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2021/05/31

境水道とべた踏み坂(伯雲の境1)

 数年前、軽自動車のCMで話題になった「べた踏み坂」は、鳥取県と島根県の境にある湖「中海」の中の離島へと渡る橋だ。その下を船が通れるよう中央部が水面から40m以上もあり、クルマで通るときにはアクセルペダルを床まで踏み込んで登らなければならい急勾配の坂となっている、というわけだ。その橋を含め大根島や中海の湖岸を自転車で走ってみることにした。
 鳥取県内には山陰自動車道や鳥取自動車道など、自動車専用道路が伸びていて、しかも通行無料。東の鳥取から西の米子まで1時間半足らずで行ける。さらに鳥取市まで、つまり兵庫県内にも無料の自動車道があるので、2時間余りで行ける。つまり京都府の丹後地方から米子までの約200kmを3時間半くらいというわけだ。
 というわけで、4月中旬、いざ伯耆の国へ。鳥取・米子間は完全に自動車専用道路がつながっているわけではなく、倉吉郊外の北条砂丘は一般道となる。ただし、12kmに信号がわずか2つ(それも短い間隔で連なっている)しかない、平坦な直線道路。ここは以前からクルマが爆走しているところだった。今日はスピード違反の取り締まりをしていた。こんな道だとたくさんつかまるんだろうね。
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 鳥取県の西部まで来るのは久しぶりなの、米子の手前で少し寄り道。名和I.C.で自動車道を降りて御来屋駅へ。趣ある古い木造駅舎。どうにか桜の花が残っていた。そしてこの時期まだ白い部分が残る伯耆大山をホーム越しに眺める。
 あとは国道9号線で米子へ。少し迷走の末たどり着いたのが、笑福両三柳店。鳥取市や大阪市でも展開している二郎系のお店。スーパーマーケットを中心とする商業施設群の一角にあるテナントだった。店は空いていて、私の前に先客1名。私のすぐ後に1名。それだけ。野菜増しを注文したのだが、出てきた野菜の量はなんだか物足りない感じ。後から来た客の野菜長増しの方が多いくらいだ。まあ、いいか。常識的な量と比べれば、けた外れに大量なのだから。
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 そのあとは一路境港へ北上。川のような境水道の岸壁に漁船が並んでいる。その漁船の向こうに対岸の山が迫る。あちらは島根県松江市だ。無料で止められる駐車場にクルマを止めて自転車を準備。境水道沿いを西へ。中海へと向かう。
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 まるで川のような境水道、なんて書いてしまうのだが、実は本当に川だそうだ。この境水道も中海も、その上流の宍道湖も、すべて斐伊川ということだそうだ。
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 港の施設を迂回するため岸から離れ狭い路地を行く区間もある。レトロな雰囲気の商店の前に止められたレトロなオートバイに目を引かれる。
 視界が開けた。中海だ。そして、高くそびえる江島大橋が見えてきた。湖岸を進んで橋に近いづいていくが、橋を渡るには一度内陸に入らないといけない。その高さを稼ぐため坂の始まりは内陸部にある。対岸の江島は地価ので、水上よりも陸上の区間が長い。
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 さあ、べた踏み坂へと昇る。クルマの通行は多いが両側に車歩道があるので安心していける。長い橋のため歩行者は少ないが、まったくいないわけではなかった。自転車も数台見られたが、私以外はみな押して上っていた。そんな急坂を登った橋の真ん中は、景色が抜群。中海に浮かぶ江島、そして大根島。そして、中海越しの大山が圧巻。江島、と大根島そして本土は堤防でつながっている。中海の北西部は、二つの島と堤防によって閉ざされている。だから、日本海の外海から境水道を経て松江港、さらには宍道湖へと船で行きつくには、江島大橋の下を通らねばならない。大きな船も通れるように橋は高く作られ、べた踏み坂が生まれたということだ。
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 しかし、天気が悪化している。強風が吹き荒れれている。地上で吹いていた風とは比べものにならない風圧を感じる。そして、雨。週間予報が発表されてから、曇りと雨予報を行ったり来たりしながら、前日には曇り予報に落ち着いたのだが、降り出してしまった。雨粒はだんだん大きくなってきていて、これから走っていくつもりの大根島方向の上空は暗い。大山もほんやり霞んでいる。

