スキー場が全く営業できていない。
 一方、内陸部では話が別で、少ないながらも過去最悪レベルということはなく、先日の氷ノ山では十分にスキー登山を楽しむことができた。氷ノ山ほどではないが、やや内陸の神鍋高原の奥神鍋や万場のスキー場も年末から営業途切れずを続けている。
 ならば、大江山連峰も可能性はあるんではなかろうか。12月上旬、下旬、1月末に控えめながら寒波が来て、平野部でも少しだけ雪化粧をした。大江山連峰の近隣の道路の積雪情報を調べると、この冬で最も深い積雪を観測したのは12月下旬の年末寒波直後。チャンスを逃してしまったのかなあ、とも思うが、そのデータは山間部ではあるがあくまでも麓。積もった雪が完全に溶けてからまた積もる、ということの繰り返しならばここの寒波で積もった雪の量の比較となるが、根雪として残る状態ならば、寒波を繰り返すごとに積雪深は増していく。山の雪は後者であることを期待したい。
 2月中旬、待望の寒波がやってきた。幸い、丸一日は無理でも、昼前から行動できる。平野部は冷たい小雨。山間部に入ると雪に変わりうっすらと雪化粧。登山口の福知山市大江町の千丈ヶ原に向かうにつれ、道路脇の積雪が増していく。路面も雪に覆われた。いいぞ。
 鬼嶽稲荷神社へ向かう道と鍋塚林道の分岐にあたる、除雪の限界点へクルマを止める。といっても今回の寒波では除雪されていない。本日の目標は鳩ヶ峰。鍋塚林道を登っていくわけだが、このままクルマで登れそうなほど積雪は浅い。実際、分岐の両方に轍が続いている。とはいえ、上に行けば積雪は増すだろうし、日当たりの悪いところではなおのこと深い雪のとなることは間違いなく、下手にクルマでチャレンジしてスタックしたら面倒だ。ここにクルマを止めよう。積雪は20cmほど。念のため、進行方向を下に向けておく。前進で下り方向なら脱出は容易だ。
Img_5420


 準備をしようとして、重大なミスに気付く。ストックを忘れているではないか。手ぶらでなんて無理に決まっている。取りに帰れば往復2時間以上。そんな余裕はない。寒波は今日で終り。すぐに雪は劣化。何かで代用するしかない。クルマの中を物色。まずは、カメラの一脚。自撮り棒のご先祖様みたいなものだ。古い物で、ストック代用として長さもちょうどよくしっかりしている。もう一本は、雨傘。ダメだ。長さが足りないし、すぐ折れそう。あ、これだ。雪崩に埋もれた人を捜索するゾンデ棒(プローブ)だ。もちろんゾンデ棒として使用する状態では長すぎるし、しなやか過ぎる。だから、二つ折り(収納および携行時には短くできる)にして、マジックテープのベルトで固定。これで長さも強度もいい感じ。
Img_5497


 正午ごろ、鍋塚林道を歩き出す。ステップソールの板で、シールは車に残してきた。歩き出して数分。300m程進んだところで、雪が深くなりクルマの轍が途切れていた。格闘の痕跡が見られる。やはり、分岐にクルマを止めて正解だった。
Img_5422


 複数のスノーシューで踏み固められた、しっかりとしたトレースができている。現在進行形で降り続く雪にコーティングされているが、今日のトレースだ。このトレースの主たちは、どこにクルマを止めたのだろう。そして、轍の主も同じ人たちなのだろうか。
Img_5432


 距離およそ3km、標高差200mの鍋塚林道は、2箇所ほどヘアピンカーブをショートカットできるのだが、今回は雪が薄くてダメ。それに、急斜面を直登するにはシールの方がよい。ただし、今日はしっかりしたトレースのついた林道をステップソールで軽快にいけるので、むしろショートカットできたときよりも速い。
Img_5424


 登るにつれて雪は深くなっていき、50cmほどになっているようだ。見えるはずの鳩ヶ峰や千丈ヶ嶽は、雪とガスで見えない。ただし風はない。
Img_5434


 林道終点が近づいたところで、前方から数人の登山者が降りてきた。年配の男女2人ずつのパーティ。トレースの主だ。トレースの感謝を込め挨拶を交わす。
Img_5435Img_5438

