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2020/08/11

くらます周回

 鳥取県若桜町の「くらます」という山をスキー登山で訪れたのは3年前の春だった。鳥取・岡山・兵庫の3県の境の鳥取側の山だ。3月の下旬に西側の麓の吉川集落をベースに登頂し、4月初めにはちょうどその裏側、東側から登った。その時期には雪に閉ざされているものの、さらに奥には両側のベースをつなぐ道もあり、つまりはくらますをぐるりと一周する車道がある。雪が解けたら走ろうと思っていたのに、すっかり忘れていた。
 国道29号線の戸倉峠を越えて兵庫県から鳥取県へと入ってしばらく、短いトンネルを抜けると「不動院岩屋堂」の案内板がある。ちなみに短いトンネルの名は「岩屋道トンネル」。案内板に従って県道72号線へと左折。すぐに川の向こうに仏閣が見える。崖の中の洞窟に収まったお堂。その名も岩屋堂。鳥取県では三朝温泉の近くにある投入堂が崖の途中の洞窟の中のお堂として有名だが、こちらにもあるのだ。
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 その駐車場にクルマを止める。ここから自転車スタート。数日前に大雨警報が発令されるほどのまとまった雨があったので、増水した吉川川の流れは迫力がある。普段との比較のため、Googleストリートビューの画像を並べておく。その吉川川をさかのぼっていくと吉川の集落。標高500m程の山間とは思えない大きな集落だ。集落の最奥部にある牛舎が冬季の除雪の限界点。スキー登山ではここにクルマを止めて歩き始めた。
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 吉川を抜けると左手に「くらます」が見える。雪に覆われたホワイトくらますとはまた違う、グリーンくらます。
 そのあと道は林間に入り、登り勾配が増す。ヘアピンカーブの先端から未舗装のダブルトラックが分岐している。スキー登山ではくらますの中腹まで続くこのダブルトラックをたどった。
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 しばらくすると県道の終点を示す標識。ここから広域基幹林道沖ノ山線となる。が、その林道の標にも「終」とある。智頭側が林道の起点、こちら若桜側が終点ということなのだろう。ただし、県道から林道へと変わっても、道は舗装のままだし、特に目に見える変化はない。クルマで通れば、あるいは自転車でも下りならば、道路の管轄を表す標にも気づかずに過ぎてしまうことだろう。
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 実際にここを自動車と、自転車の下りで過去に通っている。自動車で通ったのは、2005年の夏。東山から南に延びる稜線のシングルトラックをMTBで走った時のアプローチ。自転車で下ったのは、2003年の初夏。沖ノ山林道ツーリング。
 さて、さらに登っていくと分岐点。沖ノ山線から左に分岐する林道大道中江線へ。ここからは初めてたどる道。ところがその分岐する道には工事中、立入禁止を示す案内板が見られる。なのにその看板は、道を塞ぐようには置かれず、まるでゲートが開かれているような設置の仕方。どう解釈すればいいのだろう。まあそれは考えてわかることではないし、ここで撤退という選択肢はない。突入だ。何せまだ登りなのだから、通行できない現場で引き返せばいい。
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 黙々と登っていく。なんと道路の両側の木の間にクモの巣が張っていた。高い位置なのでその下をくぐる。ということは、工事関係の車両も少なくとも今日は通行していないということだろうか。普通乗用車なら蜘蛛の巣の下を通ることになるが、トラックなら蜘蛛の巣を突き破るはず。数日前の大雨の影響で側溝から路面に水があふれている箇所があるが、クルマが通った濡れあとはない。まあ時間がたてば乾くものだから、あまりこちらの証拠能力は高くないが。
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 峠が近づけば、木々の合間からくらますが見えた。吉川から見上げた時よりも、かなり近く感じられる。ほとんどが木に覆われた山だが、所々部分的に木々がなく、草原あるいは笹原が見えている。この裏側の山頂直にはさらに大きなオープンスペースがあり、冬にはまるでスキー場ゲレンデのように見える。氷ノ山からはそのオープンバーンがよく見え、いつかスキー登山をしてみたいとずっと思っていた山だった。くらますがのぞく木々の切れ間は、土砂崩れの跡だった。道路は修復されているが、谷をのぞき込めば崩れ落ちた痕跡があらわになっている。
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 そして峠へ到着。標高は1000mをほんの少し超えた。峠はくらますの南に連なる高倉というピークのさらに南の鞍部。峠を越えた側には、うっすら雲がかかった高いピークが見える。三室山だ。
 さて、下りにかかろう。今日のコースはわかりやすい。標高差700mを登って下る。そう、あとは下るばかりなのだ。まずは高倉の南斜面をスイッチバックするようにつけられた道を下る。深い谷を隔てた山肌にも、何やら道が見える。あれは、三室山の西の鞍部を越える大通峠へと登る道のようだ。あちらもいつか走ってみたい。
