« 秋の道南松前半島と江差線巡り3「自転車ツーリングが始まらない」 | トップページ | 秋の道南松前半島と江差線巡り5「行け行けGoGo江差線」(江差-函館) »

2015/09/27

秋の道南松前半島と江差線巡り4「トラブルの波状攻撃にめげず松前半島一周」(木古内-江差)

「旅立ちまで」
「人生励ましの坂最高!」
「自転車ツーリングが始まらない」
4「トラブルの波状攻撃にめげず松前半島一周」(木古内-江差)
「行け行けGoGo江差線」(江差-函館)
「走り終えてもまだまだ続くハプニングと出会い」
番外:励ましの坂攻略レポート「人生登り坂最高2015」

 21日朝6時前、まだ寝静まった宿を出る。オートバイでいっぱいのガレージから自転車を引っ張り出して七重浜駅へ。自転車を輪行袋に収めたら、駅近くのコンビニで買った弁当の朝食。駅のホームには、鉄道ファン数名が、早朝から三脚を立てて、列車を待ち受けている。
P1020405


 7:03、1両のみのワンマンカーに乗車。前乗り前降りなので、後部のデッキに輪行袋を置く。
 江差線というが、江差までは通じていない。木古内から江差までの区間は昨年廃線となってしまった。木古内・五稜郭の区間は津軽海峡線との重複区間なのでなくならない(本州と北海道を結ぶ貨物列車が頻繁に通る)。来年春に北海道新幹線が開通した後も、第三セクターとなって鉄道が存続するとのこと。
 2年前のゴールデンウィークに、五稜郭から江差まで、ちょうど同じくらいの時間に出発する列車に乗った。早朝というのに、翌年の廃止を惜しむ人たち(乗り鉄)で満席。窮屈な中で2時間半を過ごした。今日は程々の乗車率。途中の駅では、アジサイとコスモスが同時に咲いていた。夏が短さの表れか。
P1020408P1020413

 1時間で木古内到着。この駅だけは後部のドアも開き、駅の改札で切符を渡す。
 後部のデッキでは輪行袋が倒れていた。ベルトで手すりにくくりつけていたのに、いつの間にかほどけていた。こんなことは初めて。
 半年後の新幹線開業に向けて工事中の駅前で自転車を組む。今度はチェーンの取り回しを間違えないように。
 8:20、さあ満を持して自転車ツーリングのスタートだ。天気も上々。半袖Tシャツに、ズボンの裾を外して七分丈の状態で全く寒くない。津軽海峡を左に見ながら、さあ快走。おやっ、変速がおかしいぞ。リアディレイラーの調整がうまく行っていないのか。やれやれ、と思いながら自転車を止めて調整し直す。でも、何度試みてもうまく調整できない。嫌な感じだ。見てみると、ディレイラーが内側に傾いている。列車内で輪行袋が倒れていたが、その時にリアディレイラーに衝撃が加わったのだろうか。ディレイラーハンガーの予備を持ってきているので変えてみようか。と思いながらローギアに入れた瞬間にガキっという音と共に、走行に違和感。チェーンが外れ、ローギアとスポークの間に落ちてしまった。手で引っ張り出そうと試みるが、なかなか抜けない。クイックシャフトをゆるめ、なんとかチェーンを抜き出すことに成功。ローギアは使えない。
P1020414


