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2016/11/01

丹波の優しい峠めぐり(三春峠など)

 長きにわたり通れなかった道がある。兵庫県篠山市旧西紀町の桑原と栗柄の間の県道509号線の峠道だ。その要因は、栗柄ダム建設のため。着手は1994年で、竣工式が2015年5月。なんと足掛け22年だが、ダム本体は2012年から2013年にかけて1年半で完成したという。道路の通行止めは、2009年から2015年まで。着手とは事前調査や用地買収などにかかった時期ということなのだろう。
 京都福知山市三和町兎原の国道9号線沿いの廃れたドライブインの駐車場にクルマを停め、自転車を準備。自転車は、先日東信濃遠征でも活躍したVIGOREオリジナルランドナー。その時には、ロー34Tのスプロケットを使ったが、今日はあえてロー28Tのスプロケットを装着。楽をすることに慣れすぎてはいけない。三春峠などのいくつかの峠をめぐる本日の周回コースをかつて走ったことがあるが、それはまだ34Tのスプロケットを使い始める前のこと。その時、上りがきつくて苦労したという記憶はない。
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 駐車地点が国道との交差点となっている府道710号線を南下。国道よりは交通量が少ないが、ほぼセンターラインがある道でそれなりにクルマが通る。峠ではなく川沿いの道で京都府から兵庫県へ。しかし、府県境を越えた後で箱部峠を越える。ただし、箱部峠は麓の集落からの標高差が50mにも満たない小さな峠で、両側が桑原集落。つまり一つの集落の中に峠がある。峠を越えた方の桑原集落で分岐する県道509号線へ。完全一車線の細道は、小さな集落を過ぎると沢沿いに山間部へと入って行く。脇の田んぼも途切れ、林の中へ。いいねぇ、全くクルマが通らない。
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 2kmほどは緩やかに沢沿いを登るが、その後登りが険しくなる。最後はヘアピンカーブの連続。峠は標高400mを少し越えるくらい。桑原からは200m余り、スタート地点の国道9号線からは300m足らずの標高差を登ったことになる。この後の三春峠に匹敵する峠だ。
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 峠を越えたら、栗柄へ向けて下る。一つ目のため池は西紀ダム。これはずっと前からあったが、そのすぐ下流が初対面の栗柄ダム。前回この道を走ったのは2008年の暮れ。翌2009年にはこの道が通行止めになったため、代替ルートとして戸平峠を越えた。ただし、戸平峠は箱部峠と同じくセンターラインがある道なので、それなりにクルマが通る。それに比べて県道509号線の峠は、桑原から栗柄ダムまで1台のクルマにも出会わなかった。そりゃ何年も通行止めになるよな。
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 ダムの竣工式が行われた2015年の初夏には、県道509号線は通れるようになっていたのだが、その後これから越える栗柄峠が拡幅工事のため日中通行止めになる時期があった。あと、暑い夏の時期は走る気にならないなどのことがあって、結局今日の日になったというわけだ。
 その栗柄峠は、とても珍しい峠である。栗柄ダムの滝ノ尻川の流れが峠を越えているのである。もちろん、水は低いほうにしか流れないから、峠というのは名ばかりで、要するに斜面なのである。元々は、正真正銘の峠ではあるが、侵食力に差があることで発生する勾配がアンバランスな「片峠」である。そして、侵食力の強い方の流れがとうとう峠までを侵食して、その反対側の川の流れを奪ってしまった。これを、「水源の争奪」という。今では、栗柄集落がある谷の中に、2つの川の流れが存在している状態であり、しかもそれは由良川水系と加古川水系、つまり日本の中央分水界が小さな集落の中にあるというわけだ。「谷中分水界」という。
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 さて、全く上りのない栗柄峠を越える。拡幅工事はまだ継続中。まだ細いままの道を通り抜けたら、山腹につけられた比較的新しく、立派な広い道で下る。左は多紀連山。右には滝ノ尻川の谷の集落を見下ろす。
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 あっという間に谷底に急降下。集落の中を行く。松の生えた庭がある古くて立派な木造の家が並ぶ。壁が赤く塗られているのは、「べんがら」というものなのだろうか。
 谷が開けてきたら、西から北に方向転換。さらに北東へと向かって下三井庄、上三井庄の集落がある谷へ。さあ、三春峠を目指す。
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 集落を緩やかに登っていくと、道は山間部に入り勾配を増す。とはいえ、峠までの標高差は300m余り。勾配も記憶の通りさほどきつくない。34Tのローギアを温存して正解だった。28Tで十分対応できる。
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 少し前のきつかった信州の峠の何分の一の労力で上れる、丹波の優しい峠道だ。峠の手前で兵庫県丹波市春日町側の景色が開ける。多紀連山の山腹を巻き、そのどてっ腹を突き抜けていく舞鶴自動車道の存在感が目を引く。
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 標高450mの峠は本日の最高地点で兵庫県から京都府への境。両側の町名の頭文字から来た峠名だ。これを越えたら後はほぼ下りのみ。少し行くと、今度は京都府福知山市三和町側の景色が開ける。なかなか谷は大きくダイナミックな景観だ。谷底に集落が見える。あそこまで下るのは結構な行程だ、と思うが下りはあっという間。こちらも立派なつくりの家だ。ただし、トタンを被せてはいるが茅葺屋根の家が多い。三春峠もクルマが少なく、集落から集落までの区間で出会ったクルマは1台きりだった。
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 さあ、日が傾いている。下り基調をどんどん進もう。谷が開けて、田んぼが広がってきた。そうなると国道9号線が近い。
 駐車地点まで国道9号線を約1km行かねばならないが、クルマがひっきりなしに行き交う車道でなく、歩道を行く。半分は自転車道のように整備されている。近くに高校の分校があるからだろうか。その後は普通の歩道だが、歩く人はいないので快適に走れる。これで三春峠を中心とした周回完了。
 峠とは、人の流れ、水の流れを分かつ、という印象があるが、集落の中の峠、川が越している峠など完全に常識を覆している。また、三春峠は現在は府県境をなしてはいるものの、かつては丹波の国のど真ん中。明治時代初期の廃藩置県により3府302県が発生したが、現在は47都道府県。統合を基調としながらも、中には分割もあった。丹波の国は今は京都府と兵庫県に別れて属しているが、何度も何度も境界線を引かれなおした経緯がある。「水源の争奪」だけでなく「県土の争奪」も行われてきた、要するに絶対的な境界が存在しない土地というわけだ。信濃の国と、日本の中央分水嶺をまたぐ、という点で共通する丹波の国だが、峠越えの厳しさは雲泥の差。そんな優しい峠を巡る半日ツーリングだった。
 10月下旬、約35km。

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