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2016/10/25

東信濃遠征「パスハンティングの秋、ランドナーの秋」(2:ぶどう峠・十石峠)

■ぶどう峠と十石峠
 千曲川の支流相木川に沿って県道2号線を行く。そのまま千曲川沿いの道で北相木村へ。すぐに分岐する県道124号線へ。この辺りは稲作地帯。刈り取った稲が干してある。稲刈りは西日本より1ヶ月遅いようだ。丹後では高さ3mかそれ以上の高さまで丸太や竹筒を組んだ稲木をたてる。稲をかける。横木は7~8段のものが一般的だ。しかし、信濃では1段のものしか見かけない。低いものは一人でかけていくことができるが、たくさん設置しなければならない。高いものは、上の方に掛けるときは、一人が上に登り、もう一人が下から稲の束を投げて渡す。複数の田んぼの分を一つの稲木で干せる。ただ、丹後の稲木は機械乾燥に押されてあまり見かけなくなってしまった。その点、信濃では天日干しの風景をちょくちょく見かける。マネキンの頭部を付けた個性的な案山子に目が行く。
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 道は緩やかな登りで田園および農村風景を進んでゆく。村役場のある集落を過ぎ、さらにいくつか集落を過ぎてようやく本格的な峠への登りとなる。GPSレシーバーの高度表示の値が順調に増えていく。
 そしてぶどう峠に到着。今回ひとつめの峠は、標高1504m。小海からの標高差は600m強。
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 峠の手前で追い越して行った2台の自動二輪が峠に停められ、テーブルとベンチで2人組が食事中。前期高齢者といった感じのライダーだ。長野側の景色は八ヶ岳連峰が主役。群馬側は知らない山ばかりだが岩がごつごつしたような山がいくつかあるのが特徴的。群馬側に少し下ると景色の開けたところがあったので、そこで大休止。「御巣鷹の尾根」とかかれた小さな看板が立っている。そうだ、31年前の日航機墜落の山域なのだ。
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 さあ待望の下り。沢に沿って標高差約900mを、ひたすら下る。下りはカッパの上着と、オーバーミトンを着用するが、結構冷える。フリースの手袋を持ってくるのを忘れてしまうのが、この秋の遠征でのありがちなパターン。今回は、クルマの中にオーバーミトンがあって助かった。延々と下って、中ノ沢に到着。谷あいの小さな集落だ。玄関先に展示された熊の剥製に目を奪われる。
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 御巣鷹の尾根に向かう分岐を過ぎ、緩やかに下って行く。すると左手に「矢弓沢林道」の分岐があった。もう少し進んだら出会う国道299号線でも、この林道でも十石峠へ向かうことができる。地図で見ると曲がりくねった国道を林道がショートカットしているので、ついつい林道にハンドルを向けてしまった。当然ながら、矢弓沢林道は急勾配。それも、並大抵の急勾配ではなかった。林道全体では7.3kmで標高差606mと平均勾配が10パーセント近い。さらに、下部で区切れば、2.9kmで320mとなんと平均勾配10パーセント越え。平均が、である。普通は平均勾配が5パーセントくらいでも、10パーセントくらいの勾配の箇所が何度も現れるきつめの登りなのだが、この林道は20パーセント近い勾配が何度も現れ、それが延々と続く。インナーローにギアを落とし、微速で進んでも、有酸素運動の限界を超える。つまり、無酸素運動となり、ゼイゼイと息切れをする。何度も休憩する。いつかは勾配が緩くなることを期待するが、いつまでたっても急坂が続く。そのうち太ももがつり始めた。体が悲鳴を上げている。休憩と水分補給をしながら、だましだまし行く。
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 だいぶ登ってきたら、救急車のサイレンが聞こえてきた。谷を埋め尽くす大音量。姿を見せぬまま、ただ延々と音が聞こえ続ける。10分以上たっただろうか、ようやく間近に音が迫ってきた。どっちだ、上からだ。ドップラー効果による音程の変化を起こしながら、救急車が通り過ぎて行った。さらにしばらく間をおいてヘッドライトをハイビームにしたクルマが数台、救急車の後を追って行った。山仕事の道具を積んだ中には軽トラックも含まれていた。交通事故ではなく、山仕事中の事故だろうか。さらにそのしばらく後には、パトカーが登ってきた。
