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2015/06/13

Slide and Ride 加賀白山2015

 5月になってからは扇ノ山を滑りに行かなかった。4月の長雨で雪解けが早まったということもあるし、5月に入ると自転車で忙しかったということもある。でも、滑り納めが4月というのもちょっと早すぎて物足りない。やっぱり今年も加賀白山で滑り納めかなぁ。
 けれども別当出合の冬季閉鎖からの開通が遅れていた。例年なら5月中旬に開通するはずなのだが、今年は5月末になるようだ。雪解けが遅いわけではない。道路の側溝を工事しているとのことだ。
 5月29日16:00に開通というわけで、30日の土曜に決行。金曜の21:50に自宅を出発。今年は小浜から敦賀まで舞鶴若狭自動車道がつながったので、贅沢にも舞鶴東I.C.から北陸自動車道の福井北I.C.までずっと高速道路だ。深夜割引あるいは休日特別割引で2480円。高速道路を使わない場合よりも2時間ほど早い。
 勝山から谷峠を越えて白峰に入り、開通したばかりの別当出合には2:30着。丹後から260kmを4時間半だ。これで、2時間の仮眠を確保。しばらくしてから到着した隣のクルマのカーステレオが、うるさいとまではいわないまでも耳に障る。
 4:30、携帯電話のバイブレーションで目覚める。アラームをセットしたがマナーモードのままだった。昨日の夜に買った弁当の朝食、そして出発準備。スキーと自転車をスタンバイ。自転車は急勾配のダートに対応してMTBだ。いいねえ、今日は両方楽しめる。なのに周囲のみんなは、自転車は仕方ないにしてもスキーすら持っていかないなんて。と、自分の価値観を押し付けてしまう。準備をしている最中、スキーを背負った人が入山したのは一人だけだった。また、わざわざクルマを止めて「上も雪は切れているよ」と教えてくれる人がいた。わかっていることなので、ただ「はい」と返事を返すと、リアクションの薄さが物足りないのかこちらをまっすぐに見つめたまま立ち去ろうとしない。「どこから来たの」ととってつけたような質問をしてくるので、「京都府から」と答えると「うぉおー!」と大げさに反応して去って行った。リアクションの見本を見せてくれたのだろうか。
 登山道にこだわらず雪がつながっているところをできるだけつないで滑ればいいし、それでも切れていれば板を外して歩けばいい。スキーのためなら260kmの彼方からだって来るのだ。ちなみにスキーができなければ来ない。
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 駐車場のすぐ奥が車止め。それを越えて500mあまり車道を行くと、別当出合休憩舎がある。マイカー規制時のシャトルバスはここまで乗り入れる。
 昨日利用可能となったばかりのトイレに寄って、さあ本格的な登りに取り掛かる。ここから尾根に上がる観光新道、吊り橋を渡って別当谷の対岸を行く砂防新道などの登山道が始まるが、MTBの私はここまでの車道からスイッチバックするように始まる作業用ダブルトラックへ。もちろん、ゲートが閉じられているが、その脇から入る。砂防工事の作業車両用の専用道路だ。当然一般車両は通行禁止であるが、自己責任で通らせていただく。なお、明確な根拠はないものの、過去の経験から、工事作業はおそらく6月からで5月末のこの日には作業者に出会うことがないだろうと踏んでいる。
 ヘアピンカーブが連続する急勾配立ちはだかる。ああ、つらい。スキー板は背負っていないのにザックだけで十分重い。コンクリート舗装が施してある区間よりは勾配が緩いものの未舗装区間はバラスが浮いていて不安定だ。前輪が浮かないよう、かつ後輪が空回りしないような体重の配分、ペダリングの力加減にはデリケートさを要求される。しかしテレマークスキーのブーツではそれがなかなか難しい。超低速ギアを備えたMTBではあるが、無理せず自転車を押して歩く。とにかくこの先の行程は長い。楽な方法を選ぶのがよい。最も重いスキー板を積んだ荷車という意味で自転車は活躍している。背負って歩くよりは楽なのだ。、
 下のほうからガラガラとタイヤがバラスを踏むような音が聞こえる。えっ、作業車両が来るの、と重い後方を気にしながら進むが、いつまで経ってもカーブからトラックの姿は現れない。落石でもあったのだろうか。
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 観光新道との立体交差を過ぎ、大きな別当谷と不動滝を右に見ながら行くようになると、登り勾配が落ち着いて乗車でいける。そして一時的にくだりとなって別当谷の沢を橋で越える。この沢は、砂防堰堤が列をなしている。
