« 大寒寒波 | トップページ | 酉年の初スキー登山は大江山連峰鳩ヶ峰 »

2017/01/30

快晴の氷ノ山三ノ丸

 「これだけ登ったらええ道ができとるわ。」
 登山届を記入しているわかさ氷ノ山スキー場のスキーパトロール詰め所。声を発した隊員の手元を見ると、分厚い登山届の束。大雪の後の快晴の土曜。たくさんの人が入山しているようだ。やっぱり、今シーズンの一番の雪山日和になる可能性が高いよね。
 途中の若杉峠からかつての新と倉スキー場のベース、道谷集落辺りは厳しい雪道だった。そして、わかさ氷ノ山スキー場への道も雪により車線が狭まり、奥の無料駐車場に入ろうとしたら対向車としてマイクロバスがやってきて、駐車場からゲレンデへ向かう歩行者がいる路面凍結した急斜面をバックで延々下る、そんな恐ろしい運転をさせてもらったため、結構時間がかかった。マイクロバスは宿泊施設のもの。団体客をゲレンデまで送ってきたようだ。道幅が広くなったところで離合。凍結路面の坂道発進は、四輪駆動が心強い。もう少し下の有料駐車場入り口までは、凍結防止に山水が路面に流されている。事故を起こすリスクの低い有料駐車場を選ぶほうが賢明なのかもしれないが、今回のタイミングが付いていなかっただけだという風にも取れる。まあ、時間が多少かかっただけで住んだのが幸いだ。ついでにいうと、駐車場からゲレンデまでの歩きも、つるつる路面に難儀した。
Dscn8912Dscn8916Dscn8917


 10時、リフト乗車。2本乗り継いで、標高1200mのゲレンデトップへ。大山、扇ノ山の展望を楽しみながらスキー板をザックに固定してつぼ足登行の準備。
 降雪は25日水曜の未明まで。雪の供給が途絶えて今日で4日目となる。もう新雪を楽しむ状況ではなかろう、ということで本日は太さがノーマルの板。ステップソールのため、シールを持ってこなかった。しかしこれ判断ミス。大量に積もった雪は、まだ十分に踏み固められていなかった。もちろん、今日たくさんの人が登っているが、みなスノーシューやかんじきを付けている。また、スキーのシール登行のトレースもあるが、急登のため振幅を大きくとって斜面を巻いて登っている。つまり、トレースがばらついているため踏み固めが緩く、つぼ足では深く踏み抜いてしまう。ただでさえ急登なのに雪の深さが加わって、一歩を踏み出すのに大きく足を上げねばならない。中途半端に固まっている雪は、体重を乗せるとす部ずぶと沈んでしまい、また次の一歩を大きく持ち上げなければならない。少し勾配が緩むと、スキーのトレースもスノーシュー等の直登ラインに重なり、そういうところではつぼ足でもほぼ踏み抜きがなくなる。しかし、トレースが分かれると、どちらが固められているかを判断せねばならず、結果的にはどちらも踏み抜いてしまうのである。
 やせ尾根区間に到達したところで板を装着することにする。例年よく雪庇ができるところだが、今年はまだ積もりたてのせいか雪庇がない。
Dscn8928


 準備をしていると前方からスキーヤーが滑り降りてきた。女性のアルペンスキーヤーだった。
 やせ尾根区間は比較的平坦なのでステップソールで十分クリア。しかし、その先の登りで苦戦。頂上台地はすぐそこなのに、勾配がきつすぎてトレースをたどれない。緩やかなライン取りで行くか、階段登行ということになるが、いずれもラッセルとなる。かんじきのハイカーが追い越していった。少し遅れて背中にスノーボードを背負いスノーシューをはいた山ボーダー。スノーボードのデザインに見覚えがある。そして、少し先でハイカーと合流。駐車場で隣のクルマだった二人組みだ。片方はスノーボードあり、もう一人は滑走用具なしという、変わった取り合わせだ。
Dscn8932Dscn8935Dscn8934


 樹氷がすっかり落ちた林を抜け、何とか広大な頂上台地へと出た。青い空と白い雪原のツートンカラーがまぶしい。笹はほとんど埋まっている。うねった雪面は猛吹雪のなごり。雪はおおかたクラストしているが、くぼみは粉雪が吹きだまりとなっている。押さえつけても固まらない粉雪には、ステップソールは全く効果なし。登りが少し急になったら大きな振幅で左右に振るコース取りが必要となる。ソール全面を覆うシールなら大した苦もなく行けたのだろうに。
Dscn8939Dscn8946Dscn8951


 単独のスノーボーダーが下っていき、また板を背負った単独のスノーボーダーが追い越していった。結構スノーボーダーが多い。
 随分時間をかけて三ノ丸に到着。ああ、長かった。シールを持ってこなかったのは大失敗だった。でも、ここまでくればもう大丈夫だ。
Dscn8958Dscn8952Dscn8955


