2017/05/24

森の京都丹波「峠と河岸段丘を行く」

 昨年(2016年)の晩秋、京都市内の「アイズバイシクル」主催のツーリングに参加した時に走った奥山峠。旧和知町(京丹波町)と旧三和町(福知山市)を結ぶものだが、比較的新しく開通(1997年発行のロードマップには掲載されていない)したもので、その存在を知らなかった。その峠を、今度は単独でじっくり味わってみたい。アイズのツーリングは輪行を含んだ企画だったが、今度は周回コースとしたい。やはり、昨年の晩秋に走った長宮峠を組み合わせることにした。綾部市の郊外を基点とし反時計回りに回れば、奥山峠も長宮峠もかつて越えたときと逆方向で走ることができる。
 綾部市外から少し由良川を遡り、左岸(JR山陰本線のある南岸)の河岸段丘の府道450号線の、路肩の広場にクルマを止めて自転車を組む。
 まずは、綾部市街に向かって西に進む。交通量の多い国道27号線は対岸。こちらはクルマが少ないのどかな道だ。列車の中から何度も見た景色だが、こうやって自転車で走るのは初めて。
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 国道173号線の新綾部大橋をくぐると、住宅街に入る。正暦寺という立派な構えのお寺があり、それが寺町という集落名の由来だろうか。
 川の畔の集落の狭い道から、クルマの通れない細い踏切を越える。長宮峠のある西に向かうのだが、突如、目前に恐るべき急勾配の登り坂が立ちはだかる。ヘアピンに近い急カーブを曲がった先にあるので、まさに突如現る、という表現が当てはまる。ほんの30~40m程だが、いきなりその見た目で心を折られる急勾配。20パーセントを越えていることは間違いない。つい先日の、三田の黒川渓谷や今日この後挑む長宮峠にも急勾配の区間があるが、それは20パーセント未満。明らかに格が違う。小樽の励ましの坂、天橋立の成相寺へのアプローチ、朝来市の多々良ダムから青倉神社へ道、などに匹敵する勾配だ。あいにく今日はロー32Tの激坂用スプロケットを装着していない。前述の立地条件から、助走をつけることもできない。あっさり観念し、押して登る。
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 その坂のすぐ脇、ヘアピンカーブに囲まれた土地には民家があり、その住人が外で作業をしていたので写真を撮るのははばかられた。変わりに、Googleストリートビューの画像を掲載する。ほんの30~40mで2階建ての家の屋根の上の高さ(10mくらいか)まで登るのだから、やはり20パーセントを越えていることは間違いない。
 その坂を登ったところが、桜ヶ丘公園。住宅街の入り組んだ細い道を、GPSレシーバーを頼りに長宮峠の麓の田野町へ向かう。峠に向け南に進路をとると、のどかな田園風景となる。しかし、暑い。まだ5月というのに真夏日が続いている。
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 集落を抜け山間部へと入って行く。道は細く急な登りとなって行く。林間のため日差しがさえぎられるのがありがたい。ウグイスの声とセミの声が聞こえる。大型連休明けの5月8日に今年初めてセミの声を聞いた。この時期はまだ成虫は少ないようで、大合唱ならぬ独唱。だから、数十秒鳴いた後に数分のインターバルを経て再び鳴く、というパターン。この時期、成虫の個体が少ないということは、異性に巡り会い生殖する機会も少ないのだろう。
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 さあ、いよいよ長宮峠の核心、急勾配の区間へ。やはり15パーセントは越えているようで、つい先日の三田の黒川渓谷の勾配を上回っているかもしれない。でも、先程の寺町の住宅街の坂の比ではない。何度も休んだが、28Tのローギアで十分ペダルを回すことができる。この辺りの峠の名物「路面に生えたコケ」は、ここ数日の乾燥した晴天のせいで勢いを失っている。あまり存在感がない感じだ。
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 急坂にあえぎながらも長宮峠に到着。標高297m。スタートから250m程しか登っていないが、それ以上にきつく感じる。峠は、北側の綾部側に少し展望が開ける。一番奥にうっすら見える山は、大江山連峰だろうか、それとも由良ヶ岳だろうか。帰宅後確認したら由良ヶ岳だった。
 福知山市三和町に向けて一気に下る。今日は、長宮峠区間で3台ものクルマに出会った。いずれも軽トラックだった。過去2回ここを走っているが、クルマに出会った記憶はない。一応長宮峠も府道709号線だ。
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 標高115mまで降りてきた。上川合で府道59号線へ突き当たり、左折。こちらは、たまにクルマが通る。日差しがきつい。
 少し国道173号線を走らねばならない。クルマ、それも大型車が通る。大原で再び府道59号線。大原神社を過ぎ、奥山峠への登りが始まる。
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 いくつかの小さな集落を越えていく。標高390mと長宮峠よりも高いが、上り出しの標高も高いし、勾配は長宮峠ほどではない。この奥山峠再訪がメインテーマだったが、走ってみての印象は長宮峠のほうが強い。
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 その奥山峠は、由良川の雲海が見物だが、この時期のしかもこんな真昼間に雲海が見えるはずもない。
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 さあ、和知に向けて下ろう。和知側の方が急勾配の区間がある。
 京都縦貫道の高架が見えたら、由良川が近い。そして左岸の河岸段丘を行く。由良川の流れに沿って緩やかな下り基調のアップダウンだ。コースの終盤はこういう道がいい。
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 立木駅、山家駅を越えて、水田と農村の風景の中を行く。由良川の流れは見えず、やはり集落と田園の広がる対岸の河岸段丘が同じ目線の高さに見える。
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 そして、クルマを止めたポイントへ戻る。33kmの周回を完了。
 今回の綾部から長宮峠、奥山峠を越える区間は、5月14日のグランフォンド京都の序盤のコースと一致している。「グランフォンド」とは自転車のロングライドイベントで、山岳コース主体のものだそうな。自転車版市民マラソンといわれることもあるらしい。そのグランフォンド出場者が大体2時間以内で走っているところを、私は3時間近くかけた。走るのが遅いということもあるが、写真撮影のための停止もやたら多い。しかもこの日は、セミやウグイスの声を記録するために、泣き出すのを数分待ち続ける場面もあった。それに対して、制限時間内に全行程150(または114)kmを走るイベントではのんびりしている暇はないのだろう。同じ自転車でも、楽しみ方は随分違うのだ。
5月下旬、14:32~17:24、約32.9km、標高45~390m