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 この橋はかつての国境で、現在県境。伯耆の国からほんの少し出雲の国へ足を踏み入れた。ここで引き返すことにした。遠い道のり。久しぶりに訪れた地ということもあって、迷走したり時間の読みが甘かったりした。これを踏まえて次は段取りよく行きたい。ということで、クルマに戻る前に、水木しげるロードに寄る。2005年8月の隠岐からの帰り道以来、16年ぶりに鬼太郎やねずみ男に再会。雨は小康状態。
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 クルマに乗り込んだら弓ヶ浜のパーキングスペースで大山を眺めてから、4時間の帰路に就く。

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2021/05/11

ごぶさた金剛童子山

 5月4日、地元のシンボル金剛童子山に登った。生活圏内、そして自宅を見下ろすことができる。
 登山口の味土野は明智光秀の三女である細川ガラシャが幽閉された地。昨年放送のNHK大河ドラマの影響もあってか、周辺にたくさんの幟が掲げられていた。

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PLATINUM LIGHT8のハンドルバーを交換

 時間が前後するが、丹後半島一周をする前の話。標準装備のハンドルがちょっと短かった。これは折り畳んだ際に地面と干渉しないため。でも、シートポストを長くしたため、下部のクリアランスが向上したので交換してみた。もう乗っていない、パーツ提供のドナーと化したMTBからハンドルを移植。520mmから540mmとわずかな違いだが、ついでにハンドルグリップもエンドバー付きのものに交換。これにより両端からハンドルを挟むように握れるため、長く持つことができる。また、本来は登り坂などでハンドルを引いて上半身の筋力もペダリングに生かすためのエンドバーであるが、折畳のハンドルポストという力学上の弱点があるので、ハンドルを強く引くことは禁じ手にしている。それに代わるメリットは、乗車ポジションの向上である。ホイールベースが短い小径車は、サドルとハンドルの間隔も小さく乗車姿勢が窮屈である。エンドバーを握ることで少し上体が前に移動し、姿勢が楽になる。
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 前述のとおり、ハンドルバーと地面との干渉はないのだが、エンドバーを付けたハンドルが折り畳んだ時の前輪と後輪の間に収まるかどうかの問題がある。エンドバーとブレーキレバーの向きをできるだけ揃えることで何とか収まった。
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 丹後半島一周へのチェレンジを想定して、以上の変更を行った。結果、快調に走ることができた要因となった。デザインは、以前のグリップのほうがランドナー風の味わいがあって気に入っているのだが、今回は機能を優先してしまった。
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 また、今度は丹後半島一周を走り終えてからの話だが、泥除けのステーの長さも調整した。走り終えてすぐ、スーパーカブのチェーンとスプロケット交換の直前のこと。そもそもこの泥除けは、Dahon Curve D7専用のもの。ステーがやや長く、泥除けが浮いていた。だから、ステーを少し切っただけのことだが、半年ほど作業を先延ばしにしていた。まあ走りに影響はないからね。