 氷ノ山山頂が手にとるように見える。カメラでズームアップすると数人が山頂にいるのが確認できた。扇ノ山にもたっぷり雪が積もっているようだ。あちらはスキー場などないので、春になって除雪が進むまで、山頂を訪れる人はかなり少ない。
 氷ノ山の右手には蘇武岳そして但馬妙見山。妙見山の右肩の奥には、遠く加賀白山が位置しているのだが、もちろん見えない。白山が見えるのは限られた好条件の日だけだ。昨年2月11日に来た時には朝のうちは見えていたのだが、残念ながら到着した時にはもう霞みに阻まれていた。
 南に目を転じれば、三室山に後山。東方に視線を向けていくと沖ノ山東山の間に那岐山が覗いている。伯耆大山は随分かすんできた。天気は下り坂だ。
 さあ、以降。ワサビ谷を目指し、山頂方面の稜線を滑り出す。稜線上の小ピーク、「ワサビ谷の頭」の手前と奥のどちらを降りても途中で合流し、それをひっくるめてワサビ谷なのだが、いつもどおり奥、つまり山頂側へ。
Clip0001mp4_000021306


 ワサビ谷の頭を超えた下りで少しスピードを上げてターンを試みる。クラストした雪面に板を取られてあえなくクラッシュ。板のトップが雪に刺さって前方に投げ出される。片足が開放され軽くなった。あれっ!?
 斜面を少しずり落ちた体が静止し、嫌な気持ちを感じながら雪面に刺さった板を振り返る。
 ビンディングケーブルが切れている!
Dscn8976Dscn8991

 ビンディングが損傷したのは右の板。ちゃんと足に付いた左の板を外し、数メートル這い上がって雪に刺さった板を回収。その間考えたことは2つ。ひとつは「確かザックにビンディングの補修キット(スペアパーツ)が入っているはず」、もうひとつは「直らなかったら、つぼ足で下りよう。頂上台地はクラストしてトレースは固まっているし、その下は踏み抜いても下りはさほどきつくないだろう」。とにかく、落ち着け、大丈夫、自力で下山できる。怪我はしていないし、遭難もしていない。
 ザックの中には確かに補修キットがあった。ケーブルとヒールピースとそれをつなぐカートリッジが1つとあとはビンディングを板に固定するビス。カートリッジが壊れることはないのだが、ケーブルはカートリッジの端で切れるので、中にケーブルの切れ端が詰まって取り出せない。そのためにカートリッジのスペアが必要になるわけだ。もう片方のカートリッジは、外に出ているケーブルをねじって取り除き、新しいケーブルで使うことができる。だからスペアのカートリッジはひとつでいい。ケーブルの取り回しのためにいったんビンディングを外さねばならない。ドライバーを持ってきていてよかった。
 どうにかスペアパーツへの交換が完了した。ついでに、その場でパンを食べる。初めてのトラブルにかなり動揺したが、どうにか滑降できそうだ。
 この氷ノ山で、「ビンディングが板から抜けてしまった」と板を背負って下山してくるスキーヤーに出会ったことがある。また、伯耆大山では七合沢を滑り始めた直後にクラッシュ。骨折してヘリコプターに収容されたスキーヤーもいた(私の少し前を歩いていた同行者がクラッシュシーンを目撃)。明日はわが身、でもなんとしても避けたい。雪道・路面凍結を乗り越え、踏み抜きを耐え抜いてここまでやってきたのだ。快晴の雪原歩きは気持ちよかったけど、やはり滑ることを目指して登ってきたのだ。
 ワサビ谷のドロップポイントまで滑り降りる。スキーやスノーボードのたくさんのシュプールが描かれている。谷の上部は日当り風当たりともによく、予想通りクラストしている。右のビンディングのワイヤーが切れたと言うことは、左も同じように劣化が進んでいると考えてよいだろう。クラッシュして用具に負担がかからないように、斜滑降キックターンで高度を下げて行く。時々吹き溜まりの比較的さらさらな雪に遭遇する。高度を下げていくとさらさら雪の割合がまして行く。何とか慎重にターンをできるようになって行く。東側に開けた谷なので、左岸側の法面が北向き斜面で比較的雪質がよい。そいう行った雪面をたどって、滑り降りて行く。
Dscn8979Dscn8980Dscn8981


 道具の破損というショッキングな出来事の後で、どうしても今日は消極的にならざるを得ない。とにかく雪深い谷に滑り降りたということは、つぼ足では身動きが取れない。
 来た道を引き返せばつぼ足で移動可能だったわけだが、やはり登ったら滑りたいのがスキーヤーの心情である。リスクにおびえ、思い切った滑りができなくても、やはり滑るということは楽しいのである。
 高度を下げ、谷が深まってくると雪質がよくなってくる。もちろん降雪直後とは比べ物にはならないが、それでも足の裏にふわふわな感触を感じることが何度もあった。
Dscn8982Dscn8984