 一方、私の体の方はというと、太ももの筋肉のつりがどんどんひどくなっていく。膝を深く曲げるとスイッチが入るように、太ももがつる。これではペダルをこげないので、押して登る。国道299号線への合流が近づき、勾配が緩くなってきたというのに乗車することができない。そして国道に合流しても、以前状況は変わらず、ただ時間ばかりが過ぎていく。
 十石峠を下ったら、海瀬駅から小海駅まで列車を利用する予定だ。距離は10km足らずなので走っても知れているのだが、登り基調だしクルマが多くて楽しくなさそう。小海線の本数は1時間に1本以上とローカル線にしてはまずまずで、夕方の時間帯は50分に1本といった割合だ。16時36分の乗車はとっくにあきらめているのだが、楽勝と思われていた17時19分の列車にも暗雲が垂れ込めてきた。これを逃すと宿の夕食の時間に間に合わない。
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 峠が近づき景色が開けてきた。頂上に雲をかぶったように見えるのは、噴煙を上げる浅間山か。しかし、そんな景色をじっくり堪能する余裕はない。道路と県境(尾根)が並走している場合にはよくあることなのだが、ここもダブルピークとなっている。それもダミーの方が県境の十石峠よりもやや高い。こんななしの状態の時に、と思うが仕方ない。一つ目のピークを越えて少し下り、正真正銘の十石峠へ最後の登りへ。下りで少し休んだもののやはり登りは押さないと脚がつる。
 ようやく峠に到着。標高は1354m。いきなり「通行止」の看板にひやりとするが、10月17日から11月末までの間の予告だった。中ノ沢からは標高差700m登り、本日のトータルは1300m登ったことになる。
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 さて、時刻は16時40分。海瀬駅まではあと16km。50分後の列車に乗れるのだろうか。とにかく自転車にまたがって下り始める。
 序盤は狭区曲がりくねった道。あまり飛ばすわけにはいかない。そのうちカーブは緩くなりセンターラインにある道に変わり、スピードを上げる。しかしそれもつかの間。まだ海瀬までの標高差を残しているのに道が平たんになった。左を行く抜井川の流れは淀み、川幅が広がっている。ダム湖だ。ということは少し先で急な下りがあるはず。そこまで何とか行きたいが、ペダリングで膝を曲げると少ない付加でも脚がつる。なんと、ここでも押し。平たんなのに。予想外の時間を浪費して、ダムの下流の下りへ。ここから集落が現れる。国道は、集落を迂回するバイパスとなっている。秋深まる集落の中を行く方が風情があるのだが、今はそんなことを言ってはいられない。
 パイパスの一直線の下りを快走するが、その先で勾配が無くなると急速にスピードダウン。何とか押さずに行けた。谷が開け田園が広がり海瀬駅が近づく。集落が密集し始め、クルマの台数も増える。そして薄暮。事故を起こすわけにはいかないので、急ぎながらも慎重に。
 国道のうえを行く高架を列車が過ぎる。ああ、わずかに間に合わなかった。住宅街に、駅舎がなく、ただホームがあるだけの駅。単線で列車の行き違いもできない。列車を下りた高校生たちが、線路沿いの路地から出て来るのを見て、そこが駅への入り口がわかるような状況だ。その周囲を見回して、どうやら駅の利用者用と思われる駐輪場を発見。すぐ前のアパートの駐輪場と見紛うが、その敷地外にある。しばしの間のことだし、大きな問題はないだろう。というわけで自転車を駐輪場の支柱に括り付け、薄暗いホームへ。

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コメント

 いいところに行かれましたね。結構きつそうな山岳サイクリング。続編楽しみにしています。

投稿: すう | 2016/10/26 23:10

 小樽の励ましの坂以来、急坂に対する耐性はできているはずですが、矢弓沢林道にはたまげました。20パーセントを越えるところはさほどありませんが、コンスタントに15パーセント越えが表れる感じです。あと、夜通しクルマを運転してたどり着いた睡眠不足も影響していたようです。
 国道299号線を選んでいたら…、それはやってみないとどうだったかわかりませんが、そんな検証してみようとは思えませんね。
 長野県を自転車でツーリングするのは5年ぶり、群馬県は6年ぶり。あと、八ヶ岳連峰よりも東側の長野県を訪れた経験は少ないので、いろいろ新鮮でした。

投稿: はいかい | 2016/10/27 23:49

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