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2015/05/14

松は緑に砂白き琵琶湖一周(後編:近江八幡・木之本・新旭)

 さあ今日も快調に行きますよ。快晴というのか薄曇りというのか微妙なところだが、雨の心配はなく爽やかな空気に包まれたツーリング日和。気温はまだ上がらないので空気の対流は弱く、つまり微風。でも昼ごろには昨日のような強風になるんじゃないの。8:15、藤の花咲く近江八幡ユースホステルを出発。
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 まずは近江富士を遠くに見ながら湖岸に出て、長命寺の前を通る。長命寺山の山肌が直接琵琶湖に落ちているので、道路はアップダウンとなる。道は細いがクルマの通行は少なくいい雰囲気。メインルートの湖岸道路は長命寺山の裏側、大中湖という内湖を干拓したところを走っているようだ。当然琵琶湖一周は、湖岸を走るべきだろう。このツーリングレポートのタイトルに拝借した「琵琶湖周航の歌」の中にもちゃんと長命寺が歌われている。数台の自転車とすれ違ったり、追い越されたり、追い越したり。
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 湖岸のアップダウンを越え水泳場やキャンプ場がある休暇村の前を通過すると、広々とした穀倉地帯へ出た。大中湖の干拓地だ。まるでオアシスのようにコンビニエンスストアがある。サイクリストの一団が休憩中。彼らは皆ロードレーサー。ファストランの雰囲気だ。店内で買った1Lの紙パック入りのお茶をペットボトルに移し替えていると、颯爽と走り去っていった。こちらはのんびりツーリストなので、より湖岸に近いところを通れないかと模索するも、結局ファストランの一団と同じ幹線道路を走る。湖岸道路という名のくせに、内陸を通ってきた道だ。相変わらずこの後も、湖岸から100~300mほど内陸を走っている。
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 湖岸に駐車車両が見えるので田んぼの中の道を通って行ってみると、浜に家族連れなどのグループが数組いて日向ぼっこなどを楽しんでいる。しばらくその浜沿いの道を行くがすぐに川で途切れて湖岸道路に戻る。大中湖の名残の小さな内湖からの水路のようだ。
 仕方ないので湖岸道路を行く。車歩道があるが、車道とのつなぎ目は通過時にストレスを感じる段差になっている。数百m内陸を走っているということは、左側にも田畑や民家などがある。つまり枝道が多い。そのたびに歩道の段差を越えるのはいやなので、車道を走る。朝のせいかクルマが少なくて幸い。風が弱いので走りやすい。長命寺のアップダウンで少しスローペースのスタートだったが、コンビニ休憩の後、25km/h前後またはそれ以上のスピードで走ることができたので、本日のトータルの平均時速はいつの間にか20km/hを越えていた。
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 徐々に湖岸道路を走る車が増えてきた、と感じていたら彦根市石寺町で湖岸を行く細い道が分岐していたのでそちらに入る。これは静かでいい道だ。波打ち際の広場にベンチがあったので、思わず自転車を停めて休憩。タブレット端末の地図で彦根の中心街まであとどのくらいか見ていると、近くの家のお父さんが話しかけてきた。ベンチに腰掛けてしばしお話をする。ここに立ち寄るサイクリストに、しばしば話しかけているようだ。300mほど内陸を行く現在の湖岸道路ができる前は波打ち際のこの細い道がメインルートで、深夜などに猛スピードのクルマが民家に突っ込む交通事故もあったそうだ。
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 細い道はやがて湖岸道路と合流する。湖岸道路は湖岸に近いところを行くようになり、車歩道も走りやすくなった。いつしか周辺は市街地となり、右前方に彦根城が見えてきた。彦根城は畔から1km近く内陸にあるので、遠巻きに眺めるだけ。港を迂回してまた湖岸を行く。
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 彦根を過ぎると伊吹山が大きくなってきた。ただし、今日はぼんやり霞んでいる。米原の中心街は2kmほど内陸にあるので、湖岸には田畑が多い。ただし、彦根、米原、長浜をつなぐ幹線である湖岸道路には信号のある交差点が多い。そのほとんどは内陸からの道が湖岸道路に突き当たる丁字路で、琵琶湖側の車歩道を走っていれば信号が赤であろうがかまわず通過できる。これも、反時計回りの利点である。
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 湖岸の車歩道を黙々と進めば、いつの間にか長浜の中心街へ。彦根城と違い長浜城は湖畔に建つ。城を中心とした公園の駐車場はほぼ満車のようだが、入場街のクルマが道路にあふれるほどではない。連休最終日の午前ならまあこんな感じということか。午後にはもっと込むんだろう。
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 自転車は公園内の車歩道で、浜沿いを行く。いいねぇ。お城も間近に見えるねぇ。
 長浜の市街地を過ぎると、ぐっと静かになる。左にはただただ琵琶湖が広がり、右には田んぼ、あるいは湿地の風景。相変わらず風は弱く、平坦な道を快走する。道路わきの施設に「奥琵琶湖」という表記があって、随分北名と感じる。しかし走りを妨げるものがひとつ。空腹だ。彦根か長浜で早めの昼食を、と思っていたのだが、通過が早すぎた。やっぱり11時を過ぎないと飲食店は開かない。木之本までがんばるか、とも思ったが湖北町の道の駅「水鳥公園」に吸い込まれる。
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 道の駅は自動車、自動二輪、自転車で訪れた人々でにぎわっている。フードコートは自動券売機で食券を買うシステム。しかし、小銭も千円札も切らしてしまっている。券売機は一万円札を受け入れてくれない。両替機は見当たらないし、レジで両替をしてもらわないといけないと売店に行ったら、惣菜が売られていた。これを買って外で食べよう。敷地の端の静かなベンチに腰掛けて食べる。またこの先でラーメンを食べたいので、軽めにしておいた。
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 昨日の白髭浜辺りほどではないが、今日も自転車で走っている人を見かける。波打ち際を求めて車歩道を対向してくる自転車があるので正面衝突しないように注意が必要だ。
