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2015/05/01

Slide and Ride 扇ノ山2015

 雨が多い今年の4月だったが、下旬になってようやくさわやかな晴天が続くようになった。そうなると野山に繰り出したい。先週訪れた扇ノ山にもう一度行こう。もう日帰りで気軽にスキーができる山は、扇ノ山しかない。前回は兵庫県新温泉町の上山高原からのアプローチだったが、今度は鳥取県岩美町の河合谷牧場から行ってみよう。小ヅッコ・大ヅッコを越えて山頂へ行くのはどちらも同じ。要するに、県境尾根のどちら側からアプローチするかの違い。去年の4月に訪れた時には、牧場の中を行く作業道が除雪されていた。鎖で塞がれクルマは入れない。自転車の出番だ。未除雪の車道をスキーで歩いて登り、滑って降りるのに比べ、スキーを自転車に積んで行くというのはより機動力が増す。河合谷牧場のほうが標高差が200m近く大きくなるが、距離はどちらもほぼ同じ。自転車を使うことで標高差の大きさが解消されて、どちらもほぼ同等のコースとなる。まあ、スキーと自転車が両方楽しめる。昭和の表現を使えば、一粒で二度おいしい山行きができる。
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 4月26日、9時前に自宅を出発。国道178号線で但馬海岸を西に進み、鳥取県へ。空も海も青い。たくさんの自転車を見た。皆ロードレーサー。スキーのアプローチでそういう姿を見るとうらやましく感じるのだが、今日はこうやって自分も自転車に乗れるのがうれしい。
 浦富海岸から南に折れ、岩美町役場や山陰線岩美駅前を通過し、国道9号線をまたいでどんどん南下。雨滝から河合谷牧場へ。兵庫県側の上山高原よりも20㎞長い、片道127㎞のアプローチ。国道9号線の県境の蒲生トンネルを越えてすぐに南下すれば若干距離は縮まるが、十王峠の道があまりにも悪い。離合不可能の1車線で曲がりくねっている。
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 昨年4月19日には、河合谷牧場の入り口までしかクルマが入れなかったが、雪解けが進み本日はさらに上まで行ける。11時過ぎに、標高880m地点、道路を塞ぐ残雪の手前に到着。既に、5台ほどのクルマが路肩に止まっている。駐車車両には自動二輪も見られる。牧場の入り口から3kmも入ることができた。ここは、西に突き出した支尾根の北側の林間であるためこうして雪がとけ残っている。この尾根を回りこめば、すっかり雪解けしているはずだ。去年の経験からして、おそらく登山口である「水とのふれあい広場」のすぐ手前までは、かなりアスファルトが露出しているだろう。曲がりくねった道なので正確にはわからないが、「水とのふれあい広場」まで少なくとも2kmはありそうだ。去年通ったのは、この道と分岐する牧場の中の作業道で、「水とのふれあい広場」まで4km足らずだった。こちらの道のほうが屈曲が多くてかなり距離は長いようだ。ただし、分岐点の牧場入り口からは標高差で150m以上も上っている。牧場作業道は恐ろしい急登で自転車を押して登る場面もあったが、今日の道は乗車で登れるだろう。
 スキーブーツを履き、MTBに車輪を装着しスキー板を積んで出発準備を整える。その間、一台の車が到着し、単独の男性ハイカーが私より一足先に出発して行った。
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 12:05スタート。まずは、道路を塞ぐ残雪の上を自転車を押して行く。支尾根を回りこんで南側に出ると、予想通りすっかり雪の気配はない。そして、広がる高原地帯には初夏の日差しがさんさんと降り注ぐ。MTBにまたがり、進んで行く。スキーブーツでのペダリングでも、10km/h弱で十分に登っていける。
 先週の上山高原からの車道も雪解けが進んでいると思われるが、あちらは尾根の北斜面。ショウブ池の辺りや、小ヅッコ登山口の手前では、車道が西斜面に回りこんでいるために雪が切れているが、それ以外の区間ではなかなかとけない。
 さすがに自転車の威力は大きく、先行していたハイカーを追い越す。何度か残雪道路が塞がれているので、自転車を押して越える。圧倒的にアスファルトが露出した区間のほうが長いので、自転車の真価を発揮している。
 突如前方から自転車が現れた。挨拶をしてすれ違う。一瞬なのでよくわからなかったが、ドロップハンドルながらタイヤ太目の自転車だった。これまでの残雪区間には自転車の轍はなかったので、どうやら上山高原から河合谷高原へと越えて来たらしい。楽しんでいるなぁ。
 何度目かの残雪区間を前に、そろそろ限界かな、と感じてMTBを道路わきの木にロックしてスキー板をおろす。クルマからは既に2.5kmも進んでいる。その間にハイカーに追い越された。抜きつ抜かれつのデッドヒートだ。
 ところがその残雪区間も大したことはなく、その先またアスファルト区間が続いているではないか。登りはまあいいとして、いやなのは下山の時に板を担いで歩かないといけないこと。せっかくの下りを、スキーで滑ることも自転車で走ることもできずに、歩くなんてひどい話だ。しかし、いったん引き返してまたスキー板をMTBに積んで登ってくるなんてことをする気にもならない。
 しばらく行くと左手から去年通った牧場内の作業道が合流してきている。地形の起伏の関係で向こうの道は上から降りてくるように合流している。私と抜きつ抜かれつのハイカーは、牧場作業道の方に行ってしまった。登山じゃなくて高原散策か。もしかすると雪におののいて急遽切り替えたのか。と思っていたら、また戻ってきて、こちらに道を聞いてくる。扇ノ山に登るんだって。だったら、道なりに行けばいいのに。
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 何度か残雪区間を越えながら、12:55「水とのふれあい広場」に到着。標高1046m。水場の周辺も先週より随分雪が溶けている。しまったなぁ、ここまで自転車を持ってくることだってできた。
 スキーブーツを履き板を担いだ私よりも、登山靴の単独ハイカーの方が少しペースが速い。彼の少し後を歩く。その彼は、しばらく立ち止まって地図を見たあと、分岐を兵庫県側に歩いていった。小ヅッコ登山口から入山するのか。と思ったら、また戻ってきて道を尋ねてきた。分岐のたびに人に道を聞くって、どういうこと。「水とのふれあい広場」というはっきりしたポイントなのに。一人で山に入っちゃいけない人なんじゃないの。
