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2015/05/13

松は緑に砂白き琵琶湖一周(前編:新旭・琵琶湖大橋・近江八幡)

 自転車暦29年目で近畿地方に住んでいるのに、琵琶湖一周したことがなかった。京阪神の都市圏にかかり、クルマが多いということで敬遠してきた。
 決行のきっかけは去年の晩秋、琵琶湖大橋の東詰のマリーナに併設のホテルで行われたいとこの結婚式に出席したことだった。琵琶湖大橋以南の東岸をクルマで走った。湖岸道路の景色がいいことは前から知っていたが、自転車走行可の歩道(車歩道)が車道からしっかり分離されていて、段差の処理もされていて自転車で走りやすそうだった。
 今では、琵琶湖一周は日帰りコースというのが当たり前になっているようだが、20年以上前なら1泊2日も普通だった。まあ、1日で走る人もいたけどね。古い言い方を使えば、琵琶湖を1日で走破するのは「ファストラン」という走り方になるのだろう。その名のとおり、速く走る、ということだ。挑戦といった要素が強い。それに対し景色を見て楽しみながら走るのなら、1泊2日だ。
 丹後から最寄りの琵琶湖岸は今津。その近辺でクルマを停められそうなところとして思いついたのが新旭。道の駅がある。
 島や半島なら時計回り、内海や湖なら反時計回り、というツーリングの鉄則通りにコース案を練る。やっぱり、湖岸を走りたいからね。ちょうどいい所に近江八幡があった。一度泊まってみたいと15年以上思い続けているユースホステルがある。いいねぇ、どんな人と泊まりあわせるか、それも旅の楽しみだね。
 ゴールデンウィークも大詰め、5月5日、朝9時前に自転車を積んだクルマで家を出る。いきなりたくさんの自転車と出会う。丹後半島一周だろう。あまり芳しくなかった週間予報は日が近づけば覆り、文句なしの快晴となった。宮津そして舞鶴を抜け、若狭へ。クルマは多めだが、高浜からは「若狭西街道」、小浜を過ぎたら「若狭梅街道」と広域農道をつないで行く。クルマが少なくてスイスイいける。上中で少しだけ国道27号線を走り国道303号線へ。さすがに国道はクルマが多いけど、今のところそれなりに流れている。
 福井と志賀の県境を越え、いよいよ琵琶湖だ。やや混雑する今津の市街地を南下し新旭へ。琵琶湖に大きく張り出した安曇川の扇状地の縁を行くと、緑がいっぱい、青い湖面はすぐそこにあり、早く自転車で走り出したい気分になる。しかし、道の駅「新旭風車村」は満車。少し先に大駐車場があると記されているが、向かいの湖岸の広場にクルマを止める。ほかの数台は釣り人のクルマのようだ。ここには「治水の先駆者、藤本太郎兵衛」の像がある。琵琶湖の南の方は、無料でクルマが停められる場所などほとんどないが、この辺りだとこんな広場がいくらでもある。さあ、自転車をクルマから下ろそう。今回は輪行の予定がないから、ランドナーだ。前後のホイールと泥除けを装着し、出発準備だ。1泊2日の装備はすべてフロントバッグに収める。まずは道の駅でトイレを済ませる。バイクスタンドが設置され、たくさんの自転車が置かれている。ロードレーサーが多いが、クロスバイクや小径車、MTBもあるし、サイドバッグ装着の旅の自転車もある。自転車をこんなに見ることはあまりない。
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 そしてスタート。強めの風は、ツーリングの始まりを祝福してくれるような追い風だ。走りやすい歩道を行く。左側は湖なので、クルマが歩道を横切りことはなく安心して走れる、これも反時計回りの狙いの一つ。
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 ロードレーサーは車道を走り、追い越して行く。ファストラン、の雰囲気だ。もちろん、さまざまなスピードで走る人がいるから、こちらが追い越す場合もある。
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 追い風は最初だけで、いつの間にか向かい風になっていたり横風になっていたりする。なかなかの強風で、鯉のぼりが水平に泳いでいる。それでも、コースはひたすら平坦で、信号は少なく、快調に進んで行く。
