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2018/12/03

湖北の晩秋~紅葉の巨木と業平の里と漁村~

 京都市内のランドナー専門店「アイズバイシクル」主催のツーリングイベントが、雨で流れてしまった。数日後、TVのニュース番組で、紅葉したメタセコイアの並木からの中継。先のツーリングで走る予定だった道だ。場所は滋賀県の北部高島市のマキノ。次のこうしたツーリング企画は来春とのこと。どこを走るかはわからない。今回のコースだとしても、紅葉は今しか見られない。というわけで、一人で走ってきた。
 丹後半島から若狭湾に沿って東へ進み、上中の熊川宿を経由して、近江今津へ。途中自衛隊の演習場のそばを通る。誤って敷地外へ着弾して話題になったところだ。
 クルマで2時間半とちょっと。丹後から一番近い琵琶湖。到着は昼。まずは近江ちゃんぽんで腹ごしらえ。朝のうちは時雨模様だったが、何とか小降りになってくれた。
 今津からマキノに北上し、かつての町役場、現在の高島市の支庁がある中心街の東のはずれマキノグラウンドにクルマを止める。たどり着くのにちょっと迷走。湖北バイパスを経由すれば、盛土による高架区間が終った先左折すれば直ぐなのだが、湖畔にある「ちゃんぽん亭」から湖岸近くを走ってきたせいだ。マキノグラウンドはその名の通り運動公園で、図書館も隣接している。
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 赤く色づいたモミジに囲まれた駐車場で自転車を準備する。自転車はクロスバイク。雨はほぼ止んだが、路面は濡れている。ランドナーの方がよかったな、と思いながら簡易泥よけを装着する。簡易泥よけで体への泥撥ねは防げるが、フレームは汚れる。やはり、ランドナーに装着されているようなしっかりした泥よけがいい。
 自転車にまたがり走り出す。田んぼの向こうにメタセコイアの並木が見えている。
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 マキノの中心集落を抜けメタセコイア並木に近づくと、突然クルマが増える。クルマだけでなく、自動二輪も。そして、並木に差し掛かると人がうじゃうじゃいる。道は狭く、並木の外側に遊歩道が設けられているが、多くの人は車道の脇の路側帯を歩いている。中には、写真撮影のため道の中央に長時間佇んでいる人、そしてその人たちにクラクションを浴びせるクルマ。関西人らしい。
 道の両側に高くそびえるメタセコイアの木々は、褐色に色づいた葉を付けている。まだ紅葉の始まりで、落葉は少ない。回復基調の空からは日が射して、木漏れ日の並木道だ。木々、あるいは枝や葉の密度にも濃い薄いがあるようで、薄暗くトンネルを行くような区間もある。
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 並木道は2kmを越える。見物するには自転車が有効だ。クルマで走りぬけるだけでは、味気なく見物したうちには入らない。並木の途中の観光施設や周辺の駐車場にクルマを置いて歩くにはちょっと長い。片道ならいいくらいだが、往復だと5km近くになる。ちょうど丹後の天橋立の松並木、つまり砂嘴区間も同じくらいの長さだが、天橋立は観光船もあり往路と復路に変化をつけることができる。それでも、誰もが全線通して歩くわけではない。当然メタセコイア並木も、駐車場の近くで観光客の密度が高く、離れるにしたがって疎らになる。要するに、人がうじゃうじゃいる状態でしか並木を見物していない人が多いのだ。
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 自転車で通り抜ければ、人が少なく静かな区間も味わえる。それに並木の表情そのものにも変化があるので走っていて退屈しない。クルマよりも、自動二輪よりも表情の変化がよく見える。そして、いつでも自転車を止めてじっくり眺めたり写真撮影したりできる。並木の外側は栗園でそちらから見る並木もいい感じだ。なのに、並木道で見かけた自転車は本の数台、数えるのに片手で足りる。その中の1人は、自転車を押して歩いていた。本当はそうやってところどころで歩いてじっくり見物するのがいいのだけれど、私の場合は何度か停車したけれども基本的には走り抜けてしまった。
 並木が終ると湖北の山並みが目に入る。その直ぐ先がマキノスキー場。雪はまだ一切積もっておらず、駐車場を自由に利用してよい、と記されているが止まっているクルマを数えるのにも、やはり片手で足りる。並木までの200mを歩くより、人がうじゃうじゃいる施設の駐車場に空きを探す方がいいらしい。
 このメタセコイア並木が有名になったきっかけは、韓国のドラマ「冬のソナタ」とのこと。オープニングを含めた各場面に登場する並木と似ているらしい。私自身は「冬のソナタ」に全く興味がなかったのだが、それが日本で社会現象になったのとちょうど同じ頃、とあるテレマークスキー関連の映像の中にメタセコイア並木が登場していた。おそらくマキノスキー場の帰り道のクルマの車窓風景を撮影したものだろう。
 さらにそのもう少し前、1999年5月に、私自身この並木道をクルマで走っている。静岡県の山間部を自転車で走るために訪れた帰り道、マキノに寄り道したのだ。丹後と東海地方とを結ぶ最短ルートは湖北を経由するのだ。しかし、新緑に覆われていたはずのメタセコイア並木の記憶は一切ない。静岡の茶畑の緑はしっかり焼きついているのに。