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2017/05/23

三田郊外自転車工房と田園・渓谷周回

 今年の初め、このブログにコメントを寄せてくれる「すうさん」が、新しい自転車をあつらえた。クロモリのオリジナルロードレーサーだ。製作は「エコー(eco)」という自転車工房。店舗は吹田だったが、この春、三田の郊外へ移転するとのこと。しかも、カフェも始めるとのことで、自転車をあつらえる必要がなくても気軽に立ち寄れる。
 そして、5月半ば新しい場所でオープンする、という知らせがブログにあがった。よし、行ってみよう。
 自動車で訪れるのも芸がないので、エコーのある小野の集落を含む周回コースのツーリングを計画。もちろん、100kmあまり離れた土地なので、自走ではなく、いつものようにトランスポーターとしてクルマを利用する。
 篠山市南部の後川から羽束川沿いに三田市へ。もうここは本日の自転車コース。適当な場所にクルマを止めて自転車に乗り換えたいが、なかなかいい場所が見つからない。あれよあれよと小野についてしまった。その小野集落の外れに、ポケットパークがあった。その駐車場にクルマを止める。
 自転車を準備して小野集落へ。エコーを探す。まだ、店のWebページやブログには地図が掲載されていない(現在はGoogleMapに登録されている)。集落内をうろつくが、当然店なのだから案内看板があるはずだ、と集落の外の本通りに出てみるといきなり発見。普通の農家と変わらない古民家ながら、ちゃんととおりに見えるように看板が設置されている。
 敷地を回りこむように細い道を辿って、「自転車工房エコー」へ。作業場の戸は開け放たれ、フレームビルダー兼店長と目が合い挨拶を交わす。自転車を止めている間に、店長が出てきて即座に自転車談義が始まる。自分で決めたコースを、自分のペースで楽しむ。ツーリングに関しては、私と馬が合うようだ(それとも商売上手なのか)。
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 いつまでも話していたいが、奥様と娘さんが担当するカフェを勧められそちらへ。店長も忙しいようだ。喫茶だけでなく食事もできるようなので、それを目当てに来たのだが、すでに15時になろうとしている。念のため、アプローチの途中でおにぎりを買って食べたのだが、なんとこの時間でも食事を出してもらえた。さすがスタートしたばかり、気合が入っている。
 縁側がカフェスペース。山頂部に花山院というお寺がある東光山を借景に、庭と畑が見える。しかし、すばらしい青空だ。先日ちょっとした寒気がやって来たせいか、まるで冬晴れのように空気が澄んでいる。
 食卓の下には火鉢があった。もちろん今は火が入っていないが、冬場には活躍することだろう。200m近い標高があり、日本海沿岸の平地よりも寒い。この冬も10㎝ほどの積雪があったそうだ。
 ブログに掲載されていた写真にちらりと写っていた、キーマカレーを注文。30種類ものスパイスを使っているという本格的なもの。その味もさることながら、量に圧倒される。出されたものを残すのは性分ではないので食べきったが、アプローチのおにぎりは完全に余計だった。後で聞いたら、3膳分のご飯を使っているそうだ。
 食べている間にもう一人お客さんがやってきた。なじみの客のようだ。食事メニューのもう片方を注文。野菜など、三田産の食材を使った定食だ。次来た時にはそちらを頂こう。娘さんが作るケーキもお勧め、とのこと。
 食べ終わって外に出る。店長ともう少し話がしたかったが、溶接作業に入り手が離せないようなので、またのお楽しみとする。
 季節離れしているようなクリアな青空と降り注ぐ陽光とまばゆい緑。新生活を開始し生き生きとした人たち。何か、桃源郷に来たようだった。
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 さて、自転車にまたがる。黒川沿いの県道49号線を永沢寺に向けて北上。広い谷に、水を張った田んぼが広がるのどかな風景だ。乙原までは、2年半前に走った道。ただし、逆方向。母子からダートのダブルトラックを南下して下ってきた。かつて存在した「柴田ファーム」という観光農場の前を通る道だ。20年ちょっと前にはMTBの常設コースがあり、そこを舞台としたレースに出場する友人の応援に駆けつけたことがある。
 今回はそちらへはむかわず、県道を北上。集落が途切れ、周囲が林間となる。黒川の流れは細くなり、警告の雰囲気となる。そして、登り勾配がきつくなる。道幅やや狭くなるもののクルマの離合は十分にできる。さほど多くないものの、そこそこクルマが通る。そして、オートバイもたまに通る。別荘のような建物がたまに現れ、その中にはログハウスもある。また、「ライダーズ・カフェ」といった、オートバイで訪れる人向けの店もある。
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 登り勾配がきつくなってきた。腹の中のキーマカレーが重い。結構な勾配だ。15パーセントを越えているんじゃなかろうか。「黒川渓谷」と記された案内看板があったので写真を撮る。その看板が垂直に立っていると信じて、帰宅してから勾配を計算してみたら16~17パーセントだった。
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 林間のため日差しがさえぎられるのは幸いだが、腹が重い。何度も止って呼吸を整える。やっとのことで峠に到着。標高は590m。小野が190mだから400m登ったことになる。
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 少し下ったところに展望所があり、永沢寺の集落を見下ろせる。湖のように輝く水田に、茅葺屋根(トタンに覆われているが)の家々。なんと美しい景色だ。
 その永沢寺に下り、道なりに母子へと向かいそうになるのを踏みとどまって細い道でさらに北上。左(西)へのコンクリート舗装の細い急な下りは、やはり母子へと行ってしまう。右の道を選び、後川へ。その分岐は三田と篠山の市境となっていて、少しだけ篠山市に入る。ちなみに、その辺りもすでに走ったことがあり、その時は篠山盆地を基点とする周回だった。3年半前のことだ。
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 後川奥、後川上と羽束川の流れに沿って下って行く。田園が広がってきたところで県道37号線に突き当たり、右へ進路をとる。そのまま羽束川沿いに南下して行く。峠越えはなく、下り基調で三田市へと戻る。
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 すぐに田園から林間の道となり、先程の黒川渓谷と少し似た雰囲気となる。ただし、勾配はさほど急ではなく、ブレーキをあまりかけず、軽くペダルを回しながら快適に下れる。ただし道はやや狭い。クルマはほとんど通らないが、キープレフトは必須だ。
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 やがて景色が開け、田園風景となる。すぐに分岐を右にとり、県道309号線へ。ごく緩やかな下り基調をしばらく行くと、突然急な上りとなる。羽束川から黒川の谷へとレーンチェンジをする小さな峠越えだ。標高差は数十メートルとわずかだが、急な上りだ。
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 それを越えると後は下るのみ。一気に小野へ。30kmに満たないが、なかなかパンチの効いた登り坂のあるコースだった。
5月中旬、15:32~17:36、約28.2km、標高190~590m

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播但国境銀の道と水の道

 兵庫県の本州部分のど真ん中。中国山地の懐に入り込む市川水系。そして川沿いに広がる穀倉地帯。水と緑がきらめく、初夏のツーリング。
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 神河町東部、旧神崎の中心部にクルマを止め、自転車を組む。まずは南西に走り出す。まだ青い麦畑、水を張った田んぼが広がる。支流の猪篠川、そして市川本流を渡り、JR播但線の新野駅へ。田植えの時期に用水路の水を田んぼにくみ上げる水車、そして梅花藻を見る。薄雲がかかった白っぽい青空だが、それでも晩秋から初冬のよりもはるかに強い陽光が降り注いでいる。
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 市川の右岸(西側)を北上開始。神河町役場や寺前駅のある旧大河内町の中心を越えるとクルマが減る。そのうち道路は市川沿いを行くようになる。
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 長谷を過ぎるとクルマはさらに減り、渕で県道を離れるとクルマは皆無となる。ちなみに播但線も峠のないこの市川沿いを通って生野に向かう。
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 朝来市役所生野庁舎には、「銀の馬車道・鉱石の道、日本遺産認定」との横断幕とノボリ。日本遺産とは2015年から日本全国の文化財等が登録されている。例えば、丹後ちりめん回廊、鎮守府(日本海軍)舞鶴、鯖街道、丹波篠山デカンショ祭などなど。生野の中心街にも、鉱山の職員官舎など、かつての面影を残す建造物が見られる。三菱マテリアルの施設の塀や壁にも、かつての鉱山の写真などが展示されている。
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 かつての町家が残る奥銀谷の手前で、市川を渡る。新町、猪野々を越えて山間部へと入って行く。一気に山深くなり、道路の勾配も増す。
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 標高500m近くになったところで、白口集落に到達。坑口がありかつては大集落だったと言うが、今はほんの数軒。廃屋も目立つ。
 白口を越えると峠が近い。勾配もきつくなる。
 ところで、今日走り出す前にスプロケットを交換した。ゴールデンウィークに多々良木ダムから青倉神社への上りで使ったローが32Tの激坂用のものを外し、ロー28Tのスプロケットを装着。今日の登り坂なら、伝家の宝刀を抜くまでもない、ということだ。
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 峠から作畑までの下りは、ヘアピンカーブが続く。白口側より急勾配だ。作畑集落に降りたら、越知川をさかのぼりキャンプ場など野外活動の施設「新田ふるさと村」を目指す。この川沿いは、「越知川名水街道自転車下りコース」となっている。そのスタート地点がふるさと村なのだ。便によっては路線バスに自転車を乗せてもらえ、下りだけを自転車で走ることができる。
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 のどかな集落と田園と川の風景を見ながら、緩い上り基調で川をさかのぼる。最後の集落神殿を過ぎてしばらく行くとふるさと村。鉄パイプで形作られた自転車のモニュメントがシンボル、と個人的に思っている。「またがらないでください」という注意書きがあることからもわかるとおり、ついまたがってしまいたくなる。ちなみに、その注意書きは「振り」ではないので、またがらないように。
 さあ、引き返して17kmの「自転車下り」開始だ。流れる水のごとく万有引力の法則にしたがって下って行く。
 まずは、越知川のつり橋を渡って林間の遊歩道や田んぼの中の農道を行くのだが、途中「不動の滝」の手前で通行止めとなっていて車道に戻る。大雨の影響か。
 狭い集落の中の県道を行くこともあるが、できるだけ農道などクルマのとおりの少ない道を選んだコース設定となっている。
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 川の流れを見ながらぐんぐん下って行く。越知の集落が川下りのほぼ中間地点。ここから下流は先日、越知ヶ峰林道越えのツーリングでも走っている。麦畑中を走り、お堂の境内を抜け、田植えを終えたばかりの田んぼの上のこいのぼりの大群を見たらゴールは近い。
5月中旬、14:00~18:05、約53.7km、標高140~650m