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 このまま順調に進んでいけると思っていたのだが、突然大きなクレーン車が目の前に現れた。法面の崩落を防ぐ工事だ。命綱を付けた数名の作業員が、法面で作業をしている。クレーンは道を塞いでいて四輪車の通行は無理。自動二輪も厳しいが、自転車はすり抜けていける。強行突破を試みる。作業員たちはこちらに一瞥をくれることもなく作業に没頭している。気付かないふりをしてくれたのかもしれない。どうにか通過。
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 ひたすら下って沢の流れる谷底に降り立った。ここは分岐点。さらにこのあたりから道路の路肩が損傷し、応急措置として鉄板がかぶせてあるような箇所が見られる。沢沿いの道の宿命だ。大通峠方面の道から工事関係と思われるトラックがやってきた。道を譲るが、相手は停止したのでこちらが行く。これが山間で出会った唯一の通行車両だ。
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 そのあとは加地川が流れる音を聞きながら下る。しばらく行くと、加地川の中に珍しいものがあった。堰堤のようであるが、水をせき止めるほどの高さはない。さらに、中央に3本の溝が切られ、そこから水は下流に流れている。溝には鉄板が被せられている。つまり、クルマが渡渉できるようになっているのだ。対岸にはダブルトラックが続いている。道路とクロスする沢が路上を通過する「洗い越し」の大規模なものともいえる。まあ、安易に橋を架けるわけにはいかないのだろう。頻繁に起こる土石流で橋が破壊されたり、あるいは橋に引っかかった倒木などが流れを塞ぎ、溢れ出た水が周囲の道路などに被害を及ぼす。数日前の大雨で増水しているからなのか、普段からそうなのかわからないが、とにかくにぎやかな音を立てて流れ続ける加地川は元気な川だということが容易に想像できる。橋を架けるなら水面から高くて頑丈な橋にしなければならないが、それには費用が掛かる。道の用途と建設費用のバランスから出来上がった建造物ということだろう。道なりに行くぶんには渡渉の必要はない。渡渉ポイントを横目に、さらに進む。
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 その先、ヘアピンカーブが続く区間が何度か現れる。滝となった加地川に沿った道が急降下している。その急流区間の下に、水力発電の施設があった。なるほど、普段よりも増水気味であることを差し引いても、常時パワフルな水の流れを利用しない手はないわけだ。
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 さらに下ると、左に橋が架かっているが、ゲートが閉じられクルマは自動二輪は渡れなくなっている。3年前の4月には、この橋のたもとにクルマを置いて、ゲートを乗り越えて入山した。林道はやがてキャタピラ重機用のダブルトラックの作業道となり、山頂近くまで続いている。地図に載っていない植林の作業道を見つけたのは、Googleマップの航空写真。作業道の終点から少しだけ林間を歩けば、スキーゲレンデのようなオープンバーンに到達できた。そのスキー登山の時にも、この橋のたもとでスキーの準備・撤収する間の沢音が耳に残っている。雪解けの季節だから、増水していたということだろうが。集落からかなり奥にあるこの位置までクルマが入れたのは、奥にある水力発電施設の関係だった。施設そのもののためだったか、その手前の道路の工事のためだったかは忘れたが、何かの作業のため早めに除雪が行われている、という情報をつかんで決行したのだった。
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 標高500mの吉川集落まで除雪されている西側に対し、東側は国道29号線沿いの加地集落から延々と林道を歩かなければならず「裏くらます」などと呼ばれることもある。なお、くらますにはしっかりした登山道はつけられていないようで、無雪期には本日越えた峠から、高倉を経由して尾根伝いに行くのが最も一般的らしい。
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 加地川沿いにどんどん進んでいけば、橋が見えた。川岸に畑が見られようやく加地集落まで降りてきた。国道29号線も、下り基調。2kmで岩屋トンネルを越え、岩屋堂へ。
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 ふつうは、登りが長く下りが短く感じられるものだが、今日は下りが長いように感じられた。要するに、登りに使った道沿いにはかなり奥まで集落があり、それも大きな吉川の集落。西側は、ほとんど下りきった加地まで全く集落はない。とにかく、水の流れる音が印象的な下りだった。
 7月中旬、約24.4km

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コメント

 くらますは白い東斜面を滑ってみたいです。気持ちいいだろうなあ。

投稿: すう | 2020/08/12 10:03

 また裏くらますをご一緒する約束なんですが、雪が少ない冬が続いて決行できません。

投稿: はいかい | 2020/08/13 12:40

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