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2015/02/18

大江山連峰鍋塚東尾根および711P南東尾根滑降

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 2月に入って何度か寒波がやってきた。隣国兵庫県の但馬地方では、9日と13日に大雪警報が発令された。残念ながら京都府では警報が発令されるほどの降雪はなく、特に京丹後市の竹野川流域の平野部では9日に20cmほど積もっただけだった。しかし、丹後半島より少し南の地区では、13日にも積雪があったようだ。ということは、大江山連峰の雪は、2週間前に訪れた時よりも増えているに違いない。京都府の道路情報提供システムのサイトの道路脇の積雪データでも裏付けられているし、正月に積もった雪の貯金を使い果たして1月中旬からずっと休業していた大江山スキー場も復活した。いいぞいいぞ、再び雪の大江山連峰を楽しめる。
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 2月15日11:40、千丈ヶ原から入山、標高430m。雪は少し重くなっている(しまり雪)ので、新雪専用の太板でなく、機動力のある手彫りステップソール使用のノーマル板。シールなしで非除雪の車道を歩く。千丈ヶ原の除雪の限界点には、私のものを含めて3台のクルマが止められている。さらに私が出発準備中に1台のクルマが登ってきてUターン。しばらくしたら単独の男性が現れた「こんにちは」といって早足で登っていった。少し下にクルマを止めたようだ。よって、トレースはばっちり。私以外は皆スノーシューのようだ。
 少し歩くと数件の別荘があるエリア。そのうちの1軒で除雪する人の姿が見える。毎年ここを通っているので、何度も出会い挨拶を交わしている。ただし、年に1回会うか会わないかの関係なので顔までは覚えていない。こちらからは「この別荘で雪かきをしている人」として覚えているが、向こうはこちらを覚えていないのかもしれない。それに今年は雪が十分にあるので雪かきの別荘を遠巻きに見て手前で車道をショートカットしてしまった。しまり雪で、ステップソールのグリップが良い。
 しばらく車道を歩いてからヘアピンカーブをショートカットすると、車道下方からスノーシューの女性がやってきた。ショートカットで追い越したのか、それとも追いつかれたのか。すると、「鳩ヶ峰に登りたいんですけど、あとどのくらいですか。3,40分くらいかかりますか」と聞いてきた。容赦なく、「まだまだ。もっとかかります」と答える。すると「あ、もう止めよう」と、のたまい、さらに後方にいる男性に作戦変更の相談を持ちかけている。まだ車道区間の半分、鳩ヶ峰までの3分の1しか来ていないのに、心が折れるとは。過去にも、「こんなに雪があるとは思わなかった」とか、「ずっと上まで除雪してあると思った」などと言う人に出会うことも珍しくない。認識不足、事前調査不足としか言いようがない。まあ、他人事だからどうでもいいけど。それと、彼らの足取りからして、こちらがショートカットで追い越した線が濃厚だ。除雪の限界点にとめられていたクルマの持ち主はこの二人組みのものと、別荘の雪かきの人のものだろう。
 雪の上にはまだスノーシューのトレースがある。私が準備中に入山した単独の男性のものか。でも一人分ではないようだ。昨日のものもあるのかもしれない。
 2週間前に滑降した鳩ヶ峰の東尾根を間近に眺める。さらに雪が増えて滑りやすそうだ。しかも、稜線の北向き斜面のトラバースだから雪質もいい感じ。でも、同じコースでは芸がないから、今日はお預け。もう一度大きく林道をショートカット。スノーシューのトレースはショートカットしているものと、そのまま車道を行くものとに分かれる。ショートカットを終えて車道に戻ると、先行トレースが心細いものになった。どうやら途中で心が折れて引き返したようだ。それは昨日のことか、それとも今日の午前中のことかはわからない。
 あとヘアピンカーブ2つ。1つ目は、小さくショートカット。もうひとつは、上部で斜度が急になるので車道を引くほうがいいのだが、スノーシューのトレースは果敢にショートカットを挑んでいる。車道はまっさら未踏の雪面となった。