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2017/05/07

中央分水界をまたぐ朝来市3ダム巡り

 大型連休の前に、朝来市旧朝来町東部の青倉神社・多々良木ダムを巡る周回コースを走った。青倉神社周辺には黒川温泉の案内板があった。もちろん、地図やインターネットの情報で生野から青倉神社への車道があることは知っていたが、このご時世に山間部の交通量の少ない道は、大雨の災害で通行止めとなり何年も復旧していないケースもありうる。しかし、現地にはそうした通行止めの知らせはなかった。というわけで、ゴールデンウィーク5月5日に朝来市を再訪。
 近年一大観光地となった竹田城周辺にはたくさんの観光客の姿が見られ、また全行程を通して普段よりクルマの通行がやや多めと感じられたが、順調に朝来市の旧朝来町羽渕の国道312号線沿いのパーキングスペースにクルマを止める。
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 自転車の準備を整えてスタート。久しぶりのランドナーだ。気温は25度を超える夏日で、半そでシャツに7分丈のズボンのいでたち。
 まずは円山川の流れに沿って北上。クルマの多い国道を避け、羽渕集落がある左岸に渡る。国道429号線を越え、新井駅の辺りから旧朝来町の中心街へ。緑のあふれる公園のような朝来市役所朝来支所。ちなみに本庁舎は旧和田山町役場だ。
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 スーパーマーケットで食料を調達して円山川を渡り右岸へ。そのまま多々良木交差点を越えて、多々良木川をさかのぼる。
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 すぐにロックフィルの多々良木ダムの堰堤が見えてくる。その手前に、あさご芸術の森美術館や歴史郷土資料館などの施設がある。いや、そこまでの川沿いにもモニュメントやベンチが配置され、国道をそれてからずっと広い公園のようだ。行楽客の姿も見える。
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 ダムに向かって左に迂回し堰堤の高さの分だけ登る。堰堤は遊歩道となっているので、ここも家族連れでにぎわっている。ベンチに腰掛けて先ほど買った食料を食べる。本日第1のダムに到着だ。
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 そのあとはダム湖上流に向けて進む。前回は湖畔を忠実にたどったが、今日は半島をショートカット。クルマは離合できない狭いトンネルだが、中に灯りがあった。念のために前後にLEDのライトを付けてはいる。トンネル手前の広場にいた自動二輪の集団が動き出したようだが、トンネルには入らず湖畔の道に行ったらしい。
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 トンネルを抜け再び湖畔に出ると、送電線の鉄塔群が見えてきた。水力発電所なのだが主な施設は地下にあるらしい。また、このあたりもあさごエコパークとなっていて、駐車場に行楽客のクルマが見える。
 そのダムの奥、これから向かう方向にそびえる壁のような山肌に道が張り付いているのが見える。前回、青倉神社から下ってきた道ではない。今日初めて通る予定の道ともどうも位置関係が合わないようだ。どうやら、発電所の管理専用道路のようだ。
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 ダムの一番奥から沢沿いの道を上る。普段なら全くクルマに出会わない道だが、今日はたまに車が通る。そこその急坂だが、この辺りはきつくても10パーセント前後の常識的な勾配だ。
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 青倉神社と保安林の解説が記された案内板が立つところで、舗装がアスファルトからコンクリートに変わり、猛烈な急勾配となった。トイレがあったので、その写真を撮って帰宅してからパソコンで判定したところ、道路の勾配は26~27パーセント。小樽の励ましの坂や天橋立の成相寺の坂をしのぐほどの急勾配だ。今回は、ここに備えてスプロケットを交換してきた。おかげでペダルを回すことができないことはないが、心拍数が上がって長くこぎ続けることはできず何度も足をついてしまう。
 心が折れそうになったところでヘアピンカーブにたどり着いた。場合によってはこうしたカーブの方が急勾配であることもあるが、ここはむしろましになる。もちろん、十分な急勾配なのだが、その下の勾配がきつすぎるのだ。
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 ヘアピンカーブの先端からは青倉神社の参道が飛び出しているが、確か上は通行止めとされていたはず。
 ヘアピンカーブを越え、常識の範囲内の急坂を上っていく。前回下ったときの記憶では、最後にもう一発急勾配があったので気を抜けない。いよいよ勾配が急になったと思ったら、黒川温泉への案内板が見えてきた。峠だ。前回は山桜が咲いていたが、すっかり葉桜になっている。
 前回の走行は逆向き。二つ目の急勾配が強烈だったので、本当はそれよりもやや劣る一つ目の急坂も同じくらいの元として記憶がすり替わったようだ。
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 峠といっても、川上と多々良木の間のもの。黒川温泉に向かうには、峠から分岐する道をさらに登らないといけない。
 ちなみに、多々良木交差点からもう少し円山川沿いを北上し伊由谷沿い登ってきても距離は変わらない。川上からの登りもきつかったが、多々良木側ほどではない。しかし、川上からは前回登ったコースと同じだし、伊由谷は春先からすでに3度も走っている。同じコースばかりでは芸がないし、何より今日はダム巡り。前回下った多々良木ダム沿いを、今日は登ったというわけだ。
 道路の両脇の灯篭を抜け青倉神社へと登る。前回は全く人気がなかったが、神社の駐車場に今日は2台のクルマが止まっている。多々良木ダム湖畔からここまで、たったの3km。でも、標高差300m登っている。平均勾配10パーセント。平均が、である。
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 そして、まだ登る。一時と比べれば落ち着いた勾配だが、それでも時折急な区間が表れる。その分景色も開けてきた。奥多々良木発電所の鉄塔や多々良木ダム湖が見えてきた。さらに円山川沿いの集落も。その向こうにも山々が広がっている。北西方向の高い山は氷ノ山だろうか。とりあえず写真を撮っておく。帰宅後検証してみると、やはり氷ノ山だった。その右手のピークは鉢伏山。ズームアップした写真には、スキー場のリフト降り場も確認できた。ということは、氷ノ山には山頂小屋が見えているはずだが、そちらはピントが甘くて不鮮明だった。
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 一方、峠も見えてきた。今度は、旧朝来町と旧生野町の境、黒川温泉に越える峠だ。あと少し。多々良木ダム湖も最後の姿を見せている。
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 標高670mの峠は、日本海にそそぐ円山川水系と、瀬戸内川の市川水系を分ける分水界。朝来市は中央分水界をまたいだ自治体なのだ。
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 峠を越えて、一気に黒川ダム湖畔に降り立つ。こちらの湖面は標高600mを越えていて、多々良木ダムと400m近い標高差を利用した揚水発電所となっている。上のダム湖から下のダム湖に水を落として発電するわけだが、これだけなら四谷ダムはいらない。かけ流しでいい。下のダムの役割は、発電に使った水を再利用のために貯めておくことである。
