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2016/11/14

VIGOREの故郷を訪ねる(キヨセ編)

 VIGOREのランドナーを2台持っている。どちらも、20年ちょっと前に「ツーリング(旅)をしたい」という友人にランドナーをすすめたのだが、その友人のもとで役目を終えた後で、私のもとへとやってきた。丹後の片田舎ではランドナーなど手に入らない。友人は2人とも京都市にゆかりのある人だったので、京都でランドナーを買っていた。それが、京都のフレームビルダーが手掛けている「VIGORE」というブランドのモデル。そのビルダーの工房の直営店は京都盆地の北に位置する岩倉にある。
 VIGORE直営店を訪れたのは去年の冬のこと。20数年の間にVIGOREは代替わりしていて、ランドナーを作っていたのは先代とのこと。また、今私のものにある2台のチェーンステイには「Produced by Kiyose」というロゴがある。この2台はどちらもVIGORE直営店ではなく、「キヨセ」という自転車店で販売されたものだった。
 今年の11月3日、やはり京都市にある「I's Bicycle」という自転車店の主催するツーリングにVIGOREで参加した。その「Produced by Kiyose」のロゴを見て、「I's Bicycle」の親方はかつて「キヨセ」で修業したんだよ、と教えてくれた人がいた。
 ああ、キヨセに行かねばならない。
 というわけで、木枯らしがふく服寒い日に京都を訪れた。
 二条駅でJR山陰本線から地下鉄東西線に乗り換え、東山駅で下車。日本海側で降り続く時雨も南下していけば止むだろうと思ったが、クルマを置いた園部駅でもわずかに小雨が降っていた。京都市内は、現在降っていないものの空は雲に覆われ路面はうっすら濡れている。街路樹の色づきに目が行く。この秋はあまりきれいな紅葉が期待できないかと思われたが、11月に入っていっきに色づいたようだ。学生服姿の高校生が多い。どうやら修学旅行生のようだ。
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 琵琶湖疏水に沿って北上。この辺りは、いくつかの美術館、岡崎公園、平安神宮、さらには各種イベント会場としても利用される「みやこめっせ(京都市勧業館)」が居並び、訪れる人が多い界隈だ。よって、街路樹が植えられるなどお客さん向けに整えられている。
 丸太町通りに突き当たり、右折。平安神宮を時計回りに回り込む形だ。そして、平安神宮の長方形の敷地の北側の辺を西から東に4分の3ほど行ったところに「キヨセ」があった。
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 小径車やシティサイクルが並ぶ狭い店内には、高齢の店主が一人。店を訪れたのだから何か買うのが礼儀、と小物を購入。そして「実はこちらを訪れるのは初めてなのですが、友人から23年前にこちらで買った自転車をもらい、いまでもガンガン乗っているんです」と切り出す。店主はすぐに笑顔で応対してくれた。
 かつては、VIGOREから卸したフレームで自転車を組んで販売していたとのこと。ただ、自分が高齢となったためそうした方式での商売を止めて、市販車やパーツ、小物類の販売のみを行っているとのこと。ただし、サイクリストとしては80歳を過ぎた今でも現役で、先日は「オオイガワ」へ行ったとのこと。桂川の園部や亀岡あたりの区間を「大堰川」というのでそのことかと思ったら、「接阻峡から走り始めて川沿いを下りましてな」ときた。なんと、静岡県の大井川のことではないか。大井川鐡道で川をさかのぼり、自転車で下ったという。
 話は逸れるが、大井川鐡道の終点の井川からスタートするのが本来の形だが、ここも近年の大雨の影響を受けて通行止めとなっている。よって、途中の接阻峡からスタートせざるを得ないのだ。
 さて、店主との話に戻る。長年のVIGOREの謎についての質問をぶつけてみた。フロントの泥よけのことである。フロントフォークの股の部分にL字金具で固定されているが、ナット一個ですぐに外れるようなものが使われている。そしてナットも蝶ネジが使われ工具なしで着脱できる。また、泥よけのステイも蝶ネジ。しかし、泥よけの前部とフロントキャリアは、泥よけのタイヤ側のナットで固定されている。ここは工具が必要で、スパナでなくソケットレンチの方が具合がよい。つまり、工具を選ぶ。ここさえ手軽に外せたら、輪行が手早くできるのに。どういう意図で3か所のうち2か所だけ工具なしで外れる加工にしたのか。そして、なぜもう1か所はしなかったのか。
 しかし店主は、「泥よけ外すよりフロントフォークを抜いたほうが簡単ですよ」との回答。「それならなぜ2か所を蝶ナットにしたのか」と問いなおすが、「いやフォーク抜いたらいいんですよ」と同じ内容の返答がもう一度。どっちが楽かの論争をすることが目的ではないので、質問はもうやめておく。店主にはフロントの泥よけを外す発想はないようだ。要するに分割式で簡単に外れるリアの泥よけと同じ蝶ナットを使ったことに、深い意味はなかったようだ。
 他にも、「I's Bicycle」の親方のキヨセでのアルバイト時代の話も聞かせてもらった。熱心だったそうだ。「精神的な後継者」とのことだ。この店主にしろ、親方にしろ自転車が好きなようだ。
 キヨセを後にして、丸太町通りを西へ。そのまま鴨川まで歩き、橋を渡って京阪の丸太町駅へ。今度は、生活感のあふれた通り。印刷やの店先には古いホンダとヤマハのオートバイが2台。
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 清水五条で京阪電車をおりて、京都駅へ向けて再び歩く。街路樹が赤く染まり、歩くのが楽しい。
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コメント