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2021/05/09

16インチホイールの丹後半島一周

 山は緑、海は青く色づく初夏。自転車の季節の到来。さあ丹後半島一周だ。今回のパートナーは、半年前にラインナップに加わった、PLATINUM LIGHT8。16インチホイールの折畳小径車。果たして何時間かかるのか。そんな不安を抱えながらもだらだらと準備に時間を費やし、10時半のスタート。まあ、日が長いから何とかなるだろう。こうして、今シーズン初。生涯通算53回目の丹後半島一周が始まった。
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 京丹後市弥栄町の自宅から、まずは竹野川の流れに沿って北上。田植え作業の始まった田んぼの中の農道をつないでいく。快晴だが、西からの風が強い。横風なのだが、まるで向かい風のベクトルが含まれているかのような抵抗を感じる。
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 竹野川河口付近の道の駅「テンキテンキ丹後」でトイレ休憩。京都府に緊急事態宣言が発令されているため、売店やレストランは休業中だが、駐車場はクルマ、自動二輪でいっぱい。自転車も見られるが、ロードレーサー。こちらの折畳小径車はどう見えているのだろうか。まあ、ほとんどの人は何とも思っていないんだろうけどね。
 道の駅からは国道178号線を東へ。追い風に押されながら、やや急な登りへ。海岸のアップダウンの始まりだ。
 少子化による統廃合で現在はもうないが、かつてはこの坂の途中に小学校があったので、車道脇にはしっかりした自歩道が設けられている。そちらを走る。すると前方から自転車が下りてきた。ロードレーサーだ。反時計回りの走行だと、海が見える右側を走りたくなる気持ちはわかる。自歩道ならば右側通行のルール違反にはならない。でも、すれ違うにはちょっと幅が狭いかな。ちゃんと手前で歩道を外れてくれた。急坂を越えて海岸段丘に乗り上げると、水を張った田んぼの向こうに青い海が広がる。
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 段丘上の緩やかな登りを進んでいけば、左手の海にそそり立つ屏風岩が見下せる。自歩道に自転車を止めて海を眺めている女性サイクリストがいる。この先に行けば屏風岩の展望所があるが、どこでも止まって景色を眺められるのが自転車のいいところ。かえってクルマを止めるスペースのある展望所だと、静かに景色が見られないこともある。といいながらも、私は展望所へ。ベンチに腰掛けて休みたいしね。
 幸い展望所にはクルマが止まっていることはなく、自転車が一台。男性サイクリストがちょうど出発するところ。静かに休憩できる。今日は西の風が強いため波がある。この時期から夏にかけての透明感のある水色の海面が見えないのは残念。
 再スタートを切ろうとしたら自転車が到着。手前で休んでいた女性サイクリストかと思ったが、男性でそのあともう一台。男女2人組だ。次々とサイクリストが現れる。ただし、私以外はみなロードレーサー。
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 犬ヶ崎トンネルを抜けると緩い下り。そして、目の前には丹後松島。少し先のパーキングスペースはクルマがいっぱい。写真を撮っていると、屏風岩展望所で遭遇した男女連れが追い越していった。私のように下りの途中で何度も停止するサイクリストはあまりいない。
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 宇川の河口を越えたらまた小さなアップダウン。それを越えたら、国道をそれて久僧海岸へ。夏は海水浴場となる白い砂浜が広がる。さらに行くと、岩礁が点在する区間となる。この岩礁が丹後松島を形成している、小さな陸繋島群である。ちなみに陸繋島とは、砂州で本土とつながっている島のこと。有名なのは、北海道の函館山だ。
 中浜漁港と集落を越えたら、国道178号線へ合流。その時、目の前を通り過ぎたのは、屏風岩以降、何度かであった男女二人組サイクリスト。写真撮影で追い越されたが、その先の枝道に迷い込んでしまって引き返しているところを私が追い越した。なんとも激しいデッドヒート。16インチホイールの小径車でもちゃんとロードレーサーにわたりあっているではないか。しかも、こっちは寄り道、向こうは国道一直線にもかかわらず。
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 そのあとは海岸段丘上をいく。水を張った田んぼ越しに青い海。そして、海上自衛隊の経ヶ岬分屯基地とアメリカ軍のレーダー基地。3台のロードレーサーが追い越していった。男性3人組だ。これまで雨続きだった大型連休。満を持しての快晴の今日、クルマも自動二輪も、そして自転車も多い。
