« 神楽ヶ峰の遭難事故について | トップページ | 碇高原の季節がやってきた »

2015/01/11

続、神楽ヶ峰の遭難事故について

 救助後の記者会見の映像が報道されたため、ネットでは画像付で話題にされてしまっている。髪型が奇抜だったり(帽子かと思った)、泣きながら話す様子が去年話題になった記者会見を連想させてしまったり、揶揄する内容のものも多数みられる。
 4日、朝8時50分に救助され、7時間後の16時前にはインターネットで記者会見の様子を含めたニュースが報じられていた。現場からの搬送、病院での診察と怪我(凍傷)の手当て、警察での事情聴取、そして記者会見。なかなかハードスケジュールではないか。常識的に考えて、食事は摂っただろうけど、ゆっくり休む時間などなかっただろう(眠れる精神状態だったかどうかはわからないが)。二晩ろくに寝ていない体には大変だっただろう。
 記者会見に応じるかどうかは任意だと思われる。おそらく本人の意向、それもその内容から誠意として応じたものと思われる。しかし、その映像が、揶揄の材料に使うやつらがいるというのは、情けない話である。

 救助現場で隊員が罵る場面を収録したニュース映像がYOUTUBEで見らる。発信者は、TBS。私が、そのシーンをTVで見たのも、TBS系列のニュース番組だった。
  https://www.youtube.com/watch?v=O2YEh6im2W8
 改めてこの映像を見ると、「コース外に立ち入るには登山届が必要」と字幕と音声で伝えられている。前の記事でも述べたが、正しくは登山届提出は「任意」である。
Mp4_000063957


 さらに、一週間分(今回は年末年始の休暇を含めてやや期間が長め)の出来事を扱う週末のニュース番組では、上記の映像から、届け出をしたと嘘をついたという告白した部分や、救助隊の罵倒部分を残し、持参した装備で雪洞を掘って二晩をしのいだことを説明する部分をカットした編集がされて放送されていた。しかも、登山届提出については「必要」から「義務」と強められていた。繰り返すが「任意」である。
 雪山登山を悪いことと印象付けようという意図を感じる編集だ。

 ところで、今回あちこちで言われている「コース外」という言葉だが、どうも誤解があるように思われる。一言で「コース外」と言っても、それには種類があるのだ。
 一つ目は、スキー場内の進入禁止区域。地形や雪の状態、整備の状況等で、スキー場が判断して侵入を制限している。
 二つ目は、スキー場の外に出ること。
 今回の神楽ヶ峰の事象は、後者で起こったことである。外に出てからのことに対しては、スキー場が決めた場内ルールに違反したとは言えない。
 ただし、届け出をしたと嘘をついたことは、いくら提出は任意とはいえ、スキー場との信頼関係を失うものであるし、今回は世間一般に対し当事者のみならずスキー登山、スノボ登山を楽しむ人々の信用を損なうものとなってしまった。

 前出のニュース映像にはGoogleEarthの画像に遭難場所の概略が示された映像が出てくるが、それを見ても報道関係者の認識不足がうかがえる。神楽ヶ峰の頂から、彼らが目指していたスキー場に戻る中尾根でなく、誤った方向に滑ったことを「コース外滑走」と言っているのだ。山頂がスキー場外であることすらわからないで映像を作ったのだろうか。
Mp4_000060000


 まあ、要するに世間一般にはこの程度の認識しかされていないのである。とにかく、危険行為をする悪者なのである。われわれとは、決して折り合わない。

|

« 神楽ヶ峰の遭難事故について | トップページ | 碇高原の季節がやってきた »

コメント

私が最初に疑問を抱いたのは「誰が遭難捜索要請を出したのか?」
スキー場だったようですね。
本人達はスキー場リフトを利用し入山、遭難した訳だから当然スキー場側から叱られるのは道理といえる。
届出が無い人間が下山していない可能性が高いこと、生命にかかわる事をちゃんとスキー場側は把握していたんです。ありがたい。
届出の必要性はそこにあります。彼らがどのルートで下山する予定だったか?
何処の誰なのか、別の場所で無事に下山しているのか入山を許可した側からすると確認が取れないからです。スノボやスキーの場合下山時の速度が歩行登山者に比べ驚異的に速いです。歩行不能の領域になることも多いです。ルート判断の間違いに気づいた時点でトンデモない場所まで移動してしまっている可能性があります。新雪時は尾根筋ならともかく斜面は自力では上へ戻れない状況になること。だからスキー場側は利用者に規制をかけているのでは。


