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2021/04/05

山陰最後の雪山その名も扇ノ山

 とうとう今シーズンも扇ノ山に順番が回ってきてしまった。近畿以西最後の雪山、最後の砦。柔道の勝ち抜き戦でいえば、大将の登場だ。
 この冬は、12月からまとまった降雪があり幸先の良いスタートだった。私の住む丹後の平野部では、3年ぶりにまとまった積雪。しかし、それも1月まで。2月3月の記録的な温かさで、結局は3年続きの暖冬ということに。さすがに昨年よりは少し残雪は多いようだが(10日ほど早い時期に訪れ今回と同程度の残雪)、冬の降雪は少なくても春先の気温が低かった一昨年よりは雪解けが早いようだ(1週間ほど遅く訪れ今回より残雪が多かった)。
 4月3日、自宅からクルマで2時間。上山高原にクルマを止める。よかった、除雪されていて。残雪シーズンの上山高原から扇ノ山への報告が、まだネットで見つかっていないのでどこまでクルマで入れるかの確証を持たず、河合谷牧場からのアプローチとどちらが有利か迷いながら来たのだ。
 道路の雪解けは、必ずしも標高が低いところから進むわけではない。日当たりの悪いところが、遅くまで雪が解け残る。解け残る場所は毎年決まっていて、これまで訪れた経験からそれは頭に入っている。
 除雪が行われた場合、上山高原がその限界点なのだが、今年はすでに道路以外にもほとんど雪がなく、除雪というより自然融雪によるものである。ただ、高原のすぐ下のヘアピンカーブが雪が解け残る地点で、今日もほんの数メートルの区間だが、クルマくらいの高さの雪の壁ができていた。ここは除雪されないと2kmほど手前にクルマを止めることになり、河合谷牧場からのアプローチの方が有利となる。
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 上山高原の除雪の限界点から小ヅッコ登山口へ向かう場合も、河合谷牧場の自然融雪の限界点から河合谷登山口に向かう場合も、未除雪の車道を1時間ほど歩くことになるのだが、後者は自転車が使える。牧場およびその周辺を通る道は日当たりがよく雪解けが早い。標高も日当たりも上山高原と同程度の条件である河合谷牧場も、ほとんど雪がないものと思われる。クルマの通行を妨げる残雪を乗り越えれば、あとはずっと自転車で走れると想像できる。おそらく何度か残雪を乗り越えて「水とのふれあい広場」つまり河合谷登山口付近まで自転車で入れるだろう。だから今日は自転車もクルマに積んである。自転車の準備、特にスキー板の積載などの手間を考えれば、登りの時間短縮にはならないが、下りで舗装路を歩くことを考えると自転車が有利である。ただし、それは河合谷牧場側からのアプローチの場合のお話。上山高原からだと自転車の出番はない。高原よりも奥の車道は数か所で途切れてはいるものの、ほとんど雪に覆われている。勾配も程よく、復路は快適に滑れる。
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 とにかく、上山高原で結果オーライ。スキーの準備だ。入山者のものと思われるクルマが5台ほど止まっている。自動二輪が登ってきた。途中で一台すれ違ったが、それとはまた別かな、いや同じかな。まさかまだ雪で道路が閉ざされているとは思わずに訪れる人は珍しくない。自動二輪が引き返した後、クルマがやってきた。入山者でなく、家族連れだった。高原の芝生でピクニックを楽しむらしい。天気は下り坂。青空がわずかにのぞいているものの、空の大半は雲に覆われ、薄日が差す程度。日焼け止めは塗らないでもいいだろう。あと、南風が強い。
 スキー板を装着し、11:45、雪の上を歩き始める。ステップソールの板なので、シールは持ってきていない。しばらくして雪が途切れ、板を外して少し歩く。そのあとまた板を装着し、ショウブ池を見下ろす区間でまた雪が途切れる。ここが一番長い雪の切れた区間だ。ショウブ池は雪も氷もとけ青い水面が出ている。目指す扇ノ山とその手前の大ヅッコが見える。どちらも東斜面は滑りごろという感じで楽しみだね。この雪切れ区間で、2人味のスキーヤーとすれ違う。持っているのはテレマークスキー。
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 板を装着して雪の上を歩く。今度はツボ足の2人組とすれ違う。最後の雪切れ区間を越えると小ヅッコ登山口。12:42。上山高原から2.6km、1時間。何もかもルーティンで進行している。多分この先も。
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 ここから本格的な入山。ブナ林へと分け入る。しばらく谷状の地形の底部を行く。進行方向右側の斜面から滑り降りてきたスキーのトレースがある。隣接する河合谷登山口へと下るルートから軌道修正してきたものと思われる。このトレースは前日につけられたものだと帰宅後に判明する。
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 小ヅッコ小屋を経て、杉林、そしてブナ林を行く。しばらくは雪面に顔を出したブッシュがうるさい。河合谷登山口からのルートと合流し、ブナに覆われたなだらかな稜線を行く。大ヅッコへの登り勾配が増してくると、疎林となる。勾配が増すといってもスキー場の初級者コース並み。例年5月の連休くらいまで雪が残る、最後のゲレンデだ。5月下旬に滑ったこともある(2006年5月22日2011年5月24日)。