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 近江高島で扇状地は終わり、比良山地と琵琶湖が最接近する区間となる。白髭浜の景勝地だが、道路は国道161号線の一本だけとなり、大渋滞となっている。自転車は、渋滞するクルマの脇をスイスイ通過。歩道がなく、車が猛スピードで走っているとストレスがたまりそうだが、列をなして止まっているクルマなど羽をもがれた鳥の如し。恐れるには足りない。やっぱり左側は湖であるから、左折するクルマも飛び出してくる車もない。道路脇は安全な自転車道と化している。反時計回りのメリットだ。
 ただ速度の遅い子供連れの自転車ファミリーを追い越す幅がないこと。道幅が開くところまで待ったり、時折クルマが流れるタイミングにあわせクルマの列に入って追い越したりする。
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 北小松では国道が少し内陸を行くので、湖岸沿いの細い道をとる。水泳場があったり、波打ち際に集落があったりして雰囲気がいい。琵琶湖の水も澄んで美しい。こうした湖岸の細道へのアクセスがいいのも反時計回りならでは。
 近江舞子辺りから、いつの間にかJR湖西線の高架下の自転車道となった。国道からのエスケープなのか離合不能な細い道をどんどんクルマがやってくる。自転車道はその反対側の側道が割り当てられているのだが、車道と何度も交錯しているので、クルマが途切れるのを待つ場面も出てくる。湖からも離れていて、景色も良くない。
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 しかし、それもつかの間、自転車道は田んぼの中を行くようになる。湖こそ見えないが、並行する車道を行くクルマは少なく、比良の山々を見ながら安心して走ることができる。クルマだけでなくこの自転車道を走る自転車も非常に少ない。親子連れと地元の高齢者がたまにいる程度。ファストランなら国道を行ってしまうのだろう。
 JR志賀駅の先でまた、湖岸の細い道を行く。例によって、集落や水泳場が続く。こういう道は景色雰囲気はいい。ただし細い道をたまにクルマが通るのと、路肩で釣をしている人が周囲を確認せず突然身を翻して道路の中央に出てくるので、注意が必要。
 八屋戸浜、ほうらい浜を過ぎると、国道161号線を行くしかなくなる。もう堅田が近い、周囲は市街地、クルマの多い道をもう少し辛抱したら、大休止だ。
 14:35、琵琶湖大橋西づめの堅田に到着。ここで遅い昼食だ。国道161号線と477号線の交差点の周囲に飲食店がたくさんある。さあ、どのラーメン屋にしようか。地名を冠した「近江ちゃんぽん」に心を惹かれるが、行列ができている。待つのは嫌だなぁ。「天下一品」ではありきたりだし、以前にこの店で食べたことがある。20年以上前だけど。ほかにないかとうろうろしていたら、いつの間にやら「近江ちゃんぽん」の行列がなくなっていた。ここに決定。野菜が多くてよかった。
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 15:30、琵琶湖大橋を渡る。渋滞する車道を後目に、車歩道を行く。橋の取り付きはまっすぐに登るやや急勾配で、「銀河鉄道999」の出発の映像を思い出す。自転車を押して登っている人もいる。ぐいぐいと湖面が下に遠ざかり、風が強いこともあって、なんだか本当に空に飛び立つようだ。
 しばしの空中散歩の後、琵琶湖東岸に着陸。車道には料金所があるが、自転車はどこで通行料を払うのだろう。しまなみ海道なら賽銭箱のような物に放り込むのだが。なんと、琵琶湖大橋は、自転車無料だった。20数年前には数十円かかったと聞いていたので、払わなければならないと思い込んでいた。
 東岸には「湖岸道路」と呼ばれる県道が伸び、クルマが多い。しばらくは、湖側にも大型商業施設などが並び、クルマの出入りがあるので要注意。そのうち、本当に湖岸を行くようになると、車歩道を安心して走ることができる。
 相変わらず風が強い。ただ、そのパターンがわかってきた。進行方向左から右、つまり湖から陸に向かって吹いている。強い日射を受けて、湖面よりも陸上の方が気温の上昇が大きいため内陸で上昇気流が起こり、地表付近では湖面から陸に向かって空気が流れる。つまり、海風と同じ原理だ。基本的には湖西でも湖東でも同じことだが、湖西では山が近くて風向きが複雑に変化をするためによくわからなかった。湖東は平野部が広いのでよくわかった。ただし、湖岸線が入り組んでいる。湖に突き出した岬に向かうときには向かい風、岬を回り込めば追い風となる。