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 袖志集落を越えて経ヶ岬へ。とにかくアップダウンの連続だ。今では駐車場のみとなったかつての経ヶ岬のレストハウス跡地。隣接するバス停にはなぜか3台バスが止まっている。観光バスではなく、路線バスで使われる車体。路線バスと、定期観光バスと、あとは何だろう。先ほど追い越されたロードレーサー3人組が休憩中。ここで抜き返す。相変わらずデッドヒートだ。岬の灯台駐車場への道は閉鎖されていた。
 白南風トンネルへ向けての登り。曲がりくねった道だが、拡幅されてクルマのストレスが若干少なくなった。しかしまだ完全ではないようで、工事区間が現れた。信号で片側交互通行。
 カウントダウンの電光掲示をみると青信号までまだ1分以上ある。信号待ちの列に並ばず、少し離れた場所で自転車を降りて待つ。その間クルマが2台ほど列に加わる。青になるころ後方から次々とクルマが到着。全部やり過ごしてから片側通行区間に侵入しようと思ったが、なかなかクルマが途切れない。やっと途切れて慌てて侵入。でも登り坂なのでスピードが上がらない。やっと出口が見えてきた。信号はまだ赤だ。でも、もう残り時間がわずかなのだろう。先頭のクルマがじれて微速前進している。
 焦んなよ。裏側でも信号が赤なのはわかっているんだから。
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 白南風トンネルを抜けると眼下に青い海が広がる。カマヤ海岸だ。それまでとは視界の向きが変わり、若狭湾方向が見渡せる。水平線の手前に浮かぶ冠島と沓島。そして大浦半島の成生岬やその奥の久須夜ヶ岳など若狭湾のリアス式海岸の様子がぼんやり見える。空気が澄んでいれば、冠島・沓島の左手奥に加賀白山が見えることもあるが、今日は見えない。
 ここからは緩い下り。スピードを上げて、海面から高度100mの空中走行。気持ちがいい。2ヶ所のパーキングスペースはクルマや自動二輪でいっぱい。カマヤ海岸の南端、甲崎のトイレ付パーキングスペースでは経ヶ岬方向を向いた迷彩柄の望遠鏡がずらりと並んでいる。ここは自衛隊の飛行機を狙うポイントなのだ。
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 甲崎を超えるとまた視界が変わる。まずは眼下に蒲入の漁港と集落。前方にこれから訪れる野室崎が見える。国道は緩やかに下る。また、工事区間、片側通行だ。写真を撮っていたら青になった。慌てて自転車にまたがり通過する。かつては、この後、蒲入峠の登りが始まるのだが、2016年に蒲入トンネルが開通して峠越えが一つなくなった。緩い下りのまま漁港への分岐を通過し、さらにトンネルを超える。
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 トンネルを超えると、国道をそれて本庄浜へ。ここで昼食をとる。夏には海水浴場となる本庄浜だが、この時期はまだ人が少ない。家族連れなどが2組ピクニックをしているだけ。でも、例年はほとんど貸し切りだけどね。
 町道で野室崎を越える。ほとんどのクルマや自動二輪、そして自転車は国道一直線。内陸を行く国道よりも海沿いの町道のほうが、間違いなく景色がいいのに。そのおかげでこのさわやかで美しい空間を独り占めできる。しかしながら、国道よりもアップダウンが厳しく、登り始めが特にきつい。勾配10パーセントくらいはあると思われる。その急坂のわきに立つ八重桜の期のところで写真を撮るのがいつものお約束。年によっては、ゴールデンウィークにまだ花が残っていることもあるが、今年は完全に緑の葉桜。でも、路面にピンクの花びらが敷き詰められている。
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 フロントシングル、リア7S。ギア比がかなり限られた16インチホイールの小径車で標高差130m余りをノンストップで登りきることができた。野室崎には灯台があるわけではなく、登りきったところから、次に訪れる新井崎など海岸の絶景がみられるだけ。それで十分だ。
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 そして、泊の海岸へと急降下。下り途中の展望所は先客がいたのでパス。いつも貸し切りなのに。断崖に囲まれた入江、泊の砂浜では数組の家族連れがピクニックなどを楽しんでいる。その小さなビーチを過ぎると、新井崎への登りが始まる。またも出だしは急勾配。標高80mくらいまで登ったら一度道は水平から緩い下りとなる。このあたりは「のろせ海岸」と呼ばれる丹後半島の一番奥の海辺。個人的には、最大の絶景ポイントだと思っている。その済んだ海を見下ろし、海岸段丘に田んぼが広がる新井の集落へ。ここはかつて、「新井の千枚田」と呼ばれる小さくておびただしい数の棚田が広がっていたのだが、もう30年以上前に整地されて普通の田んぼになった。千枚田はもう少し進んだ先にどうにか残っている個所がある。
