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2016/08/23

オホーツクから道北への自転車旅8

■また来たよ礼文島、ただいま桃岩荘
 ノシャップ岬の先端の公園広場で利尻礼文を眺めて、稚内中心街へ南下。14時過ぎに稚内中心部に到着。いい時間になってしまった。当初の予定では55kmほど走って輪行ということだったのに、実際には90km以上走ってしまった。
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 セイコーマートで冷たい飲み物とちょっとした食糧を買ってフェリーターミナルへ。ちょうど14時45分の礼文島香深港行きのフェリーの乗船待ち。少し前に到着したフェリーの車両甲板からクルマ、オートバイ、自転車が下船してくる。自転車用のトレーラーを牽引したスーパーカブも降りてきた。
 さあ、下船が済んだらクルマに続いて乗り込む。自転車は3台。私以外はロードレーサー。それぞれソロの男女。男性の方は話好き。かつて、ブリジストンのダイヤモンドに乗って旅していたという。もしや、25年前に一緒にサロベツから網走まで走ったあの人!?年齢も大体一致するみたいだし。なんて思ったけど、そこまで劇的な再会ではなかった。
 およそ2時間で礼文島に接岸。別の宿に向かう女性サイクリストとはここでお別れ。同じ宿に泊まり合わせる男2人、送迎車「ブルーサンダーエース号」の元へ。宿は島の反対側の西海岸。距離こそ4kmだが、ちょっとした峠越え。自転車ごとブルーサンダーエースに乗せてもらう。6人の宿泊客と2台の自転車を載せて、いつものように賑やかに、いざ桃岩荘ユースホステルへ。
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 桃岩、猫岩などの奇岩が並ぶ海岸に、元はニシン番屋だった桃岩荘は位置している。建物の正面の壁には、今ブルーサンダーエース号から下ろされた2台を含めて、5台の自転車が立てかけられている。ロードレーサーが3台、クロスバイクが1台、そして私のスリックタイヤを履いたMTB。玄関を入ると吹き抜けの大広間。2年連続4度目の私は、宿泊の説明を省かれ、受付をして、ベッドを指示される。ベッドは吹き抜けをぐるりと囲んだ2階部分。大広間とはつながった空間にある。もちろんそれは男性用のベッド。女性の部屋や食堂、風呂は別の棟にある。傾斜地にあるため、渡り廊下ならぬ渡り階段で棟々はつながっている。
 入浴を済ませ、食事を摂っていると、外が騒がしくなった。「愛とロマンの8時間コース」に出かけていた人たちが帰ってきた。ヘルパーが屋根に上がり、大声で歌って迎えている。宿泊者も外に出たり、われわれのように窓から手を振ったりして出迎えている。島を北から南に歩き通す8時間コースを歩いたのは、本日5人ほど。毎日このくらいの人数が出かけているようだ。私も、昨年歩いた。
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 18時45分頃、夕日鑑賞の集合がかかる。玄関前から水平線に沈む夕日が見られる。ザックの中からカメラがなかなか出てこなくて、夕日にほんの少し間に合わなかった。けれど、残照もきれい。ヘルパーのギターの伴奏でみんなで合唱する。最後は松山千春の「大空と大地の中で」。感極まって涙が出てきた。北海道、特に道東や道北を自転車で走るとき、BGMとして最もあっているのはこの曲だと思う。特に、昨日今日の北よりの向かい風を受けたときには、頭の中でこの歌を歌っていた。
 さあ、感動の夕日のあとは、桃岩荘の代名詞ともいえるミーティング。歌って踊って笑って過ごす2時間。時の流れとともに色々なことが移り変わっていく中で、変わらず受け継がれているのが桃岩荘。酒を飲むこことも許されず、食後は自分の食器を洗う、などユースホステルかつて当たり前だったことが残っていることが今や珍しい。絶滅危惧のスタイルだ。
 そうはいっても以前と全く変わらないわけではない。「8時間コースに連日5人くらい」というと「そんなに少ないの」という人がいる。かつては参加者が多すぎて複数のパーティに分けたくらいだったらしい。またホステラー(宿泊者)の年齢も上がっている。以前は大学生、あるいは高校生が多かったが、今は社会人、それも中年から上の世代が多い。この日のサイクリストも中高年世代ばかりだ。そういえば、小樽の「とまや」でも「若い人は自転車で来ていてもあまり励ましの坂に挑戦しない。だから、達成者名鑑に載っているのは40代以上が多い」とのことだった。
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 翌朝、ラジオ体操で一日が始まる。といっても、8時間コース参加者はとっくに出発している。起床時間よりも早くに朝食が食べられるのが、ここの特徴。朝食を終えたら、最初の船便で島を出る人をお見送り。フェリーターミナルまで歩いていくことをすすめられて、フェリー乗船の1時間半ほど前に玄関前の庭で。今日は朝から快晴だ。
