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2019/04/17

残雪がいまだに多し扇ノ山

 もうそろそろかな。2度の残雪調査からひと月経過した4月上旬、扇ノ山に足を向けた。寒の戻りの波状攻撃で、記録的な暖冬のわりに近畿地方の桜の開花は平年より1,2日早いくらいだし、満開は平年並みか1日遅くなった。3月中に解けてしまうんではないかと心配した扇ノ山の残雪も、かなり持ちこたえていると思われる。
 扇ノ山の残雪期の登山口として京都府丹後半島から一番近い上山高原までは、まだ除雪されていないかも知れない。例年、4月下旬に行われる野焼きにあわせて除雪が行われる。雪が少ない年には早めに除雪されることがあるが、そのあたりは不確定要素だ。今シーズンのこれまでの情報では、少なくとも上山高原の少し下の標高700m付近までは雪が溶けてクルマが入れるようだが、車道歩きが長い。標高900mの上山高原からの2.8kmの車道歩きだけでも十分だ。過去には標高600mのシワガラの滝入り口から歩いたこともあるのだが。
 それよりも最近のお気に入りは、河合谷牧場からのアプローチだ。兵庫県を越え、鳥取県まで行かねばならないので、クルマの走行距離は片道10kmと少し伸びるが、ある程度雪解けが進むと標高860m付近までクルマが入れるようになる。車道歩きが3.3km。上山高原からの車道歩きと比べて少し長い。ただし、河合谷高原からの車道は、日当りがよいため雪が解けて路面が露出した区間が長く、自転車が使える。雪解けは、必ずしも下から進んでいくとは限らない。日当たりの影響も大きいのだ。クルマは、最初の残雪区間の手前までしか入れないが、自転車は残雪の上を押して乗り越えることができる。
 というわけで、8時半過ぎに家を出る。山陰近畿自動車道の無料区間が延伸し一気に兵庫県を通り抜け、鳥取県に入ってすぐに岩美町から南下。雨滝集落から河合谷牧場へ。
 深く深く山に入る。3月上旬の残雪調査で行く手を阻まれた残雪区間を過ぎる。だが、クルマの通行こそできるものの、道路の両脇には結構雪が残り、ひと月経過した割に雪解けがあまり進んでいない感じだ。日当りのよいところには全く雪が見られないが、山影になるところには雪が残る。そして、道の両側に雪の壁ができている区間があった。これは明らかに除雪の跡だ。今まで、この道が除雪されていることはなかった。年によっては、薄い残雪を乗り越えながら標高860m地点までたどり着いた。今日もその覚悟で、ノーマルタイヤへの交換を延ばし、スタッドレスタイヤを装着したままのクルマで来ているのだ。
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 河合谷牧場の入り口分岐を過ぎ、除雪の壁を何ヶ所か見ながら標高860m地点へ。ここは横向きに張り出した支尾根を回り込む区間で、支尾根の北側は多くの雪が解け残る。残雪期にはクルマはここまでしか入れない状態が長く続く。今日はここまで除雪されていた。
 何はともあれここまで着たら十分だ。自転車を組み、スキー板をフレームとサドルに固定。出発前に、少しパンを食べて腹ごしらえ。すると軽自動車がやってきた。クルマから1人の男性が降りてきて、話しかけてくる。こういう場合、大概「この先にはもう行けませんかねぇ」と、一目瞭然のことを訪ねてくるのだが、やはり今回もそうだった。わかっていても聞かずにはいられないのだろう。熊の調査だという。名残惜しげに引き返していった。
 さて、出発する。作為的に雪が積まれてクルマを通れなくしてあるが、その先も除雪が続いている。積まれた雪を乗り越えたが、100mも進まずに残雪に当たった。雪が積まれている理由はわからない。
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 自転車を押して残雪の上を行くが、雪が緩んでいて足も車輪も雪に埋もれて進みにくい。支尾根を南側に回り込めば雪が解けて路面が出ていることを期待して進むが、きついラッセルを強いられなかなか進まない。雪面は真っ白。まだ積もったばかりの雪なので、締まっていないと言うことか。いや新雪の下の根雪も随分緩んでいる。もう自転車を諦めて、スキーを履いて歩こうかと、心が折れそうになる。かなりの時間を浪費してようやく支尾根の南側へ。やはりこちらは雪が解けている。やっと自転車の活躍の時だ。
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 嬉々として自転車にまたがる。上り坂をスキーブーツでのペダリングではあるが、重い濡れザラメ雪のラッセルよりは劇的にスピードアップ。
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 西側の景色が開けてきた。北西方向に鳥取市街や鳥取砂丘、第1回扇ノ山残雪調査に訪れた時に一周した湖山池もはっきり見える。真西には稜線に雪を頂いた峰々。あれは三国山だ。一度登ると親しみが湧く。あの帰り道に第2回残雪調査をしたのがひと月前だ。さらには奥に大山の姿がうっすら見える。春霞のこの時期、大山が見えるのは珍しい。
