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2021/04/09

Slide and Ride 扇ノ山2021

 先日の扇ノ山で一番心地よく滑れたのは、山頂の南西側斜面だった。広い谷状の疎林。勾配も、ザラメの具合も程よく、登り返しさえしなくてよければ、どこまでも滑り降りたかった。ところがその滑走シーンの動画撮影を忘れていた。このことをちょっと悔やんでいる。
 扇ノ山は20年以上前から訪れているが、山頂南西斜面を滑ったのは10年ぶり。10年前は、動画撮影などできなかった。だから今回撮影できていれば貴重な動画となるはずだった。この南西斜面は山頂から見えない。八頭町の姫路集落からの登山ルート沿いにあるがその姫路ルートはあまりメジャーではない。だからこの斜面を知らない人も多い。山頂からも、最もメジャーな大ヅッコを越えて山頂に至るルートからも見下ろせる東斜面を繰り返し滑るのが一般的だ。2011年はステップソールの板を使い始めて2シーズン目。山頂に着いて辺りを散策。姫路ルートの尾根を少しだけたどって南西斜面を見下ろした。ほんの少しだけ滑り降りてみたが、上り返しが気になってすぐに滑降をやめてしまった。当時はまだステップソールの板の機動力を十分に生かしていなかった。あれから10年、南西斜面のことをほとんど忘れていた。今シーズンインターネット上でこの斜面の滑走の記録を見て思い出したのだった。
 それともう一点。河合谷高原の残雪の様子を確認したい。これまでの経験と上山高原の残雪の状況から、河合谷側の様子をある程度イメージできているのだが、それがどれだけ正確なのかは実際に確かめてみないとわからない。まったくでたらめなのかも知れない。
 この時期の雪解けは速い。次の週末まで待っていられないので、7日に体制を整える。というわけで家から2時間。前回の兵庫県新温泉町から上山高原ではなく、鳥取県岩美町から鳥取市の河合谷高原へ。河合谷林道に入ると、道路に細かい木の枝が散乱している。両側から木が倒れかかっている。実際に倒れている木もあるが、かろうじてクルマが通れるように切られている。登っていけば林間を抜け、倒木の障害物はほぼなくなる。次の障害物は雪だな、と思ていたらクルマだった。路肩に寄せずに駐車されている。ということは…。その先で残雪が道をふさいでいた。まだ河合谷牧場の分岐にも達していないのに。
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  GPSレシーバを起動して位置を確認。河合谷牧場分岐の手前、標高700mちょうどの地点だ。標高860m地点まで行ける、と想定していた。そこは河合谷林道が標高912mピークを回り込む区間の始まりで、ピークの北側に大きな残雪帯ができ、クルマはそこまで、という状態が結構長く続く。ただし、ピークさえ回り込めば雪解けした高原が広がる。
 想定外の増加分は、標高差で160m、距離にして2~3kmくらいだろうか。クルマを降りて、残雪を見てみると、道路をふさぐ区間は20mくらいで、雪の厚みは30cm程度。週末には開通するかもしれない。でも、やはり今日行くしかない。山頂周辺の斜面の雪も、賞味期限ぎりぎりのはずなのだ。自転車という機動力もあることだし、決意を固める。
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 スキーブーツを履いて、スキー板を自転車に固定して、11:53、スタート。残雪を乗り越えると、予想通り周囲に雪が見られなくなる。500mで河合谷牧場への分岐点。河合谷林道はまた残雪でふさがれている。河合谷牧場へハンドルを切る。クルマが侵入しないように鎖でふさがれている。厳密には不法侵入となるのだろう。荒らさないように、静かに穏やかに舗装の作業道路を通らせてもらう。
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 尾根筋に牧草地が広がる河合谷牧場。日当たりがよく雪解けが早い。その中を行く作業道は、河合谷林道よりも残雪が少ないはず。また、急勾配であるがその分距離も短縮できる。帰宅してからGPSトラックを確認すると、河合谷林道より牧場作業道の方が1.2km短かいことがわかった。
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 しばらく沢沿いを行き、作業小屋などの建造物をいくつか過ぎると、牧草地帯へ。ぐんぐんと標高を上げていき、岩美町の海岸など下界の景色が見えてくる。春の日差しと乾いた風、そして鳥のさえずりが心地よい。
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 さらに勾配が増す。舗装がアスファルトからコンクリートに変わり、つづら折れとなる。スキー板を積んだ自転車に、スキーブーツでのペダリングは厳しい。押して登る。ローギアが28Tから34Tのスプロケットに交換してくればよかった。残雪はまだ出てこないが、倒木が道をふさいでいた。
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 急登を越えるとさらに景色がよくなる。前方に白い尾根が見えてくる。それと、急登を越えたといっても、そのあとの登りも普通の基準からいうと十分急登である。
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 道路をふさぐ残雪が出てきた。もちろん部分的で10~30mほど。自転車を押して乗り越える。河合谷林道はもう少し残雪が多いと思われるが、スキーで滑って降りるには、細切れである。だから、自転車の出番なのだ。この先水とのふれあい広場まで自転車で行くつもりだ。