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 ところで、数日前の気象情報では晴れ間の除くまずまずのものだったが、前日には曇りの見込みに変わり、当日蓋を開ければ時雨れそうなくらい空模様。入山時には霞みながらも見えていた鳩ヶ峰や千丈ヶ嶽も次第にガスに覆われ、いつしか自分自身も霧の中。小雪が降り出し雨に変わる始末。雨はすぐに止んでくれたが、ようやく車道の終点、縦走路の避難小屋も間近に行くまで気がつかないほどの視界不良。ホワイトアウト寸前だ。縦走路到達は13:05、標高630m。
 それでも鍋塚に向けて縦走路を歩いていると登ってきたのとは反対側の野田川流域の加悦谷が薄っすら見えてきた。西からガスが晴れているようだ。先日の積雪で田んぼが白い。
 しばらくは未踏の雪の上を歩くが、突然鍋塚に向かうスノーシューのトレースが現れた。どこから来たのかわからない謎のトレース!よく見れば往復していた。
 標高711mピーク辺りからトレースが賑やかになる。711Pの南東尾根にもルートがあるので、そちらから入山している人もいるようだ。しかし、皆スノーシューで、スキーは私一人。
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 周囲の霧は次第に晴れ、前方の鍋塚もはっきり見えてきた。振り返れば、鳩ヶ峰と千丈ヶ嶽も姿を現している。
 鍋塚の頂上直下南斜面にはいくつかのクラックが発生し、笹が顔を出している。これはある程度の積雪量がないと発生しないので、今年はそこそこ雪が多いと言うことだ。
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 さあ、14:00鍋塚登頂、標高763m。ここまでシールは使わなかった。だから板を外す必要はないのだが、せっかくなので雪に板をつきたてて記念撮影。
 いざ、鍋塚東尾根に向けて滑降開始。初めは緩斜面のオープンバーン。ややクラスト気味だが、ターンはできる。やがて疎林となり、さらに林は濃く斜度はゆるくなり、歩く。しばらくいくとそこそこ急な斜度となり、そのまま尾根を進むと林が濃すぎて滑れないので、北東に分かれる枝尾根を行く。こちらは、疎林で、しかも北向き斜面で雪もいいので楽しい。調子に乗って滑っていたら、大きな溝に突っ込んでクラッシュ。
 あまり降りすぎないうちにトラバースして、東尾根に戻る。
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 14:32、林を抜けるといきなり大きく景色が開ける。伐採された広大な大斜面だ。標高620m。対峙する711Pの南東尾根との間の谷底まで標高差250m、幅は400~500mくらいあろうかと言う巨大なオープンゲレンデ。斜度は20~30度といったところ。白くて広いその雪面を麓見上げたスキーヤーの多くは「滑ってみたい」と思うのではなかろうか。
 残念ながら日当たり良好な南斜面にあるため、雪の多い冬でないと滑ることはできない。過去には、2012年に1度だけだ。クルマでのアプローチの時に見たのだが、その面に正対できず、しかも離れた場所からなので、十分な積雪があるのかどうかはっきりとわからなかった。2週間前に登った鳩ヶ峰からならば、遠いもののほぼ正面から雪面を確認できるのに。
 一か八か、雪が少なければ鍋塚に戻るつもりで来てみたが、いざその大斜面の上に立てばもう滑る気になっている。
 ただし不安もある。雪は十分と言うわけではない。特に下のほうは地面の凹凸が雪面にそのまま現れ、所々岩や切り株が顔を出していて滑れそうにない。ただ、雪が多ければ雪崩の危険が出てくるので、どちらがいいともいえない。
 意を決して、さあ行きますよ。まずは中央の尾根へ、雪の具合を確かめながら斜滑降で。この大斜面には3つの尾根があり、その間の谷は沢で下のほうでは水が出て、ザーッと音を立てている。斜度があるので滝といってもいい。渡渉は危険なので、降りる尾根を決めて雪で埋まっている上部で沢を越えておくのだ。ちなみに前回も中央の尾根を選んだ。
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 薄い雪の下には、切り株、刈られた枝、直径50cmかそれ以上の大きな石、段差、など障害物がいっぱい。1ターンごとに止まって、次のターンができる場所を見極める。
