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2015/04/06

高みに登り富士を見る旅(1)天子山地湯之奥猪之頭林道

 26日、快晴だ。出発の準備を整えて7時前にロビーに降りる。パンとコーヒーなどの無料の朝食を頂いてすぐにチェックアウト。静岡駅へ。自転車を輪行袋に収める。ここで問題発生。自転車が袋に収まらずファスナーが閉まらない。無理に閉めようとすると、周囲の布地を噛んで状況はさらに悪化。列車の時刻に遅れてはならないので、焦る。結局サドルを外してどうにか収めた。一昨日には簡単に収めたのに。20分以上もかかってしまったが、余裕を持って駅に到着していて助かった。
 8:07の東海道本線の東行きの列車に乗り込む。まだ通勤時間帯なのでそれなりに混雑。少し後に急行があるのだが、この周辺で最もオフィスの集中する静岡を離れる方向だし、通勤客は清水までに降りるという想定で普通列車を選択。それは的中して10分後には、ローカルムード漂うのんびりした車内となった。
 8:47、富士で列車を降りる。身延線へ乗り換えだ。ただし、輪行袋をホームに残し、人間だけ一旦改札を出る。富士までの切符は、昨日静岡で途中下車した東京行きの乗車券。富士で途中下車し、身延線の下部温泉までの乗車券を買って入場。
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 9:13発、2両編成の身延線普通列車は、ほぼ満席となった。ボックスシートに4人がけでちょっときついが、富士宮までの辛抱。窓いっぱいの富士山を見て気分を紛らわす。
 富士宮をすぎれば、超ローカルムード。それをたっぷり1時間以上堪能して、10:44下部温泉駅下車。信玄の隠し湯、山間の温泉だ。県境を越え、殿様は徳川から武田へ。
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 自転車を組んで出発だ。下部温泉郷、といわれるように下部川に沿っていくつかの温泉街が点在している。駅の標高は240m。桜より梅の花が見頃だ。
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 さあ、下部川を遡っていく。なかなか登りがきついが、クルマが少ないのがいい。カラータイマーは青いままだ。
 いくつかの温泉街を越えると、ただただ大きくて深い谷を細い道が行く風景となる。丹後では見られないスケールの大きな景色だ。
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 この先には湯之奥という集落がある。温泉郷の奥にあるのだから、文字通りだ。郵便配達のスーパーカブが追い越していった。ナンバープレートはピンク色。排気量110ccのエンジンは、急坂も元気に登っていった。しばらくするとそのカブが戻ってきた。その経過時間で湯之奥までの距離がなんとなくわかる、ような気がする。
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 標高490~540mの湯之奥は傾斜地の集落。コンクリート舗装の細い道がヘアピンカーブを重ねている。路面凍結対策なのか路面に溝が掘られていて乗り心地が悪い。
 さあ、ここから湯之奥猪之頭林道だ。集落を過ぎてしばらく登ると閉じられたゲート。5月中旬まで冬季閉鎖なのだ。ただし、閉鎖中にここを自転車で走行した記録がインターネットにあがっていて、どうやら積雪は少ないようだ。冬季閉鎖は路面凍結対策か。
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 ゲート脇を抜けていく。路面にも周囲の山にも雪の気配はないばかりか、路面の落石や土砂崩れを撤去した形跡がある。まだ開通までひと月以上あるというのに。
 人の気配がない道を登る。いいねぇ、独り占めだ。
 登って行くと背後に南アルプスの白い峰々が見えてきた。さらにもう一つ閉じられたゲートを超える。その先は落石の処理がされていなくて、石を避けながら進む。
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 標高1100mを越えると、路面に薄く雪が積もっている箇所が何度も現れる。薄いからと言って侮ってはいけない。かちんこちんに凍てついたアイスバーンだ。足を乗せると、つるつる滑る。周囲の山肌には雪はまったく見られないが、日陰の路面に積もった雪は氷化してなかなかとけないようだ。
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 右端のやや尖った峰は北岳のように思うが、南アルプスの山座同定にはあまり自信がない。ちなみに帰宅してから確かめたところ、それは確かに北岳で、その左には間ノ岳、農取岳が並んで見えていた。白根三山だ。また、その手前の山の中腹に集落のようなものが見える。これは間違いなく身延山久遠寺だろう。
 氷板を幾つかクリアして行くと、周囲の尾根が低くなってきた。峠が近い。それに伴い、日当たりが良くなり氷板の心配はなくなってきた。
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 14:25、峠のトンネルに到着。標高は1230m。下部温泉駅からの標高差は1000m。3時間と少しかけて登ってきた。
 ゲートを超えてトンネル内に入る。真っ暗でバランスを取りづらくなるが、出口の明かりが見えているのでふらつかずに走ることができる。大きな氷柱が下がっているのがぼんやりと見える。路面凍結にももっと注意すべきだったと後から思う。
 さあ、出口が近づいてきた。本日のクライマックスシーンだ。
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 トンネルを抜けると大きくて美しい富士山がドーンと現れる。
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 しかし、残念なことに少しだけ雲がかかっている。それでも山頂は青空をバックに白く輝いている。測候所のレーダードームも山襞も鮮明に見える。
富士山を眺めるには、今の時期がベストだと思う。晴天率が高く、空気も澄んいる。
子どもに絵を描かせたら、間違いなく裾野は灰色で山頂は白のツートンカラーの富士山が出来上がるだろう。今眼前にあるのはまさにそういう姿だ。
天子山地の稜線付近に位置するこの場所からは、富士山との間に立ちはだかるものはない。麓の朝霧高原から山頂まですべて見ることができる。
 この湯之奥猪之頭線は日本林道協会の展望の良い林道部門の1位に選ばれたことがあるのだそうだが、その根拠は当然この富士の絶景であるに違いない。
なのにあと一月半もの間、幾重にもゲートが閉ざされる。クルマや自動二輪ではゲートを越えることはできない。歩くには長すぎる道のり。自転車だからこそ、最も美しい時期の富士山を独り占めできる。
 また下部温泉側から見える北岳と間ノ岳も合わせ、トンネルの両側から日本の標高ベスト3が見えるわけだ。
 さあ、朝霧高原に下ろう。アイスバーンが心配されたが、こちら側は南向き斜面になるのと、尾根に道がつけられているおかげで凍結はなかった。富士山に向かって飛び立つような、爽快なダウンヒル。途中、パラグライダーの発射台があった。これこそまさに富士山へのダイブだ。ただし、今の時期はここまで上がってくることができないようで、下の方で宙を漂うパラグライダーが見えた。
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 標高700mくらいまで下ったら、高原のなだらかな道となる。相変わらず正面には美しい富士。開けた芝生の広場は、パラグライダーの着陸地点のようだ。
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 集落の中に入る。猪之頭だ。家々の間に、やはり富士。
徐々に進路を南に変え、富士山を左に見なが緩やかに下る。
途中白糸の滝に寄る。映像や写真でよく見た風景そのままだ。
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芝川の河岸段丘の農村地帯を南下。農繁期を迎える前の静かな村。ようやく暖かくなって、畑仕事をしているお年寄りの姿がちらほら見える。用水路を流れる水は富士山の伏流水か。
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 今朝列車で通過した芝川駅に出た。ここからは幹線道路となり、クルマが増える。ここで芝川は富士川に合流。その冨士川を右に左に見ながら進む。
富士川橋を渡って富士市内に入ると帰宅ラッシュでさらに道路は混雑。富士駅を通り過ぎ、新富士駅へ。17:45、ガード下の駐輪場に自転車を止める。約65km。

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