 再び登りとなり尾根を越えると砂防新道の下をくぐる立体交差。それを過ぎて、不動滝を間近に見るヘアピンカーブで折り返して、もう一度砂防新道との立体交差。自転車はここまでだ。とりあえず、小休止。中飯場の小屋のすぐ上、標高1560m。
 スキー板を自転車からザックへと付け替え、ストックを持って登山道へと歩き出す。残雪がちらほら見られる。すぐに分岐。過去のこの時期には冬道を行くことがほとんどだが、今日は既に露出した無雪期の登山道へ。やっぱり、雪が少なめなのか。またインターネットに上がっていた最近の山行レポートによれば、背負ったスキー板が木の枝に引っかかって難儀する、と書かれていたが、それは冬道の話。枝にはさほど苦労しない。
 スキーを背負うとやっぱり重い。どんどん人に追い越されるが、気にせずマイペースを貫き通す。何せ先は長い。ある年配のハイカーから残雪について聞かれる。例年より少なめだと答えると、「スキーできる所あるんですか」と。ないと困るなあ、スキーを持ってきた意味がなくなる。ただし、いくらなんでも弥陀ケ原は滑れるはず。
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 標高1700m辺りから残雪の上を歩くようになる。アルペンスキーを背負った2人組に遭遇。ブーツが山スキー用でなくゲレンデスキー用なのか、登山靴を履いて板にスキーブーツを板に装着している。相当重たいだろう。彼らに見とれていたら道を間違え、藪漕ぎでルートに戻る。雪面には間違えた足跡が他にもたくさん。
 ウグイスやホトトギスの鳴き声がずっと聞こえている。こんな高いところにもいるんだ。
 前方に開けた雪面が見えてきた。十分にスキーができる。ただし、結構急斜面で登るのが大変だ。死角になって見えないが、手前に甚之助小屋があるはずだ。
 甚之助小屋の周囲は完全に地面が露出。少し離れた木陰で小休止。晴れて日差しは強いが、大長山や赤兎山などは霞んでいる。
 ここからシール登行開始。ステップソールが刻まれたこの板にシールを貼るのは、今シーズン最初で最後。本当はもう少し下から行けたのだが。ところが登山道は雪が切れていてすぐに板を外さねばならない。登山道よりも東の甚之助谷よりなら雪がつながっているので、下りはそちらを滑ろう。
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 十二曲がりへのトラバースの道は雪が切れているだろうから、ザックに板をつけて背負って歩き出す。南龍分岐辺りから、下山してくる人と出会い始める。トラバース区間は、登山道を外すと滑落の危険があるので、道を譲りながらすれ違う。
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 十二曲がりでは、ほぼ登山道が顔を出しているが、下のほうの直登ルートは雪面にしっかりとステップが切られているのでそちらを行く。地元の高校生の団体が登山道を降りてきたが、少しの残雪区間で難儀している。言葉と動作でいくら説明されても、かかとでステップを切ることができない者が数名いる。
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 私も途中から露出した登山道へ。しばらく登ると延命水。周囲の雪はとけ完全に露出している。明らかに例年より雪が少ない。水を飲み、空になったペットボトルに補給して出発。苦しいけど、既に2000mを越えて周囲は絶景。気持ちがいい。
 そして黒ボコ岩。その向こうには弥陀ケ原と御前ヶ峰。また今年もやってきた。御前ヶ峰を見ながら大休止。
 弥陀ケ原はシール登行。室堂を右に見て雪原を進む。水屋尻雪渓だ。
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 室堂の社や鳥居、そして小屋は完全に露出、その上の登山道もほぼ露出しているように見える。やっぱり雪が少ない。ただし、水屋尻雪渓は例年通り御前ヶ峰の肩、標高2630m辺りまで雪がある。
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 その雪渓を降りてくる人影が見える。スピードがあるのでスキーかと思ったら、駆け下りてくる。トレイルランというやつか。その後本当にスキーヤー。登りの途中で見かけたアルペンスキーの2人組のようだ。交互に滑って撮影しあっている。ただし、そのうちの一人は、「キェーッ」と甲高い奇声を上げている。懐かしい1980年代のプロレスラー、キラーカーンがモンゴリアンチョップを放つ時の奇声のようだ。大相撲から転向した195cm、140kgの恵まれた体格。本当は日本人だけど、「闘うモンゴリアン」あるいは「蒙古の怪人」という悪役レスラー。その奇抜なキャラクターを強調するための奇声ということは理解できるが、スキーで滑る時の奇声は理解できない。こちらのほうが恥ずかしくなってくる。