 後方からスキーヤーが降りてきた。ロッカーのアルペンスキーだ。そして、「ワサビ谷のほうがいいですねぇ!」どこと比較してかと聞けば、仙谷という。仙谷がどういう風に良くなかったのか聞けば、がりがりのアイスバーンだったそうだ。仙谷を滑りかけて戻ってきたのか、下ってからもう一度リフトに乗って登り2本目の滑降なのかは、聞かなかったのでわからない。「テレマークスキーでバックカントリーってすごいですね」と言い残し、下っていった。
Clip0030mp4_000065545Dscn8985

 1週間前は埋まりきっていなかったという報告があった沢も、大寒寒波のおかげでしっかりとしたスノーブリッジができてコース取りは自由自在。
 杉林に入ったら、高度を下げずにトラバースしてイヌワシゲレンデ最上部を目指す。が、やはり少し高度を下げてしまって少し上り返しをすることになった。こういうときにはステップソールが役に立つ。
 イヌワシゲレンデに出たらもう安心。最後はゲレンデ滑走だ。雪の供給が途絶えているので、がちがちのハードバーン。ここで道具が壊れても、十分歩いて下れる雪面の固さだ。
Dscn8987


 イヌワシゲレンデに出たらもう安心。最後はゲレンデ滑走だ。雪の供給が途絶えているので、がちがちのハードバーン。
 路面凍結は解消し、安心してクルマに戻った。パトロールに下山報告をして帰路につく。ばんしゅう戸倉スノーパークは、ゲレンデから離れた駐車場にもたくさんクルマが止まる大盛況。でも、振り子沢ゲレンデの真ん中にクラックができていた。一気に降り積もりすぎたようだ。
Clip0071mp4_000068044Clip0075mp4_000002000

 雪に埋もれた道谷集落から若杉峠を越え、養父市八鹿町内の円山川右岸道路の一部が土砂崩れで通行止め。往路ではなぜ通行止めなのか知る由もなかったが、帰路に大屋の電光掲示板でわかった。左岸の国道9号線の対向車線は大渋滞。ハチ・ハチ北と神鍋の二大ウィンターリゾートから京阪神に帰るクルマが集結しているのだ。国道312号線単独区間に入ると、我が北向き車線も渋滞となった。下小田橋で出石方面に逃げる。その後は順調走り、帰宅。いろいろあったけど、楽しかった。あ、そうだ、スペアパーツをまた買っておかないといけない。

|

« 大寒寒波 | トップページ | 酉年の初スキー登山は大江山連峰鳩ヶ峰 »

コメント

 構造が簡単なテレマークでも壊れるのか・・・注意しないといけないな。
 しかし天気がいいですね。こういう日に山スキーに行くものですね。
 

投稿: すう | 2017/01/30 22:16

 シンプルだからこそ壊れやすいと思っています。見るからに華奢でしょう。「故障」に関していうならば構造がシンプルな方がしにくいといえるかもしれませんが、今回は「外力による破損」ですからね。頑丈かどうかでしょう。
 ヒールフリーで自由度が高いとはいえ、リリース機能がないということは力の逃げ場がなくなった時に一番弱い部分が壊れる。人間の足(脚)を守るため、わざと弱い部分を作ってあるんではないでしょうか。
 でも、今回はそんなにひどいクラッシュではなかったのにケーブルが切れました。要するに劣化していたわけですね。思えば、もう10シーズン目。完全に油断していました。とにかく、もう片側のケーブルを新しいものに交換しない限りは、そのビンディングでは山にいけませんね。また、太い板の方も、ケーブルのスペアを準備する必要があります。
 以前は、スペアとして3ピン式のビンディングをザックにいれていたことがありましたが、今回壊れたビンディングはプレートに互換性がないので、補修キットを買いました。交換方法を練習しておかなければいけない、と思っていたのについついほったらかしで、ぶっつけ本番になってしまいました。難しくなくてよかったです。何とかなりそうに思えて、作業をしながら心が落ち着いてきました。
 天気はよかったですが、昨シーズンすうさんとご一緒した時の方が展望が良かったです。雪質はおなじ程度か少し今回の方が良かったかも知れません。雪の量は今回の方がだいぶ多くて楽でした。昨シーズンは岩や木の根や沢に苦労しましたからね。
 こんシーズンすうさんとご一緒できるかどうかは、今後の雪次第ですね。

投稿: はいかい | 2017/01/31 23:44

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 快晴の氷ノ山三ノ丸:

« 大寒寒波 | トップページ | 酉年の初スキー登山は大江山連峰鳩ヶ峰 »