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 原子力発電所は、起動するにも止めるにも時間がかかるうえ、動かすならば最高出力で発電し続けないと不安定になる。だから24時間ずっとフルパワーで稼働させなければならない。そこで、原発とセットになっているのが揚水発電所だ。夜間など電力の需要が少ないときに、原発の余剰電力を使って揚水発電所の下のダム湖の水を上のダム湖に汲み上げる。つまり、原発の余剰電力を水の位置エネルギーに変えて蓄電するわけだ。
 黒川ダムと多々良木ダムを擁する関西電力「奥多々良木発電所」は1974年に完成し、中央分水界をまたいで水をやり取りするものとしては当時として初めてのものだったという。
 多々良木ダムよりも山深い雰囲気の黒川ダム湖畔を行く。まだ山桜の花が咲いている。山襞を縫うように進みすぐに堰堤に到着。誰もいない。ここもロックフィル式。多々良木よりも迫力を感じる。こちらも堰堤を歩けるようになっているが、柵の扉が閉じられている。16時までとのことだ。
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 堰堤の下は黒川の集落。黒川温泉の入浴施設があり、ちらほらと行楽客の姿が見下ろせる。
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 堰堤の高さ分を一気に下り、黒川集落へ。旅館を兼ねた川魚の食堂などがある。入浴施設の向かいに「黒川自然公園センター」、つまりビジターセンターのようなものがあるので寄ってみるが、17時を過ぎちょうど閉まったところ。先を急ごう。
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 黒川集落にはまだ菜の花も見られる。すぐに家がなくなり、市川の上流部、黒川渓谷に沿った道を行く。そして国道429号線に合流。渓谷といっても流れはさほど早くなく、道路の勾配も緩やか。コース後半にもってこいの緩い下りを快走していく。
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 行楽帰りのクルマが時折追い越していく。ゴールデンウィークでなければ、めったにクルマに出会わないのかもしれない。
 前方から自転車が一台やってきた。ソロツーリングのようだ。荷物を積んでいる。今日は黒川温泉泊まりか。
 細い橋を渡った対岸に怪しげな施設があった。「特定非営利活動法人 日本ハンザキ研究所」とあった。ハンザキということはオオサンショウウオだ。生命力が強く体を半分に裂いても死なない、ということからそう呼ばれることを思い出す。川向こうの入り口は柵で閉ざされ、しかもそれがつるに覆われ、そしてハンザキのリアルなイラストが掲げられて、なんとも怪しげなのだが、橋のこちら側の掲示板にはイベントの案内(明後日のものもある)などが貼られちゃんとした施設のようだ。
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 さあ、さらに下っていく。簾野という小さな集落を通過。民家の敷地に帰省した親族のものと思われる何台ものクルマが止まっているのが大型連休らしい。庭先に見かけた幼児とその母親は帰省した孫とひ孫か。などと大した根拠もなく勝手に物語を作ってしまう。
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 また、この黒川渓谷沿いには、キャンプ場が2つほど点在し、泊り客の姿が見られる。
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 川幅が広がり水がよどんできた。生野ダムの銀山湖だ。ここは長く湖畔に沿って走ることになる。貸しボートなど観光施設もある。
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 同じ水系の黒川ダムと生野ダムでなく、別の水系で揚水発電を行うことになった理由は、自転車で走ればよくわかる。勾配だ。多々良木ダムからの25パーセントを越える急勾配と、黒川渓谷の緩やかな下りの違いは歴然。
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 生野ダム堰堤に到着。ここはコンクリートの堰堤。多々良木や黒川は堰堤の下が公園のように整備され集落が近かったが、ここは山林を川が蛇行しているだけ。少し角度を変えてみれば、建設業者の資材置き場が見える程度。
 堰堤には随時進入できるようなので、真ん中辺りまで行ってみる。
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 さあ、日が傾いてきた。先を急ごう。まずは堰堤の高さを下る。しばらく行くと谷が開け田園と集落に出た。竹原野だ。そこを過ぎていくと、次は奥銀谷。国道をそれ集落の中の道を行く。銀山が栄えていた頃を忍ばせる街並みだ。
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 集落を抜けると国道に戻る。クルマが増えてきた。要するに沿線人口が多い区間へとやってきた。三菱マテリアルの向上の前を通過。工場の向かいの廃屋は、かつて鉱山労働者が利用したと思われる売店のような施設の後。例えるなら大学生協みたいなもの。20年と少し前、初めてここを自転車で走ったときには、まだ営業していたと記憶している。
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 旧生野町の中心街、口銀谷に到着。鉱山の社宅を保存した建物などがあり、マンホールにもイラストが描かれている。
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 迷路のような路地をたどって生野北峠へ。ただし国道312号線でなく、旧道らしき細い道で峠を越える。両側に集落が迫っているが、ここも日本の中央分水界である。
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 峠を越えると国道312号線、正確には国道429号線との重複区間、に合流するが、国道を走りたくないので国道を渡って集落の中道へ。四輪車は通行できない橋で堀を渡る。堀の底はJR播但線の線路だ。
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 小和田の集落を抜けると、播但自動車道の高架と絡みながら国道に合流。すぐに国道を渡って円山集落の中へ。間違いなく円山川の名前の由来となった集落だろう。この辺りは、国道、自動車道、鉄道が絡み合っている。
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 円山集落を抜けると、旧生野町から旧朝来町へ。今度は農道へと逃げるが途切れがちで、何度も国道に戻って逃げての繰り返し。岩津の集落の中の道を通った方がよかった。
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 そのうち円山川畔の静かな道を発見。ここをゴールの羽渕まで行く。ゴールの手間で、円山川対岸の国道沿いに独特の雰囲気のある黒い鉄の橋を見かけた。支流を渡る橋のようだ。すぐに円山川本流を渡る橋があったのでそちらに行ってみる。
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 黒い橋は、「羽渕鋳鉄橋」。国道沿いの歩道に案内板などが接地されていたが、クルマで何度も走っていながら気づいていなかった。
 そして羽渕の駐車場に到着。なかなか見どころの多い47kmだった。
 自転車を撤収してクルマで帰路に就く。特に混雑はなかった。

