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2021/08/14

四国徳島吉野川水系を巡る旅3

 新居屋集落で国道439号線、通称ヨサクに突き当たる。右は京柱峠を経て高知県へ。左は剣山。私は左へ。この先は京柱コースとの重複区間ではなくなるので、1991年8月のヨサク全線走破以来、30年ぶり2度目の道だ。
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 渓谷沿いを行きいくつかの集落を越え、京上へ。かつての東祖谷山村の中心とは思えないほど小ぢんまりした集落。道は相変わらず狭く、平坦な場所がほとんどない。国道439号線は、祖谷川を挟んだ対岸にバイパスができている。
 「徳島県立池田高等学校祖谷分校」の看板があった。谷へと階段を少し下った斜面に小さな校舎が見える。大きめの民家といってもいいくらいだ。人気がなくひっそりとしている。もう閉校なのだろうか。その割に、図書館とみられる部屋の窓には百科事典らしきシリーズの大型本が並べられているのが見える。帰宅してから調べてみると、祖谷分校は2005年に閉校となっていた。
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 集落を抜けると対岸を走っていた国道439号線バイパスが合流してきた。谷の向こう側の斜面に大きな校舎が見えた。東祖谷小学校だ。斜面に建っているのでいくつかの校舎が階段状に並んでいる。そして、それらは木造建築だ。さすが林業の村、と言いたいが完全な斜陽産業である。その校舎の背景の山の斜面に集落が見える。あれが落合集落か。
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 祖谷川に沿って国道439号線を遡り、小さな集落に差し掛かったところで、いよいよ落合峠への分岐が現れた。標高は約550m。落合峠まで1000m近くある。スイッチバックするように国道から分岐した細い道は、急激に高度を上げていく。やがて祖谷川の支流、鎖谷川を遡っていく。これから目指す落合峠へは、少し上流で祖谷川に合流する落合谷川を詰めるはずなのに。
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 やがてまたスイッチバックするように鋭角にカーブして斜面をトラバースする道は、鎖谷と落合谷に挟まれた尾根の末端の斜面に張り付いた落合集落を目指す。
 民家や駐車されたクルマ、そして道端に何か白い四足歩行の動物がたたずんでいる。犬か。いやヤギだ。首輪が見える。放し飼いにされているようだ。
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 山の斜面には山水が引かれた水くみ場。水の豊かな四国の山中によくある風景だ。
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 そしていよいよ落合集落に出た。標高差350m以上ある斜面集落の中段辺りをトラバースしていく。石段を組んで階段状の平地を作り、そこに畑や民家が並んでいる。また、祖谷川の谷を挟んだ向かいがの斜面にも集落が見える。さらに南側、祖谷川の谷の突き当りの山の左肩の鞍部は、京柱峠だと思われる。
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 私は、最初の分岐点から斜面に取り付いて道なりに来たわけだが、落合集落の中を登ってくるコース取りもよかったかもしれない。
 落合集落を過ぎて人気のない山中をしばらく進んだところで、小休止。行動食を摂る。時刻は、13:50。ずっと気になっているのは、時間通行止めの工事区間のこと。国道439号線の工事区間は、13時までの昼休みの間に通り抜けることができた。小便小僧の記念撮影の待ち時間にスマートフォンで「徳島県県土防災情報管理システム」のWebサイトにアクセスして調べてみたところ、落合集落から落合峠を経て三加茂に下るまでの間にも3か所もの時間通行止め区間があることが分かった。そのひとつ目、落合集落上部の工事区間を14時前の通行可能時間に通り抜けたいと思っていたのだが、どうやら間に合わないようだ。次の通行可能時間は50分後なので、ここで休憩を取っておくことにした。気温も降水確率も低い午前中に勝負、などと言っていたけれど、まったくそれを果たせなかった。
木々に覆われた山肌につけられた道は、木陰となって涼しい。標高790m。峠まであと700m余り。
 しかし、本当にこの先で工事をしているのだろうか。まったくその気配を感じない。落合集落では、観光客のものらしい軽自動車と、巡回中の軽自動車のパトカーに出会ったが、集落を過ぎたら全く人気がない。まあ、突然工事区間が現れる、ということも十分にあり得る話なのだが。
 再スタートを切る。相変わらず工事の気配はない。落合谷川の対岸からやってきた県道44号線に合流し、さらに登る。道の勾配が増し、蛇行が深くなる。GPSレシーバに表示されるトラックはなかなか伸びないが、その分標高の値は順調に増していく。木陰で涼しいのはいいが、アブがまとわりついて不快。顔の前をぶんぶん飛び回るほか、脚に止まって血を吸う。痛みを感じで叩き潰すが、もう手遅れ。明日からかゆみに襲われるのだ。
