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2015/03/02

京都洛北の坂原峠・繁見坂そしてVIGORE

 2月も下旬となり急に暖かくなった。白かった山も黒い部分が増えてきた。そろそろ丹後でのスキー山行も一段落。自転車の季節が到来という雰囲気だ。しかし、まだ山間部の道は開通しない。山ではスキーができないほど雪解けが進んでも、除雪されない道では日当たりの悪い部分にはしつこく雪が残る。たとえ標高100m程度の峠道でもだ。
 というわけで南へ。京都の洛北、岩倉にある「VIGORE(ヴィゴーレ)」という自転車店。工房で作ったオリジナルの自転車を扱う自転車店に行ってみたい。その京都独自のブランドの自転車を2台持っている。
 1990年代、「自転車に乗りたい」「自転車にテントを積んで旅をしたい」と1,2年のインターバルをおいて2人の人から相談を受け、それぞれランドナーを薦めた。当時すでにランドナーの時代は終わり、丹後にはランドナーを扱う店などなく、京都市でも店は限られていた。たまたま2人とも、同じ店で京都ブランド「VIGORE」扱っていた店でランドナーを買った。15年ほど経ち、やはり2年のインターバルをおきながらそれが私のもとにやってきた。
 その京都ブランドの店が京都洛北にあり、オーナーの代替わりによってもうランドナーは作られていないとのことだが、一度訪れてみたいと思っていた。もちろん、そのブランドのランドナーで乗り付けよう。
 9時前にクルマにVIGOREランドナーを積んで京丹後市を出発、雪解けの進む与謝峠を超え、福知山から国道9号線へ。京丹波で国道をそれ日吉ダムへ。ダム湖沿いから桂川を遡る形で京都市右京区の旧京北町へ。国道477号線、府道、国道162号線とつないでいく道は、信号が全くなく、クルマも非常に少ない。小さな農山村の集落が次々と現れる。今朝は曇天、昨日までは黄砂に霞んでいた丹後と違い、空が青く、鮮やか。気持ちのいいドライブだ。
 最後はまた府道の京見峠を超えて鷹峰から京都盆地へ。市街地の移動をできるだけ少なくする作戦だ。京見峠周辺は非常に道が狭い。ところどころ離合スペースが設けられた完全一車線で、曲がりくねって見通しが悪く、杉林で薄暗く、閉塞感に満ちている。前後を走るクルマはなく、対向車も少ないのだが、だからといって気を抜けるわけではなく、いつ来ても対応できるように緊張し続けなければならない。ちょっと疲れた。道端には、わずかに雪が残る。
 御土居を横目で見ながら鷹峰街道を南下し、仏教大学前から市街地を東に進み、鴨川の手前北大路通りのすぐ南の紫明通りの市営駐車場に、クルマを入れる。広い中央分離帯が公園や駐車場として利用されている。時刻は正午すぎ。丹後から3時間半だった。
 クルマの荷台からVIGOREランドナーを下ろす。今日はブロックタイヤのホイールだが、後輪がガタついている。先日、同じような状態だった別の自転車、山口ベニックスの後輪の軸が折れた。このままだと、こちらも折れてしまう恐れがある。以前から気になる症状だったのだが、ナットを締めれば後輪が回りにくくなるし、緩いとガタつき、どうしていいのかわからなかった。それがベニックスの軸が折れたことを踏まえて仕組みがわかった。ダブルナットでちょうど良いポジションに固定するのだ。いったんフレームに装着したホイールを外す。ひと通りの工具はクルマに積んである。ダブルナットの片方は17mmの普通のスパナでいいが、その相方を締める15mmの薄いスパナがない。2組のスパナセットがあるのに、片方はサイズが合わず、もう片方は厚みがあってダメ。ナットに合わせて調整できるモンキーレンチも、当然厚みがあってダメ。とりあえず今日はごまかして乗って、帰り道にでもスパナを買おうか、などと思い始めた頃、ペダルレンチが合うことが発覚。これできっちりとダブルナットを締めることができた。これは、25年前に買ったブリヂストンユーラシアツーリングについていたものだ。輪行の時にペダルを外すためのもので、携帯用に薄く作られている。そのユーラシアももちろん現役。クロモリフレームのランドナーの寿命は長いのだ。
 結局、自転車で走り出したのはクルマを止めてから1時間後の13:18。まずは東へ。歩道には自転車用レーンが設けられ、色が塗り分けられている。が、左の細い道からのクルマの飛び出しが怖い。また、大学がひしめき合う土地柄、若い男女が自転車で行き交う。
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 鴨川に突き当たったら少し北上し、北大路橋を渡る。大きな通りを避け、疎水沿いを行く。再び北大路通にもどり高野橋で高野川を渡る。三条や四条とは少し違う趣の河川敷。何が違うのだろう。周囲の建物が低く、しかも川まで迫っていない。それに背景の北山の山並みが近いということか。
 腹ごしらえをするために東大路通を北上。クルマや自動二輪に気を取られたせいか、目当てのラーメン屋をいつの間にか通り過ぎてしまった。でもそこは京都を代表するラーメン激戦区、一乗寺。良い感じの店はないかとキョロキョロしながら走るが、開いているのかどうかわからない店や行列ができている店を見送るうちに北山通りに合流、いつしか岩倉へ。八幡前駅の手前で叡山電鉄の踏切を渡り細い道になってしまい諦めてコンビニエンスストアにでも入ろうかと思っていたら、餃子の王将岩倉店を発見。昼飯にありつく。
 細かい道順にはこだわらず、岩倉を北上して村松町へ。前方には少しだけ雪を残した山が見える。愛宕山の方向だろうか。
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 住宅街の景色が突然畑に変わり、道標にしたがって坂原峠を目指す。やっぱり市街地を走るだけでは芸がないし、何しろ面白くない。やっぱり、お楽しみがないとね。というわけで畑を抜けるとすぐにダート。所々ガレたりぬかるんだりしている登り坂だが、なんとか乗車でいける。自動車の轍の他、MTBかそれともエンジン付きのオフロードバイクかの轍も見られる。箕ノ裏ヶ岳への分岐を過ぎて更に行くと、本来は脇を流れているはずの沢が道の真ん中を深くえぐった区間に行き当たった。当然クルマの轍はその手前で消え、沢と化した道の上に両側からブッシュが覆いかぶさっていトンネルのようになっている。