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 さらに行くといったん平坦になった後で勾配がきつくなる。単独のアルペンスキーやが下山してきた。慣れていないようで、こわごわ滑っている。さらに、単独のテレマーカー。革靴で華麗に滑っていく。またまたやってきたのはアルペンスキーの男女2人連れ。女性の方がかなり恐る恐るという感じ。今日は、あまりスキーになれていな人の割合が多いようだ。扇ノ山はそうした人も温かく迎えてくれる優しい山だ。この日であったのは、この人たちが最後。大体クルマの台数と辻褄が合う。
 大ヅッコを越えるといったん鞍部へと下る。標高差50mあまり下るのだが、そのあと山頂まで100m登らなければならない。シールと違いステップソールが有利な場面だが、やや勾配がきつく林も濃いのであまり楽しく滑れるわけではない。
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 鞍部まで下ったら、いよいよ山頂へ最後の登り。広い斜面がだんだん狭まってくる。進行方向左手、つまり東斜面が滑りごろの斜面。ザラメでいい感じ。山頂手前の展望テラスからは、北西方向の鳥取市街が見渡せる。視程はいまいちで湖山池は霞んでいる。鳥取砂丘は確認できず。
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 そして山頂へ。14:17、避難小屋の内外にはすでに人の気配はなくひっそりしている。小屋の周囲は、まるで根明けのように雪が解けている。雪の壁の高さはスキー板と同じくらい。つまり、170cmくらい。ぼんやりと見える氷ノ山は今にも雲に飲まれようとしている。かなり雪も解けている。
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 ザックを下し、動画カメラを胸に装着して滑降準備。まずは東斜面。快適なザラメかと思ったが、気温が高くちょっと緩みすぎ。帰宅してからこの日の最高気温を調べると麓の鳥取で22.7度、豊岡23.6度まで上がったとのこと。日差しが弱いのがせめてもの救いだった。
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 山頂まで登り返したら、今度は南西斜面へ。ほんの少し稜線を南に行くとその西側に疎林のいい斜面が広がっている。東斜面よりダイナミック。ここが今日一番の滑降だった。しかし、カメラの録画ボタンを押し忘れていた。
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 登り返して三たび山頂へ、15:11。ザックを背負って、再び東斜面へ。今度は登り返さずそのまま大ヅッコへの鞍部に向けてトラバース。鞍部から大ヅッコに登り返したら、東斜面へと回り込む。私が登りの時にすれ違た人たちはみな稜線をあまり外さずに滑っていたが、大ヅッコ北斜面の上段は、東斜面へ回り込んだ方が楽しい。平坦になったところで稜線に戻り、広い疎林となった下段の斜面を滑る。最後まで雪が残るゲレンデだ。
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 そのあとはだんだん藪がうるさくなってくるので、進行方向左、つまり西側へ向かう。林を脱出すると広大な雪原へ。河合谷の大根畑だ。初めはほとんど平坦で滑るよりどちらかというと歩きの割合が大きいが、徐々に勾配が出てくる。しかし、畑だけあって日当たり良好で、雪が薄く土や草が出ていて、場合によって行き止まりとなってしまう。どうにか雪をつないで下り、疎林へ入る。林の中は雪がしっかり残っている。

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 そして最後は農道を下り、15:53、舗装路に突き当たる。といっても雪に覆われているので、舗装路も未舗装の農道も変わりはないのだが。
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 突き当りを右に進むとすぐに河合谷登山口、そして水とのふれあい広場。水とのふれあい広場の東屋が撤去され、なんだか広く感じる。道は二股に分かれ、左は河合谷牧場へ下る道。一応雪に覆われているが、かなり薄くなっている雰囲気だ。私は右、兵庫県へと戻る道。少し登り返しとなるが、ステップソールの板には何の問題もない。すぐに下りとなり、16:11、小ヅッコ登山口。雪が切れているので板を外して歩く。もう上り返しはない。車道の残雪を滑り降りて、ショウブ池とその先の雪切れ区間を歩いて上山高原へ戻ったら、16:44。私のクルマだけが残っていた。
 その夜、前日の扇ノ山のスキーの報告がインターネットに上がっていた。上山高原からのものだ。報告者は、2010年4月に野伏ヶ岳で出会った人だった(序盤の林道歩きで追い越された人)。

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