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 白谷からは八王子川の谷を遡る。用水路の流れる木造の建物の集落を過ぎると、赤や黄色が鮮やかな木々に囲まれた別荘地。そして、19年前の初夏、長いドライブの気分転換に訪れた温泉入浴施設の脇を過ぎる。さあ標高差300mの登りの始まりだ。先日雨で流れたツーリングの計画にはない区間だ。そのツーリングはタンデム自転車、つまり二人で漕ぐ二人乗り自転車を中心としたものなので、アップダウンを少なめに計画されている。
 メタセコイアの並木道の県道283号線とはうって変わってほとんどクルマが通らない。その県道533号線は、別荘やペンションが立ち並ぶ区間を過ぎると、山間部の景色に変わる。色づいた山と八王子川の流れを見ながら上る。
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 進行方向が北から東に変わりしばらく登ると勾配が緩くなり、谷が開け田園が広がる。直ぐに集落が現れた。在原だ。何も調べずに来たのだが、集落内の案内板を読むと平安時代の歌人、在原業平ゆかりの地で、その墓もあるらしい。いずれにせよのどかな山里だ。元々、淡い秋の日差しが、西に傾いてさらに弱く照らしている。葉を落とし実だけをつけた柿の木が、茅葺屋根の民家が、風に揺れるススキの穂が、静かな静かな里の秋を演出している。
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 集落を抜けたところに、在原業平の墓、の案内板があった。県道から北側の山手に向かい、数段の棚田を抜け、山林に少し入ったところに小さな塔があった。これが墓らしい。
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 さらに東へ進むと、峠だ。地図には峠名は出ていない。標高は430m程。峠の向こう側は知内川の谷で、標高差200m以上を一気に下る。その谷底を走る国道161号線を走るクルマの音が聞こえる。その国道を通ってマキノの中心街へ戻ることもできるのだが、大型トラックの割合が高いクルマの爆走道路を走る気にはならない。引き返すのだ。それでも、その谷を見下ろす景色を求めて少し知内川方面に下って見る。木々に阻まれ展望が開けた場所はない。辛うじて、対岸の斜面の雪崩防止柵や電信柱の頂上が見える場所で写真を撮って峠へ登り返す。
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 ここまで指切りグローブで来たが、防寒のフリース手袋に交換して来た道を下る。標高差300mを一気に駆け下りる。途中で、一台の自転車とすれ違う。折畳小径車「ブロンプトン」だ。確か、メタセコイア並木でも見かけたぞ。ブロンプトンは折り畳むと非常にコンパクトになるが、反面走行性能は高くない。この坂道はかなりきついはずだ。がんばるなぁ。
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 白谷まで下り、クルマがそこそこ通る県道283号線を渡って、農道へ。そして、知内川へ。在原の峠から見下ろした谷底を流れる知内川の少し下流というわけだ。動物除けのゲートを抜け、端を渡って川沿いの道へ。自転車歩行者専用道路として整備されている。東に向かって川を遡る。とはいえ、緩やかで登りというほどのものではない。少し狭まった谷が開け広大な田んぼとなる。国道161号線の追坂峠かわすように知内川は左にカーブし、国道に沿って北上して行く。在原の峠から見下ろした谷へと続いていくわけだ。私は川沿いを離れ追坂峠へ。といっても登りらしい登りはない。
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 峠からは琵琶湖に急降下だ。センターラインの向こう側には登坂車線がある。クルマの爆走国道ルートだが、短いし、しかも急な直線の下りなので一気に通り抜けられる。ここがタンデム自転車のツーリングコースに組み入れられている。登りでないとはいえ、下りも要注意だ。一人乗りの自転車と同じブレーキで、ライダー二人分の体重とその分増量したフレームを含めた車体重量をコントロールしないといけない。
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 下りきったら国道を離れ、海津の湖岸に出る。少し海津大崎に向かって走ってみる。現在、少し先のトンネルが通行止。そのせいかクルマが少ない。サルの群れが道を占拠している。夕陽が湖を照らし、きらきら輝いている。通行止の手前で折り返し海津に戻る。
 海津の集落の中の道が工事で通行止。国道をできるだけ走りたくないので、集落の中の路地を迷走。木造の風情ある家並みだ。ここは漁村で、船着場のある運河のようなものもあった。
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 結局、少し国道を走る。路肩は狭く、クルマは多く、1kmにも満たないがストレスのかかる路線だ。西浜で国道を離れ湖岸へ。知内川の河口からは左岸の堤防の上を行く。この堤防の上も自転車歩行車道として整備されているが、実はそれは対岸の堤防。でも、その名目のつかないこちら側も同じように整備されて走りやすい。国道161号線は高架橋の下をくぐり、マキノグラウンドの直ぐ近くの橋のたもとに到着。橋を渡ればゴールだ。ちょうど日没。
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 自転車をクルマに収め、17時ちょうど、帰路に着く。
 11月下旬、13:35~16:45、37km

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