スキー場外から自力で登山し遭難していたと仮定すると死亡していたか、自力で脱出、誰にも迷惑をかけなかったかは不明ですが、即日スキー場側から遭難の可能性が通報されることは無かったでしょうね。私を含め、それは自己のことです。今回の”届けを出したと偽って入山”とは確かに違います。

同時に報じられた弥山の登山者は通常考えられる範囲内の判断で危険回避をし無事自力で下山したわけだが、親族から捜索願が出されたような記事でしたね。親族は予備日を把握していなかったのか心配だったのか。結果的に遭難扱いになっていましたね。
今回に限らず報道の姿勢はいつもあんなものですよ。待ってましたと云わんばかりに...。ただし、生きて帰ってきたから彼らは話題になった。私の経験ですが疲労と体力の限界状態時、椅子に座ることは出来なかった。涙は出るかもしれませんが、声を出して泣いたり、笑ったりする力は残っていません。一言しゃべることにこれほど力が必要なのかと実感します。

昨年も当方地元の山へ小学生、年配の男性を含む1家族が入山したのを目撃したのですが、日没時間になっても下山していない可能性があったため、地域住民に連絡後、迎えに上がりました。「意外と山が深かったです。」と無事笑顔で下山していただけましたが、こんなときいつも「縦走目的では?別のルートで下山?」と考えてしまいます。ちなみに入山届けの箱は未設置です。

投稿: 大江山の仙人 | 2015/01/13 12:04

 スキー場から叱られたんですか?規制かけている?
 彼らが戻ってこないことをつかんだのは、麓のロッジですね。朝チェックアウトした客の自動車が夜になっても置きっぱなしだったから。

>今回に限らず報道の姿勢はいつもあんなものですよ。

 そうです。だから、この記事を書いたんです。昨年暮れのアバランチナイトで強調された「当事者批判」が、またここで繰り返されたから。

 2日前から身動きが取れなくなっていた笠ヶ岳の男性、無事救助されたようですね。
 本当に、よかった。

投稿: はいかい | 2015/01/13 19:26

私の読んだ記事ではスキー場から警察に「入山したまま戻っていない人たちがいるようだ。遭難の可能性がある。」と連絡があったという記載だったと記憶しています。
ロッジ側から警察に連絡があったかは記載が無く知りませんでしたね。どちらにしても本人達からの要請ではなかったということが言いたかったのです。第三者が不明者の遭難の可能性を心配をした。
我々は当事者でなく、現場で何が起こっていたのか厳密な領域まで知ることは不可能です。が、報道や動画が多数流れる様になったおかげで多少でも状況が解るようになってきました。ただ、それらは事故発生後の記録が殆んどであり、そこにいたった経路は詳細には把握できません。判断ミスか?不測の事態が起こったのか?(今回に限らずね。)
報道で彼らがどれほど酷評されたのか?私は停電と除雪作業の繰り返しで見れてないんですよね。後々まで尾を引いて新聞紙上で取り上げられるほどでもなかった様に思います。
彼らがきちんと謝罪した部分は大きく取り上げられたんです。これも報道です。謝罪会見の大半がカットされていたなら憤慨ですが。
ニュース番組で彼らは当事者批判されてたんでしょうか?情報番組の出演者のコメントが強い批判になっていた?私見てないんです。
雪洞で夜をすごしたこともきちんと評価されてる部分もある。「届けを出したと偽った」ことには擁護する風潮はあまり見かけないな。
前回の最後に書いた部分、「別ルートで下山した場合」タクシー利用や里道を歩き等で夜になってから登山口の駐車場に帰ってこられる方もおられます。山中で野営される方もおられます。(最初からその目的で)
ただ車が残ったままだと他人事であっても心配します。
だからスキー場のリフト利用で遊ぶ場合も入山の届けを要求されたら出すべきでしょうなあ。
届けの許可が下りるのに多額の費用や時間がかかるのならともかく、楽しく遊びたいなら多少の努力しようじゃないですか。
規制と書いたのは今回彼らの入山を確認をした関係者が装備等を見て許可したと書かれていたような。つまり自殺まがいの軽装のまま冬山へ通す訳にはいかないという事。猛吹雪が来る直前に通してくれることも少ないでしょ。コレ、やってくれなかったら遭難、けが人多数出る可能性が高いですよ。法的規制ではないけれど。
強制力は無い、法で規制されていない。などと言っていても一般人にゃ余計反発意見としか捕らえられていないんじゃないかなあ。世の中に規制強化を促したいのなら別だけど。