 しかし、自転車活躍の場面はつかの間、すぐに残雪に行く手を阻まれる。三日天下どころか数分の天下だった。1kmも走っていないんじゃないか。せめて路肩の50cm位アスファルトが露出していれば十分なのだが。帰宅してからGPSトラックを解析したところ、最初の雪上区間は約600mで、ここを通過するのに30分近いくかかった。それに続くアスファルト露出区間も約600mで、写真撮影の停止を含めても10分弱。アスファルト露出区間は下りでは劇的に速くなるが、残雪区間は下りも難儀することが予想される。せめて雪が締まっていればいいのだが。
 そのあとは小刻みに、残雪とアスファルトが交代で現れる。この辺りでこの春の残雪は思いのほか多いのではないかということに気付き始める。西日本の平野部、特に日本海沿岸の記録的な寡雪の印象が強く、寒の戻りが繰り返し訪れたといっても平年よりは残雪が少ないと決め付けていた。ちなみに、昨シーズンは10日程遅い4月半ば過ぎに扇ノ山を訪れたが、かなり雪解けが進んでいた。天気の週間予報からしても、今シーズンあと10日で昨シーズンのその日と同程度まで雪が解けるとは思えない。1月には久美浜湾(海ですよ)が凍結し、2月には京丹後市の平野部(標高35~40m)の我が家の周囲で50~70cmもの積雪深を記録した昨シーズンよりも、1cmも雪が積もらなかった今シーズン方が、ここへ来て雪が少ないということなのだ。
 さらに、2016年には、今シーズンのこの日と同時期に扇ノ山を訪れているが、2年前のあの日車道はすっかり雪解け。無雪期の登山口までクルマで乗り付けた。そして登山道に入っても雪はなく、山頂を諦め、最も雪が残る大ヅッコ北斜面を滑るだけだった。
 2000年のゴールデンウィーク後半、つまり5月初旬に初めて訪れて残雪の多さに驚いてから毎年欠かさず通い、20シーズン目の扇ノ山となるが、最も雪が少なかったのは2007年。雪があるうちにと3月に何度か試みるも、藪に阻まれたり寒の戻りの新雪ラッセルで山頂にたどり着けなかった。満を持して4月に訪れたらもう雪が解けていた。今年もそうだが、真冬に雪が少ない年には寒の戻りがしつこく繰り返されることが良くあり、訪れるタイミングが難しい。というわけで、この2シーズンだけ扇ノ山の山頂にたどり着けなかった。今日は間違いなく、山頂から滑ることができる。

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 結局、車道区間の半分を少し過ぎた1.9km地点で自転車を諦める。スキーを装着して雪の上を歩くのは、なんと快適なことだろう。その先はスキー板を外さねばならなかったのは1ヶ所のみ。残雪が丘のように盛り上がったところもあり、自転車を諦めたのは正解だった。
 自転車が活かせず残念な気持ちになるが、スキーが主目的なのだから雪が多いのはいいことではないか、ということを思い出す。
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 山水が湧いている「水とのふれあい広場」も、周囲は雪に覆われている。そのすぐ先が河合谷登山口。この登山口は取り付きに木段が組まれている。急斜面で雪が付きにくく木段が露出していることが多いが、今日は雪に覆われている。スキーでも登れそうだが、それはシールがあっての話。ステップソールでは急すぎるので、いつものようにもう少し進んで段々畑を縫う農道から入山する。
 県境を挟んで、兵庫側の小ヅッコ登山口と鳥取側の河合谷登山口が比較的近い距離にあり、それぞれの登山道は山に入ってすぐに合流して県境の尾根をたどる。両方とも登山口からしばらくの間は藪、つまり細かいブナの木や、倒木、落ちた枝を除けながら歩かねばならないが、鳥取側はブナ林に隣接して大根の段々畑となっている。雪が解けてくると段々畑のエッジが露出して、農道を辿るしかなくなるが、今日は一面の大雪原となっている。
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 その雪面にスキーのトレースが数本。数日前のものだ。さらに今日のトレースも加わった。今日のトレースは下りのもの。今までは見られなかったことから兵庫側、上山高原からのアプローチだろう。登りはブナ林を歩いたものの、縦横無尽に滑ることができる段々畑に出てきたというところか。上山高原までは車道の残雪が途切れなくつながっているだろう。問題はどこまで除雪が進んでいるかだ。このトレースの主がネットに記録を上げてくれたら、その様子がわかるのだが。
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 段々畑を登り、大ヅッコ手前で林の中の登山道へ。ここまで来ると、疎林となるため歩行はもちろん下りでも楽しいツリーランができる。
 大ヅッコを越えたら一度鞍部へ下る。ステップソールのお陰でアップダウンは問題ない。南向きで雪が解けて地面が出ていることもあるが、やはり今日は分厚い雪に覆われている。ややブナの木の密度が高いが快適なザラメの滑降だった。