 登りはなかなかはかどらず、いつの間にか後方を振り返れば下からガスが湧き出してきた。予報どおりの天気下り坂だ。こちらも早く下り坂にたどり着きたいものだ。
 また一人、雪渓最上部からスキーヤーが降りてきた。今度はテレマークスキー。シール登行しているこちらに向かって降りてきた。出発準備中に先に入山していった人のようだ。どこを滑るのかと聞かれ、エコーラインと答える。
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 ようやく雪渓最上部に到着したが、とうとうガスに追いつかれてしまった。一面霧に包まれたり、晴れたりを繰り返す。もう山頂に行くのは止めよう。設計の最上部からスキーができたらそれでいい。
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 小休止の後、シールを剥がして滑走準備。あと動画撮影のビデオカメラもセット。ガスに覆われると方向に注意しないといけないが、幸い丁度晴れ間に当たった。室堂を左に見て、エコーラインの尾根に向けて滑る。弥陀ケ原下部は縦方向の溝が深くて滑りにくい。まるでモーグルのようだ。4月の雨の影響か。
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 エコーラインの尾根は、途中で雪が切れていた。万歳谷のほうに降りればつながっている箇所もあるが、急な谷なので滑落や雪崩が怖いので、板を外して少し歩く。すぐに雪の上に出たので滑降再開。歩いた部分はあまり滑っても楽しくない斜面なので問題ない。
 南龍ヶ馬場の小屋を見下ろしながら急な斜面を滑り降りる。甚之助方面にトラバースする南龍道を通り過ぎないようにと意識していたら、間違えてエコーラインの登山道を登り返し始めてしまった。すぐに気づいて、再び板を付けてほんの少し滑り降りる。今度こそ南龍道。板を外して、ほぼ水平なトラバース道を行く。雪はなく登山道が露出していた。
 甚之助小屋の上の斜面に戻ったら再びスキー板を装着。急斜面なので、装着の時に板を流さないように気をつけないといけない。そして、すっかりガスに覆われてしまった。ホワイトアウトに近い状態だ。方向を間違えないようにGPSレシーバーを頼りに慎重に滑る。雪がつながっているところを滑りたい。一度ブッシュにつかまってしまった。少し登り返す。こういうときにステップソールは有利だ。
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 どうにか甚之助小屋に到着。ガスも薄くなった。登ってきた登山道に滑り込む。立木が増すが、できるだけスキーをつけたままで降りたい。本当は歩いたほうが楽なのかもしれないが。
 標高1850m辺りで、とうとう雪が切れた。ここまでか、とスキー板をザックに付けて歩き出す。がその下でまた雪が復活。しかも、しばらくいくと木々が少し開けてきた。我慢できず、再びスキーで歩き出す。また雪が切れた。板をザックにつける。いや雪が復活。滑る。こんなことを繰り返しているので時間がかかる。とうとう雨が降ってきた。
 突然ハイカーから、「富山の人ですか」と聞かれる。板に貼ってあった「HAPPY」のステッカーを見てのことだった。HAPPYはステップソール加工をお願いした工房だ。
 標高1720mで、スキー板を外す。もうこの下は滑るところがないだろうが、自転車まであと標高差160m。板はザックにつけずに担いで歩こう。雨は本降りとなってきた。
 自転車に到着する頃には、結構ぬれてきた。特に下半身はアウターなしで、しかも急で笹の出た雪面で転んでその下水溜りにスライディングして飛び込んでしまったので、濡れがひどい。
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 雨足はふもとのほうが強いようで、作業道の路面は薄っすら水が浮きかけている。スキー板を装着した、自転車にまたがる。下りはMTBが快適だ。さすがに早くて、中飯場に同時に着いたハイカーよりも10分ほど早く別当出合に到着。
 泥んこというほどではないが、自分の水はねを浴びた自転車やスキーを撤収して、クルマで岐路に着く。途中で谷峠を越えたところのパーキングスペースの多目的トイレでぬれた服を着替えた。帰り道は高速道路を一切使わない。福井平野の東の縁、福井市郊外の田園地帯の道は、のどかでクルマが少なくて良かった。武生で4kmだけクルマの多い幹線、国道8号線を使うが、すぐに国道365号線、そして476号線で敦賀へ。敦賀からは、若狭梅街道、若狭西街道と信号もクルマも少ない道でストレスなく帰宅。