 前回、つまり初挑戦の2012年は記録的な大雪だったが、滑った時期は雪解けの進んだ3月4日。2月はずっと天気が悪かった。大江山連峰で3月にスキーができることは画期的なことだが、やはり雪が薄くて苦しんだ記憶がある。その前回よりは今日のほうがましと言える。
 下るにつれて雪が薄くなり、半分ほど下った時には、障害物が多くてターンができず、尾根を外してギルランデ風に下る。東隣の尾根の下の方を3頭の鹿がトラーバースしている。
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 残り4分の1ほどまで下ったところで、獣害避けのネットに到着。すべりも限界なので、ここで板を外す。たわんでいる部分をまたいでネットを越え、急斜面をつぼ足で慎重に下る。下が柔らかい土ならば、ブーツの底のエッジが食い込んでグリップする。下が石だと当たる面によって滑る。一番まずいのは、刈られた枝がフォールラインに沿って置かれている場合。一歩一歩雪の下の状態を探り、体重をかけてよいかどうか判断し、駄目ならほかの足場を探しながら下る。時間がかかる。根気の要る作業だ。標高差70mを下るのに25分を要した。スキーの着脱などを除いた、歩行のみの時間である。
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 谷底は砂防ダムとなっているが、ダムに水はなく真っ白真っ平らの雪原。その雪原の手前にあるコンクリート製の水路に降り立つ。しばらく水路に水はなく、薄く雪が積もっている。しばらく行くと、降りてきた尾根の脇の沢の水が流れ込んでいるが、水深は2,3cmほどなので、水路を歩く。水路の底の平らなコンクリートは歩きやすい。
 しばらく行くと木の枝のダムができている。調子に乗って歩いていったら、水深が深くなってブーツの中を濡らしてしまった。そこで、水路から這い上がり、14:29谷底の砂防ダムの雪原に降りる。標高370m。
 前回は、地図に描かれている破線を信じ、水路に沿ったシングルトラックをたどって麓に下りた。これが、もはや廃道といっていい道なき道。雪は溶けて木の根や石がで足場が悪く、藪が覆い被さっていた。下っていくとかつての河守鉱山が営業していた頃の鉱夫の社宅だった廃屋があり、アドベンチャーコースとしてそれなりに楽しんだものの、厳しくて二度と歩きたくない道だった。その後の調査で、砂防ダムの雪原を対岸に渡った方が楽だということがわかった。
 つぼ足で足場の悪い斜面を少し下り、谷底でスキーを装着。新しい水路を作ろうとしているようで、コンクリートのU字溝が並べられている。その隙間を抜けて雪原の真ん中へ。降りてきた大斜面の全貌が見えてくる。あんなところ、よく下ったなぁ。
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 また、水路から谷底へ下った箇所も、どうやら正解。周囲はほとんど岩場だった。
 対岸にはダブルトラックがつけられている。砂防工事の作業道なのだろうか。舗装してあるかどうかは、雪のないときに来たことがないので不明。ダブルトラックまで高さ10mほど登らないといけないが、土手には雪がついているので斜登行および階段登行で上がっていける。難所は、その中腹にある水路。先程と同じようなコンクリート製のものがこちらにもある。法面のコンクリート壁の高さは1m弱で腰くらい。そしてこちらは北斜面のせいか7~80cmほど、つまり顔の高さくらいまで雪が積もっている。水路の底に下りたはいいが、どうやって這い上がろうか。とりあえずコンクリート壁の上の雪かきだな。スキー板をナイフにして雪を立方体にカット。それを水路に落とす。ものの2,3分でスペースを作り出すことができた。少し横の切り株に手をかけてコンクリート壁の上に立ち、雪をかいて作ったスペースに身を置く。次に、水路からスキー板とストックを引き上げて雪面に置き、雪面の上で板を装着。ただし、思わぬアクシデントもあった。水路に落とした雪でダムができて、またブーツの中に水が入ってしまった。あわてて雪の堰堤を足で崩してみるがなかなか水量が減らずブーツの中で水がジャブジャブと流れるほどになってしまった。