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 ランドナーを押してブッシュのトンネルを抜けると杉林となり、少し路面は落ち着くが、ところどころ溝が掘れたりガレたりしているし、勾配もきつくなってきているので、ほぼ押していく。やがてシングルトラックとなった。
 峠までもう数百mなのだが、やはり荒れているのでなかなか進まない。道が消失しているところもある。
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 峠のすぐ手前で、幅、落差共に1m程の大きな溝がシングルトラックを横切っていた。その溝に降りる踏み跡があるものの、対岸には登っていけるような足がかりがない。周囲を見ながら、しばらく考える。足元には小さな石仏があるが、パーツがバラバラにおかれているので気づかなかった。
 分かった、その溝が峠へ至る道なのだ。溝の底に降り、ほんの少しの登りで峠に到着。そこは墓地となっている。
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 傾斜地にある墓地の最上部まで登ると市街地を見下ろすことができた。しかし、高齢者がお参りをするには大変だ。
 静原側はコンクリート舗装の、細道。クルマの離合ができる場所は少ない。盆や彼岸などの墓参りの時期は大変なんではないか。
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 あっという間に田んぼの広がりに出た。山の際には水車が回る。農道で静原川を渡って、府道に出た。右折すれば江文峠を経て大原へ向かうが、ここは左折。市原川の流れとともに下る。クルマが通るのでストレスを感じる。早くクルマのいない道に行きたい。
 鞍馬・木船方面への分岐の手前で川を渡って住宅街に。家の間のダートのダブルトラックへ。取り付きは旧坂で少し押す。そのあとはいい感じの林間のダート道。林の向こうには静原川の流れを感じる。対岸の府道を走っていたときとは打って変わって、生き返ったような気持ちだ。
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 しばらく行くと山裾の畑が広がる場所に出た。目指す繁見坂への道はシングルトラック?ダブルトラックと思っていたんだけど。農作業の高齢の男性がいたので聞いてみる。「ホンマは川沿いをもう少し行くんやけど、木が倒れたりしているから、こっちを行ったほうがええ」とシングルトラックのほうを指さす。なるほど、両方あるんだ。そうとわかればシングルトラックへ。
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 すぐに林間に入り、シイタケの栽培地を押して登る。すぐに登りは落ち着き、水平になる。気持ちよく乗れるシングルトラックだ。
 GPSレシーバーを見ると、すでに標高200mを越えている。繁見坂と呼ばれる峠は、ピークと少しずれているようだ。
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 左から道が合流したらダブルトラックとなる。先ほどの男性の言っていた道のことだろう。下りに変わる。しばらく行くと、金網のゲートがあった。人や自転車は脇を抜けていける。その代わり、扉は施錠されている。動物でなく自動車や自動二輪の通行を防ぐもののようだ。
 その先スピードを上げて下ると、路面は舗装に変わり佛教大学のグラウンドの脇を抜けため池へ。水面にぼんやり比叡山が映っている。
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 そのため池からの流れに沿って岩倉の街並みを下っていく。岩倉川だ。下るにつれて家々の間に緑が少なくなっていく。
 白い電車が行くのが見えた。叡山電鉄岩倉駅で川沿いの道が線路にふさがれるため少しだけ迂回を要する。ここも比叡山に見下ろされている。
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 さらに川沿いを下っていくと、宝ヶ池通に出た。すぐ東にあるのが「VIGORE」京都本店。
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 残念ながらオーナーは不在だったが、店にいた女性(オーナー夫人か?)と少しお話をする。すでにランドナーは扱われていなくて、ロードレーサー、クロスバイクなどが並んでいる。どれも、落ち着いた色合いだ。VIGOREオリジナルのハンドルグリップを購入。
 ちなみに、現在私のもとにある2台のVIGOREランドナーはいずれも「キヨセ」という店で買われたものだ。チェーンステイに「Produced by Kiyose」というステッカーが貼られている。当時は卸売もしていたようだ。というわけで里帰りとは言えないが、一族の本家を訪れることができた。
 VIGOREを後に、宝ヶ池公園で岩倉川を渡り、さらに高野川右岸を南下。川沿いの道は走りやすい。
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 その川沿いの道が北山通の南側で途切れるので京都工芸繊維大学の脇へ迂回。再び高野川沿いを南下し、疎水沿いの道へ。その後は来た道をたどって、17:12紫明通りの駐車場へ戻る。28.2km。
 夕方で交通量が多い。田舎道ばかり運転しているものは、特に都会の二輪には注意しないといけない。どうにか無事に鷹峯から京見峠へ。夕暮れでヘッドライトを点灯。林間の曲がりくねった狭い道ではかえって対向車がわかりやすい。帰路もやっぱり、3時間半。

