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2015/01/21

相次ぐ雪崩事故

http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/nation/mainichi-20150119k0000m040070000c.html
-----------ニュース記事引用-----------
毎日新聞2015年1月18日(日)20:44
<雪崩>相次ぎ、4人死亡…外国人2人含むスキー客ら(毎日新聞)
 新潟県と長野県で、スキー客らが雪崩に巻き込まれる事故が相次ぎ、18日、4人の死亡が確認された。
 18日午前11時すぎ、新潟県妙高市西野谷の粟立(あわだち)山(標高1194メートル)の標高約700メートルの林道付近で、県警妙高署や消防などの捜索隊が同県上越市の男性2人を発見。同市○○、会社員、○○さん(48)は意識不明で病院に搬送されたが、死亡が確認された。死因は窒息死。別の男性(38)は軽い凍傷。
 同署などによると、2人は17日午前、同山の東斜面で、スノーボードで山を滑走する「バックカントリー」をしていたところ、雪崩に遭った。捜索隊は17日、救助を日没で中断、18日朝に再開した。

 同県妙高市田切の「赤倉観光リゾートスキー場」のコース外の沢では18日午後0時55分ごろ、同署などの捜索隊が、17日から行方不明の名古屋市○○、大学院生、○○さん(35)を発見。搬送先の病院で死亡が確認された。死因は窒息死。
 同署によると、岡本さんは17日正午ごろ、コース外を滑っていたとみられ、発見時は雪に埋もれた状態だった。同署は雪崩に巻き込まれたとみている。

 二つの現場付近では16日に降雨があり、17日朝は吹雪だったという。地元消防は、水分を含んだ重い雪の上に新雪が積もることによる「表層雪崩」が起きたとみている。

 また、18日午後2時50分ごろ、長野県山ノ内町夜間瀬の「竜王スキーパーク」で、滑走していたアルゼンチン国籍の男性2人が雪崩に巻き込まれた。パトロール隊員らに救助されたが、意識はなく、死亡が確認された。
 県警中野署によると、死亡したのは○○さん(50)と、○○さん(54)。友人同士で旅行中だった。上級者向けコースから立ち入り禁止のロープを越え、林の中を滑っていたという。
 雪崩は幅約30メートル、長さ約200メートル。16日以降、50センチ以上の新雪が積もっていたという。
-----------引用ここまで----------(ニュース原文には個人名や住所も記されていた)

 1月17,18日の土日、またも痛ましいニュースが報じられた。あまりにも簡単に命が失われすぎている。
 後日「日本雪崩ネットワーク(JAN)」(http://nadare.jp/)から現地調査の報告がある見込みだが、自分の判断力を試すために離れた地にいても得られるデータから状況を分析してみたい。ただし、同じ17日に近隣の山で2件の事故が起こった妙高市の状況に限定して分析を行う。
 なお以下に書くのは、当方の仮説であり想像であるので、後日JANからの報告で答え合わせをする予定である。
 それと、雪崩に遭遇した人の行動については、不明な点が多々あるので、ここではそれについて想像であれこれ言うのは避けたい。あくまでも、雪崩についての分析ということに限定する。

 粟立山はアライスキー場のすぐ北側の山であり、もう一方の現場は赤倉観光スキー場の場外。その間に気象庁のアメダス「関山」がある。関山アメダスから、粟立山までの直線距離は約11kmで、「赤倉観光リゾートスキー場」までは約3km。関山アメダスの標高は350mで、2つの雪崩事故の現場より低い。
 引用の記事からもわかるとおり、根雪が降雨によって「濡れザラメ」となり、その上に積もった新雪が滑り落ちた「表層雪崩」であることは間違いないだろう。
 北海道雪崩事故防止研究会編「決定版雪崩学」(山と渓谷社)に、雪崩の原因となる弱層のひとつ「濡れざらめ雪」について以下のように記されている。
-----------引用ここから----------
 積雪は適度に濡れているとしまって安定する方向に向かってどんどん変化が進んでゆく。しかし、強い日射に当たったり、大雨や肌ではっきりと感じ取れるほどの急激な気温上昇があって、積雪が多量の水分を含んだときはこの限りではない。ビショビショに濡れた状態がしばらく続くと、雪粒は球形化して独立し、結合の乏しい層を形成することがある。しかしこの弱層は、融け水が下方へと浸透したり凍り付いたりすると、一転して結合の強い堅固なざらめ雪へと変化してゆくため、長続きはしない。
 濡れざらめ雪が弱層となるのは、積雪表面が日射等で急激に溶けて、つながりの少ない球状のざらめ雪になり、その直後に、多量の雪(上載積雪)が積もった時である。濡れざらめの雪の上に断熱性の高い新雪が積もると、歓喜の親友は遅く、弱い濡れざらめの状態がしばらく保たれるので雪崩の危険がある。
-----------引用ここまで----------
 ここで、気象庁の関山アメダスの観測値について。降水量、気温、降雪、積雪のデータを、雪崩事故当日までの3日間の日ごとのものと、15日と16日のそれぞれ降り始めからの1時間後とのものを抜き出して表にした。
Sekiyama


 まず15日に、19mmのまとまった降水があった。山梨県や長野県南部、そして北関東に雪をもたらした南岸低気圧である。関山では13~14時に雨として降り出しその後雪に変わったようだ。ただし、降雪が観測されている時間帯も気温はプラスなので、降っていたのは湿った雪だと推測できる。このアメダスよりも標高が高い雪崩現場では、初めから雪だったかもしれない。また、アメダスより低い妙高市の中心街(旧新井市)ではずっと雨だっただろう。ここで濡れざらめの弱層が形成されたのではないか。
 15日には、0.5mというわずかな降水(雨)が観測されているが、午前3~4時のものである。冒頭の引用のニュース記事では「付近では16日に降雨」とあるが、15日の間違いではないかと思われる。ちなみに、同じ毎日新聞の続報(引用はしていない)で「16日夕にはまとまった雨が降り」となっているので、やはり15日の間違いである可能性が高い。
 また、アメダスによれば15日の気温は最高が3.7度で最低が0.6度。もちろん、雪崩現場はもっと標高が高いので氷点下になる時間帯もあっただろうが、標高差から考えて2~3度程度の差。つまり、気温がプラスの時間帯もあったわけだ。氷点下の時間帯には新雪が断熱材となり、気温が0度を超えた時間帯にはその湿った新雪が溶けて水になって、濡れざらめの状態が維持された。
 そして、17日、雨、または湿った雪で降り出し、その後気温が下がってどんどん雪が積もっていった。不安定な濡れざらめの上に分厚く重い新雪が乗っかった雪崩の危険が高い状態が出来上がったわけである。そして、そこに人が入って面発生乾雪表層雪崩を誘発。
 これが、私の仮説である。日本雪崩ネットワーク主催の雪崩安全セミナー「アバランチナイト」では、「急激な気象現象が起こったときには要注意」と言われている。今回は、雨とその後の雪がそれに当たる。現地調査の報告が待ち遠しい。
 また、長野県白馬村のスキー場「Hakuba47」から17日に入山したまま連絡が途絶えているスキー登山のグループは21日現在、まだ見つかっていない。本当に心配だ。

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