投稿: 大江山の仙人 | 2015/01/14 14:33

 ロッジ側が警察に通報した、などとは申しておりませんよ。ちゃんと読んでくださいな(今回に限らずね)。
 私が言う「当事者批判」とは、事実でないことを報じたり当事者に不利な部分を強調して報道されている点です。例えば、登山届の件、そしてコース外滑走の件(繰り返しになるので詳細は書きませんが)。
 直接非難することだけが当事者批判ではありません。だからぁ、前の記事に書いた「批判的な編集」ですよぉ。

 ここで登山届の提出についてはっきりさせておきましょう。
 公益社団法人日本山岳協会によれば、登山計画書(登山届)の提出を義務付ける条例が定められている山域は、3ヶ所です。
 群馬県の谷川岳の岩場、
 富山県の剱岳周辺
 岐阜県の北アルプス
   http://www.jma-sangaku.or.jp/tozan/plan/planning/regulation/

 つまり、神楽ヶ峰を含む上記以外の山域には提出の「義務」はありません。記事本文にあげたように一部のニュースが「必要」「義務」と間違った内容を報じているんです。

 とにかく擁護しようというわけではありません(これまでに書いたとおりです)。報道は公正であるべきだ、と述べているのです。

 それと、スキー場は入山(スキー場の退出)そのものや、場外での行動について規制したり、許可したりする権限を持ちません。なぜならば、登山は原則自己責任だからです。スキー場は責任を負いません。
 あくまでも、スキー場が行っているのは利用客に対する助言やお願いです。それも、スキー場から山に入る前の水際作戦として、まだ場内にいるうちに呼びかけをしているわけです。
 そして、かぐらスキー場の場合、場外は国有林。その地主(管理者)である国は入林の規制をしていません。(前の記事のコメントに「中部森林管理局」のWebページのリンク参照。ただし登山届の呼びかけはしています)

 私自身は、届け出る方がいいと思っていますし、実際そうしています。

 登山届の役割についても日本山岳協会のWebページに記されているのでご一読ください。
 届出先は、原則警察署です。登山口に用紙や提出箱が設置してある場合もありますが、それは提出を促すための便宜的なものです。提出箱があれば提出しなければならない、なければ提出しなくて良い、というものではありません。
 その警察のひとつ大分県警のWebページですが、以下のリンクのとおり、義務でなく「提出のお願い」とされています。
 http://www.pref.oita.jp/site/keisatu/new/tiiki/tozan.html

 ちなみに、以下はかぐらではなく別のスキー場の話ですが、直接聞いた内容ですので、参考までに。
 「どんなに吹雪や霧で視界不良の荒天でも、スキー場(パトロール)は、入山するという当人の決定を止めさせることはできない」とのこと。もちろん、「こんな日には止めた方がいいよ」と助言はするそうです。

 大江山の仙人さんにお願いがあります。コメントをいただけるのはありがたいのですが、書かれている内容にはいくつか、誤解や、「個人的な見解あるいは憶測」と「事実」との区別がついていない点、が見受けられます。
 また、この話題に関しては当事者がおられます。他人から想像でストーリーを作り上げて語られるのは、不愉快であろうと思います。当事者への配慮をお願いします。
 閲覧数の少ないブログではありますが、現在「神楽ヶ峰」「遭難」のキーワード検索で訪れる方がいるようですので、そちらにもご配慮を。読むのは、私だけではありません。
 不愉快に思われるかもしれませんが、当ブログの管理人としてご理解お願いします。
 とりあえず、この話題での大江山の仙人さんとのやり取りは、これを持って終わりとしたいと思います。

投稿: はいかい | 2015/01/14 21:44


「コース外」表現に関する報道は「スキー場内のコース外と言う範囲と場外の区分、いくつかコース外と表現され意味合いの領域があるが、今回はこの部分に該当します。」といった内容の解説をされていました。ほんの一部かもしれませんがちゃんと区別すべきと云う感じがある姿勢でもあると私は受け取ったのですが。
お互い今回は終了しましょう。

投稿: 大江山の仙人 | 2015/01/15 10:47

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 続、神楽ヶ峰の遭難事故について:

« 神楽ヶ峰の遭難事故について | トップページ | 碇高原の季節がやってきた »