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2017/05/05

暑い雪山扇ノ山

 比較的残雪が多めだった今年の春だが、中国山地のスキー登山もそろそろ終わりに近づいている。残すは扇ノ山だ。4月中旬に上山高原まで除雪され道路が開通した。ゴールデンウィークが始まった4月末日は、なんと鳥取や豊岡で真夏日の予想。半袖シャツを準備して、山陰最後の雪山に向かう。
 豊岡市日高町で、すうさんと落ち合う。2月下旬の大江山、3月下旬のくらますに続いて、今シーズンは3度目の同行だ。
 神鍋高原へ。奥神鍋スキー場最上部の栃の木ゲレンデにわずかに残雪が見られるが、すっかり初夏の装いだ。
 蘇武トンネルを抜けて村岡から国道9号線で湯村温泉へ向かう。さすがにそこそこクルマがいるが、混雑というほどではない。
 湯村温泉を通過し、鳥取県境手前を左折。扇ノ山方面へ。海上集落も田植えの準備中。
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 一週間前に山焼きを終えた上山高原に到着。既に5台のクルマが止まっている。出発準備を整えて板を担いで歩きだす。すぐに除雪の限界点に到着。板を装着。2週間前に訪れた記録をネットで見たら、除雪の限界点は1mほどの雪の壁だったが、今は半分ほどにかさが減り、しかもなだらかなスロープになっているのでわけなく乗り上げることができる。
 ショウブ池の辺りは雪が切れていることが予想されていたが、その手前にも一か所雪が切れた個所があり、そこで板を外す。ショウブ池の先まで板をつけない方が楽だったかも知れない。
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 ショウブ池はすっかり雪や凍結はなくなり、初夏の装い。それでも、大ヅッコや扇ノ山の頂の東側はしっかり雪に覆われ、白く輝いている。
 この先は雪がつながっている。すうさんはシール、私はステップソールで除雪されていない車道を行く。思い切って半そでにしたが、歩いていれば全く寒くない。
 山襞に沿った、リアス式海岸を連想させる軌跡をたどって道は続く。谷の部分では、法面からずり落ちてきた雪で道は斜めに埋まり、要するにトラバースとなる。雪は締まっている。我々はスキーだからエッジを効かせて難なく進むことができるが、登山靴の人は少し緊張する場面かも知れない。
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 小ヅッコ登山口の手前で雪が切れているのはいつもの通り。上山高原から1時間余り。
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 すぐに小ヅッコ小屋。我々が準備しているときに上山高原を出た男女連れが、ちょうど小屋から出発するところだった。我々は、小屋で小休止、のつもりが結構長めの休憩となった。
 小屋から歩き出せがだんだん藪が濃くなる。雪解けが進んで、細かな木が顔を出している。しかも、この冬は雪が多かったので倒木が多く、進路をふさいでいる。
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 どうにか河合谷コースと合流し、そのあとは歩きやすいブナ林となる。そのあとはピークといえないほどなだらかな小ヅッコ。そして徐々に登り勾配が増して大ヅッコが近づく。とはいえ、ステップソールで直登可能な緩斜面だ。
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空腹を感じたので、小休止して軽くパンを食べる。
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 大ヅッコのピーク手前で登りらしい登りとなり、ステップソールでは直登不能となりジグザグにコースを取る。大ヅッコを越えたら、標高差50mほど下る。山頂への登りがまだ残っているので、すうさんはシールのまま下る。こうしたアップダウンには、ステップソールが有利だが。木々の密度が濃くて快適ではない。
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 鞍部から山頂までは標高差100mの最後の登り。相変わらずブナ林で、青空と雪面が眩しい。もうしばらくしたら新芽の緑が加わり、さらに青空が見えないほどに生い茂ってくる。
 左手が滑り頃の斜面となると山頂が近い。山頂手前に鳥取砂丘方面の展望テラスがあるが、霞が濃くて砂丘も、湖山池も見えない。
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 そして正午過ぎに山頂到着。一人のスキーヤーがコンパクトな三脚を立てている。デジタルカメラで自分が滑る姿を動画撮影しようとしているようだ。なんとゲレンデスキー。長靴を履いて、スキー用具を担いできたようだ。
 山頂は、そのスキーヤーのみ。意外に人が少ない。暖かいので外でもいいのだが、せっかくなのできれいな山頂小屋に入って昼食をとることにする。ブーツを脱いできれいな板の間の2階へ上がり、座ったり、寝転がったり、自由にくつろぐ。
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 扇ノ山の山頂は周囲をブッシュに囲まれ、大展望というわけにはいかない。小屋の2階が展望大の役割も果たしてくれる。氷ノ山、東山はかなり雪解けが進んでいる。南を向くと、三室が確認できた。ということはその右側がくらますだ。あと、現場ではわからなかったがその右に後山が見えていた。
 またまた長居してしまった。いつしか、小屋の周りにはいくつかのパーティの姿が見られた。
 小屋を出ると、若い男女3人連れがいたが、彼らも先に下山していった。どうも我々は、休憩が長いようだ。
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 まずはザックを置いて東斜面に滑り降りる。ザラメだが、雪解け(降雨)のせいか雪面がデコボコだ。それでも標高差100mほど下って登り返す。すうさんはシールを貼り、私はステップソール。それぞれに有利なコース取りで山頂へ。
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 時間も飲料水も、結構消費した。
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 今度はザックを背負ってもう一本。控えめに下って、登り返さず斜滑降で大ヅッコ方面へ。そうして鞍部へ降り立つ。大ヅッコへの上り返しは、すうさんは板を担ぎ、私はステップソール。
 そして大ヅッコの北斜面へ。ここは最後まで雪が残る斜面だ。まだあと半月はいけるだろう。
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 斜面が緩くなると板が走らなくなる。どうも気温が高すぎるようだ。乾いた熱風を感じる。
 さらにヤブヤブ区間。たまらず板を外して歩く。小ヅッコ小屋手前までツボ足で行く。こんなことなら河合谷の段々畑にエスケープした方がよかったかも知れない。河合谷登山口から小ヅッコ登山口までの車道に少し登りがあるため、ステップソールでないすうさんのことを考えて小ヅッコ登山口に下山に執着したのだが、どっちがよかったのだろうか。ただ、雪が緩みすぎて段々畑もあまり板が走らず快適ではなかっただろう。
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 まあ、それでもどうにか小ヅッコ登山口から車道に降り立つ。スキーで快適に滑れるはずの斜度の車道も、今日は板が走らない。ショウブ池で雪が切れたら、なんだか再びスキーを付けるのが面倒になってしまう。スキーを履いても、結局歩かなければならないわけなので。
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 そして、ようやく上山高原へ下山完了。それでもやっぱり楽しかった。
 湯村温泉や日高町内で混雑が心配されたものの、順調に帰宅できた。ゴールデンウィークといっても、休日の合間の平日を休んで9連休という人は少ないようだ。そうなると、29,30日は普通の土日。この日の夕方には、湯村温泉に泊まる人も少なく、すでに京阪神などに帰り始めていたということか。

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2017/04/29

舞鶴通勤スーパーカブツーリング

 ゴールデンウィーク初日は、舞鶴で昼前に短時間の勤務。片道50kmの、自転車ではなく、スーパーカブでの通勤ツーリング。
 まさに行楽日和の気持ちの良い晴天。丹後半島一周、あるいはそれ以外と思われる自転車を何台も見かける。自転車は大きく三種類に分かれる。一つ目は、軽装備のロードレーサー。二つ目は、クロスバイク。三つ目、大荷物を積んだロングツーリング。ロードレーサーはこの時期の休日にコンスタントに見られ、最も多い。クロスバイクは、夫婦連れと思われる男女連れの割合が多い。荷物満載の自転車は、大型連休ならでは。全体的に年齢層は中年から上がほとんどで、特にロングツーリングは、白髪の高齢者が多い。
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 朝から天橋立は混雑。自動車の通行が禁止されている砂嘴の松並木は徒歩やレンタサイクルの観光客、文殊堂前ではそれに駐車場に入ろうとするクルマが加わる。午後の復路はこの観光地を通過するのはやめた方がよさそうだ。
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 さて、舞鶴での勤務の終わりに近づいた正午ごろ、眩しい陽光が急激に弱まり、夕暮れのように暗くなった。そして、雨がたたきつけ雷が鳴る。上空の寒気が南下するため急な雷雨に注意、という予報が大当たりだ。
 降り続く雨ではないので、職場で雨をやり過ごす。12時半ごろ一度弱まり、13時ごろにもう一度強い降りが来る。そしてそのあと急速に回復。現在は、降雨レーダー画像が見られ、便利便利。
 雨が止んだら帰路に就く。路面が濡れているので、クルマの通行の少ない道を選ぶ。水撥ねを浴びたくないからね。
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 天気は急速に回復。眩しい日差しと乾いた空気で路面もどんどん乾いていく。
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 クルマの多い由良海岸の国道を避けるのと、近道のため、由良ヶ岳の南西の府道46号線を走っていると、たくさんの自転車が走っているのを見かけた。すべてロードレーサーで、すべて北向き。ごくたまに2、3台でグループ走行しているが、ほとんどがソロ。これは、イベントと思われる。帰宅してから調べたら、やっぱりブルベだった。
 そのブルベは、近江八幡を起点とする400kmの周回。400kmといえば、仮に平均時速20kmで走り続けたとしても、20時間かかる。100~200kmのロングライドイベントならば、昼下がりのこの時間帯はもう終盤に差し掛かるところなのだが、この人たちはまだまだ3分の1くらい。これから天橋立を渡って城崎まで北上し、夜通し走って近江八幡へともどる。個人差はあるが、一昼夜走って明日の朝くらいにゴールするんだろう。
 止まって雨具を脱いでいるサイクリストも見られる。先ほどの激しい雷雨をどうやり過ごしたんだろう。観光客、人もクルマもうじゃうじゃいる天橋立を通過するのも、精神的にきつそうだ。天橋立の砂嘴区間は、水はけの悪いところもあるから自転車が泥んこになっちゃうし。城崎温泉に着く頃は、チェックインラッシュでまた大混雑が想定される。主催者のコース説明には、城崎温泉に入るもよし、などというようなことが書かれているが、芋の子を洗うような大混雑で余計疲れそう。後半はアップダウンの連続とのことで、時間的にも厳しそう。
 自分で思うに私も自転車がかなり好きな人間だが、こんな拷問のようなことはできないなぁ、と感心する。
 そんなすごい人たちを、エンジン付きのバイクで追い越し、宮津の友人の喫茶店で遅い昼食を取ってから帰宅。雷雨が嘘のように晴れたが、北風が強い。速度は出ないし、フロントのシールドが風を受けて折れ曲がる。思えば、往路も復路も向かい風だ。まあ、エンジンなしバイクで走る人に比べればどうってことはないんだけれど。