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 自転車の前後にライトを灯して片山隧道を越える。その後はしばらく内陸を行く。西野方水路の川沿いは、対岸の静かな道を行く。川向こうのクルマの轟音が他人事、対岸の火事だ。公園のように整備された場所の藤棚が見ごろ。
 川沿いの道は国道8号線に合流し、賤ヶ岳トンネルを越える。少し登ったら旧道トンネルもあるが、そんなことは知らずに狭い車歩道を行く。車歩道は片側にしかないので、対向車が来ないことを祈りながら行く。幸い自転車とはすれ違わず、歩行者1名と慎重にすれ違うだけで済んだ。
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 トンネルを出たら、湖岸を行く。入り江が深くて静かな湖面。対岸は奥琵琶湖パークウェイの半島だ。その手前、藤ヶ崎の小さな半島ではショートカットトンネルが以前に開通しているので、岬を回る道を静かに走ることができる。いるのは、波打ち際を好むサイクリストと釣り人くらいのものだ。トンネルとの分岐からほんの少し旧道に入ったところにあるドライブインは廃墟となっている。かつては賑わっていたのだが、分岐からほんの100mくらいの位置関係が、死活問題となったようだ。
 再び国道8号線と合流し塩津浜で、しばし琵琶湖とお別れ。内陸に入る。13:05国道303号線の分岐手前の「ほくほく亭」という食堂でラーメンを食べる。いつも来るまでこのルートを通る時、必ず目にしていた店にとうとう入る時が来た。13時を過ぎているが、結構客が入っている。
 ほくほく亭の向かいのコンビニエンスストアでまたパック入りのお茶を補給して、13:55スタート。国道303号線をショートカットする形で農道を岩熊トンネルに向かう。最後は集落の中の激坂を登る。ここでフロントインナーを使う、2日間で唯一の場面だった。
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 岩熊トンネルは奥琵琶湖パークウェイの半島をショートカットする。かつては対面通行だったトンネルだが、現在では上り下り別々のトンネルが並行する形となっている。その古いほうのトンネルは、かつての片方の車線を広い車歩道にしてあるので、自転車でも安心して通過することができる。
 奥琵琶湖パークウェイは1989年までは有料だった観光道路で、そのためかどうかは自転車の琵琶湖一周ではたどらないことが多い。私もあまり考えずにコースから外してしまった。ピークの標高が300mを越えるため体力の消耗を懸念してのことだ。でも、琵琶湖の湖面は標高が85mもあるのだから、パークウェイを走る標高差は200mちょっとしかないわけだ。新旭発着ならば、ゴールは近い。体力の温存などそんなに意識しなくてもいい。ということで、今回は見送ったが、もし次があるらならばパークウェイを走ってみようかと思う。道路の崩落の関係で大浦から塩津への一方通行は、反時計回りの琵琶湖一周に逆送する形となるが、わずかな区間のことだ。終点手前から岩熊トンネルの西側に出る道も分岐しているので、集落の中の激坂を2度登る必要はない。
 岩熊トンネルを抜けると長い下りとなる。自転車で琵琶湖一周するというと、湖北はのぼりがきついよ、と言われる。近江八幡ユースホステルのマネージャーさんも、彦根の手前で話しかけてきたお父さんもそうだ。でも、実際には相対したことはない。高低差は、長命寺の湖岸のアップダウンや琵琶湖大橋とさほど変わらない。まあ、周囲の雰囲気なんだろうね。
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 大浦で国道を離れ、湖岸へ。海津大崎を回る。また静かな湖畔の道だ。でも、法面の森の影からなにやらごそごそ音がする。いたいた、猿の群れだ。この辺りには本当に猿が多い。岩熊の例の激坂の集落の辺りでも群れを成しているのを見かけたことがある。
 海津大崎は、桜の名所でもあるが、今はすっかり葉桜。道幅の狭いトンネルが連なり、ライトがないと対向車が怖い。
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 海津大崎の半島を回り込んだら、もうゴールは近い。もちろん国道なんて走らず、レトロな町並みの中の湖岸の道を行く。この辺りの湖岸では北西の季節風による波を受けないためなのか、波打ち際にまで集落がある。近江今津の中心街の喧騒など届かない、静かな道を行くことができる。
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 琵琶湖航路の船着場を過ぎると、「さざなみサイクリングロード」との案内が出ていた。もちろんそちらをたどる。木津港跡地には古い木造の灯台が建つ。その後は公園の中を通り、突然フェンスでふさがれた通行止めで車道へと追いやられる。その先は水鳥が集う湿地とのこと。ならば、通行止めは当然だ。
 少しだけ国道161号線と併走するが、すぐに安曇川の扇状地に入る。昨日クルマでアプローチした道だ。そして15:30太郎兵衛の像が建つ広場にゴール。距離は丁度100kmを越えたところ。平均時速は昨日を上回る22km/h。結局強い風が吹かなかったから走りやすかった。
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 向かいの道の駅でお土産を買って、16:05岐路に着く。連休最終日で、しかも京阪神の都市部とは反対方向に向かう道は、混雑なくスイスイ。舞鶴で新しくオープンした店に寄って、19:30帰宅。140kmを正味3時間だ。
 琵琶湖一周は、基本的に平坦なコースで、自動車と隔離された区間も多く自転車で走りやすい。峠越えコースと違って疲労も少ない。つまり筋肉へのダメージが小さい。息を弾ませることなくずっと有酸素運動の状態で走れる。
 また、琵琶湖大橋を渡っているサイクリストは案外少なかった。白髭浜の辺りで見かけた親子連れや家族連れは、あの日大津でゴールを迎えるのだと思う。琵琶湖大橋以南はクルマが多そうで頭ごなしに敬遠していたが、東がわは湖岸道路の車歩道で琵琶湖大橋以北と同じように走れるだろう。問題は、西側の大津市内だが、距離は15km程度とさほど長くない。混雑する時間帯を避け、できるだけ幹線を避けていけば案外ストレスを軽減できるのではないか。
 というわけで、もし次があるならば、奥琵琶湖パークウェイと琵琶湖大橋以南を走ってみようかと思う。