 走行を再開すれば、フリーギアが歯飛びをする。変速レバーを操作していないのに、チェーンが隣のギアとの間を行ったり来たりしているのだ。今回の旅で何度目かの嫌な気分を味わいながらチェーンを見る。やはりねじれている。
 なんなんだこの波状攻撃は。トラブルにトラブルを塗り重ねている。
 またもチェーンに歪んだコマが発生。ただし昨夜ほどひどい歪みではない。チェーンにアーレンキーを差し込み、歪みと逆方向にひねって強制的に修正する。完全には戻らないし、やりすぎるとチェーン切れを早めるだけだ。チェーンの応急処置用のコマはもうないが、チェーンを接続するピンの予備はある。チェーン切り工具さえあれば、歪んだコマを外し、詰めてつなぎ直すことができる。チェーンが短くなるが、どうせ最も大きいギアである、ローギアを使えないのだ。
 出発した木古内にホームセンターがあった。そろそろ開店時刻だ。昨日宿で調べたところ、これから通る街のそれぞれにもホームセンターはある。しかし、交換用チェーンやチェーン切り工具までそろった店は少ないだろう。この辺りで一番大きな町である木古内の店が品揃えは一番多いはず。戻るか。でも、もう既に9kmほど走っている。本日の行程は長い。18kmの追加は厳しい。
 迷った挙句、歯飛びしながらも何とか走れる状態なので、前へ進むことにした。戻ったところで、木古内に目当てのものがある可能性は低い。それに夏の道北の旅では、ひざを痛めて大幅に予定変更、自転車であまり走れなかった。今回は、なんとしても走りたい。
 青い海を見ながらご機嫌のコースなのに、歯飛びのストレスで気持ちが沈んでしまう。途中でチェーンが切れたらどうするか、ということは考えないことにする。
 しばらく走ると、フリー8段のうち、4速が歯飛びしにくいことがわかる。フロントの変速を多用して、できるだけリアは4速で固定して走れば、案外普通に走ることができる。
 慣れというのは凄いもので、走っているうちにチェーンの不具合があまり気にならなくなってきた。北海道の道だからそんなに急勾配はないのも幸いしている。
 知内から内陸部に入る。稲作地帯で、黄金色の田んぼが広がっている。道の駅を併設した津軽海峡線の駅は、新幹線の駅として改装工事中みたいだ。
P1020415P1020419

 すぐ先には青函トンネルの出入り口が見えている。20年前くらいは、フェリーでなく何度か列車で北海道を訪れた。あの頃は、まだ青函トンネルが開通してそんなに経っていなかった。長いトンネルを抜けぱっと明るくなった瞬間、車内に歓声が上がったことを思い出す。それがここなのだ。
 走りながら、昨夜のことを思い出す。函館クロスロードの談話室でおしゃべりしていたメンバーに、元サイクリスト、そして最近自転車ツーリングも始めたライダーがいた。私が自転車の旅だというと、当然自転車の話題になった。「北海道の道って、景色が変わらないから自転車だと退屈なんだよね」と彼らは言う。へえ、そうなんだ。私はその逆。自転車だと一見単調な中にも色々変化が感じられる。スピードが遅いからよく見える、という点はもちろんだが、それだけではない。エンジン音もないから、周囲の音がよく聞こえる。上り下り、風向き、気温、湿度などを肉体感覚として感じられる。空腹感や喉の乾きも、その土地、その道から得られるメッセージなのだ。
 標高160mの福島峠越えをだましだまし完了。下ると福島だが、海沿いの中心街に着く前にホームセンターがあった。自転車コーナーの品揃えは少なく、やはりチェーン関係はない。仕方ない。とりあえず店の前のベンチに腰掛けておにぎりを食べる。
P1020425P1020427P1020431


 福島には青函トンネル記念館、横綱記念館などがある。千代の富士の出身地だそうだ。
 さあ、また左に海を見ながら走る。向かい風を受けてペダルが重い。積み木のような直方体を組み合わせた形で、必ず玄関には前室が付いた家。砕石を敷いた昆布を干すための広場。駆け抜けるオートバイ。北海道らしさに、徐々に気分が高揚してくる。中心街を過ぎると、小さな漁村が次々と現れては過ぎる。ススキの穂が風に揺れている。いつの間にか自転車ツーリングの世界に没頭している。
P1020434P1020436P1020437


 海岸線が荒々しい表情に変わってきた。海岸にはゴツゴツした岩が立ち並び、岩山をくり抜いたトンネルをいくつも抜ける。白神岬まであとどのくらいだろうか。GPSレシーバがないと現在地を知るのにいちいち止まって、タブレット端末の地図を見ないといけない。そろそろ地図を見ようかと思い、ロックシェッドの手前の広場に入ると、白神岬とかかれたモニュメント。北海道最南端到達だ。最北の宗谷岬、最東の納沙布岬に続いて、全て自転車で到達だ。最西端は、渡島半島のせたな町にある尾花岬。いつか行かねば。
P1020438P1020440P1020442


 パーキングスペースの片隅に腰を下ろし、福島のセイコーマートで買った弁当をたべる。
 岬を回り込んだら灯台があった。ここまでの向かい風が追い風に変わることを期待したが、その後も西に向かうためやはり向かい風。
P1020446P1020449