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 さらに気になるのは、道路の山側の路肩に延びている黒い管。水が流れる音が聞こえる。沢筋に水をためるタンクが置かれ、そこからこの管が伸びている。山小屋へ水源から水をひく管としてみかけるものだ。やはり水をひいているのか。
 水はその管を流れているので、側溝は干上がっている。ただし、その側溝は、法面から崩れ落ちた土砂で埋まっている箇所が多数。もしかすると、側溝の管理がなかなかできないのでこのような処理が施されているのかもしれない。
 右岸をトラバースしながら谷を詰めていき、左岸に渡ってから、谷の源頭部を反時計回りに巻いて峠に向かう。その左岸から右岸へ渡る手間で、正面に人工的な斜面が見えてきた。土砂崩れした斜面が固められ、滝のような勾配のコンクリートの水路が引かれている。高低差50mはあるんじゃなかろうか。その斜面を右往左往しながら道が昇っている。さあ、その斜面との格闘開始だ。
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 道路が九十九折れになったところでは集中して木々が伐採されるため土砂崩れが発生しやすい。麓から眺めた斜面の中腹やや下あたりをいったんトラバースして通り過ぎ、斜面の横顔を見てから、斜面の上部に出た。斜面越しに、先ほどいた道を真下に見下ろす。確かに高低差は50m以上あった。標高1200mをほどになり、峠まで約300m。
 落合集落のすぐ上の工事区間はおろか、その次の工事区間も通り過ぎたはずだが、相変わらず工事の気配はない。工事がされていないだけでなく、現場さえ見当たらないのだ。工事現場を通りたいわけではなく、むしろありがたいことなのだが。
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 右岸から左岸に渡ると、落合峠と思われる方向に、なだらかな稜線が見える。木々が生えていなくて、笹だろうか緑が敷き詰められている。しかし、高いなあ。あそこまで登らないといけないのかなあ。まあ、残りの標高差からするとそんな感じのような気もする。その土その稜線は見えなくなり、ただただ黙々とペダルを踏み続ける。
 周囲の稜線が低くなってきた。突如視界に道路以外の人工的なものが飛び込んできた。木で組まれた櫓のようなもの、石段、そして小さなたくさんの石仏と祠。その先の建物には、「落合峠避難小屋」という表札。とうとう来たぞ。
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 その先少し進んだら駐車場への分岐。先ほど見上げた木の生えていないなだらかな稜線が、今すぐそこにある。笹ではなく、草原だ。そして落合峠、標高1520m。16:15、到着。どこが午前中勝負だ。
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 峠にはワゴン車が1台停まっていた。峠は、矢筈山への登山口。ここからすぐ下に駐車場があり、歩行者なら短い階段ですぐに峠へ登れるのだが、峠に路上駐車する人がいる、とのことだった。ワゴン車の側面には、野外活動を推進する団体を思わせる名称が記されているが、あまりマナーや意識は高くないようだ。
 それはともかく絶景だ。いつしか空は雲に覆われ日差しは弱まったが、周囲の山々ははっきり見える。吹く風も心地いい。はるか南には、大きく三嶺がぼんやり見える。本当にぼんやりであるが。三嶺は剣山と尾根続きの1893mの山だ。この落合峠は、1849mの矢筈山から西に延びる稜線の鞍部にある。
 峠名が記された標柱と三嶺と自転車を入れ、ワゴン車が入らないように記念撮影。あとは標高差1500mの下りだ。と、走り出そうしたら、何やら法面の上の方でガサゴソ音がする。小石や砂が落ちるバラバラという音も。登山者ではない。どうやら、シカかカモシカのようで、立ち去る後ろ脚がかすかに見えた。
 さて下り。斜面をトラバースした後谷筋へ。深渕川の沢を見ながら下る。道は下り一辺倒ではなく、ほんの小さな登り返したがたまに現れる。
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 標高900mを切ったあたりで、建物がちらほら見える。深渕の集落だが人気はなく実際に人が澄んでいるのか廃村なのかはわからない。その先、左手に緑色の水をたたえた湖が見えた。そして道は緩く登り始める。道路わきの沢が前方からこちらに流れてくるので、棧敷峠への登りが始まったようだ。南の落合峠からの深淵川と北の棧敷峠からの沢が正面衝突で合流し、松尾川となって西に流れ下る。その松尾川をせき止める松尾川ダムによるダム湖が、先ほどの緑の湖面の湖だ。松尾川は、祖谷の山々を分けて流れ、祖谷口の少し上流で祖谷川へと注ぐ。不思議なのは、流れはそうしてつながっているのに、今いる道は、少なくとも地図を見る限り、松尾川ダムへとつながっていない。もちろん、松尾川を遡ってダムに至る道は存在しているのだが、ダム湖上流部のこちらの道へとつながっていないようなのだ。つまり、深淵集落へは、棧敷峠か落合峠のいずれかを越えないとたどり着けない。