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 3つ目くらいの残雪帯が難関だった。丘のように盛り上がり、壁のような斜面が立ちふさがる。自転車をあきらめようか、という考えがよぎる。でも挑むことにした。左足、右足でステップを刻み、自転車を引き上げる。これを繰り返す。左、右、自転車、左、右、自転車、左、右、自転車、左、右、自転車…。なかなか越えられない。やっぱりここが自転車の辞め時だったか。でも、登り始めたから行くしかない。10分近く費やし、何とか乗り越えた。そのあとはまた雪が切れしばらく自転車に乗れる。何度か残雪を乗り越えるが、もう難所はなかった。
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 13:18、牧場を抜け河合谷林道に合流。そこより下の河合谷林道は残雪でふさがれていた。上向きは、アスファルトが露出。水とのふれあい広場から路面を流れる水のおかげだ。やっぱり自転車をあきらめなくてよかった。下りはもちろんだが、登りでも歩くより自転車の方が早い。小さな残雪帯を越えて、13:25、水とのふれあい広場到着。距離は4.9km。4日前と比べて、明らかに雪が減っている。
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 自転車から降ろしたスキー板を履いて、13:38、雪の上を歩きだす。しかしすぐに雪が切れ、河合谷登山口を板を持って通過。雪はないだろうし、出だしの階段を上るのは嫌だし、登山道は通らない。農道から大根畑を経由して登っていく。当然畑は日当たりがいい場所なわけで、雪が切れている。まあこれは想定内。板を担いで農道を歩く。登山道のあるブナ林をのぞき込むと、なんと林間も地面が露出している。
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 それでも登るにつれて雪はつながり、そのまま小ヅッコと大ヅッコの間のブナ林へ。男女5人連れのツボ足パーティとすれ違う。私が登ってきた大根畑の方へと出て行った。もしかすると河合谷林道に止まっていたクルマの人たちかも知れない。大きめのクルマだったから、5人乗車で来ているということは十分考えられる。河合谷林道の残雪上のトレースは、スキーでもスキーブーツでもなかった。おそらくツボ足登山者。とはいえ、彼らは上山高原から来た可能性もあるが、そうだとすれば遠回りとなる大根畑方面に向かわないと思われる。
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 藪が出かけていたブナ林もすぐに雪が分厚くなる。大ヅッコ北斜面は暖冬の昨シーズンでさえも、5月まで滑走できた。単独の男性アルペンスキーヤーとすれ違う。河合谷林道の足跡はプラブーツのものではなかったから、彼はおそらく上山高原から。道路開通の報告がすでにネットに上がっているからね。
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 大ヅッコを越え、扇ノ山頂上との鞍部へと下る。が、そちら側は南斜面で雪解けがかなり進行している。もともと林が密であまり滑りやすくないのだが、それに加えてツリーホールが広がり雪面が途切れがち。単独のツボ足の女性が登ってきた。私に気付いて慌ててよけてくれる。河合谷からの登山者は、彼女かも知れない。そういえば、足跡の数はあまり多くなかったような気もする。
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 下っていくと、ツリーホールが小さくなり雪面が安定する。上部の雪解けが早いのは日当たりによるものと思われる。鞍部を越えたら最後の登り。そして、15:20山頂に到着。よかった、東斜面はまだ十分に滑れる。氷ノ山の雪解けは4日前よりも明らかに進んでいる。ツリーホールならぬ、小屋ホールの壁にスキー板を立ててみる。4日前はちょうど170cm強の板と同じ高さだったが、今日は30cmほどスキー板のトップが飛び出している。つまりそれだけ解けたということだ。前回の翌日、つまり3日前の暖かい雨がかなりダメージを与えたことだろう。
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 さて、4日前よりも1時間ほど押しているので、南西斜面を一本滑ってから山頂に戻り、東斜面を滑りつつ下山、ということにしよう。ビデオカメラを準備。胸のカメラで前方を、頭のカメラで後方を撮影。今日は2台体制だ。
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 南西斜面は山頂からは見えず、少し尾根を移動する。ところが、黒々とした藪が出ている。4日前とはすっかり違う景色だ。ああもう賞味期限が切れてしまったか、と泣きたい気持ちになるが、どうにかこうにか藪を乗り越えると白いバーンが見えてきた。まあ、黄砂で黒ずんでいるが、それでも藪よりは白い。2台のカメラが録画モードになっていることを確認して、滑る。ああ気持ちいい。斜度も、広さも、疎林も、ザラメ雪もちょうどいいくらい。どこまでも滑りたいが、上り返しが気になる。帰宅してからGPSトラックを比較してみたら、4日前より少し控えめな滑降だった。
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 山頂に登り返し、15:55、今度は東斜面へ。数ターンで大ヅッコ鞍部へ向けてトラバース。黄砂で黒ずんだ雪面に白い線。4日前の私自身のトレースだ。そうそう、同じラインだ。