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2015/05/13

松は緑に砂白き琵琶湖一周(前編:新旭・琵琶湖大橋・近江八幡)

 自転車暦29年目で近畿地方に住んでいるのに、琵琶湖一周したことがなかった。京阪神の都市圏にかかり、クルマが多いということで敬遠してきた。
 決行のきっかけは去年の晩秋、琵琶湖大橋の東詰のマリーナに併設のホテルで行われたいとこの結婚式に出席したことだった。琵琶湖大橋以南の東岸をクルマで走った。湖岸道路の景色がいいことは前から知っていたが、自転車走行可の歩道(車歩道)が車道からしっかり分離されていて、段差の処理もされていて自転車で走りやすそうだった。
 今では、琵琶湖一周は日帰りコースというのが当たり前になっているようだが、20年以上前なら1泊2日も普通だった。まあ、1日で走る人もいたけどね。古い言い方を使えば、琵琶湖を1日で走破するのは「ファストラン」という走り方になるのだろう。その名のとおり、速く走る、ということだ。挑戦といった要素が強い。それに対し景色を見て楽しみながら走るのなら、1泊2日だ。
 丹後から最寄りの琵琶湖岸は今津。その近辺でクルマを停められそうなところとして思いついたのが新旭。道の駅がある。
 島や半島なら時計回り、内海や湖なら反時計回り、というツーリングの鉄則通りにコース案を練る。やっぱり、湖岸を走りたいからね。ちょうどいい所に近江八幡があった。一度泊まってみたいと15年以上思い続けているユースホステルがある。いいねぇ、どんな人と泊まりあわせるか、それも旅の楽しみだね。
 ゴールデンウィークも大詰め、5月5日、朝9時前に自転車を積んだクルマで家を出る。いきなりたくさんの自転車と出会う。丹後半島一周だろう。あまり芳しくなかった週間予報は日が近づけば覆り、文句なしの快晴となった。宮津そして舞鶴を抜け、若狭へ。クルマは多めだが、高浜からは「若狭西街道」、小浜を過ぎたら「若狭梅街道」と広域農道をつないで行く。クルマが少なくてスイスイいける。上中で少しだけ国道27号線を走り国道303号線へ。さすがに国道はクルマが多いけど、今のところそれなりに流れている。
 福井と志賀の県境を越え、いよいよ琵琶湖だ。やや混雑する今津の市街地を南下し新旭へ。琵琶湖に大きく張り出した安曇川の扇状地の縁を行くと、緑がいっぱい、青い湖面はすぐそこにあり、早く自転車で走り出したい気分になる。しかし、道の駅「新旭風車村」は満車。少し先に大駐車場があると記されているが、向かいの湖岸の広場にクルマを止める。ほかの数台は釣り人のクルマのようだ。ここには「治水の先駆者、藤本太郎兵衛」の像がある。琵琶湖の南の方は、無料でクルマが停められる場所などほとんどないが、この辺りだとこんな広場がいくらでもある。さあ、自転車をクルマから下ろそう。今回は輪行の予定がないから、ランドナーだ。前後のホイールと泥除けを装着し、出発準備だ。1泊2日の装備はすべてフロントバッグに収める。まずは道の駅でトイレを済ませる。バイクスタンドが設置され、たくさんの自転車が置かれている。ロードレーサーが多いが、クロスバイクや小径車、MTBもあるし、サイドバッグ装着の旅の自転車もある。自転車をこんなに見ることはあまりない。
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 そしてスタート。強めの風は、ツーリングの始まりを祝福してくれるような追い風だ。走りやすい歩道を行く。左側は湖なので、クルマが歩道を横切りことはなく安心して走れる、これも反時計回りの狙いの一つ。
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 ロードレーサーは車道を走り、追い越して行く。ファストラン、の雰囲気だ。もちろん、さまざまなスピードで走る人がいるから、こちらが追い越す場合もある。
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 追い風は最初だけで、いつの間にか向かい風になっていたり横風になっていたりする。なかなかの強風で、鯉のぼりが水平に泳いでいる。それでも、コースはひたすら平坦で、信号は少なく、快調に進んで行く。
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 近江高島で扇状地は終わり、比良山地と琵琶湖が最接近する区間となる。白髭浜の景勝地だが、道路は国道161号線の一本だけとなり、大渋滞となっている。自転車は、渋滞するクルマの脇をスイスイ通過。歩道がなく、車が猛スピードで走っているとストレスがたまりそうだが、列をなして止まっているクルマなど羽をもがれた鳥の如し。恐れるには足りない。やっぱり左側は湖であるから、左折するクルマも飛び出してくる車もない。道路脇は安全な自転車道と化している。反時計回りのメリットだ。
 ただ速度の遅い子供連れの自転車ファミリーを追い越す幅がないこと。道幅が開くところまで待ったり、時折クルマが流れるタイミングにあわせクルマの列に入って追い越したりする。
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 北小松では国道が少し内陸を行くので、湖岸沿いの細い道をとる。水泳場があったり、波打ち際に集落があったりして雰囲気がいい。琵琶湖の水も澄んで美しい。こうした湖岸の細道へのアクセスがいいのも反時計回りならでは。
 近江舞子辺りから、いつの間にかJR湖西線の高架下の自転車道となった。国道からのエスケープなのか離合不能な細い道をどんどんクルマがやってくる。自転車道はその反対側の側道が割り当てられているのだが、車道と何度も交錯しているので、クルマが途切れるのを待つ場面も出てくる。湖からも離れていて、景色も良くない。
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 しかし、それもつかの間、自転車道は田んぼの中を行くようになる。湖こそ見えないが、並行する車道を行くクルマは少なく、比良の山々を見ながら安心して走ることができる。クルマだけでなくこの自転車道を走る自転車も非常に少ない。親子連れと地元の高齢者がたまにいる程度。ファストランなら国道を行ってしまうのだろう。
 JR志賀駅の先でまた、湖岸の細い道を行く。例によって、集落や水泳場が続く。こういう道は景色雰囲気はいい。ただし細い道をたまにクルマが通るのと、路肩で釣をしている人が周囲を確認せず突然身を翻して道路の中央に出てくるので、注意が必要。
 八屋戸浜、ほうらい浜を過ぎると、国道161号線を行くしかなくなる。もう堅田が近い、周囲は市街地、クルマの多い道をもう少し辛抱したら、大休止だ。
 14:35、琵琶湖大橋西づめの堅田に到着。ここで遅い昼食だ。国道161号線と477号線の交差点の周囲に飲食店がたくさんある。さあ、どのラーメン屋にしようか。地名を冠した「近江ちゃんぽん」に心を惹かれるが、行列ができている。待つのは嫌だなぁ。「天下一品」ではありきたりだし、以前にこの店で食べたことがある。20年以上前だけど。ほかにないかとうろうろしていたら、いつの間にやら「近江ちゃんぽん」の行列がなくなっていた。ここに決定。野菜が多くてよかった。
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 15:30、琵琶湖大橋を渡る。渋滞する車道を後目に、車歩道を行く。橋の取り付きはまっすぐに登るやや急勾配で、「銀河鉄道999」の出発の映像を思い出す。自転車を押して登っている人もいる。ぐいぐいと湖面が下に遠ざかり、風が強いこともあって、なんだか本当に空に飛び立つようだ。
 しばしの空中散歩の後、琵琶湖東岸に着陸。車道には料金所があるが、自転車はどこで通行料を払うのだろう。しまなみ海道なら賽銭箱のような物に放り込むのだが。なんと、琵琶湖大橋は、自転車無料だった。20数年前には数十円かかったと聞いていたので、払わなければならないと思い込んでいた。
 東岸には「湖岸道路」と呼ばれる県道が伸び、クルマが多い。しばらくは、湖側にも大型商業施設などが並び、クルマの出入りがあるので要注意。そのうち、本当に湖岸を行くようになると、車歩道を安心して走ることができる。
 相変わらず風が強い。ただ、そのパターンがわかってきた。進行方向左から右、つまり湖から陸に向かって吹いている。強い日射を受けて、湖面よりも陸上の方が気温の上昇が大きいため内陸で上昇気流が起こり、地表付近では湖面から陸に向かって空気が流れる。つまり、海風と同じ原理だ。基本的には湖西でも湖東でも同じことだが、湖西では山が近くて風向きが複雑に変化をするためによくわからなかった。湖東は平野部が広いのでよくわかった。ただし、湖岸線が入り組んでいる。湖に突き出した岬に向かうときには向かい風、岬を回り込めば追い風となる。
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 左は相変わらず琵琶湖だが、右側に広い田園地帯または麦畑が広がる。そんな風景を走っていくと、近江八幡市に入る。16:20、交通量の多い湖岸道路を横断し、川沿いの自転車道で近江八幡の中心街に向かう。八幡山の麓は城下町の古い街並みが残る。雰囲気は古いようだが、どこかモダンな感じもする。観光客もたくさん行き交い、パビリオンといった感じだ。
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 街並みを抜け、郊外にでる。琵琶湖の内湖の一つ西ノ湖のほとりの「よし笛ロード」という自転車道へ。17年前に全線走ったこの自転車道は、あの頃と変わらぬ雰囲気。葦が生える湿地と田園の間を縫っていく。ただ、琵琶湖一周の道にあんなにたくさん走っていた自転車が、ここにはほとんどいない。ウォーキングしている地元の高齢者ばかり。かなりの額を投じてできた自転車どうだというのに。
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 よし笛ロードは安土に向かっていくが、こちらは西ノ湖を一周する。水郷巡りの船着き場辺りは、立派な葦が茂る。
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 17:36、近江八幡ユースホステルに到着。約70km。平均時速は、20.9km/h。いつも峠越えなどの山道が多いので、こんな平均時速で走ることはまずない。しかも、近江八幡のポタリングを含めてこの値は驚異的。
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 近江八幡ユースホステルは、かつて勧業館だった明治の建物。20畳ほどある大広間に布団を並べた相部屋。残念ながら、自転車は私一人だけ。あとは自動二輪が4台くらい。そして、クルマが数台と公共交通機関の旅人もいるようだ。自動二輪の一人は、30年くらい前に自転車で四国一周したことがあるそうだ。その自転車は、パナソニックの「デモンタ」。フレーム分割式のスポルティーフだ。
 予約の時に頼めば、近江牛の特別料理も選択できるが、普通の夕食もおいしい。筍ご飯や筍のてんぷらなど裏山でとれたという筍尽くし。また、紅こんにゃくなど、地元の食材が使われている。朝食には、琵琶湖のアユ出てきた。
 食後は、談話室で過ごす。宿の本棚の漫画を読む、ガイドブックで明日の計画を練る、スマートフォンをいじる、おしゃべりする、など思い思いの時間を過ごす。私は、宿のWiFiでメールや明日の天気をチェックして、持ってきた本を読む。旅の夜はゆっくり更けてゆく。