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 砂防ダムの対岸は、711Pの南東尾根。ダブルトラックはその尾根の末端を回りこんで、千丈ヶ原へのアプローチの除雪済み車道へと接続している。ここから駐車ポイントまでは2km以上のゆるい登りで、非除雪のダブルトラックと、除雪済み車道が半々くらい。40分以上かかるだろう。ひたすら歩いてゴールと言うのは、ちっとも面白くない。もう少し楽しむことにしよう。
 15:57尾根の末端と反対方向、ダブルトラックを歩いて谷をさかのぼる。10分ほど歩くと711P尾根に取り付くダブルトラックを発見。尾根を回り込むのでなく、尾根を越えるのだ。
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 少し登ったところで左、つまり尾根の末端方向からシングルトラックが合流。それまではなかったスノーシューのトレースが着いていた。稜線から降りてきて、尾根の末端方向へ向かったようだ。トレースは複数の物と思われるが、一人が往復したあとかもしれない。一人分は、果敢にショートカットを挑んでいて、登りの車道をショートカットするトレースとダブる。そして出発準備中に早足で入山した単独の男性の面影が浮かぶ。が、本当のところは何もわからない。
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 登り始めて50分ほどで稜線へ。標高540m。左に千丈ヶ嶽と鳩ヶ峰、右に鍋塚。展望が開けた気持ちの良いスカイライン。711Pに向け10分ほど歩いて滑降ポイントに到着。標高560m。
 谷底のダブルトラックをもう少し遡っていれば滑降ポイント近くに上るシングルトラックがあったようだが、結果的には尾根歩きのほうが気持ちよくて正解。
 登ってきた砂防ダムの谷側の斜面は林が濃くて滑走には向かないが、その裏面の千丈ヶ原側は植林の疎林。斜度はどちらも同じくらいで、鍋塚東尾根の伐採大斜面よりは少しゆるく20~25度ほど。
 2度ほど滑ったことがあるが、千丈ヶ原の駐車ポイントに降り立つことができる。
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 ただ、植林の斜面はどうしても南を向いているので雪が薄い。そして、段々が切ってあるし、切り株や刈られた枝が置かれている。入山する時にどうにか滑れそうだと見立ていたのだが、やはり落とし穴のようにすとんと落ちたり、障害物にエッジが引っかかったりして慎重に滑らざるを得ない。
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 そしてゴール手前で板を外して獣害避けのネットをまたぐ。最後に、板を付けて入山時の車道、除雪の限界点に滑り降りる、17:45。鍋塚を最高点とする10kmあまりの周回完了。クルマは200m先に見えている。最後の1台だ。
 楽しむにはもう少し雪が多いほうが良いが、元々雪が多い冬に限定のコースだ。今日の雪質は「しまり雪」で上々。滑りやすく、雪崩の危険の低い安定した雪だ。
 2月に入って、大江山連峰鳩ヶ峰、氷ノ山わさび谷、神鍋高原アルペンローズ跡、そして本日の大江山連峰鍋塚と充実したスキー登山が続いている。休日の前にまとまった降雪があり、当日は天気安定、「こしまり雪」または「しまり雪」と雪質も安定、という絶好の条件が続いた。楽しい山行きができているいいシーズンになった。

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コメント

 このコースは、大きい斜面(大江山で)をダブルで滑る、一番の滑り向きコースですね。雪の多い、天気の良い時に行きたいです。
 北向き斜面がないのがつらいところです。
 今回行かれたところ2つと鳩ヶ峰東斜面が大江山3大(?)斜面でしょうか。

投稿: すう | 2015/02/22 12:51

 鍋塚の南東尾根の方は、新雪がどっさり積もると雪崩が心配、天気が良いと雪質が悪くなる、と条件がなかなか厳しい斜面です。
 北斜面は自然林のため木々の密度が濃く滑走に向きません。
 3大斜面というのは聞いたことがないですね。かつてスキー場があった、鍋塚や双峰はどうですか。あと、最も雪質の良い千丈ヶ嶽の北斜面なんかも。

投稿: はいかい | 2015/02/24 01:06

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