 そのあと大広間や吹き抜け二階の掃除をして、今度は送迎車で港に行く人が出発。一緒に私も自転車で出発。「見返り坂」というやや急な坂へとりつく。この坂は勾配よりも緩いバラスが手強く、送迎車も徐行運転。タイヤが細いロードレーサーやクロスバイクのサイクリストのほとんどは上りも下りも押していく。また、オフロード車以外のオートバイは、坂の上の倉庫に泊めて歩いてくる。ここを乗車のノンストップで上る。スリックタイヤ装着とはいえ、MTBだ。ギア比も低い。背中に「いってらっしゃーい」の声を受けるが、登りきるまでもうちょっと待っててね。私より少し先に出発し、クロスバイクを押しているサイクリストを追い越すと「え、乗っていく!?」と声がかかる。「ギア比が低いから」と答える。
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 桃岩を正面に見ながら登り、舗装された駐車場のある平坦な広場まで上って自転車を止め、「いってきまーす」の声を返す。しばらくこの応酬を続けて、駐車場から上の舗装路の登りへ。元地集落からの道に合流し、標高100mあまりの桃岩トンネルへ。島の東西を分ける分水界の峠だ。新しいトンネルの開通とあわせて、桃岩トンネルの廃止が決まっているそうだ。実はこのトンネルを自転車で通り抜けるのは初めて。初めて礼文に来たときには、西海岸には自転車で走れる道がほとんどないため、香深フェリーターミナルに自転車を置いてきた。2度目は、荷台に折りたたみ自転車を積んではいたものの島はスーパーカブで巡った。3度目は稚内フェリーターミナルに自転車を置いて礼文に渡った。そしてようやく今回、最初で最後の自転車によるトンネル通過である。「愛とロマンの8時間コース」の最後にこのトンネルを抜けて桃岩荘に戻るのだが、そのコース取りも変更ということか。
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 さて、本日は昼過ぎのフェリーで島を出る計画で、その前に礼文岳に登ろうと思っていた。でも、それならばもっと早く桃岩荘を出なければならなかった。今から急げば間に合うのかもしれないが、初めてだし自信がない。フェリーに乗り遅れたら大変だし、昨日予定より多く走って疲れたし、やめておこう。持ってきていたトレッキングポールを結局ザックのサイドから外すことはなかった。
 香深フェリーターミナルに行って、すでにスタンバイしている桃岩荘のメンバー(ヘルパーとホステラー)に合流してフェリーのお見送り。それが終わると、ヘルパーに乗船予定を昼過ぎから昼のフェリーに変更することを告げて、単独行動へ。とりあえず、島の北側2kmのところにあるセイコーマートへ。すると先ほど一緒にフェリーを見送ったサイクリストがいた。彼は道内に住んでいるということで、桃岩荘に連泊して礼文島を楽しんでいるとのこと。昨日は8時間コースを歩いたそうだ。
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 冷たい飲み物を買って、道内サイクリストのすすめで「北のカナリアパーク」へ。2012年に公開された映画「北のカナリアたち」のロケ地で、2013年に整備された。昨年は「8時間コース」を歩くだけの礼文訪問だったので、島の南部で8時間コースからからはずれているカナリアパークのことは知らなかった。その前の礼文訪問は2010年なのでまだカナリアパークはできていなかった。
 島の東海岸に沿って南下。フェリーターミナルを過ぎ、最南端に近い差閉(さしとじ)という集落から高台へと上がる道がつけられている。標高差は50mほど。ここもノンストップで登る。映画で使われた小学校のセットと真っ青な海を越えてそびえる利尻富士の風景がなんともお見事。そして、吹き渡る風が心地いい。時間はたっぷりある、のんびりと小学校の中を見学し、売店でとあるNPO法人の女性から、礼文島の花のお話をスライドショーの画面を見ながら聞かせてもらう。桃岩荘のミーティングでも花の説明を聞いているが、より詳しく教えてもらった。
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 自動車やオートバイの人が入れ替わり立ち替わり訪れる。集団の原付スクーターは港のレンタルバイクか。
 高台から一気に下ってフェリーターミナルへ戻る。船内で飲む冷たい飲み物を求めてもう一度セイコーマートへ。港にも売店があるが、セイコーマートの方が安い。2kmの距離は自転車なら何でもない。そして、桃岩荘で泊まりあわせほぼ同時に出発したクロスバイクのサイクリストと再会。
 フェリーターミナルに戻り、まだ少し時間があるので自転車を輪行袋に収める。そうすると手荷物となって、フェリーへの持ち込みが無料となる。ちなみに完成車は1260円。車両甲板で倒れないようにロープで壁にくくりつける手数料ってこと!?
 本日の走行距離は19km。
 チケットを買い、乗船開始までまだ少し間があるので外に出る。桃岩荘のブルーサンダーエース号がホステラーを送ってちょうど到着したところ。そのホステラーは石垣島から来た男性だ。一昨日、8時間コースを歩いて膝が痛くなり、昨日は何もせず、今日はクルマでここまで送ってもらった、とのこと。
 しばらく外で過ごした後、ころあいを見てフェリーターミナルの建物の二階の乗り場へ移動。見送りの人もぎりぎりまで一緒に来てくれる。船に乗り込んだら、甲板と岸壁とで歌を歌い、踊り、そして船が離岸すると「いってらっしゃい」「いってきます」の応酬がエンドレスで始まる。桃岩荘のおもてなしは島が小さくなるまで続く。しばらく甲板で、石垣島から来た彼とともに、礼文島の余韻に浸る。
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