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千の水になって2015

 千ヶ峰の西側、播但国境の中山間地域を周回するショートツーリングを毎年初夏の時期に行っている。今年はまだ4月のうちに決行。雨ばかり続いた4月上旬から中旬。各地で4月の月間降雨日数の記録を更新した。下旬になって今度は晴れの日が続いた。やっと自転車に乗れる、というわけだ。
 神河町の旧神崎町中心部に近い法楽寺の近くにクルマを止め、ランドナーをおろしてスタート。まずは井篠川を遡って北上。クルマ、それもトラックの多い国道312号線を避け、農道を行く。初めてこのコースを走った2007年は麦秋の時期だったが、今はまだ青々とした麦畑。途中から線を引いたように水田に変わるが、田植え前に走るのは初めて。
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 井篠で東の山間部へ向かい、集落の奥のゲートを開けて舗装の林道越知ヶ峰線へ。初めて走った時は梅雨の湿気の中を登ったが、今日は爽やか快適な登り。去年は土石流が道路にあふれ自動車は通れない状態だったが、さすがに今は復旧している。ただし、見上げる急な谷には爪痕がくっきり残っている。
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 峠は「深タワ」というようだ。そこを越えると、東の麓、越知の集落を見下ろす。そこへと一気に急降下。傾斜地の越知集落は、田植え準備の最中だ。
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 越知ヶ峰と千ヶ峰に挟まれた越知川の谷は「名水街道」と呼ばれている。深タワを越えると水が流れるがごとく、下り一辺倒でゴールに向かうコースとなっているのが、このツーリングレポートのタイトルの由来。
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 ところは、今日はちょっと変速的なコース取りをする。越知から、越知川を遡る。大畑、作畑、新田とレトロな建物が残る山里をつないでいく。キャンプ場、バンガロー、フィールドアスレチックなどがある「新田ふるさと村」で折り返し。ここで自転車を借りて神崎中心街まで下る自転車のコースがあるわけだが、越知川を縫うようなやや複雑なコース取り。今日はよくわからないままメインの車道を下ってしまう。対岸の岩肌に見える不動の滝のすぐ下を自転車道は走っているようだ。
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 下りを一気に越知集落まで戻る。その先は勝手知ったる道。下り基調でぐいぐい飛ばす。
 根字野(みよの)集落では麦畑の道に沿って大量の鯉のぼり。さらに、その鯉のぼり群は南の笠形山麓の谷を埋め尽くしている。5月いっぱいはこの風景が見られるということだ。
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 そこから先は、去年までは農道が川下り自転車コースに指定されていたが、なぜか今年はクルマの通る車道に案内されている。農道が複雑でたどりにくいからだろうか。まあ、車道もそんなにクルマが多くないし、ゴールまではもうすぐなのでどっちでもいいが。
 というわけで、薄暮のゴール。(4月下旬、15:30~18:48、約43km)

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2015/05/11

緑爽やか高竜寺ヶ岳

 5月2日午後、ぶらりと登ってみた。5年ぶり。また、MTBなしで登るのは20年ぶり位になる。5月の風が気持ちよかった。
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ストップ・ザ・シーズン・イン・ザ・パンク

 穴よあかないでくれ、もう少しこのままでいたいから。
 …まあ、「チューブ」に関する話ということで。
 去年の夏にパンクの連発をストップしたのは、ホイールを変えたことだった。しかし、「スポーク折れ」という別のトラブルに見舞われた。細めのスポークが使われているためだ。
 ならば、リムだけ交換することにしよう。パンクの原因は不明。呪われているとしか言いようがない。呪われたリムとはおさらばだ。ランドナー4台のホイール共有の関係で、前述の後輪1本に加え、前輪が2本余っている。後輪用は残しておくことにして、呪われたリムが着いた後輪とペアの前輪のリムを使うことにする。
 というわけで、大型連休に作業をした。ホイール組みは初めての作業だ。ちゃんとできるかな。
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 まずは、2つのホイール計72本のスポークを抜く。分解は何も考えなくて良いのだが数が多いので、外すだけで1時間かかった。前輪から外したスポークはハブから外しておいて置く。予備のスポークだ。そして前輪のリムに、後輪のスポークを仮止めして行く。36本スポークの場合は8本組みされていることが多いそうだが、このホイールは、もともと6本組みされていたのでそのまま踏襲する。変えるとスポークの長さが合わない。ちなみにこれは、1989年春に買ったブリジストンユーラシアツーリングのホイール。ほかのランドナーのホイールは、8本組みだった。だからサイクルコンピュータのマグネットの位置が違ったのか、といまさらながらに気づく。
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 見よう見まねで1時間、何とかホイールの仮組みができた。ただし、今までに経験がないくらい振れている。こんな振れがちゃんと取れるのだろうか。もちろん、専用の道具などない。ホイールをフレームに組んで、ディスプレイスタンドで後輪を浮かせて、ブレーキシューとの隙間を使って振れを見ていく。もちろん最初はリムとブレーキが干渉してホイールが回らない。とりあえず横方向の振れをとっていく。タイヤを付けていないむき出しのリムなので、ニップル回しで振れがなくなっていく様子が良くわかる。リムがブレーキシューにあたらず、ホイールが回るようになったら、次は縦方向の振れを取る。意外に何とかなるもんだねぇ。
 ところで、後輪はスプロケットがある関係でスポークの張り方は左右非対称である。張りが短くてテンションが高いスプロケット側を先にすべきだろう、と考えてやってみたが、どうやら正解だったようだ。
 というわけでホイールが組みあがったので、チューブを入れてみる。まだ不安があるので、つぎはぎだらけのチューブにさらにパッチをもう一枚貼って入れてみるが、なかなかうまく入らない。ビードとリムの間からチューブの橋が見えてしまっている。このまま空気を入れるとチューブを噛んで破裂するので、タイヤレバーで一度タイヤを外してリムにはめ直す。そして空気を入れてしばらくすると、ビードがリムから浮き上がりチューブが風船のように膨らみだした。そして、パン!という大音響。耳がキーン。
 たくさん貼ったパッチの影響でチューブがタイヤに納まりにくかったようだ。タイヤビードをリムにはめていく時に最後の部分はチューブを噛みやすいので、パッチの貼ってある部分やその周辺を最後にしないようにしないといけなかった。
 というわけで、新品のチューブを使った。さあ、パンクはおさまるのか。
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 とりあえず鬼門の20kmを無事走り切った。スポークもとりあえず大丈夫のようだ。