 大江山連峰の主稜線、鍋塚と鳩ヶ峰の鞍部が林道終点。1時間あまりで登ってきた。トレースのお陰でいいペースだった。そこには小屋があるので、中で休憩。行動食のパンを食べる。床には雪の塊が少し散らかり、先ほどパーティが利用していた痕跡が残る。温度計によると気温は2度。
 小屋を出て、鳩ヶ峰へ。ここからはノートラック。先ほどのパーティは林道往復のみのようだ。景色も見えないし雪は深いし、で心が折れたというところか。
Img_5443Img_5445

 比較的なだらかな山容の鳩ヶ峰だが、当然林道よりは勾配もあり、新雪のためステップソールの効果は薄れる。ここだけシールを使った方が良かったか。それと、ストックがないことも大きい。一脚とゾンデ棒の代用品はあるとないとで大違いだが、バスケット(リング)がないので、雪にどんどん刺さってしまい体を支えることができない。
 でもそれはいいことで、つまりそれだけの積雪量があるということだ。前回、前々回の寒波で積もった雪は、リセットされずにどんどん蓄積されていったようだ。根雪があれば、さらに積雪は増えやすい。実際、新雪の下に根雪の層を感じる。バスケットがあればその層で止まるのだが、代用ストックでは少し体重をかけるだけで層を突き破ってしまう。
Img_5446Img_5447

 貸切で、自分以外誰もいないはずの山で、何か大きなものが動く。鹿だった。
Img_5453Img_5459

 結局、林道終点から距離700m、標高差100mあまりを1時間かけて、鳩ヶ峰山頂へ。相変わらず景色は真っ白で見えず、雪が降り続いているが、無風なので、一息つける。登りでは汗で曇りそうなのでゴーグルをつけずに来たが、ここでゴーグルをザックから取り出す。そして、ゴーグルを付けてびっくり。麓の加悦谷(野田川流域の平野)が見える。霧を透視する機能があったのか。と思ったら、霧が晴れてきている。雪も小降りになっている。加悦谷を隔て対峙する磯砂山。さらに丹後半島の依遅ヶ尾山や金剛童子山も見えてきた。むしろ、今いる大江山連峰の方が見えないくらい。鍋塚は徐々に姿が見えてきたが、すぐ隣、目と鼻の先の主峰千丈ヶ嶽はガスの中。
Img_5468Img_5484Img_5469


 さて、滑るとするか。鳩ヶ峰の東斜面から東尾根へとつないだら林道を使わずに下山できるのだが、東斜面は雪が薄い。来た道を引き返すのが無難だ。ということで北斜面へ。北向きで緩斜面。斜度のある東斜面に比べると滑降の楽しみは薄いが、雪が積もりやすいのが北斜面。積もりたてふわふわの雪を楽しく滑る。代用ストックは、十分役割を果たしてくれる。ガスが晴れすっかり白い姿を現した鍋塚に向かって滑って行く。
Img_5487


 雪が悪いと手こずる樹林帯も、今日は楽しい。あっという間に林道まで下った。楽しい時間は短い。
 林道を下る。この後、林道だけでは芸がないので、東尾根へと向かう案も頭にあったが、最初のヘアピンカーブをショートカットしたら、東尾根へ向かう支線林道の分岐を通り過ぎてしまった。ちなみにこのショートカットは下り専用。歩行距離はあまり短縮できないし、高度差が大きくて登るのはきつい。でも、滑るにはいい。本日は標高により積雪量の違いが大きい。さらに下では大きくショートカットできる箇所が2つあるが、雪が薄い。
 しばらく先で、林道と東尾根が接近する箇所がある。登りで確認したら、どうにか尾根を滑るだけの積雪はありそうだった。しかし、林道と尾根の間の沢が雪に埋もれていないし、尾根の末端まで下ると雪が薄く林道に下りるのに苦労しそうだったので止めておく。東尾根を使うには、最初のヘアピンカーブをショートカットせず、支線を行くべきだった。
 その後、東尾根も使わず、ショートカットもせず、愚直に林道を下るのは久しぶり。冬の大江山連峰を訪れるようになった初期の頃は、山の経験が浅いため林道を下るしかなく、それがつまらなかった。しかも、スキー登山を始めた頃は重く、歩行が得意でないアルペンの山スキーだった。今は、ノルディックのテレマークスキーで、しかもステップソールつき。今日は、雪も良くトレースもばっちり。林道下りもそう苦痛ではない。それに安全だ。下るにつれて山肌の雪は薄く、下手にショートカットを試みても、岩、切り株、倒木の罠にかかる心配がある。脚の骨くらい簡単に折れてしまうのだ。幸い過去にそういう経験がないし、今後もそうでありたい。
 林道でも鹿に遭遇。急な斜面を駆け下りて林道に着地。転倒するも、素早く立て直して軽快にカーブの向こうに消えていった。いつしか千丈ヶ嶽も見えていた。
Img_5492


