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2016/09/26

後山に抱かれた秋の美作東部周回

 先日の西播磨旧三日月・旧南光のコースのGPSレシーバーで取得したトラックを読み込んだ地図を眺めて、ツーリングの余韻に浸っていたら、また気になる道が見つかった。作用町の北端の県道556号線だ。うねりながら山間部を行く道は、どう考えてもクルマが少ないすばらしい道だ。すぐに県境をまたぐ周回コースが浮かび上がる。距離20kmあまり、標高差は約400mとちょうどいい。
 アプローチは、朝来市朝来町まで南下し国道429号線を西に行く。中国山地を源とする川は、それぞれ日本海または瀬戸内海を目指して南北に流れる。最初の峠「笠杉トンネル」が中央分水界で、日本海側から瀬戸内側へと渡り、後は瀬戸内へと流れる川が作る谷を隔てる尾根を越える峠の連続。林間の峠道は細く暗く険しく、酷道の一つと言えるだろう。
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 揖保川以西は随分久しぶり。おそらく10年以上のご無沙汰だと思われる。分岐を間違えて少し迷走してしまった。何せ、集落の中の道は、国道のほうが細いくらいだ。迷い込んだ先はのどかな山村。迷い道もまた楽しい。
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 揖保川(旧一宮町)、引原川(旧波賀町)、千種川(旧千種町)と、高野峠、鳥ヶ乢トンネルを越えて宍粟市北部を西進し、志引峠を越えて、岡山県美作市の旧東粟倉村へ。あとは川沿いに下り、美作市の中心旧大原町へ。自動車道の高架の手前の道路脇にスペースを見つけクルマを停める。しかし、すぐに行動を開始しようという気持ちに水を差す雨。台風16号の接近によって勢いを増した秋雨前線が連日雨を降らせ続けている。日本海川と比べて瀬戸内川は比較的降水確率が低く、雨は小康状態となる予報だった。アプローチの間、なかなか止まない雨に心を悩ませていたが、千種でようやく雨が上がり何とかなりそうだと思ったのもつかの間、志引峠の山間部に入ってまた降り出し、大原に下りても止まない。雨足はそんなに強いわけではなく、携帯電話の降雨レーダー画像には何も表示されていない。山間部の細道をつないで100km以上も走って来たのに、諦めるわけには行かない。しばらくクルマの中で様子を見る。
 30分ほど待機して、少し雨が弱まったような気がしてきた。これなら走れるのだが、嫌なのはクルマが跳ね上げる泥混じりの水だ。山間部に入ればクルマは少ないが、問題は大原中心街から佐用町への県境越えの国道373号線だ。わずか4kmほどだが、それでも泥水を浴びるのは苦痛だ。
 というわけでクルマで下見に行く。まずは、大原中心街の国道373号線と429号線の重複区間。両側に家並みが迫り、クルマが多いが、この道は走らなくていいのだ。1kmほどで429号線と別れて373号線は左へ。家並みはほとんどなくなり小さな峠越えの道となる。クルマはほとんど通っていない。このあたりは雨の降りが弱いようで木が覆い被さっているところは、路面が乾いている。進行方向左側は、「チェーン着脱所」の表示のあるスペースあり、表示がなくてもクルマが止められるスペースがいくつかあり全体を通じて路肩が広い。また、反対側には歩道があるので、登り区間だけそちらに逃げ込む手もある。とにかく、クルマの水撥ねを浴びることはなさそうだ。
 となると一気にやる気が充満する。周回コースのため、この場の路肩スペースにクルマを止めて起点としてもいいのだが、麓の面倒な区間ははじめに済ませて、長いダウンヒルを終えてそのままゴール、というハッピーエンドにしたいので、先ほどの待機場所に戻る。
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 雨は若干強弱を繰り返すが、小降りのまま。自転車に前後輪とリアの泥よけを装着して走行準備。フロントバッグに防水のバッグとカッパの上着を入れておく。フロントバッグもそこそこ防水が効くので防水バッグは念のため。また、寒い季節ではなく、雨は小降りなのでカッパを着て汗で濡れるか、着ないで雨に濡れるかの2択。もちろん、雨に濡れる方が涼しくて快適。カッパを着る可能性があるのは最後のダウンヒルの時。
 というわけで小雨の中をスタート。標高は245m。少し肌寒いが、走っていればすぐに温まるだろう。クルマの通らない田んぼの中の道へ。彼岸花が秋桜が咲いている。しつこかった残暑も一段落、もはや晩夏ではない。台風と秋雨前線によって季節が進んだ。
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 後山川を渡り、集落の中の道を南下。これが大原の中心街の国道をパスする裏道。集落の中の道はアップダウンがあるが、クルマが少なくストレスなくいける。そのまま、国道373号線の単独区間へ。先ほどよりも路面は濡れてしまったが、相変わらずクルマは通らない。地図を見れば、無料で通行できる鳥取自動車道が並走していて、国道沿いの集落に用事がなければみなそちらを利用するようだ。
 先ほどクルマでの下見ではなんとも思わず通過したが、「チェーン着脱所」の広場があるということは、積雪があるということだ。作州大原の中心街から近いが、標高は300m近くある美作と播磨の国境の峠道なのだ。今日のコースの近くには、兵庫側にはちくさ高原、岡山側には合併せず現在も村を維持している西粟倉の大茅のスキー場がある。
 軽自動車が一台追い越して行った。対向車線の向こうを見れば民家の広い敷地に井戸があるので、道路を渡ってそちらを見学。ふたがしてあり現在は使われていないようだが、やぐらの付いた立派な井戸だ。そのまま、右側の歩道を行く。
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 下りにかかる前に左側に戻り、そのあと多少アップダウンしながら、上石井集落へ。いつの間にやら兵庫県だ。
 国道から左折し上石井の集落の中へ。佐用川の両側にそこそこの軒数の農家が集まっている。すぐに彼岸花の咲く集落を抜け、川沿いの細い道となる。そこからはただひたすら川沿いの県道556号線を登る。台風と秋雨前線の長雨の為、川の水は岩を食んでごうごうと音を立てているが、濁らず澄んでいる。