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2015/05/01

春のパンク祭りが始まったよ

 ああまいった、再発だ。謎のパンク連発。山口ベニックスの後輪。
 去年の8月、15kmほど走るたびにパンク。原因は不明。タイヤの内側やリムに異常はない。新しいチューブでも穴が開く。もったいないのでゴム糊とパッチで補修しても、次々に別の場所に穴が開く。共通しているのはリム側に小さな穴。車庫においておけば大丈夫だが、10~20km走るとパンクする。
 ほぼ1日おきに5回以上パンクしたところで根負けし、ホイールを変えてみた。2台のランドナーのそれぞれのタイヤを管理する手間を省くため、ホイールを共有していた。だから、もう片方のホイールに変えるのだ。するとパンクはしなくなったが、しばらく乗っていたらスポークが折れた。細いスポークが使われている。結局もとのホイールに戻したが、パンクはしなかった。何か目に見えないような小さな原因がなくなったということか。
 それで8ヶ月異常はなかった。3月に一度パンクをしたが、海岸を走っていて釣針の折れた針先という原因のはっきりしたものだった。
 しかし、4月中旬、気づけば車庫の中でパンクしていた。原因は不明。リム側にごく小さな穴が開いていた。おそらくその前に走った時にパンクしたが、走り終えるまで空気が持ったのだろう。いやな感じがよみがえる。去年の8月、パンクのたびにとっかえ引返して傷もう片方のつぎはぎだらけのチューブを入れてみた。その自転車に乗る機会がなく数日が過ぎた。やはり車庫の中においておく分にはまったくなんともない。29日、ぶらりと走ってみた。9kmほど走ったところでパンクした。空気の抜け方からしてやはり小さな穴のようだ。ポンプもスペアチューブもあるが、新しいチューブを傷物にしたくない。空気の補充を繰り返せば走れなくもなさそうだが、家まであと2km弱だから押して帰った。