 最後に千丈ヶ原から鳩ヶ峰を振り返る。
Img_5501


 2月中旬、11:55~15:25

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2019/02/04

雨が降る前の氷ノ山三ノ丸スキー登山

 前の記事に書いたとおり、この冬は極めて雪が少ない。北近畿の日本海沿岸部は、私の知る限り最も雪が少ないが、少し内陸に入ると状況は異なる。少なくとも、2007年よりは多い。京丹後市のスイス村スキー場は2月には言ってもまだ今シーズンの営業が始まらないのに対し、神鍋高原や鉢伏山・氷ノ山周辺のスキー場は年末から途切れずに営業が続いている。1月31日夜から2月1日朝にかけての寒波で、またその差が開いたようだ。
 というわけで、2月3日、氷ノ山へ。4時過ぎにおきて、5時前に丹後を出発。6時半に養父市大屋町ですうさんと合流。若杉峠を越え宍粟市波賀町の道谷集落は雪が多い。屋根の雪を下ろしている建物も見られる。
 戸倉峠を越えて鳥取県に入り、7時40分にわかさ氷ノ山スキー場へ。準備を整え、スキーパトロールで登山届の用紙に記入し、8時20分、少し前に営業開始したリフトに乗車。2本乗り継いで、標高1195mの樹氷スノーピアゲレンデ最上部へ。強風が吹き荒れている。今日は天気下り坂。夕方には雨が降り出す予報だ。早く登って早く滑ってしまいたい。
Img_5242_7


 東は何とか晴れ間も見えるが、西の空は分厚い雲に覆われて暗い。辛うじて大山が見える、と思ったが見えていたのは烏ヶ山。大山本峰は見えていなかった。帰宅後、写真を検証するも、烏ヶ山も怪しい。白いのは雲かもしれない。
190203hyodaisen_2


 スキー板をザックに付けて、8時50分、登行開始。急斜面だが林間のため風が和らいで助かる。前日はたくさんの人が入山したようで、しっかりとした踏み跡ができている。それが今朝の冷え込みで固まり、雪面を踏み抜く心配はない。むしろ、キックステップが難しい。先行者はアイゼンを使っている。プラブーツでなければ、アイゼン必須だ。
Img_5251Img_5258Img_5257


 やせ尾根区間に出ると先行者の姿を捉えた。そして、氷ノ山山頂や三ノ丸の景色が開ける。その方向は晴れているので青空をバックに白がまぶしい。一方、西の大山はますます霞んでいる。風上側には常緑樹である杉が並んでいて、防風林の役目を果たしてくれる。例年、雪庇ができる区間なのだが、今年は雪庇といえるまで発達していない。
 やせ尾根のアップダウンを越えるとブナ林となり三ノ丸へと続く広い稜線へとでる。ここでスキー板を装着。すうさんはシールを貼るが、私はステップソールがあるので今日はシールの出番がなさそうだ。
Img_5263Img_5269

 三ノ丸とは反対方向、大段手前のピークには少し樹氷が残っていた。帰宅後に読んだ、インターネットに上がっていた記録によれば、昨日の朝まではたくさんの樹氷が見られたそうだ。
 ブナ林は直ぐに終わり吹きさらしの雪原へ。幸い南からの追い風だ。緩い登りもらくらく。すれ違う人は、顔が引きつっていた。我々はピストンコースでなくてよかった。まともに滑れないところだった。
Img_5270Img_5272Img_5275


