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2019/02/25

神鍋アルペンローズで春の新雪を滑り20世紀を懐かしむ

 先日の大江山連峰鳩ヶ峰での新雪滑りが楽しかったので、2匹目のドジョウを狙う。2月中旬には北からの寒気団が日本付近に南下、長く居座ってくれたおかげで、弱いながら寒波が波状攻撃してきた。これはまたチャンス到来。冷たい雨が降る丹後を出発。但馬の国との境の河梨峠はうっすら雪化粧。豊岡盆地に降りると雪は全くないが、神鍋高原へと登るとまた雪景色となった。空から降ってきているのも雪だ。一度は雪不足で営業を休止せざるを得なかった神鍋山アップ神鍋スキー場も息を吹き返し、全面真っ白。今シーズン最後のひと花を咲かせている。
 右にアップ神鍋、左に万場、奥神鍋のゲレンデを見ながら蘇武トンネル方向に進み、万劫集落へ。集落の外れ、かつてのアルペンローズスキー場の駐車場だった広場にクルマを止める。昨日からの新雪が積もっているが、除雪されるほどではない。15~20cmといったところか。湿った春の雪だ。
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 それなりに新雪が積もっているので、今日はステップソールの板ではなく、新雪専用の太めの板を選択。今シーズン初めてシールの出番。いずれの板でも今日のコースはシールが必要だ。確か、昨シーズンはシールを使う機会がなかったので2シーズンぶりか。
 ここに来るのも2年ぶり。昨シーズン1月、2月はたっぷり雪があったにもかかわらず、アルペンローズを滑ることができなかった。1回の寒波で雪が積もりすぎたのだ。ニュースに出るような大規模な立ち往生まではいかないが、各所で交通障害が発生。渋滞や事故のリスクを避けて、不要不急の外出を控える必要があった。その点、雪不足の今年の方が道路は全く普段通りに走れて身動きがとりやすい。
 板を担いで、万劫集落へ。驚くほど雪が少ない。これまで身長くらいかそれよりも高い雪の壁に挟まれていたのに、今日は足首程度の積雪だ。古い家が撤去され更地が増えているので余計開放的に見えるのかもしれない。(下の写真左側が今年、右は2年前)
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集落の最奥で板を装着。ダブルトラックへ。墓地となっていていくつかの墓石が並んでいるが、それらよりひときわ大きいコンクリートの塊がそそり立っている。かつてのリフトの支柱だ。
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 1965年に西神鍋スキー場としてスタート。1970年代にリフトがかけられ、隣の稲葉集落をベースとする別経営のリフトと合わせてアルペンローズスキー場となり、スキー場が群雄割拠する神鍋高原の穴場としての存在だった。映画「私をスキーに連れてって」のヒットやスノーボードのブームで、1990年代初めまでは賑わいを見せた神鍋高原だが、スキーバブルの崩壊で1999-2000年のシーズンには、アルペンローズは土日のみの営業となり、次のシーズンはリフトのワイヤーに椅子が吊るされることがなかった。
 ダブルトラックを登っていく。車道としては急勾配で、かつてはスキーの下山コースだった。しばらく登っていくと分岐。どちらもすぐ上の平らな部分に出るのだが、道なりでない方、つまりショートカットする方を選ぶ。こちらがかつてのスキーコースなのだが、現在は使われなくなっているようで細かい木が生えて通行に難儀する。下山は、道なりの方がいいかもしれない。
 広い雪原に出た。歩き始めたときよりも何となくガスが薄くなってきているようだ。万劫集落よりもこの平原が実質的なスキー場のベース。ゲレンデ食堂やレンタルスキーの店、そしてリフト中間駅がある。中間駅は普通は下車専用だが、ここは珍しい乗車専用の中間駅だ。つまり、下半分が登行リフトとしての役割。朝は麓からリフトに乗車するのだが、入山してゲレンデやコースを繰り返し滑るには麓集落まで降りずに中間駅から乗車する。そのため、朝の入山の混雑時に麓から乗車する際は、中間駅から乗車する人のため一つおきに乗車するルールとなっていた。
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 広い雪原に降りてくるコースは2つ。山頂から一気に急降下してくるススキコースと、このスキー場で随一の広さを持つあすなろゲレンデ。初心者、初級者、家族連れが安心して楽しめる緩やかな斜面がないのことが、ここが穴場だった理由。しかし、シングルリフト3本のみの小規模のわりに、二つのベースを持ち、あみだくじのように交錯するコースは中級者以上には面白く、私もよく訪れた。
 平原からあすなろコースにかけても細かい木が密集して生えている。小さなアップダウンがある中、できるだけ歩きやすい部分をつないで歩いていくと密林の中に入り込んでしまった。木々の密度が高く、身動きが取れなくなるのではないか、脱出に苦労するのではないか、と心配したが並木道のような一本の道があった。山仕事の人の通路なのかもしれない。中級ゲレンデを直登する形だが、シールとクライミングサポートのおかげでぐいぐい登れる。雪は足首程度のラッセル。新雪だが、湿って重い春の雪であまり沈まない。
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 木々がまばらになってあすなろゲレンデの上部に来た。このあたりが標高差の中間点。あともう少ししたら狭いコースとなる。ガスがはれて麓の神鍋高原やアップ神鍋スキー場のある神鍋山が見えてきた。さらに足どりが重くなってきた。シール面に雪が貼り付いているようだ。湿り気の多い雪はこうなってしまう。