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Slide and Ride 扇ノ山2015

 雨が多い今年の4月だったが、下旬になってようやくさわやかな晴天が続くようになった。そうなると野山に繰り出したい。先週訪れた扇ノ山にもう一度行こう。もう日帰りで気軽にスキーができる山は、扇ノ山しかない。前回は兵庫県新温泉町の上山高原からのアプローチだったが、今度は鳥取県岩美町の河合谷牧場から行ってみよう。小ヅッコ・大ヅッコを越えて山頂へ行くのはどちらも同じ。要するに、県境尾根のどちら側からアプローチするかの違い。去年の4月に訪れた時には、牧場の中を行く作業道が除雪されていた。鎖で塞がれクルマは入れない。自転車の出番だ。未除雪の車道をスキーで歩いて登り、滑って降りるのに比べ、スキーを自転車に積んで行くというのはより機動力が増す。河合谷牧場のほうが標高差が200m近く大きくなるが、距離はどちらもほぼ同じ。自転車を使うことで標高差の大きさが解消されて、どちらもほぼ同等のコースとなる。まあ、スキーと自転車が両方楽しめる。昭和の表現を使えば、一粒で二度おいしい山行きができる。
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 4月26日、9時前に自宅を出発。国道178号線で但馬海岸を西に進み、鳥取県へ。空も海も青い。たくさんの自転車を見た。皆ロードレーサー。スキーのアプローチでそういう姿を見るとうらやましく感じるのだが、今日はこうやって自分も自転車に乗れるのがうれしい。
 浦富海岸から南に折れ、岩美町役場や山陰線岩美駅前を通過し、国道9号線をまたいでどんどん南下。雨滝から河合谷牧場へ。兵庫県側の上山高原よりも20㎞長い、片道127㎞のアプローチ。国道9号線の県境の蒲生トンネルを越えてすぐに南下すれば若干距離は縮まるが、十王峠の道があまりにも悪い。離合不可能の1車線で曲がりくねっている。
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 昨年4月19日には、河合谷牧場の入り口までしかクルマが入れなかったが、雪解けが進み本日はさらに上まで行ける。11時過ぎに、標高880m地点、道路を塞ぐ残雪の手前に到着。既に、5台ほどのクルマが路肩に止まっている。駐車車両には自動二輪も見られる。牧場の入り口から3kmも入ることができた。ここは、西に突き出した支尾根の北側の林間であるためこうして雪がとけ残っている。この尾根を回りこめば、すっかり雪解けしているはずだ。去年の経験からして、おそらく登山口である「水とのふれあい広場」のすぐ手前までは、かなりアスファルトが露出しているだろう。曲がりくねった道なので正確にはわからないが、「水とのふれあい広場」まで少なくとも2kmはありそうだ。去年通ったのは、この道と分岐する牧場の中の作業道で、「水とのふれあい広場」まで4km足らずだった。こちらの道のほうが屈曲が多くてかなり距離は長いようだ。ただし、分岐点の牧場入り口からは標高差で150m以上も上っている。牧場作業道は恐ろしい急登で自転車を押して登る場面もあったが、今日の道は乗車で登れるだろう。
 スキーブーツを履き、MTBに車輪を装着しスキー板を積んで出発準備を整える。その間、一台の車が到着し、単独の男性ハイカーが私より一足先に出発して行った。
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 12:05スタート。まずは、道路を塞ぐ残雪の上を自転車を押して行く。支尾根を回りこんで南側に出ると、予想通りすっかり雪の気配はない。そして、広がる高原地帯には初夏の日差しがさんさんと降り注ぐ。MTBにまたがり、進んで行く。スキーブーツでのペダリングでも、10km/h弱で十分に登っていける。
 先週の上山高原からの車道も雪解けが進んでいると思われるが、あちらは尾根の北斜面。ショウブ池の辺りや、小ヅッコ登山口の手前では、車道が西斜面に回りこんでいるために雪が切れているが、それ以外の区間ではなかなかとけない。
 さすがに自転車の威力は大きく、先行していたハイカーを追い越す。何度か残雪道路が塞がれているので、自転車を押して越える。圧倒的にアスファルトが露出した区間のほうが長いので、自転車の真価を発揮している。
 突如前方から自転車が現れた。挨拶をしてすれ違う。一瞬なのでよくわからなかったが、ドロップハンドルながらタイヤ太目の自転車だった。これまでの残雪区間には自転車の轍はなかったので、どうやら上山高原から河合谷高原へと越えて来たらしい。楽しんでいるなぁ。
 何度目かの残雪区間を前に、そろそろ限界かな、と感じてMTBを道路わきの木にロックしてスキー板をおろす。クルマからは既に2.5kmも進んでいる。その間にハイカーに追い越された。抜きつ抜かれつのデッドヒートだ。
 ところがその残雪区間も大したことはなく、その先またアスファルト区間が続いているではないか。登りはまあいいとして、いやなのは下山の時に板を担いで歩かないといけないこと。せっかくの下りを、スキーで滑ることも自転車で走ることもできずに、歩くなんてひどい話だ。しかし、いったん引き返してまたスキー板をMTBに積んで登ってくるなんてことをする気にもならない。
 しばらく行くと左手から去年通った牧場内の作業道が合流してきている。地形の起伏の関係で向こうの道は上から降りてくるように合流している。私と抜きつ抜かれつのハイカーは、牧場作業道の方に行ってしまった。登山じゃなくて高原散策か。もしかすると雪におののいて急遽切り替えたのか。と思っていたら、また戻ってきて、こちらに道を聞いてくる。扇ノ山に登るんだって。だったら、道なりに行けばいいのに。
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 何度か残雪区間を越えながら、12:55「水とのふれあい広場」に到着。標高1046m。水場の周辺も先週より随分雪が溶けている。しまったなぁ、ここまで自転車を持ってくることだってできた。
 スキーブーツを履き板を担いだ私よりも、登山靴の単独ハイカーの方が少しペースが速い。彼の少し後を歩く。その彼は、しばらく立ち止まって地図を見たあと、分岐を兵庫県側に歩いていった。小ヅッコ登山口から入山するのか。と思ったら、また戻ってきて道を尋ねてきた。分岐のたびに人に道を聞くって、どういうこと。「水とのふれあい広場」というはっきりしたポイントなのに。一人で山に入っちゃいけない人なんじゃないの。