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旧朝来町東部周回ツーリング

 今は合併により朝来市となった旧朝来町と旧山東町の間に伊由峠(いゆうとうげ)がある。林道山東朝来線である。たまたま冬にふらふらと自転車で走っていてその存在を知った。3月の初め、天空の城「竹田城」の麓にクルマを置いて、円山川左岸のクルマの少ない道を南下し、青倉駅の北側で川を渡って支流の伊由谷を遡った。
 最奥の集落「川上」のその奥に工事による通行止めのゲート。法面の工事で3月下旬まで通行止めとのこと。また、もうひとつ気になる道を発見。川上集落から分岐していて、青倉神社へ至るもの。そびえる山が青倉山でそのはるか上の方にガードレールが見える。こちらは工事の通行止めはないが、まだ雪が残っているだろう。いい道が見つかった。また、暖かくなったら来よう。そう思って、その日は来た道を引き返した。
 そして4月中旬、伊由峠を越え、竹田城の展望台の朝来山の周りをぐるりと周回するコースを走ろうと再訪。竹田城の駐車場にクルマを止めて、自転車で伊由谷へ。ところが、通行止めが解除されていない。なんと、5月下旬まで工事が延長されているではないか。もしかするとこの冬の大雪で工期が先延ばしになったのかもしれない。青倉神社の方に変更する手もあったが、こちらの方が標高差も大きく、とにかく分岐からいきなり急勾配の道に圧倒されて戦意喪失。その日もまた来た道を引き返した。
 さらに、4月下旬。今度は、初めから青倉神社に照準を当ててきた。国道312号線、多々良木ダム入り口の道の駅あさごにクルマを止めて、自転車を下す。
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 自転車の準備を整えたら、まずは円山川左岸に渡り、流れに沿って下る。左岸の集落に沿った県道まではいかず、播但線と円山川の間の農道を行く。前方に見えるのは朝来山。次の橋で右岸の国道へ戻るが、少し勇み足。あと1kmほど右岸を進んで青倉駅付近の次の橋で右岸に戻った方がよかった。クルマの多い国道を少し走ることとなってしまった。
 そして、信号のある交差点で大きな鳥居を見る。伊由市場の集落入口だ。これまで、この国道をクルマで走る時に気になっていたものだが、今日これから訪れる青倉神社の鳥居だった。さらにほんの少し我慢して国道を北上し、伊由谷川の堤防の道に右折し、東へ。そこから朝来山と竹田城が相対峙する景色が見える。朝来山中腹には雲海の竹田城を望む立雲峡がある。このツーショットと鳥居を見るため、国道をきた。橋を渡ってから国道を避けて集落の中の道を選ぶこともできたのだ。
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 さあ、前方には青空をバックに青倉山が見えている。伊由谷川に沿った田園と集落も併せて、のどかな風景だ。もう初夏といってもいい日差しがさんさんと降り注いでいるが、八重桜が咲いている。晩春といった方がいい。
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 山内、納座をへて、川上集落へ。伊由峠への道が通行止めなのを改めて確認して、青倉神社への道へ。いきなりコンクリート舗装の急坂だ。砂防ダムの前を通り過ぎて勾配が落ち着く。農作業の高齢の男女が乗った軽トラックとすれ違ったら、あとは誰とも出会いそうもない静かな細道。狭い谷に沿って道は登り、田んぼはすぐになくなる。右手法面は伐採された植林の急斜面。新たに幼木が植えられている。そのはるか上にはガードレールが見えている。あそこまで登らねばならないのだ。
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 いったん植林斜面を離れ、谷を詰めたところでヘアピンカーブをいくつかこなす。再び急勾配だ。そしてようやく植林斜面の上に出る。景色が開け、空へ向かって伸びているようにさえ見える。
 勾配が落ち着き、しばらく行くと山桜と祠がある峠に出た。峠を越えると多々良木ダムへの下りだが、峠から分岐する道へ。分岐の両脇に灯籠がある青倉神社の入り口だ。そして、黒川温泉の看板もある。
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 少しの登りで青倉神社の駐車場に到着。結構広い駐車場だが、当然クルマは一台も止まっていない。標高は550m。
 青倉神社に参拝する。参道を歩いていくと、急な階段と山肌に張り付くような社殿が見えた。階段の途中からは、青倉山の登山道となっている。頂上は標高810mなので、ここから1時間足らずで登れるようだ。
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 参拝を終えたら、自転車にまたがり峠に引き返す。そして多々良木ダムを目指して下る。こちらも急勾配。思わずサドルから尻を後方に引いてしまう。沢沿いを下っていくと、多々良木ダムの奥の発電所入口の分岐からクルマが出てきた。久しぶりに人と出会った。しかも、間隔をあけて3台ほど追い越していった。なんともにぎやかに思える。また、発電施設の送電線がとても人工的だ。
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 日差しを受けて眩しく輝く湖面を見ながら、ダム湖を半周。半島をショートカットするトンネルがあるが、そちらにはいかず岸辺をたどる。ダムの堰堤が見えてきたが、ちょっと違和感。ロックフィル式だったはずなのだが。
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 入り江を回り込んで堰堤へ。下流側はしっかりロックフィルの積まれた岩が露出していた。そしてダムから見下ろす多々良木川沿いの田園と集落が、箱庭のようだ。
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 堰堤の高さを一気に下り、箱庭の世界へ。そしてクルマを止めた道の駅へゴールイン。
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千の水になって'17 桜と鯉のぼり

 旧神崎町東部の周回ツーリング。井篠川流域から、林道越智ヶ峰線を越えて越智川の谷へ。千ヶ峰名水街道を、川の流れとともに下ってゴール。
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 毎年、初夏から梅雨の時期に走っているコースだが、今年はまだ桜が残る4月中旬に走った。麦畑はまだ青々としている。2ヶ月もすれば一面褐色の麦秋となるのだから、成長が早いんだな。根宇野では、すでに鯉のぼりの大群が出現していた。
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2017/04/06