 悪いけど、教えてあげなかった。「そのくらい自分で判断してください。それができないのなら山に入るべきではありません。」我ながら不親切だこと。
 河合谷登山口を通り過ぎ、大根の段々畑の農道に入る。登山道は雪解けが進みブッシュが出て歩きにくいだろう。先週は段々畑の雪原を快適に滑ることができたが、やっぱり日曜から月曜にかけての大雨でかなり雪が解けている。黒々とした土が出ていて、板を担いで歩かねばならない場面があった。
 上地や大石からの登山道が合流する辺りで県境尾根のブナ林に入る。山頂へのメインルートだ。大ヅッコへの登り勾配が出てきた。次々にハイカーが下山してくる。単独スキーヤーともすれ違った。
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 大ヅッコの東斜面を見てみる。まだ滑れる。ならば、山頂の東斜面もまだいけるかもしれない。
 大ヅッコのピーク手前で、例の抜きつ抜かれつのハイカーが後方から追いついてきた。何とか登山口を見つけてやってきたらしい。挨拶を交わして、向こうが追い越していった。
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 ところが、大ヅッコの南斜面で雪が切れていた。アップダウンを楽しめるステップソールの板なのに、板を担いで下らねばならない。少し下ったら雪原となったので、板を付けて滑る。林が濃くて快適に滑れる斜面ではないのでまあいいとしよう。
 下りで抜きつ抜かれつハイカーに肉薄したものの、山頂への登りで水をあけられた。大ヅッコや山頂への登りに限れば、シールの方が楽なのである。
 山頂手前で、抜きつ抜かれつのハイカーとすれ違う。山頂では小休止程度ですぐ下山にかかるようだ。下りもずっと歩かないといけないんだもんね。大変だ。
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 14:50、1310mの山頂到着。雪解けはかなり進んでいたが、今日も東斜面は十分滑れそうだ。よかったよかった。
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 まだシールを剥がしていないスキー板が2セット置かれている。かなり太い。アルペンスキーだ。それらの板の主は小屋の中にいるようだ。大きな窓から見ると、1階の土間にスキーブーツが置いてある。先週は板の間の2階までブーツで上がっているスキーヤーがいたけど、やっぱり2階は土足禁止だよね。先週は半分雪に埋もれていた木製ベンチの周りにもまったく雪はない。それに腰掛けて休んでいるとちょうど彼らが小屋から出てきた。八東ふるさとの森からだそうだ。
 ふるさとの森からのルートは、かなり雪が切れていてあまり楽しめないだろう、とのこと。南斜面だからね。先週ならスノーボードでふるさとの森まで滑れた、との情報を元にきたというが、日曜から月曜にかけて大雨が降ったから状況は一変した。この時期の一雨の威力は凄まじい。
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 さらに、彼らは先週氷ノ山の東尾根を行ったという。ほとんどつぼ足だったとのこと。やはり、一ノ谷休憩所の上の斜面は駄目だったのだ。こちらも先週東尾根を狙っていたが、取りやめて正解だった。
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 彼らより一足先に腰を上げ、東斜面へ飛び込む。雨で雪面に溝が彫れていて、先週ほど快適なすべりではない。標高差50mほどで切り上げ、山頂登り返す。すると妙な声が聞こえてきた。先程の2人組のスキーヤーの片方が声を発しながら滑っている。たまに、奇声を発しながら滑っている人を見かけるが、なぜそんなことをするのか良くわからない。見ているほうが恥ずかしくなってしまう。
 山頂に残したザックを回収し、15:45、再び東斜面へ。今度は途中から左手に進路をとり、大ヅッコとの鞍部へトラバース。大ヅッコへ登り返し、東斜面から北斜面へ。大ヅッコの北斜面はまだまだ雪がたっぷり。5月の連休でも滑れる。
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 さあ、問題はその先。小ヅッコ辺りから下はヤブが濃くてまともに滑れない。登ってきた大根畑は雪解け。畑だから日当たりがいいのだ。そこで、畑の合間の沢筋をたどる。日陰となって雪が残っている。立木と雪の切れ目を交わし急斜面をトラバース。緊張感が走る。沢は埋まっているので、底に降りてしまったほうが楽かも知れないが、法面の雪が切れているし、沢の下流の様子がわからない。
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 どうにか難所を越えて、あとは畑の中の農道を行く。何とか雪はつながっていて、「水とのふれあい広場」の車道まで板を外さずに到達。
 水場でのどを潤して、板を担いで車道を歩く。時々残雪が道を覆っているが、わざわざ板をつけるのも面倒だ。やっぱり自転車でもう少し粘ればよかった。
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 500mほど歩いて、やっと自転車に到着。板を自転車に積んで、さあ行きますよ。ああ、速いし楽だし、なんて便利なの。雪に塞がれた区間は押して越えねばならないが、自転車の乗り降りなど楽なものだ。それに圧倒敵意アスファルトの露出区間のほうが長い。ああ、湖山池が西日に輝いている。今日は霞が濃くて遠くは見えない。山頂から大山はさっぱり見えなかったし、ここから鳥取市街すらはっきりしない。それでも日差しは強力で、顔が日焼けしている。日焼け止めを塗っていなかったら、真っ赤っかになってしまっただろう。
 17:40、標高880m地点のクルマに到着。今日も最後だね。結局、「水とのふれあい広場」までの車道が3km。上山高原から小ヅッコ登山口までの車道が2.7kmだから、こちらのほうがわずかに長いが、自転車のおかげで上り下りとも時間を短縮できた。ちなみに、河合谷牧場入り口は約3km手前であるが、牧場内の作業道ならば4km足らずで済む。ただし、前述のような自転車を押して登らないといけないような急坂もある。