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コメント

 今回、はいかいさんの行かれたところはボクの地元なんですが、坂原峠という名前は初めて知りました。小学生の時に自転車で越えました。繁見坂は越えたことがありません。これも小学生の時。だから、記憶なんてありません。写真を見ている限り、やはり昔とは違うような。坂原峠の方は道はシングルトラックがしっかりついていました。40年前ですけどね。
 vigoreバイクは雰囲気がいいですね。長距離をこの頃走るので、クロモリバイクが気になって仕方ないです。

投稿: すう | 2015/03/07 12:03

 本文にも書きましたがVIGOREの自転車は、その落ち着いた色がいいですね。当方は、MTBのフレームをベースにした旅の自転車に目が留まります。
 ちなみに、VIGOREではMTBでなくATBというようですね。20数年前、まだ新しいその自転車の種類を表す名称が定着していなかった頃は、「Mountain Bike」と「All Terrain Bike 」とが混じって使われていました。どちらかというとMTBの方が通っていたのですが、それはあるメーカーの商標であるため、ATBという名称が考えられた。しかし、MTBが生き残り、商標を持つメーカーもそのジャンルの普及のため黙認した。といういきさつだったと記憶しています。
 旅の自転車には泥除けが欲しいところですが、VIGOREではあえて付けていないのはランドナーとは区別したいのですかねぇ。
 さて、すうさんから譲り受けたVIGOREランドナーで、すうさんが子供の頃にたどった道を走るというのは、奇遇ですね。
 都会のクルマの多い道を走るのはストレスがたまって仕方ないので、事前にお楽しみ区間を探したら二つの峠を巡るちょうどいい周回コースが見つかったのでした。VIGOREのWebページには、自転車をシングルトラックやダブルトラックに置いた写真が多数みられるので、近くにそういう道があるはず、そう思いながら探しました。
 排水処理が十分でない山道の場合、洪水の度に道が変わってしまうことはよくありますが、近年の集中豪雨多発で整備が追い付かないところがあちこちに見られます。

投稿: はいかい | 2015/03/09 20:47

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