Slide and Ride 裏くらます

 独特の山名を持つ山「くらます」。山頂部東側の無立木の斜面は、冬には真っ白な大雪原となり、スキーやスノーボードの滑走系の登山者はもちろん、スノーシュー等で登頂した人も広大な雰囲気を味わうために訪れている。
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 その斜面にあこがれて3月下旬に登頂したものの、登りに時間を使いすぎてその斜面を滑ることができなかった。
 冬場の一般的な登山口は西の麓の吉川集落。東斜面は裏側ということになる。後日、あの斜面を滑れなかったことを悔やみながら、次はどうにかならないかといろいろと情報集めていた。
 すると、東側の麓、加地川沿いの林道大通中江線(加地林道)が、この春、加地集落からかなり奥まで除雪されていることが判明。その途中から、くらます中腹に林道の支線が分岐している。
 次に、GoogleEarthを見ていると、その支線林道にはさらにいくつもの支線が張り巡らされていて、例の大雪原に向けて伸びているものがあるようだ。おそらく自動車は通行不可能な、林業の作業道だろう。国土地理院の地図には描かれていない。ちょうどGoogleEarthのくらます周辺の画像が、冬の初め(2015年12月)に撮影されたものだったので、植林の中に白く浮き上がってみる道を見つけることができた。
 カシミール3Dで切り出した国土地理院の地図と、GoogleEarthの画像を重ねてどうにか国土地林の地図に林業作業道(以下作業道)を描き加えた、GPSレシーバー用の地図を作成することができた。
 ただし、これはあくまで机上で作り出したもの。次のチャンスまでには実際に作業道をたどって、GPSのトラックを取得した。雪が解けたらMTBで行ってみようかとも思ったが、今ならまだスキーで歩けるのではないか。
 結局3月いっぱい気温は低めだった。林道や作業道にはまだ雪が残っているだろう。作業道の先で藪が出ていればそこまで。だとしても、作業道の様子を知り、GPSのトラックをとっておくことは大きい。うまくいきそうなら、吉川から入山し加地に下山するというコースも可能になる。
 4月初めに、再び鳥取県若桜町へ。戸倉峠中腹の落折を過ぎて、まとまった集落群に降りる。その中の大野という集落で国道29号線から南に折れるとすぐ加地の集落。集落を抜け、加地川に沿って南下。これが林道大通中江線。林間の薄暗い舗装道路だ。加地の家並みが途切れてから2.5kmでくらます中腹への支線林道への分岐。
 雪がない!分岐の起点である加治川を渡る橋のたもとがゲートで塞がれているので、クルマは入れない。とりあえず歩いて様子を見に行くが、当面雪は現れそうにない。
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 というわけで、自転車を使うことにした。雪の状態によっては、途中までしかいけないことも想定されるので、自転車を積んできている。もしスキー登山の下見が早く終わったら、どこかで自転車に乗ろうという目論見だ。たたし、残念なのは、MTBでなくクロスバイクを持ってきていること。この支線林道は出だしは舗装だが、途中からダートになるとのことだ。しかも平均10パーセントを越える急勾配。
 まあそれでも、歩くよりはいいだろう。自転車にスキーを積載すれば、背負うより随分楽だ。
 ところが、スキー板を自転車に固定するためのベルトがない。これは、自転車のトゥクリップのストラップが最適。2本のストラップを使って、ダウンチューブとサドル下にスキー板を固定するのだが。結局、代替品としてズボンのすそをとめるストラップを利用。あまりきつく固定できないが、まあ大丈夫だろう。
 そんなこんなで準備に小一時間かかり、9時17分スタート。天気は快晴だ。
 ゲートを越え、橋を渡るといきなり急坂が始まる。クロスバイクとはいえ、かなり低速ギアを用意してあるのでちょっとがんばってみたが、さすがにスキーブーツでは効率よいペダリングはできない。すぐに押して歩き自転車は荷車と化す。
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 すぐに、小さな小屋がある。林道分岐から見える背面では倉庫かと思われたが、正面から見るとテラスがあるなどなかなか洒落たつくりになっている。そして「清流遊山荘」という看板。別荘?こんなゲートで閉ざされたところに?結局謎のまま。ついでにいうと分岐のところにも別荘風の建物があり、そちらはあまり手入れされていないが、清流遊山荘はきれいに整えられている。
 その先で不気味なものを発見。なにやら動物の骨だ。あばら骨が見事に骨格標本のように残っている。と思ったら、頭蓋骨も。ぱっと思い浮かんだのはシカだが、頭蓋骨の先端がくちばしのように細くなっている。コウノトリみたいな大型の鳥かと考えたが、歯があるからやっぱりシカだろう。不自然な方向を向いているが、足もあった。しかし、内臓や筋肉、皮膚などは全く見られず、きれいに骨だけが残っている。少し白い毛が落ちているだけだ。ただし、写真を撮る勇気はわかなかった。
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 道路を塞ぐ残雪を2度乗り越えた後、土砂崩れをひとつ乗り越える。その土砂崩れがちょうど干そうとダートの変わり目。そこからすぐ、またも残雪が道路を塞いでいた。自転車はここまでとする。1km弱、標高差ちょうど100m進んだところだ。
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 が、しばらくは板を担いで歩く。完全にふさがった部分を越えると、道路の山側は残雪は覆われ谷側は路面が出た区間が続く。路面はダートなので自転車を置いてきたのは正しい判断だろう。山側の雪はずっと続いているので、下りはスキーで滑れる。
 相変わらず勾配が急で、すぐわきを流れる沢も、落差こそ小さい物の滝が連続する急流だ。雪解け水がごうごうと音を立てて流れている。
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 またも道路が全面残雪に覆われている。今度は山側の法面からずり落ちてきた雪が斜めに分厚く積みあがっている。ここでスキーを装着。シールはまだ温存し、ステップソールの恩恵にあずかる。斜めの雪面なので、スキーのエッジも効果を発揮する。
 雪は増える一方で、自転車デポジット、そしてスキー装着のタイミングはばっちりだった。
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 やがて、谷が狭まり流れは沢となる。周囲は植林帯に変わる。ただし、先日のヘンブ谷ほど狭い谷ではなく、木々の間から日差しが降り注ぐ明るい谷だ。特に今日は青空がのぞき、いい雰囲気だ。道路の勾配が沢に追い付かないらしく、時折S字カーブで標高を稼ぐ。雪はすっかり量を増し、もう地肌が見えているところはない。
 この支線林道はヘアピンカーブで沢に背を向け斜面をトラバースしていく。そちらには向かわず、そのまま沢沿いを行く。ここからが林業の作業道だ。出だしは、地形の凹凸が複雑で、作業道なのかスノーブリッジに覆われた沢なのかわからない。落とし穴で沢に落ちるのは嫌なので、シールとスキーアイゼンを装着して法面を歩く。やがて、はっきりと作業道が確認できたのでそちらを歩く。左右方向が平らなのは楽である。
 その作業道もやがて先ほどの支線林道と同じようにヘアピンカーブで斜面にとりつく。道幅が狭い。シングルトラックとダブルトラックの間の、1.5トラックというところ。また相当の急勾配だ。とにかく軽トラックでも通行できないだろう。キャタピラ式の丸太運搬車が通れる道、という想定と思われる。雪がない時期にMTBできたら、下りで乗車できるかどうかその人の技術次第というところだろう。
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 基本的には左右方向には水平なのだが、時折山側の法面からずり落ちた雪で、完全に斜面になっている区間があるので、スキーアイゼンは付けたままで歩く。
 作業道は、何度もスイッチバックして高度を稼いでいく。正午を過ぎた。木々の合間から氷ノ山が見えたところで、ザックを下し持ってきたパンを食べる。ただし、見えるのは三ノ丸で、最高峰の1510m峰は見えない。
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 さらに作業道を行く。斜面は壁のような急勾配で作業道がなければとても登れそうにない。滝のような沢に沿って雪崩が起こったのか、量は少ないが大きなブロックのデブリも見られる。
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 標高980mを越えると、植林帯は終わり落葉樹林に変わる。そして作業道も終点に到達。ここからは斜面へ取り付かねばならない。もし藪が出ていればここで撤退、というつもりだったが、幸い斜面は雪に覆われている。山頂北ピークを目指して、スキー登山続行だ。ちなみに、GoogleEarthの航空写真から写し取った作業道はほとんどずれはなかった。