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 新井の集落入り口で緩い下りは終わりまた登りが始まる。右に行くと唯一残る千枚田を見下ろすことができるのだが、登りがきついので今日の自転車ではやめておくことにする。昨年、一昨年と千枚田の休耕が続いている。効率の悪い小さな田んぼ。田植えや稲刈りを体験イベントとして耕作を続けてきたものの、地主の高齢化が進む中で休耕。さらに、感染症の流行が追い打ちをかけている状態。今年、耕作が再開される可能性は極めて低い。今はまだ田んぼとしての体は成しているはずだが、稲も植えられず、水も張られていない田んぼは、やはり物足りない。丹後の美しい風景が、また一つ失われつつある。
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 そんな千枚田は見えない、左の道へ。こちらも決して登りが緩いわけではない。千枚田からは少し離れているが、それを思わせる小さな田んぼが2枚。上の段の2畳ほどしかない極小の田は干上がったままだが、下の段には水が張られ田植えの準備がされている。千枚田とは別の地主ということのようだ。
 標高130mほどのピークに到着。あとは伊根湾に向けて急降下。野室崎あたりと比べ、新井崎あたりは多くはないが数台のクルマや自動二輪が行き交っていた。いつもはあまり誰とも出会わない道なのに。あとちょっとした広場があれば、誰かが弁当を広げている。景色がいいわけではない単なる道路わきのスペースにさえ、クルマと自動二輪が止まり、家族連れと男性グループがそれぞれに食事をしている。なぜにこんなところで?
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 その先で理由がなんとなく判明。伊根湾を見下ろす道へと突き当たると、長い長いクルマの列。いつ果てるともない大渋滞だ。帰宅してからネット検索で詳細が分かったのだが、伊根湾沿いの狭い道はクルマのすれ違いが困難なため、一方通行の規制が行われていた。また、道の駅を含めた飲食店等も営業していた。つまり、このエリアに少しでも侵入したクルマは、もう引き返すことはできない。歩行者をかわしながら狭く見通しの悪い道を延々と進み、一方通行エリアを一周しないと脱出することはできない。あの道端ピクニックの人たちは、混雑エリアを何とか脱出し、やっと安息の地にたどり着いた、ということかもしれない。
 まあ、そんなことは自転車には関係ない。しかも渋滞は反対車線だし。
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 舟屋街に降り立つと、走行注意。一方通行のクルマについては前方のみ警戒していればいいのだが、怖いのは不規則に縦横無尽に動く歩行者。背後、側方はおろか、目の前さえ見ずに歩いている人も少なくない。
 今や天橋立と並ぶ丹後半島を代表する観光地となった伊根だが、昨年のゴールデンウィークはさすがに人が少なかった。初めての緊急事態宣言で、外出自粛が呼びかけられ、観光客の姿はほとんどなかった。ただし釣り人はそれなりに見られ、海沿いに駐車したパトカーのスピーカーからの「外出をお控えください」の声が繰り返し聞こえていた。自粛要請として呼びかけることしかできない。その場にいづらい雰囲気づくり、ということなのだろう。
 今年も緊急事態宣言下ではあるが、今日はそんなパトカーの姿は見られない(走行中のパトカーとすれ違うことはあったが)。釣りによる感染拡大はこれまでになかったということもあるし。
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 伊根湾を過ぎると、若狭湾を左に見ながら平坦な道を天橋立に向けて南下。ここまでくるともう渋滞はないがクルマは多い。西風は丹後半島の山々で遮られるかと思いきや、それなりの強さで追い風となったり向かい風となったり不規則に吹いている。
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 日置を過ぎ、天橋立が近づいてくると、またクルマが滞っている。先ほど血気盛んに追い越して行ったクルマたちが、なすすべを失い佇んでいる。
 そんな車列を後目に、江尻集落の道へ。おそらくかつて舟屋だっただろうと思わせる、細い道だ。
 丹後半島および若狭湾の海域は極めて潮の干満差が小さい。そして、入り組んだリアス式海岸のため、北西の季節風による冬の荒波の影響がほとんどない南や東向きの海岸はいたるところにある。知る限りでは栗田半島や大浦半島にかつて舟屋だったことをにおわせる家並みがある。また三方五湖の一つ日向湖では、西に開けた湖岸に舟屋の名残のある集落が見られる。細い水道で海とつながっていて、漁船は出入りできるが、外海の荒波は入ってこない。湖は小さく大きな波は発生しないということのようだ。
 ただし、多くは海を埋め立て防波堤や船着き場が作られ、波打ち際に建つ家屋ではなくなっている。日本海側といっても年中北西の風ばかりではなく、南風が吹くこともある。
 4分の3周を陸地で囲まれ、しかもそれは低いところでも50mの高さの壁のような稜線。唯一開かれた南西側の湾口のど真ん中に青島が立ちはだかる閉ざされた入江。集落のほとんどがそのまま舟屋として保存されている伊根湾ほどの条件がそろったところはなかなかない。また、弧を描いた湾岸に沿って舟屋が並んでいるから、海越しに舟屋を眺めることができる。