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 左は相変わらず琵琶湖だが、右側に広い田園地帯または麦畑が広がる。そんな風景を走っていくと、近江八幡市に入る。16:20、交通量の多い湖岸道路を横断し、川沿いの自転車道で近江八幡の中心街に向かう。八幡山の麓は城下町の古い街並みが残る。雰囲気は古いようだが、どこかモダンな感じもする。観光客もたくさん行き交い、パビリオンといった感じだ。
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 街並みを抜け、郊外にでる。琵琶湖の内湖の一つ西ノ湖のほとりの「よし笛ロード」という自転車道へ。17年前に全線走ったこの自転車道は、あの頃と変わらぬ雰囲気。葦が生える湿地と田園の間を縫っていく。ただ、琵琶湖一周の道にあんなにたくさん走っていた自転車が、ここにはほとんどいない。ウォーキングしている地元の高齢者ばかり。かなりの額を投じてできた自転車どうだというのに。
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 よし笛ロードは安土に向かっていくが、こちらは西ノ湖を一周する。水郷巡りの船着き場辺りは、立派な葦が茂る。
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 17:36、近江八幡ユースホステルに到着。約70km。平均時速は、20.9km/h。いつも峠越えなどの山道が多いので、こんな平均時速で走ることはまずない。しかも、近江八幡のポタリングを含めてこの値は驚異的。
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 近江八幡ユースホステルは、かつて勧業館だった明治の建物。20畳ほどある大広間に布団を並べた相部屋。残念ながら、自転車は私一人だけ。あとは自動二輪が4台くらい。そして、クルマが数台と公共交通機関の旅人もいるようだ。自動二輪の一人は、30年くらい前に自転車で四国一周したことがあるそうだ。その自転車は、パナソニックの「デモンタ」。フレーム分割式のスポルティーフだ。
 予約の時に頼めば、近江牛の特別料理も選択できるが、普通の夕食もおいしい。筍ご飯や筍のてんぷらなど裏山でとれたという筍尽くし。また、紅こんにゃくなど、地元の食材が使われている。朝食には、琵琶湖のアユ出てきた。
 食後は、談話室で過ごす。宿の本棚の漫画を読む、ガイドブックで明日の計画を練る、スマートフォンをいじる、おしゃべりする、など思い思いの時間を過ごす。私は、宿のWiFiでメールや明日の天気をチェックして、持ってきた本を読む。旅の夜はゆっくり更けてゆく。

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コメント

 はいかいさんがビワイチ初めてだなんて以外でした。GWの琵琶湖はひときわ自転車多そうです。
 写真のサイクリングロードが綺麗に見えました。色を塗られたのかな。
 それと平均速度が速い。快走ですね。ロードのボクでもそのような平均時速あります。

投稿: すう | 2015/05/15 06:01

 琵琶湖にはあまりなじみがないですからねぇ。ただし、湖北の今津から木之本の間は東海方面に行く時に通るの少し親しみがあります。琵琶湖大橋より南なんか、遠いし都会だし、まるで異国です。精神的には北海道より遠かったですね。とにかく京阪神に近づくことと自転車に乗ることは相反することです。いとこの結婚式で目からうろこが落ちました。いいところがあった、と。
 そういえば、北摂に出向くようになったのも最近のことでした。相反することを結びつけるきっかけとなったのは、関西学院大学で開催されたアバランチナイトでした。あのときも、いいところあった、と思いました。

投稿: はいかい | 2015/05/16 20:29

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