 悪いけど、教えてあげなかった。「そのくらい自分で判断してください。それができないのなら山に入るべきではありません。」我ながら不親切だこと。
 河合谷登山口を通り過ぎ、大根の段々畑の農道に入る。登山道は雪解けが進みブッシュが出て歩きにくいだろう。先週は段々畑の雪原を快適に滑ることができたが、やっぱり日曜から月曜にかけての大雨でかなり雪が解けている。黒々とした土が出ていて、板を担いで歩かねばならない場面があった。
 上地や大石からの登山道が合流する辺りで県境尾根のブナ林に入る。山頂へのメインルートだ。大ヅッコへの登り勾配が出てきた。次々にハイカーが下山してくる。単独スキーヤーともすれ違った。
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 大ヅッコの東斜面を見てみる。まだ滑れる。ならば、山頂の東斜面もまだいけるかもしれない。
 大ヅッコのピーク手前で、例の抜きつ抜かれつのハイカーが後方から追いついてきた。何とか登山口を見つけてやってきたらしい。挨拶を交わして、向こうが追い越していった。
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 ところが、大ヅッコの南斜面で雪が切れていた。アップダウンを楽しめるステップソールの板なのに、板を担いで下らねばならない。少し下ったら雪原となったので、板を付けて滑る。林が濃くて快適に滑れる斜面ではないのでまあいいとしよう。
 下りで抜きつ抜かれつハイカーに肉薄したものの、山頂への登りで水をあけられた。大ヅッコや山頂への登りに限れば、シールの方が楽なのである。
 山頂手前で、抜きつ抜かれつのハイカーとすれ違う。山頂では小休止程度ですぐ下山にかかるようだ。下りもずっと歩かないといけないんだもんね。大変だ。
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 14:50、1310mの山頂到着。雪解けはかなり進んでいたが、今日も東斜面は十分滑れそうだ。よかったよかった。
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 まだシールを剥がしていないスキー板が2セット置かれている。かなり太い。アルペンスキーだ。それらの板の主は小屋の中にいるようだ。大きな窓から見ると、1階の土間にスキーブーツが置いてある。先週は板の間の2階までブーツで上がっているスキーヤーがいたけど、やっぱり2階は土足禁止だよね。先週は半分雪に埋もれていた木製ベンチの周りにもまったく雪はない。それに腰掛けて休んでいるとちょうど彼らが小屋から出てきた。八東ふるさとの森からだそうだ。
 ふるさとの森からのルートは、かなり雪が切れていてあまり楽しめないだろう、とのこと。南斜面だからね。先週ならスノーボードでふるさとの森まで滑れた、との情報を元にきたというが、日曜から月曜にかけて大雨が降ったから状況は一変した。この時期の一雨の威力は凄まじい。
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 さらに、彼らは先週氷ノ山の東尾根を行ったという。ほとんどつぼ足だったとのこと。やはり、一ノ谷休憩所の上の斜面は駄目だったのだ。こちらも先週東尾根を狙っていたが、取りやめて正解だった。
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 彼らより一足先に腰を上げ、東斜面へ飛び込む。雨で雪面に溝が彫れていて、先週ほど快適なすべりではない。標高差50mほどで切り上げ、山頂登り返す。すると妙な声が聞こえてきた。先程の2人組のスキーヤーの片方が声を発しながら滑っている。たまに、奇声を発しながら滑っている人を見かけるが、なぜそんなことをするのか良くわからない。見ているほうが恥ずかしくなってしまう。
 山頂に残したザックを回収し、15:45、再び東斜面へ。今度は途中から左手に進路をとり、大ヅッコとの鞍部へトラバース。大ヅッコへ登り返し、東斜面から北斜面へ。大ヅッコの北斜面はまだまだ雪がたっぷり。5月の連休でも滑れる。
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 さあ、問題はその先。小ヅッコ辺りから下はヤブが濃くてまともに滑れない。登ってきた大根畑は雪解け。畑だから日当たりがいいのだ。そこで、畑の合間の沢筋をたどる。日陰となって雪が残っている。立木と雪の切れ目を交わし急斜面をトラバース。緊張感が走る。沢は埋まっているので、底に降りてしまったほうが楽かも知れないが、法面の雪が切れているし、沢の下流の様子がわからない。
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 どうにか難所を越えて、あとは畑の中の農道を行く。何とか雪はつながっていて、「水とのふれあい広場」の車道まで板を外さずに到達。
 水場でのどを潤して、板を担いで車道を歩く。時々残雪が道を覆っているが、わざわざ板をつけるのも面倒だ。やっぱり自転車でもう少し粘ればよかった。
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 500mほど歩いて、やっと自転車に到着。板を自転車に積んで、さあ行きますよ。ああ、速いし楽だし、なんて便利なの。雪に塞がれた区間は押して越えねばならないが、自転車の乗り降りなど楽なものだ。それに圧倒敵意アスファルトの露出区間のほうが長い。ああ、湖山池が西日に輝いている。今日は霞が濃くて遠くは見えない。山頂から大山はさっぱり見えなかったし、ここから鳥取市街すらはっきりしない。それでも日差しは強力で、顔が日焼けしている。日焼け止めを塗っていなかったら、真っ赤っかになってしまっただろう。
 17:40、標高880m地点のクルマに到着。今日も最後だね。結局、「水とのふれあい広場」までの車道が3km。上山高原から小ヅッコ登山口までの車道が2.7kmだから、こちらのほうがわずかに長いが、自転車のおかげで上り下りとも時間を短縮できた。ちなみに、河合谷牧場入り口は約3km手前であるが、牧場内の作業道ならば4km足らずで済む。ただし、前述のような自転車を押して登らないといけないような急坂もある。