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 後は、大ヅッコ北斜面、大根畑と昇ってきたルート、そして4日前と同じコースを滑る。大根畑から疎林を経て農道へ渡るとき、誤って池を越えることになってしまった。雪に埋もれているので大丈夫と思ったら、その雪がかなり緩んでいて一瞬水上スキーになってしまった。疎林をもう少し下ったら池から流れる沢をスノーブリッジで渡れたし、あるいはそのまま河合谷林道まで疎林を下ることもできた。登りで確認したけどいざとなると渡れるところで渡ってしまわないと不安になってしまうんだよね、沢沿いは。
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 16:55、水とのふれあい広場到着。スキー板を自転車に固定して、17:06、自転車スタート。早い早い。下りも河合谷牧場の作業道へ。ツボ足のトレースは登り同様河合谷林道を下ったようだ。牧場作業道の方が距離が短いのにね。
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 下界、いや少し先の尾根さえも霞んでいる。空が暗くなったのはまだ日没のせいではないようだ。一雨来るか、と思ったら急速にガスが上がってきた。雨ではないようだ。まあ、ガスに巻かれても作業道を見失うことはない。それにすぐに霧は晴れた。
 登りで苦労した残雪の壁も、下りは楽チン。滑落はしたくないから、かかとを雪面に突き立て慎重に下る。何度か残雪、そして倒木を越えるが、そんなタイムロスを補って余りある、急転直下のダウンヒル。
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 スキー板を自転車に固定する箇所は、ハンドルポスト下とサドル下の2か所。ここをストラップで縛る。ところが、一昨年その状態でシングルトラックを下ったら、サドル下のストラップが切れてしまった。それまで舗装路の走行では何ともなかったのに。そこで昨年からサドル下はストラップだけでなく、使い古しのタイヤチューブをさらに巻くことにした。ゴムのチューブにテンションがかかるようきつく巻かないといけないので、少し手間は増えるが、これはいい。2008年夏の乗鞍大雪渓から平湯峠までの下りでは、スピードを出すとスキー板の振動がだんだん大きくなり危険なので、標高差1000mのダウンヒルを飛ばせなかった。ところが、今日はタイヤチューブのおかげで安定している。作業道なので、乗鞍より急勾配で急カーブにもかかわらず。いやむしろ、スキー板を積んだ方が安定している。急な下りでは、ジャックナイフ、つまり前転のリスクが高まる。だから、サドルから尻を上げて体を後方に引いて、後輪を抑えつける(もちろん回転しているホイールに尻を載せるのではなく、重心を後方に移動させるということ)。ブレーキをかける時には特に。今はスキー板を後方に突き出す形で積んでいるので、これですでに重心が後方に位置していてジャックナイフになりにくい。それでも、最も急な個所では後輪が一瞬浮き上がって、慌てて体を後ろに引く。
 自転車にスキー板を固定するのでなく、ザックに板を括り付けて自転車に乗る方法もある。ザックに板をつける方が、自転車に板を固定するよりも少し手間が少ない。それと引き換えに、重い荷物を背負うので体の負担が大きいし、重心が高く不安定になる。さらに下りでは、スキー板が後頭部にのしかかってくる。ヘルメット必須である。さらにジャックナイフを防ぐために体を後方に引く姿勢もつらい。なのに効果が少ない。腰を後方に引いても、より前傾してしまう上半身とともに、板のトップが前に傾くので、重心があまり後方に行かない。
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 17:32、下山。水とのふれあい広場から30分かからなかった。
 訪れる前の想像と、実際の雪の様子はおおむね変わらなかったが、最も予想とずれていたのはクルマで上がれる限界点。数百メートル、あるいはそれ以上のインターバルで点在する車道の残雪帯。そのうちどこが車止めとなるかは日々刻々と変化する。冒頭にも書いたが、週末まで待てば、もっと上までクルマで入れるだろう。ただし、それと引き換えに滑走できる斜面を失う可能性が高い。やはり週末まで待たなくてよかった。この時期の1週間はあまりにも大きい。

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コメント

 扇ノ山に2回も行かれたんですね。
 久しく行っていないなあ。
 ステップソールが役に立つ斜面が多そうです。このような山はステップソールが便利ですね。

投稿: すう | 2021/04/11 21:39

 確かに扇ノ山に2度行きましたが、アプローチが違うので半分別の山に行ったような気持ちです。
 ステップソールが特に有効なのは、扇ノ山の中でも、大ヅッコを越えて山頂に至るコースだと思います。大きな鞍部のアップダウンがあるからですね。斜面でいうなら、今シーズン当方が訪れた山はみなステップソールに適した山です。つまり、大江山連峰も氷ノ山も。唯一ステップソールを使わなかったのが氷ノ山ですが、新雪(深雪)狙いで太い板を使ったから。氷ノ山の頂上台地などまさにステップソールのためにあるようなところだと思います。

投稿: はいかい | 2021/04/13 00:06

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