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コメント

 関西最後の雪山、扇ノ山お疲れ様です。
 もう何年も行っていないけど、あの緩やかな山並みが懐かしいです。テレマーク的というか、穏やかな気持ちで山に入って行けますね。
 ちょっとしたアップダウンで、はいかいさんにステップソールの機動力を見せつけられたのもここだったかもしれません。いいもんですね、ステップソール。

投稿: すう | 2015/05/04 07:45

 上山高原よりも遠くて、しかもアプローチ道路の悪さからずっと敬遠していましたが、去年の道路通行止めのおかげで、河合谷からの入山の良さを感じました。自転車も一緒に使うなら河合谷ですね。
 二週連続で小ヅッコ・大ヅッコ経由で扇ノ山へスキー登山をしましたが、自転車のおかげでずいぶん違う雰囲気を味わうことができました。
 さて、一緒に行ったのはかなり前なので、今回使用の板ステップを彫ってもらうよりも前だし、ハーフキャンバーステップソール板の10thMountainを買うよりも前だったような気がします。
 山容の穏やかさは中国山地全体の特徴でしょう。氷ノ山も東山も沖ノ山も皆穏やか。唯一の例外が大山ですね。中でも、扇ノ山の小ヅッコ大ヅッコのコースは、氷ノ山の三ノ丸経由坂ノ谷コースと並ぶ緩やかルート。、ロスカントリースキーでも行けるし、MTBなら乗車率8割越えです。

投稿: はいかい | 2015/05/04 23:08

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