 江尻の集落を抜けると天橋立の砂嘴の北のたもと。遊覧船乗り場などがあり、ここも大勢の観光客が縦横無尽に行きかっている。あと、キープレフトとか一列走行だとかを無視したレンタサイクルに乗った家族連れなどのグループにも要注意。
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 そして、阿蘇海シーサイド自転車道へ。波打ち際を行く。こちらに来ると観光客の姿は全くなくなり、釣り人の姿がちらほら見られるだけ。あとはウォーキングの人。珍しくツーリングのサイクリストも見られた。
 溝尻の集落では道は波打ち際から離れる。ここも舟屋の集落。現在でも数棟の舟屋が残っている。ただし、海岸が直線的で舟屋を海側から見ることはできない。それに、阿蘇海は広いので、対岸から眺めるには遠い。
 集落を抜け、再び波打ち際の道を行く。途中のベンチに腰掛け、おにぎりを食べる。最後の山越えに備えてのエネルギー補給だ。9年前の秋に20インチホイールの折畳小径車で丹後半島一周をした時には、最後の山越えでハンガーノック寸前に追い込まれ、ずいぶんつらい思いをした。手持ちの食料が尽き、補給できる店があるにもかかわらず立ち寄らなかった。あの時の失敗を繰り返さないように。
 天橋立ワイナリーを過ぎ与謝野町に入るあたりから、並走する国道178号線が滞っているのが見えた。天橋立を過ぎて一時流れていたのに。渋滞の発生源はどこだろう。少なくとも与謝野町役場の先、橋立中学校の前の五差路か。さらに先の国道178号線と176号線が交差する消防署前の交差点も混雑時はネックとなるし、近畿自動車道のインターチェンジくらいまでは流れが悪いような気がする。
 この翌日にクルマで伊根を通過した、という人の話を聞いたが、その日はクルマ等は多かったものの渋滞が発生するほどではなかったとのこと。連休に入って2日連続の悪天候により鬱積した思いが、3日に一気に解放されたことで発生した大渋滞、ということだろうか。
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 そんな渋滞の国道を横切り、府道53号線で内陸へ。コース終盤にして、本日の最高地点へと登る。ただし府道だけあって勾配はさほどきつくはない。ハンガーノックの心配もない。粛々とクランクを回すのみだ。登り出しは道が狭い。センターラインがひかれていない、クルマのすれ違いに気を遣う区間だ。ここをそれなりにクルマが通るのが、自転車にとってもストレスだ。しかし、その区間はあまり長くなく、拡幅されセンターラインの引かれた区間は、路肩も広くて穏やかな気持ちで登っていける。
 こうして標高120mほどまで登ると、いったん緩い下りとなり田んぼが広がる延利の集落へ。クランクを止めると下りなのに失速するほどの向かい風。そして延利から道は再び緩く登っていく。真正面からの強い逆風にあえぐ。久住では、田んぼの中のバイパスではなく集落の中の狭い旧道へ。クルマの走行を優先した道より、風情ある里の道を選ぶのがいつものことだが、今日は家屋に風を和らげてもらうという意味も加わる。
 集落を抜けバイパスに合流したら、登り勾配が増す。だが、山が迫り風がめっきり弱まったプラス面の方が大きい。それに、向かい風と違って、登りの場合は、努力が位置エネルギーとして蓄積される。つまり、そのあとの下りが約束される。
 標高200mを少し超えたところがピーク。あとは一気に下る。押し戻されるような向かい風のおかげで、あまりブレーキをかけずに下れる。
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 16時10分に帰宅。出発から5時間40分。実走時間は4時間38分。2012年の20インチホイールの小径車で走った時は12時間近い総所要時間を要した。帰宅手前で自転車店「BULLDOG」に立ち寄った1時間を差し引いても、今回の倍近い時間を費やしたということだ。一番の要因は、終盤のハンガーノック寸前のエネルギー切れだが、中盤の野室崎と新井崎のアップダウン辺りからじわじわと失速していった。
 2019年5月にも20インチホイールの小径車で走っている。フロントシングルだった2012年に対しフロントダブルで挑み、総所要時間6時間15分、実走時間5時間10分とリベンジを果たした。だが、今回フロントシングル、16インチホイールの小径車で、2年前の小径車最速記録を越えてしまった。さらに言うと、昨年などランドナーでの記録に迫るペースで走っている。初走行から35年目の丹後半島一周だが、まだ進化し続けているようだ。
 途切れないクルマの流れ。各スポットの大量の行楽客。2月に淡路島を走った時のことを思い出してしまった。宮津の中心街に住む友人によれば、この日は市街地でもクルマが滞り外出できない状況だったそうだ。
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 早く帰って来られたので、懸案だったスーパーカブのチェーンとドリブンスプロケットを交換した。

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