 先行のつぼ足2人組を追い越し、単独のアルペン山スキーヤーに追い越される。
 10時に三ノ丸。氷ノ山山頂が近く見える。また、南には三室山や後山も。兵庫県の標高ベスト3のそろい踏みだ。また、2年前に滑った「くらます」やもっと前に滑った東山(とうせん)、毎年滑っている扇ノ山もみえる。東山の左肩には那岐山が除く。但馬妙見山の向こうに目を凝らすが、丹後の山は見えない。当然そのはるか先の加賀白山など見えるはずもない。
Img_5280Img_5286Img_5288


 私が記憶する限り、最も雪が少なかった2007年には、このあたりの笹が埋まらず、まともに滑走できなかった。今年は問題なく滑走できる。つまり、12年前よりははるかにましだ、このエリアでは。
 風が強いので、先を急ぐ。いったん下って、ワサビ谷の頭のピークを越える。クラストした雪に板を取られて転倒。顔面に、地吹雪が吹き付ける。
 先ほど追い越された単独山スキーヤーに再び追い越される。三ノ丸の避難小屋で休憩していたようだ。彼はそのまま山頂に向かっていった。
 10時25分、ワサビ谷へと少し下りてみる。風が弱まるのを期待したが、まだまだ強い。休憩は先延ばし。
 昨日は平野部で10度を越える陽気となったので心配したが、雪はどうにか賞味期限ぎりぎり。ふわふわの新雪とは行かないが、それに近い浮力を感じるところもある。谷の滑り出しは広い疎林の急斜面。前日のものと思われるたくさんのシュプールがあるが、斜面が広いので気にならない。すうさんは気持ち良さそうに滑り降りていくが、私は何度もこける。それでも楽しい。
 Img_5304Img_5305

 下るにつれて、斜度は落ち着くが、谷は狭まり両側の法面が切り立つ。コース取りの幅が狭まり、先行シュプールが集まるので雪面が荒れてくる。これらのシュプールの主は、登りトレースの主でもあるわけで、文句は言えない。また所々にデブリが見られる。急な法面から小規模な雪崩が起こったようだ。3日前のまとまった積雪の後、昨日の気温上昇。ここでは見慣れた光景だ。完全埋没するほどの雪量はないものの、やはり出会わないに越したことはない。そして、デブリは滑りにくい。
Img_5312Img_5313

 単独のアルペン山スキーヤーが追い越して下っていった。少しウエアが似ていたので惑わされたが、山頂に向かった山スキーヤーとは別人のようだった。山頂まで往復して来たにしては、あまりに早すぎる。
 谷に深く入って風が弱まったので、小休止。パンを食べる。すうさんはおにぎり。それでも少し風があって体温を奪われる。長居は無用、滑降開始。
 谷が狭まり沢芯を行く。スノーブリッジのお陰で渡渉せず滑れるが、雪の量は少ないので岩のおうとつが雪面に反映されてコース取りに苦心する。
Img_5314


 やがて雪面がわれ、沢が露出していた。まあ、例年沢が出ている区間ではあるが、今年は少しスノーブリッジの発達が少ないようだ。右岸の法面を斜滑降でクリアし、杉林へ。林に入っても急なトラバースが続く。10分ほどで杉林を抜け、わかさ表線スキー場イヌワシゲレンデ上部へでた。12時05分。
190203hyo001190203hyo

 最後はゲレンデ滑走。
Img_5317


 駐車場に戻り、撤収していると雨が降り出した。予報より早い降り出しだ。気付けば山頂稜線はすっかりガスに覆われていた。スキーパトロールに下山報告し、クルマで走り出すと雨足は徐々に強まり、帰宅する頃には本降りの雨。日中の最高気温は10度程だったが、この後、夕暮れ以降気温は上がり日付が変わるころには15度ほどになるという。日本海の低気圧に向かって南風が吹き、フェーン現象が起こるためだ。これで、雪は質量ともに悪化・減退する。この土日、正確には日曜の午前中までがこの冬の貴重なチャンスだった。帰宅後に読んだインターネット上の記録では、前日は尾根の急登でのツボ足で踏み抜きに苦労したそうだ。その分、ワサビ谷の雪質はよかったに違いない。天気は、下界のようにはすっきりと晴れたわけではなく、強風と時折のガスに見舞われたそうだ。要するに、今日の午前中と変わらない天候といえる。おかげで、雪の鮮度がどうにか保たれたということのようだ。


| | コメント (2) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