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 とりつき斜面の出だしは急勾配。作業道が張り付いて区間より、あるいは先日のくらます西斜面の上部よりは若干緩いものの、やはり厳しい。作業道をもう少し伸ばしてくれたらいいのに、と思うが、植林がないところにわざわざ道を付けるわけがないのである。それに、山に対しては作業道などない方が優しい。
 しかし、標高差30mほどで、明らかに勾配が緩む。これで少し楽になったが、それでも作業道よりは確実にペースは遅い。この斜面がしばらく続く。振り返れば、三室山。そして、氷ノ山山頂も見えている。兵庫県の2位、1位の高峰を背負って上る。
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 歩いているのは尾根筋で、その尾根の側面は立木がなくおびただしいクラックが口を開けている。その雪面の裂け目からは笹がのぞいている。クレバスのないところも雪面がしわが寄ったように波打っていて、近寄りがたい雰囲気だ。
 標高1100m近くなって落葉樹林が途切れ、いよいよオープンバーンとなる。ところが、ここが難所。稜線にもクラックができている。それを避けながらコース取りをするが、そうすると急斜面を越えなければならない場面が発生する。雪面には、つい先日、3月末の寒の戻りで積もった新雪がザラメとなって20cm程積もっていて、急斜面ではしっかり踏み固めながら歩かないと、小さな表層雪崩が発生する。それは、ゆっくりとした速度で滑り落ちていくもので、スキーで切断された雪面の谷側が流れ落ちていく。その下のしまった根雪の層にスキーアイゼンを刺しているので、自分自身が一緒に落ちることはないのだが、気持ちのいいものではない。
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 クラック地帯を抜けて徐々に斜度が緩み、満を持してという感じで山頂が見えてきた。もうかなり近い。斜度の変化の関係でオープンバーン全体が見えるわけではなかったが、憧れの雪原へ到着だ。青空と白い雪原がとにかくまぶしい。そして、まったくのノートレース。
 輝く雪原に目が眩む。つまり、目を「眩ます」大雪原だ。
 直登できるのでもうスキーアイゼンを外す。山頂にもって上がる必要はないので、一本の立木の足元に置いておく。アイゼンに詰まった雪ががちがちに凍り付いている。汗ばむ陽気なのだが、雪面に冷やされながら板とアイゼンに挟まれながら踏みつけられると、透明な氷に化している。
 足が軽くなった。シールを外したらもっと軽快になるのだが、今歩いている斜面ならステップソールで行けるが、山頂直下にやや急勾配の斜面が残っているので、山頂までシール登行とする。
 15時9分、山頂北ピークへ到着。標高1260m。すぐ南の三角点のある山頂より20mほど低い。北ピークには、三角点ピークから往復したスノーシューのトレースがあった。
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 西側は背の高い落葉樹林であまり展望はよくない。何とか、木々の合間から東山と沖ノ山を確認。大山は、霞により山影すら見えない。また、南に三角点ピークがあるので、後山連山は見えない。その代わり、東は大展望。氷ノ山と三室山。また北方には、扇ノ山、仏ノ尾、青ヶ丸が見える。他にも、但馬妙見山やら暁晴山やら、いろいろ見えているのだが、例によって登頂が遅くなったので、急いでシールを外して滑降にかかる。先日訪れた、三角点ピークには初めから登る気はない。
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 さあ、いよいよ憧れの雪面の滑降だ。程よい斜度で、重いザラメながら気持ちよくターンができる。何せ、ターンの度に氷ノ山と三室山が交互に正面に来る。贅沢な斜面だ。
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 立木の下でスキーアイゼンを回収。日差しによりアイゼンの中に詰まっていた氷は緩み、簡単に落とすことができた。
 そして、もう少し滑りを楽しむ。斜度もいい感じだ。雪質がよく、時間があれば、ステップソールで何度も登り返して滑りたいところだ。
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 しかし、落葉樹林との境界付近に来た。クラック帯に来た。下りはスピードが出てしまうので、発見が遅れてしまう。できるだけ、登りトレースをたどりたいが、斜度や立木の関係でどうしてもそうはいかないこともある。ザラメ雪に覆われたヒドゥンクレバスにテールが落ちてしまった。ステップソールで何とか這い出す。
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 尾根筋のクラック帯はすぐに越えることが切るが、その下の林間の急斜面もまた難所。尾根を外したいが、片方はクラック地帯なので、反対側の林間へ。浅い谷になっているが、雪面に凹凸があったり立木の密度が高かったり、そして表面のザラメが小さな表層雪崩を起こしたりして難儀する。先日の東斜面の上部でも急な林間に苦戦したが、その時よりも斜度が緩いのにむしろ難しいように感じる。雪面の凹凸は雪解けが進んだせいなのかもしれない。
 何とか難所を越えて、作業道に降り立った。これで一安心。ただし、狭く急なのでスピードコントロールが難しい。山側の法面が雪に覆われていれば、そちらに乗り上げれば減速、停止できるが、法面の雪がなければそうはいかない。その区間の手前で一度停止してから、ボーゲンで我慢して切り抜ける。スイッチバックは、とりあえず通り過ぎながら停止し。方向転換する。林道は複雑に張り巡らされているので、登りトレースを意識して滑る。シカの足跡が、登りトレースをたどっていた。細い脚のため、ラッセルの深さはあまり変わらないみたい。
 ふと気づけば、スキートレースが消え、シカのトレースのみとなっていた。スイッチバック地点を5mほど過ぎてしまった。登りでは、上方に向かっていけばいいのだが、下りではこうした道迷いしやすいポイントがある。吉川から登って、火事に降りる場合は、こうした事態に気を付けなければならない。
 ようやく谷底の沢が見えてきた。細く急な作業道にくたびれていたので、植林斜面に飛び出す。登りで何とか滑れそうだと目を付けていたところだ。杉の落ち葉に覆われているが、斜度があるのでそのまま滑ることができる。作業道を少しショートカットする形で沢沿いに降りる。そのあとは、沢音を聞きながら谷底を滑ればすぐに支線林道へ。
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 ここまでくればもう安心。車道としては急勾配でも、自動車が通れる設計なので、道幅もあるし快適に滑れる。むしろ10パーセントを越える勾配がないと板が走らない。
 道路脇の植林へ飛び出すことができたり、S字カーブがあったりして、それなりに変化を付けて滑る。
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 やがて植林帯が終わると、自転車までもうすぐ。落石の地雷を踏む場面があるが、元々ステップソールの板なので、滑走面の傷はあまり気にしないことにする。
 路面の谷側が露出したところで、気づくと登りトレースが消えている。あ、自転車を通り過ぎたのか、と焦るが、よく考えたら板を担いで歩いたのだった。
 そして、山側の残雪はつながっていて、板を外すことなく自転車デポジット地点に帰着。
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 板を積載し、自転車にまたがる。急なダートの下りなので、徐行運転。クロスバイクの700CタイヤにVブレーキの制動力では、すぐにタイヤはロックしてしまう。
 ダート区間はわずか。土砂崩れを越えて舗装路へ。しかし、急勾配に杉の落ち葉で覆われ雪解け水にぬれた路面のグリップは弱く、やはり徐行運転。それでも、歩くよりは早いし楽だ。
 登りでは、残雪区間を2度通過したが、下りでは1度のみ。なんと一つは、雪解けが進み、自転車が通れるほどになっていた。
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 シカの骸骨に再会し、清流遊山荘の前を通って、加地川の橋を越える。ゲートのわきを抜けて、17時9分、林道大通中江線との出合へゴールイン。ああ、今日も楽しかった。最終目的地のくらます北ピークに到達できて、東斜面を滑れて満足、満足。自転車に乗れたのも楽しかった。MTBだったらもっとよかったね。
 クルマにスキーと自転車を撤収して帰路に就く。


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2017/03/31

動画でございます、くらます

 林道に降りてからのシーン、酔わないようにお気を付けください。
※4月6日、動画差し替え。


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