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 狭いコースがスイッチバックするように山肌にレイアウトされている。この辺りは3本のリフトが集まる交通の要衝で、コースであると同時に連絡通路でもある。山頂へ向かう斜面に鉄の支柱が並んだままだ。山頂へのリフト乗り場もこの辺りのはずだが、そちらは跡形もない。山を切り開いた狭い場所のため、山頂リフト乗り場はリフト待ち行列を蛇行させる広さがない。そこで2列縦隊を形成し、1列目がなくなってきたら係員が合図ととも仕切りのロープを持ち上げ、2列目が横移動して1列目に昇格する。たまたまその場に居合わせた見ず知らずの面々が整列した状態で合図を受けて一斉に動く様子を、今思い出せば特徴的。乗車専用の中間駅といい、個性あるスキー場だった。
 さらにしばらく登ると稲葉からのリフト降り場。こちらも何もない。
 その先は山頂に向けての尾根コースだ。「馬の背コース」とスキー場として営業していた頃は呼ばれていたが、その名前ほど狭いわけでなく中級者が楽しく滑れる。ここまで来たら、標高差は残り100m余り。あと3分の1だ。
 このあたりにも灌木が生えているかあすなろゲレンデのように密生せずずっと疎らなままでいてくれている。
 脚が重い。たまらず板を外しシールワックスをかける。ついでに行動食のパンを半分ほど食べる。でも飲み物がない。飲料水を忘れていることには、歩き出してしばらくして気付いたのだが、もうとりに戻る気持ちにならなかった。
 シールワックスのお陰で劇的に歩みが軽くなるが、効果は一次的。すくにまた重くなった。山頂はもう近い。このまま行こう。
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スキー場最上部が近づくとコース内に灌木はほとんどなくなる。北向き斜面のため雪質もよく、早く滑りたい気分になる。けれど、残念ながらこちらを滑り降りる予定ではない。
 そして山頂に到着。標高698m。万劫集落から標高差350m程を2時間余り。山頂と呼んでいるが、三川山、蘇武岳、妙見山と1000m前後の山が連なる稜線の支尾根の末端近くの小ピーク。三等三角点「万劫」がある、アルペンローズスキー場の最高地点だ。山頂リフト降り場の施設は撤去されて、何もない。
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 霧が薄くなり、その切れ間から神鍋高原が覗く。雪はほとんど止んでいる。そして無風。気温は高めで、汗をかいている。脱水症状になるほど汗をかいていないのが幸い。またパンを食べ、滑降に備えてシールを剥がす。
 さて、ススキコースへと滑り込む。万劫からのリフトの中間駅のある広場へと一気に滑り降りる中上級者向けのコースだ。圧雪されない斜面では、このくらいの勾配があるほうが楽しい。ススキコースを滑降する前に、馬の背コースを少し滑り降りて登り返すという案もちらりと頭をよぎったが、飲料水がないので却下。ススキコースでの最初のターンでその選択でよかったと思う。雪が湿って重いのだ。まあ、新雪だから操作はできるしふわふわ感はあるのだが。
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 徐々に成長してきた潅木の間を抜けていく。中腹では潅木が濃い。スキー場クローズから19年、だんだんと滑るのに支障をきたす密度になってきた。自由の利く新雪だからいいが、雪が悪いとさらに大変だ。とにかく林の中でスピードは出せない。ターン一回ごとに停止だ。木々は直径5~10cm程だが、例えば雪崩で流されているときに引っかかったらこの程度の木でも脚の骨は折れる。雪崩でなく、つまり流れる雪の圧力がなくても、スピードが出た状態でぶつかれば、やはり危険である。ここは我慢のしどころ。慎重に抜ける。
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 潅木帯を抜けると、広い雪原が見えてきた。リフト中間駅のプレハブ小屋がまだ残っている。
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 滑り降りたら、平原を歩いて横断。万劫集落へと降りるダブルトラックへ。積もりたての新雪の滑降はそれなりに楽しめた。でも重く湿った春の新雪。2本目を挑みたくなるほどではなく、思い残すことなく下山できる。自分がつけたトレースを辿れば1本目より楽に登れるとはいえ、飲料水もないことだし。
 潅木が邪魔な下山コースを避ける。植物のつるがからみ、お化け屋敷のようになったゲレンデ食堂兼レンタルスキーの店の建物を回りこむ。車庫として使われている部分の屋根が落ちナンバープレートのない軽トラックにかぶさっている。そこからのダブルトラックは山仕事の人が使うのか、路上にブッシュはない。雪が薄く路面が見えている箇所があるので、慎重に。幸い勾配が緩く板が走らない。すぐに、ブッシュに覆われた道と合流。つまり、かつての下山コース。勾配も雪も十分あり、あっという間に万劫集落へ。駐車場の雪は、ずいぶんとけていた。
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 高原の中央のリゾートホテルの裏山の斜面に人影が見える。スノーボードで遊んでいるようだ。あそこも、かつてのスキー場ゲレンデ。神鍋ファミリースキー場(新神鍋スキー場)跡地だ。アルペンローズと同じ、20世紀の遺構である。
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 2月中旬、11:05~14:10

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