 松前の町並みが行く手の海岸線に見えてきた。近づくと松前城の天守閣が見える。歴史的な町並みなど見どころのある町だが、まだまだ先は長いし、自転車の駆動系に爆弾を抱えているし、寄っていく心の余裕がない。天守閣を見ながら素通りだ。
 町外れにホームセンターに寄ってみるが、やはり自転車用品の品揃えは少なくチェーン関係の工具はない。
 進行方向が北寄りになるが、依然向かい風のベクトルが強い。さらに、標高30~50mの海岸段丘に乗り上げたり、浜の高さまで降りたりと、勾配は緩やかながらずっとアップダウンが続いている。これが上ノ国までの50kmほど続く。現れては過ぎる集落は、一体いくつあっただろうか。
P1020455P1020456P1020459


 大きな谷をまたぐ橋梁の補修工事で片側通行。信号の青はクルマのスピードに合わせて20秒しかないから、歩行者及び自転車は規制された車線を行く。交通整理員に付き添われ、自転車を押して工事車両の脇を行く。どこまで行くかときかれて江差と答えると、「あと1時間半くらいですか」と言われる。まだ40km近くあるし、すでに80km以上走って疲れている。2時間はかかるよ。橋の中央で、反対側の交通整理員にリレーされる。
P1020471P1020475P1020474


 いつしか進行方向は北東になっていて、気づくと追い風。いいぞいいぞ。しかし、空は雲が広がり、一部青空も見えるが、黒に近い灰色の部分も見られる。晴れ予報が、昨日になって「寒気の影響でところによりにわか雨もあり」へと変わっていた。そして一度ドーンという重低音が鳴り響いた。一瞬の雷鳴だった。
 前方に洲根子岬が見えてきた。あの向こうが上ノ国だ。その手前の海を見下ろす公園で小休止。なんとか自転車は持ちこたえている。岬を回り込むと、かもめ島が見える。江差のシンボル。函館山と同じ陸繋島だ。文字通りゴールが見えた。
P1020485P1020488

 上ノ国の市街地に向け、海岸段丘を下る。反対側から自転車が登ってきた。初めて出会うサイクリストだ。手を振ると満面の笑みで答えてくれる。どこに泊まるんだろう。荷物が多いからキャンプかもしれない。
P1020487


 上ノ国の市街地で、天の川を渡る。ロマンティックな名前の川だ。町外れに自転車屋があった。店先にMTBが置いてある。が、残念ながら閉店中で、ドアには鍵がかかっていた。まあいいや。ここまで来たら、行け行けGoGoだ。明日もだましだまし走ってやる。チェーンが切れることなど想定外だ。
P1020490P1020491P1020489


 江差へ北上する道は、海岸線と廃線になった江差線に挟まれた道。右を見れば鉄橋がまだ残っている。左を見れば、夕日が水平線の上の雲に落ちていく。向かい風だが、もうゴールは目の前だ。
 江差の市街地は、海岸線すぐから海岸段丘の上まで広がっている。本日の宿「ホテルニューえさし」は、海岸段丘の上。最後の登りをクリアして到着。江差にも旅人宿やライダーハウスはないのだ。かつてはユースホステルがあったのだが。
 チェックインを済ませ部屋に荷物をおいたら、すぐ近くの中華料理店で夕食。「北のちゃんぽん」1000円とライス200円。カニとエビとホタテが入ったちゃんぽん麺を選んだ理由は、野菜が多いこと。きっと明日は快便だ。
P1020496P1020503P1020511


 「いにしえ街道」まで歩いていってみる。10分ほど歩いて日本海の漁火を見ながら坂を下ると、レトロな雰囲気のある町並み。ただ、見た目はレトロでも、改装されていたり、新しかったり。作られている感じが強い。しかし少し歩くと立派な古い家があった。「横山家」とある。そば屋を営んでいるようだ。かつての「ユースホステル江差よこやま」はこれか。泊まりたかったなあ。向かいの姥神大神宮に参拝して宿に戻る。
 飲み物や食料は宿のすぐ近くにセイコーマートがあって便利。
 本日の走行、125.0km、平均速度19.5km/h

|

« 秋の道南松前半島と江差線巡り3「自転車ツーリングが始まらない」 | トップページ | 秋の道南松前半島と江差線巡り5「行け行けGoGo江差線」(江差-函館) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 秋の道南松前半島と江差線巡り4「トラブルの波状攻撃にめげず松前半島一周」(木古内-江差):

« 秋の道南松前半島と江差線巡り3「自転車ツーリングが始まらない」 | トップページ | 秋の道南松前半島と江差線巡り5「行け行けGoGo江差線」(江差-函館) »