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2016/08/17

オホーツクから道北への自転車旅1

■達立ち、そして小樽「励ましの坂」と旅人宿「とまや」
 京都府北部に住む人間にとって北海道の玄関口は小樽である。舞鶴からの新日本海フェリーでつながった港というわけだ。その小樽から道内で最も遠いのはオホーツク海沿岸かもしれない。ちょうど対辺の関係であるし、両端の稚内や網走には列車の便があるが、その間の長い海岸線が鉄道の空白区間となって久しい。
 個人的には、1991年の晩夏に走って以来20年以上自転車ではご無沙汰だ。2010年、スーパーカブで北オホーツクを少し走って、そのすばらしさをサイン認識。そして昨年、北オホーツクを自転車で走る計画を立てたのだが、その前日に礼文島を縦走する「愛とロマンの8時間コース」を歩いたら膝が痛くなって急遽予定変更。計画はお流れとなった。1年待って、リベンジ決行の運びと相成った。
 スタートはスーパーカブで自宅から東舞鶴駅まで54km、1時間あまりの夜間走行。街灯がなく真っ暗な山間部の区間があり、スーパーカブの暗いヘッドライトでは心もとない、という問題があった。そのためにクルマのフォグランプなどに使うLEDのサブライトを準備していたのだが、装着したのは出発日の夕方。シガーソケット電源用の端子を自分ではんだ付けしたのだが、実際使ってみると接触不良で点いたり点かなかったりした挙句、完全に点かなくなっってしまった。端子のヒューズが飛んだようだ。サブライトは諦めて、代わりに自転車用のバッテリーライトを使うことにしよう。結果的にはこれが随分明るくて、カブのヘッドライトを完全に凌駕している。単三乾電池2本でこの明るさを引き出すことが可能になったLEDの技術革新は素晴らしい。青色LEDがノーベル賞を受賞するだけのことはある。(赤、緑、青の光の三原色が揃うことによって白色光が出せるようになり、LEDのライトが普及。様々な機器を省電力化した。それらを踏まえ、開発から10年あまりが経過してノーベル賞が送られた。)
 21時に出発しようと思っていたのに、出発準備でドタバタして40分遅れとなってしまった。船内での食料を途中で買い出し、東舞鶴駅は23時となってしまった。本来なら港に付いているべき時刻である。駅の駐輪場に予め配置してあった自転車に荷物を移し、いざ港へ。駅の駐輪場は無料。自転車はもちろん、原動機付自転車(原付二種)止められる。クルマを駐車場に止める場合、フェリー利用の割引があるが、それでも4~5千円かかってしまう。数日前、西舞鶴で仕事に来たとき少し足を伸ばして運んでおいた。もちろんロックは厳重に。二重ロックで柵に縛り付けておいた。交代で留守をあずかってもらうカブの車輪にも太めのワイヤーロックをかけておいた。カメラで監視されている場では、短時間で持ち出せないようにすることで、盗難のリスクはかなり減らせるはずだ。
 駅から港までは2.4km。到着は23時半になってしまった。出稿1時間前だ。乗客の多い夏休みは乗船開始が早まるため、90分前までに港に来るようにとされている。実際すでにオートバイ、自転車の乗船は完了しているようだ。それでも、乗せてもらえないわけではないので、チケットを買って乗船待機位置へ。クルマの乗船完了を待って、数台のオートバイのあとから乗船。出稿30分前までに船室に入れたので、要するにそんなに混んではいないようだ。満員だった去年のシルバーウィークは、出港時刻になっても各車両の乗船が完了しなかったように記憶している。
 船室は、以前の雑魚寝部屋からカプセルホテルのような寝台を指定されるようになった。もちろん、最も料金の安い船室の話である。それぞれの寝台にコンセントが用意されているので、LEDライトやGPSレシーバのニッケル水素電池、タブレット端末、カメラのバッテリーを充電。そしてひたすら寝て過ごす。この数日は、気温こそ熱帯夜ではないものの、湿度が高く寝苦しい夜が続いた。それに比べてフェリーの中は冷房が効き過ぎて寒いくらいだ。
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 舞鶴を出て20時間、曇天の小樽に到着。一瞬、夜風をひんやりと感じるが、走り出したら暑い。湿度が高いようだ。1週間ほど前に関東地方が梅雨明けしてから、梅雨前線が北海道あたりに北上し、北海道では天気が不安定、この数日は各所で洪水になるほどの大雨に見舞われていた。明日からの天気はどうだろうか。
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 スーパーマーケットで夕食を買い、坂の下へ。「励ましの坂」と11ヶ月ぶりのご対面だ。距離600mで、標高差は80m。最大勾配22パーセントの坂を自転車で一度も脚をつかずに登り切ると、ちょっとイイことがあるのだ。去年のシルバーウィークのようにトレーニングして来なかった。毎日暑くてとてもトレーニングしようと思えるような気象条件ではなかった。去年達成しているんだから今回は足を着いたって構わない、やっぱ頑張ってしまうサイクリスト心。出だしはさほどではないが、終盤に一気に勾配を増す。とても直登はできない。クルマが来ないのを良い事に、そしてもし来たらヘッドライトですぐに気づくのを良い事に道幅いっぱいに蛇行。
 ゴールの目印の電話ボックスが見えない。まだまだ登らないといけないのか。もうダメだと思う寸前、目の前に電話ボックス発見。辛くてよく見えてなかった。やった、2連勝負けなしだ。
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 そして坂の上の宿「とまや」へ。11ヶ月ぶりのとうちゃこだ。舞鶴からのフェリーの小樽到着時刻が早朝から夜に変わって10年以上になる。小樽やその周辺の宿にいくつか泊まった。どこも良かったが、特に自分に合っていると思えるのがこの「とまや」。その人まりあわせた旅人と宿主とくつろぎながら歓談する光景は、北海道の宿ではよく見られるのだが、この宿の夜は特に雰囲気がいい。定員の小さな宿なので集まる人数が程よいとか、宿主夫婦の人柄がいいとか、そんな表現しかできないのだが、それは他の宿だって当てはまること。他の宿と違うことを強いて言うならば、励ましの坂をノンストップで登りきたら、「すごいね」と褒めてもらえること。これが先ほど書いた、ちょっとイイこと、なのだ。

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