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 初めは緩やかだった登りも、数軒の民家を過ぎて峠の手前でヘアピンカーブの急坂となった。標高差100m余りの登り返しがあることはわかっていたものの、やはり標高差1500の峠を越えた後の脚には答える。それに、2.5L用意していた飲料水を飲み干してしまった。落合峠の手前で、左脚のふくらはぎと右脚の太ももが軽く攣っている。休憩を繰り返してだましだまし来ているのだが、脱水症状が進むとペダルが踏めないくらいの状態になってしまう。あまり頑張らず、じわじわと行く。
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 再び標高1000mを越え、棧敷峠へ。三好市から東みよし町への市町境だ。峠の切通しを越えたところが突き当りで、左右に道が伸びている。三加茂に下るには、左。少し進んだところで、木々の合間から展望が広がる。はるかに吉野川とその手前の三加茂の市街地らしき平野部が見下ろせる。遠いなあ。まあ、まだ1000mの標高差を下るんだからね。
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 でも、そのあとは下り一辺倒。どんどん標高を下げていく。それと逆の相関関係で、気温と湿度が上がっていくことを肌で感じる。
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 標高600m辺りからしっかりと生活感のある集落が現れる。そしてまた放し飼いのヤギがいた。子ヤギが2頭、親かどうかわからないけど体の大きなヤギが1頭。そして、最後の時間通行止め区間を通過。もう17時を過ぎ、この日の工事は終わり翌朝まで通行可能となっているはずなので安心していたが、今日は工事が行われていないとのことだった。1週間分の工事のスケジュールも示されている。この先1週間は、明後日からの3日間のみ工事が行われるとのこと。
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 集落の間隔が狭まり、仕事帰りと思われるクルマとすれ違うようになった。そして、吉野川沿いの平野部へ。あくびが出た。そして急に蝉の声やタイヤが転がる音が大きくなった。気圧差は耳で感じる。
 そして暑い、ものすごく蒸し暑い。なんだこの湿度は。と思っていたら、ぽつぽつと雨が降ってきた。国道192号線を越えて、集落の中の細い道を抜ける。雨は徐々に大粒になる。もうゴールは目と鼻の先。いいぞ、降れ降れ。そして気温を下げてくれ。吉野川土手を駆け上がり、の河川敷「ぶぶるパークみかも」へ降りる。なんとまだグラウンドゴルフ場には高齢者がたくさんいるではないか。さすがに撤収中と見えるが、朝から夕方まで大盛況ではないか。まあ、同じ人たちがずっといたかどうかはわからないけど。
 18:00、ゴール。距離は104kmとなった。スタート・ゴールがコースの最低点で標高70m。最高点の落合峠が1520m。ちょうど10時間で走り切った。
 自転車をクルマに撤収。雨はあまり強くならなかったが、夕暮れと相まって少し涼しくなってきたようだ。クルマの中に少し飲み物を積んでいたが、気温40度の温室と化した車内で、ふろの湯のような温度になっている。国道に出てすぐのドラッグストアで久米たい飲み物を購入して、飲みながら帰路に就く。夕方の帰宅時間帯。列をなすクルマの中に混じって流れがいい国道192号線を東へ。徳島市に入る前に吉野川を左岸に渡らねばならない。結局徳島市直前の石井町で吉野川を渡る。橋を渡った上板町で、イオンを中心とするショッピングエリアに立ち寄る。その敷地内のうどん店で夕食だ。
 「とば作」という屋号のうどん店は、チェーン店らしいが、「はなまるうどん」や「丸亀製麺」のように本州でもよく見るものではないので、まあ四国に来て食べるだけの値打ちがあるとしておこう。でも、「元祖セルフうどん」とかかれているのがよくわからない。そんなに伝統のある店なの。
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 セルフサービス、つまり自分で麺の湯通しするのはかけうどん等で、私が注文したぶっかけうどんは店員がすべてやってくれる。昨日は、昼も夜もラーメンを食べたので、冷たくてあっさりしたうどんが胃にやさしい。帰宅後に調べてみた。とば作は徳島県のご当地チェーン店で、徳島のうどん店でセルフサービスを始めた元祖、ということだった。たしかに、讃岐うどんとは記されていなかった。
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 県道12号線で鳴門市が胃へ戻り、昨夜も買い物をした鳴門駅裏の商業施設でお土産を買って、大鳴門橋を渡る。もちろん、有料道路は橋だけの最低区間。淡路島は成り行きで西海岸を北上することになった。2月の淡路島一周の復習の続きができた。夜が更けてクルマが少ない。明石海峡大橋を渡ったら、北西に向かい、三木で国道175号線へ。三日月を見ながら、北上。帰宅は深夜になった。

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