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コメント

 こんな時期にでも、スキーができるのは山が高いからですね。福井県側からの白山はだいぶご無沙汰しています。
 健脚者は市ノ瀬から、かなりの健脚者は白峰から自転車となります。オススメは市ノ瀬かな。その頃はいろんなルートが選べるから。
 いつもは遅く家を出て自転車に乗っておられますが、夜間走行&数時間も仮眠でこんなところまで行って山に登ることができるところがすごい。ボクはしっかり寝ないとダメな方なので、こんなことをすると、山に登れてもきっと帰りで寝ています。

投稿: すう | 2015/06/20 07:56

 この10日後の6月9日に木曽御嶽山の捜索再開へ向けての調査の様子が報じられ、山頂付近の映像がテレビで観られましたが、すっかり雪が解けていて驚きました。標高は加賀白山より300m以上高いものの、内陸に位置し、北西の季節風は両白山地の風下に当たるため、積雪量は白山のほうが多いのかもしれません。しかし、白山ではまだまだスキーができるほど残雪があるのに、御嶽のあの雪解けの速さは普通ではないと思いました。考えられるのは、火山灰の影響でしょうか。子どもの頃、丹後ではまだ雪がたくさん積もっていて、畑の雪を早くとかすために灰を撒くという様なことがありました。
 当方は健脚ではないので、別当出合からが精一杯です。市ノ瀬からなんて、山頂に着く頃には夕方です。
 ちょうど20年前に御大K氏と登ったのが、初めての白山でしたが、その時の夜行日帰り弾丸登山がお決まりのパターンですね。その時は、帰り道が眠くて仕方なかったです。
http://www.geocities.co.jp/Athlete/3519/hakusan.htm
 その後、スキー登山で単独となりました。2回目の白山は2002年で、高速道路を使わずに行ったら時間がかかって到着が5時。そのまま仮眠なしで登ることになり、帰り道が眠くて何度もクルマを停めて眠りました。
 それに懲りて3回目からは往路では高速道路を使うようになりました。2時間くらいでも寝ておくとかなり楽ですね。
 遠いようでも、丹後半島から見える山であり、親しみがあります。

投稿: はいかい | 2015/06/22 20:13

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