 VIGOREの前オーナーです。古い自転車だけど活躍の場を与えていただいてありがとうございます。
 キヨセで自転車を買ったとき、店主の書いた自転車に関するエッセー(のようなもの)をもらいました。春になると無性に自転車に乗りたくなる、とか、ふらつかないで真っすぐに走ることが大切、とか書いてあったと思います。店主も自転車好きだったことは十分に想像できます。
 自分は今はアルミフレームに乗っているけど、その当時はクロモリが多かったし、自転車のこともあまり知らず、今のようにクロモリのよさも話題になっていなかったと思います。できれば、末永く乗ってやってください。できればでいいです。

投稿: すう | 2016/11/27 13:01

 キヨセの店主とは、クロモリフレームの良さについても「クロモリいいですよね」「はいクロモリいいですね」と話をしました。
 2000年頃に東京に行ったとき、当時まだ健在だった「アルプス」を訪れ、フロントバッグを買いました(長浜で乗ったVIGOREランドナーにつけています)。その時に、冊子をもらいました。内容は、主にカタログですが、ランドナー、キャンピング、パスハンターなど用途に分けた自転車の特徴や、輪行の仕方などが書かれています。すでにインターネットが普及していたとはいえ、ブログやSNS、そしてスマートフォンはまだ普及する前だったので、現在ほど手軽に読み書きができる状況にはありませんでした。すうさんが、キヨセで自転車を買ったのはさらに数年前ですから、紙ベースの情報がたくさん存在していた時代でした。
 すうさんからは、本当にいい自転車を譲り受けました。輪行に手間がかかるというデメリットも克服できたので、さらに活躍の場が広がります。そしてクロモリフレームですから、ずっと乗り続けられると思います。あらためて感謝です。

投稿: はいかい | 2016/11/27 19:47

私も、1987年ごろに京都のスポーツサイクル アラカワ製のVIGOREに乗っています。片岡自転車(現VIGORE)、キヨセ サイクルショップ、スポーツサイクル アラカワの京都の3軒の自転車店が“VIGORE”ブランドを共用して、職人にフレームの製作をさせいていたときのものです。
 私のクロモリロードレーサーは、チェーンステイに「VIGORE Made by Arakawa」と表記があります。
最近また、メンテナンスして乗り始めたのですが、この相棒のことを少しでも退散知りたいという気持ちになりました。

35年くらい前に購入しているので、当時の購入価格など覚えてないのですが、当時の値段てどのくらいかご存知でしょうか。フレームだけで6〜7万円、コンポーネントなどのブランド、ラインによって合計13万円くらいからだったかなぁ、想像したりしていますが、何か手がかりなどご存知だったら教えてください。唐突な内容で失礼いたしますが、よろしくお願いいたします。

投稿: 京都のマコちゃん | 2022/03/20 17:01

京都のマコちゃん
 返信してなくてごめんなさい。遅くなりましたが、回答をしようと思います。といっても、自分で購入したわけでないのであまり正確にわからないのですが、1995年くらいに10万円くらいだったようです。
 また、VIGOREブランドの歴史の話、ありがとうございました。

投稿: はいかい | 2022/06/19 23:47

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