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コウノトリを求めて

 コウノトリに出会うのは偶然によることが多いのだが、今の時期は繁殖期。あちこちに建てられている巣塔に行けば、出会える可能性が高い。というわけで4月25日午後、母親を連れて家を出る。
 まずは久美浜の巣塔。木の枝等で作られた巣は見られるが、コウノトリはいないみたい。3年前には電柱に巣をかけるコウノトリと、撤去する電力会社のいたちごっこが続き、見かねた住民がこの巣塔を立ててようやくそこに落ち着いた。その年に続き、その翌年もそこで繁殖したものの、去年は空き家。今年も不在のようだ。
 それでは、今度は豊岡の田んぼの中の巣塔を見に行く。こちらには姿が見える。地元の方も見に来ていて、5個の卵が産まれ、それを抱いているとのこと。さらに、少し離れた別の巣塔にも卵を抱く親鳥がいるとのこと。
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 最後に、コウノトリの郷公園へ。休日とあって駐車場は8割くらい埋まっている。公開ゲージには20羽ほどのコウノトリがいる。そこは、山すその棚田の休耕田を利用した湿地となっている。ゲージといっても、天井がなく飛べる者は出入り自由。シラサギ、アオサギもいる。ずっとここにいるのは9羽だが、少し前に餌を出したので、それを求めて周辺のコウノトリもやってきたとのこと。次々に飛び立っていく姿が見られた。ちなみに、ずっとそこにいる9羽は、羽を一部切って飛べなくしてあるのだそうだ。
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 この施設は1999年にでき、その数年後に一度訪れたことがある。10年と少し前だろうか。その時にはまだこんなにたくさんのコウノトリはいなかったと思う。
 ゲージを隔ててはいるが、人間のすぐ近くにリラックスした表情のコウノトリが佇んでいる。のどかで、そして懐かしい雰囲気。
 40年前、祖父母は数羽のニワトリを飼っていた。夜は鳥小屋で寝るが、日中は庭に放し飼いである。何の仕切りもない。小学校に上がる前の子どもにとっては不思議で仕方なく、祖父母や両親に「何で逃げんの?」と聞いたのだが明確な答えは返ってこなかった。
 去年、NHKのBSの「日本縦断こころ旅」を見ていたら、自転車で通りがかった農家で放し飼いにされていたチャボを見かけ、なぜ逃げないのか飼い主に尋ねていた。「通りのクルマの音が怖いからじゃないかねぇ」とのことだったが、やっぱり大人でもはっきりとは言えないようだった。ちなみに、私の家は交通量の少ない集落の中の道。それでも鶏は逃げなかった。餌があって水があって天敵がなく平和に暮らせるならそれでいい、ということなのか。大人になってもわからない。

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