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 人里離れた山間部を進んでいる雰囲気なのだが、時折谷が開け田んぼと小さな集落が広がる。稲刈りがほぼ終わり、やはり彼岸花が見られる。
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 いつしか雨は止み、ただ走ることに集中していた。これこれ、この集中した気分が好きで自転車に乗っているんだ。こんな道が大好きだ。いい道に出会えた喜びを感じて走る。
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 じわじわと緩やかな登りが10km近く続き「おねみ滝谷オートキャンプ村」から勾配がきつくなる。キャンプ場は最近はほとんど利用されていないようで、テントを張るデッキが痛んでいる。
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 ローギアが34Tのスプロケットは、ダート用ブロックタイヤのホイールに付けたままで、今日はローが28T。まあ、県道だし急坂でも常識の範囲だろうという想定できたが、その通りで最大でも10パーセント余りといったところ。去年の小樽の励ましの坂への挑戦以来、急坂の基準が変わり、この程度では特別な急坂とは思えなくなった。
 キャンプ場からはGPSレシーバーの標高の値がぐんぐん増して、県境、そして播作国境の奥海乢(おねみのたわ)に到着。標高650m。ここは日名倉山の登山口にもなっていて、廃墟のような山小屋がある。そういえば、峠の手前にもこちらは廃墟の山小屋があった。
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 結局、上石井を過ぎて出会った車両は、追い越したクルマが3台、すれ違ったクルマも3台。すれ違ったうちの1台は道路のパトロール車で、まとまった雨の後のパトロールをしていた。後、すれ違多々バイクが1台。郵便配達だった。
 石碑が立っていて「希望峠」と彫られているが、奥海乢が古くからの名称のようだ。
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 峠を越えると木々の合間から後山連山が見える場所があったが、稜線は雲に隠れている。岡山県の最高峰で、兵庫県3位の標高を誇る後山を主峰とし、南東から北西へと1200~1300mの峰々が連なっている。
 やや急激に国道429号線へと下る。先ほどクルマで志引峠を越えてきた道に合流。まだまだ下りが続く。
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 しばらく行くと後山の集落が見えてきた。後山連山の南斜面に位置する旧東粟倉村は、ほとんど平野がない。その中で比較的なだらかな広がりを見せているのがこの後山集落。もちろん傾斜地の集落だが、後山連山に抱かれた盆地のように棚田と集落が広がっている。また、「おもちゃ村」や宿泊等の施設「愛の村パーク」など立派な建物が、集落のはずれの高台から見下ろしている。さらに、はるか上にはパリの凱旋門のような白い建造物。日名倉山の肩にある「ベルピール自然公園」という施設。見えているのは、鐘のある建物。そこまでは志引峠から車道がついているが、天気のいい日に行かないともったいない。
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 いつしか薄日が差し、どんどん天候が回復しているもよう。しかし、後山は完全に姿を見せてはくれていない。ただただ大きな山塊の中腹が見えているだけ。
 さらに下る。国道だけあって、登りに使った県道よりもカーブが緩くスピードが出せる。想定通りだ。クルマも少なくて、数えていないが追い越したりすれりがったのは合わせて10台くらいだろう。
 道は後山川に沿っていく。ヤマメ・イワナ・アマゴ・ニジマスの養殖場があり、渓流だということを感じさせる。県道556号線沿いにも養殖場が一つあった。
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 しばらく下ると信号があった。本日のコース唯一の信号だ。その辺りには、交番や保育所、小学校があり、少し先には美作市役所東粟倉支所と主要機関が集まっている。後山集落の方が人口はまとまっているように思われるが、そちらには観光施設が集まり、こちらは住民のための施設が並んでいる。
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 下っていけば谷が広がり勾配は緩んで周囲は田園風景となる。彼岸花や秋桜など秋の花が咲いている。ほぼ平坦になり、久しぶりに真面目にペダルを漕ぐ。すぐに道路わきにスペースに止めたクルマが見えてきた。結局、カッパの出番はなかった。
 スタート時には見えなかった後山連山の山腹を見ながら自転車を撤収。小ぶりの雨がすぐに止んだことと、泥除けの効果でフレームはほとんど汚れていない。
 さあ、帰ろう。酷道は往路だけで十分だ。佐用町へ南下。無料の鳥取自動車道が1区間だけ使えるが、そんな野暮な道を通るつもりなどない。こんな遠くに来たのだから田舎道を存分に楽しもう。
 自転車で走った道をおさらいするように国道373号線を走り上石井を過ぎる。智頭急行、用川と絡み合いながら進み、道の駅にトイレ休憩で立ち寄ったら、道路の向かいには歴史的な風情ある家並み。平福の宿場だった。せっかくなので町並みを見物。智頭急行の木造駅舎もまた、立派な佇まい。
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 寄り道を楽しんだら、佐用の中心街へ。佐用といえば数年前の水害が思い起こされるが、この夏から秋の何度かの気象警報発令では大丈夫だったようだ。思えば、今日のアプローチの酷道の峠や自転車で走った道もよく通行止めとならなかったものだ。ラッキーだった。
 あとは旧南光、旧三日月と経由し、先日の8の字周回ツーリングの記憶に浸る。宍粟市の山崎から養父市大屋町に北上し、あとは東寄りに進路をとって帰丹。
 9月下旬。約25.6km。

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