 そして山頂への登り返し。十分に雪はあり心が躍る。
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 誰もいない山頂へ到着。東山、そして氷ノ山がくっきり。氷ノ山もまだ白い。東尾根は一の谷まで十分滑れるんじゃないか。扇ノ山の山頂の小屋の周囲は、ブナの根明けのように丸く雪が解けている。積雪深は場所によってはまだ1mを軽く越えている。壁が垂直ではないので単純には言えないが、170㎝あまりのスキー板と比較して150㎝以上の積雪ありそうだ。
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 風が冷たいので小屋に入って休憩。ブーツを脱ぐのが面倒なので、土間でパンを食べる。
 さあ、いよいよ滑降だ。程よい斜度の山頂東斜面は十分な積雪。ただし、冷たい風でややクラスト。滑り出しでいきなり転倒。そのあとは、足の裏で雪質を探るように慎重にターン。もう登り返しはせず、そのままトラバースで大ヅッコとの鞍部へ。
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 大ヅッコへ登り返して、大ヅッコ東斜面へ。東斜面は、早く日が陰るのでクラストして滑りにくいが、こちらから東側の景色も見ておきたい。山頂からは東に延びるブナに覆われた尾根に阻まれるが、大ヅッコからは東の展望が開けている。
 青ヶ丸と仏ノ尾の間に見える鉢伏山はすでに茶色だ。でも、3月末までハチ北高原は営業していた。さらにうっすらと見えるのは丹後の山、依遅ヶ尾山。独特の形が目印だ。これが見えるということはこの時期にしては見通しがいいということだ。
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 そのあとは大ヅッコの北斜面でツリーランを楽しみ、段々畑に飛び出す。この先の登山道は濃い藪の緩斜面となり、スピードを抑えて歩くようにいかねばならない。それに比べて段々畑は障害物がなくスキー場の初級者ゲレンデのようなオープンの緩斜面。スピードを殺さずに縦横無尽に滑り、あっという間に車道まで降りる。河合谷牧場の向こうに広がる鳥取平野に向かって滑降する場面もあって総会だ。雪は緩んでいて板の滑りはあまりよくない。歩きためのステップソールと、ターンのためのシングルキャンバーの板だから、滑りが犠牲にされている。滑走時にステップソールの影響を抑えるダブルキャンバーなら少し滑りがよくなるかもしれないが、この雪質ではターンに苦労することだろう。
 もし上山高原からきていたら、段々畑を少し滑ったら藪の中に戻り小ヅッコ登山口へ戻るか、畑を河合谷登山口まで滑り降りてから雪の車道を歩いて小ヅッコ登山口へ戻ることになる。
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 水とのふれあい広場を過ぎ、河合谷牧場の中の車道を下る。自転車に戻るが、やはり雪の上は苦労する。雪のゆるみが増して重い濡れザラメのラッセルがつらい。最後の雪上600mは特に厳しい。自転車にくくりつけたスキー板を下ろし、ブーツに装着。スキー歩行で自転車を押す。こうすれば、足は雪面を踏み抜かないし、軽くなった自転車もあまり沈まなくなる。しかし、何のために自転車を持ってきたのだろう。最後の数十mはアスファルトの上。スキー板を簡単にザックに固定して自転車にまたがる。
 こうしてクルマへと戻った。数日後、ネットにあがった記録によれば、4月6日の時点で上山高原までの除雪が完了していた模様。その日は除雪の限界からずっと雪も途切れず小ヅッコ登山口、そして山頂まで続いていたようで、そちらからのアプローチが最も効率的だった。まあ、効率だけを求めるのではないけどね。
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 こうしてクルマへと戻った。数日後、ネットにあがった記録によれば、4月6日の時点で上山高原までの除雪が完了していた模様。その日は除雪の限界からずっと雪も途切れず小ヅッコ登山口、そして山頂まで続いていたようで、そちらからのアプローチが最も効率的だった。まあ、効率だけを求めるのではないけどね。
 また、車道を下山しているときにクルマのわだちを見た。残雪に挟まれたアスファルト露出区間だ。登山口側の残雪に乗り上げようと試みるも、全く歯が立たず断念した痕跡だ。どうやってクルマがここに来たのだろうかと思いながら周囲を見ると、急勾配の枝道があった。牧場内の作業道だ。クマの生態調査の人がいろいろあがいたのかも知れない。いずれにせよ、1,2か所の残雪帯を越えても、どんどんと厚みを増した残雪が現れる。どうせ登山口まで来るまで行くことは無理なのだ。
 とにかく、扇ノ山の残雪は、ここへ来て平年並みまで持ち直したといってもいい。おそらく大ヅッコ北斜面はゴールデンウィークも滑れそう。さすがは扇ノ山だ。

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