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2016/08/24

オホーツクから道北への自転車旅9

■サロベツ「あしたの城」で夕日と星空と朝日
 稚内のフェリーターミナルから駅までは約1km。列車に乗り継ぐ予定なので輪行袋を解かずに担いで歩いて運ぶ。途中、海上自衛隊の掃海艇の一般公開の会場の前を通る。声をかけられて石垣島氏はそちらへ吸い込まれていったが、大荷物を持った私は寄り道する余裕がなく、ひたすら駅への道を行く。2度の休憩を交えて駅にたどり着き、輪行袋を下ろして一息つく。小休止したら、先程の掃海艇の公開会場へいってみる。が、すでに閉店ガラガラ。先程が最後の客引き(?)だったようだ。
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 駅に戻って石垣島氏に再会。ここは道の駅もかねていて無料WiFiもあるしレストランなどもある。が、ネット接続は今夜の宿でもできるので気象情報とメールのチェックをすれば今はそれで十分だし、船内で桃岩荘の弁当を食べたし、特にすることはない。前回のダイヤ改正で宗谷本線の普通列車の本数はさらに減り、今からまだ2時間もある。昼前から6時間半も空白があるのだ。まあ、その間に特急が2本あるのだが。石垣島氏も同じ列車に乗る予定。今日は祭りで夜は花火が上がるらしい。浴衣姿の人もちらほら見られる。掃海艇公開もその催しのひとつか。
 ボーっと過ごし、満を持して列車に乗り込むころには風は涼しくなってきた。利尻を見るため、進行方向右側の席へ。17時17分、稚内を出発。南稚内の駅を過ぎ、抜海駅の手前で海越しの利尻富士を見る。その後も何度か利尻を見ることができるが、海は見えない。
 兜沼で石垣島氏は下車。私は豊富へ。今夜の宿「あしたの城(じょう)」からクルマでお迎えに来てもらった。この宿は4回目。25年前の冬と夏、そして去年夏と今回。クルマの中で宿の母ちゃん(といっても年は私とさほど変わらないのでお姉さんと呼びたい)に夕日鑑賞ツアーのことを聞くと、「今日は行く予定」とのこと。「8月になると空に秋の気配が漂う。そして日が短くなった」などといった会話を続けたのだが、私の住む丹後よりも1200kmも北東にあるこの地では、その季節の感じ方が同じではないのかもしれない。東にあるため南中時刻が早く、北にあるため白夜・極夜に近い。つまり、夏至と冬至での昼と夜の長さの差が大きい。具体的にいうと夏至の時期にはサロベツ(北海道)の日の入りのほうが丹後(近畿)よりも6,7分遅い。しかし、8月に入るとサロベツの日の入り時刻は丹後のそれを追い越し、冬至になるとその差はぐんぐん広がって1時間以上にもなる。ちなみに、サロベツと丹後の南中時刻の差は年間を通じて一定の約25分であり、春分と秋分の日には日の出日の入りの時刻のさもほぼ同じとなる。ということは、季節による日の長さ短さの変化の感じ方は、北の人のほうが大きいということか。
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 宿について荷物を下ろしたら、他の宿泊客も一緒に再び宿のクルマに乗り込んで、すぐに夕日鑑賞ツアーへ。駅とは反対側の日本海へ。稚咲内(わかさかない)のパーキングスペースにクルマを停める。少し前までは利尻富士の向かって右側の水平線に沈んでいた夕日も、この日は山の中腹に沈む。18時54分。
 「あしたの城」5泊目にして初めての夕日鑑賞ツアー。25年前の冬は、その季節にしては珍しく天気が良く連日利尻富士が見えた。2連泊したのだが、1泊目は冬場の夕日は早く到着が間に合わず、2泊目は冬にしては天気がいいものの夕日が見られる程ではなかった。その夏に訪れたのは雨の日。次は去年の夏で、夕日ツアー直前に雲が出て急遽中止。空は晴れていても、水平線付近に雲が出るともうダメなのだ。そして、今日は朝からずっと安静した快晴だ。
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 夕食はここの名物牛乳鍋。去年はジンギスカンだった。25年前は…、確か夏はジンギスカンだったような気がするが、冬のことは全く覚えていない。いずれにせよ旅に出ると不足がちな野菜をふんだんに食べられるのがうれしい。夜になるとさすがに涼しく、鍋物も熱くて暑くて大変ということはない。
 夕食のあと「星空がきれいですよ」という母ちゃんの声に誘われて、外に出る。前夜の桃岩荘の玄関先で見た星空もきれいだったが、漁火がない分サロベツの方が星が輝いている。天の川もしっかりと濃い。丹後の自宅の庭先では天の川はうっすらとしか見えない。見えるだけいいのだが。流れ星も、3つ4つ見えた。昨日は、漁火のせいだけでなく、薄い雲が広がってしまい、結局1つしか流れ星が見られなかった。
 大きなカメラの機材を抱えて母ちゃんが出てきた。「お客さんのいる日にはあまり撮影しないんだけど、久しぶりに澄んだ星空だから」と機材のセッティング。
 この日、私以外には家族連れが2組。ともに個室で、窓から明かりが漏れている。去年はオートバイなどで一人旅の人が何人もいて、食後の今は賑やかだった。ただし、一人旅でも個室に泊まる人が増える傾向にあるようだ。旅人の年齢層が上がって、少しでも安く、ということが薄れているのかも知れない。いやどうも宿のニーズも変わってきているようだ。「あしたの城」や「とまや」、さらにユースホステルのように相部屋設定のある宿では、旅人同士の交流も大きな魅力だったのだが、その距離感が変わってきている。中には「初対面の人と同じ鍋で料理を食べるなんて考えられない」という旅人もいるから、予約の時にそれでもいいかどうかちゃんと確認しないといけないそうだ。確かに今日もひとつの鍋だったが、直箸(じかばし)などは許されない雰囲気だった。
 その時の母ちゃんの写真は、宿の公式サイトで公開されている。窓灯りと星空を喧嘩させず、両者を立てたお見事な腕前だった。
 静かな居間に戻ったが、こういう日は宿主の城(じょう)さんも早めに引き上げるようだ。私も相部屋料金の個室へ。
 深夜トイレにおきると、すでに外が明るくなっている。カメラを持って外に出てみるとちょうど日の出だ。背後の利尻も赤く焼けている。利尻の赤富士だ。
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