10月中旬に、日曜に勤務となり月曜が振り替え休日となったことがあった。「三田神戸プレミアムアウトレット」という商業施設が気になっていたので、平日の休みを利用して、ぶらりと見物に、ついでに都市近郊の田舎道を自転車で走ってこようと出かけた。しかし、天候はあいにくの雨。予報では止み間もありそうだったので自転車をスタンバイして出かけ、コースを短縮し申し訳程度に走った。今回はそのリターンマッチ。
丹後からのアプローチは、福知山市三和町、そして草山温泉を経由し篠山口へ南下。国道372号線を少し西に進んで、すぐに何ぁ。大川瀬ダム湖の左岸(東側)をかすめてダムの南側に回り込む。高さ50mのコンクリート製の堰堤がどーんと見える場所に空地を見つけクルマを止めて、自転車を組む。ランドナーなので、前後輪と後輪の泥除けをフレームに装着。工具不要で2分ほどの作業。
まずはダム湖の西側に登る。前回は雨のわずかな止み間ということもあって、この西岸、そして「うぐいすの里西地区」という急斜面の別荘地をうろうろしただけだったが、今日はもう少し広範囲の周回コースの予定だ。晩秋の柔らかな日差しに色づき始めた山の木々が生える。



ダムの管理事務所を過ぎてすぐに湖岸を離れて西へ。「三田レークサイドカントリークラブ」へと向かう。前回は、ゴルフ場の立入禁止のゲートの手前で引き返したのだが、今日はそのすぐ手前の分岐を右にとる。小さな峠を越えれば、三田市から篠山市今田町へと変わる。


山間の小さな集落を越えて再び登り。今度の峠は、地図に梅木峠と名称が記されている。その手前の山間の田んぼでは、なんとこの時期に借り入れの最中。もしかすると、酒米「山田錦」なのかもしれない。
梅木峠を越えれば景色が開け、のどかな里の風景が広がる。借り入れを終えた棚田と、たくさんの実を付けた柿の木がまさに秋らしい。静かな静かな里の秋、とつい口ずさんでしまう。少し前に放送された「日本縦断こころ旅」でも、自転車に乗った火野正平が1番を最後まで歌っていたし、パソコン通信の自転車ツーリングのレポートでもこの歌の出だしが使われていた。エンジン音のない自転車というのは、この静寂の晩秋の景色に良く合うのかもしれない。さらに、この歌が元々は太平洋戦争で南の島で戦う兵隊さんに対する慰問の歌だということは何とも意外なことである。

その静かな秋の里、平木の集落は、加東市なのである。播磨の国ということである。昔の国教と今の市境が完全に一致しているのかどうかまではわからないが、摂津・丹波・播磨の三国をまたにかけているのが、今日のコースということになる。
裾野に平木集落がある正面の小高い山は御嶽山というそうで、その標高500m余りの頂上部分には清水寺という寺がある。京都の清水寺と区別するため、播州清水寺ともいわれるようだ。西国三十三ヶ所巡礼の第二十五番札所であり、かつてはユースホステルも経営していた。山を巻く車道がつけられているので、登る予定だったが通行料(入山料)が500円もいるとのことなので、料金所の手前で撤退。また別の機会に登山道を歩いて登ろう。


平木の集落内の道を東に進む。天体望遠鏡のドームのある家が、スレートの屋根に覆われた茅葺の家と並んでいる。茅葺屋根がむき出しだったら、もっとコントラストが際立っただろうが、それでも十分インパクトのある風景だ。
集落を出て下り基調の道を行くと、篠山市今田町木津、つまりは丹波の国に入る。冒頭にも書いた通り、このエリアは摂津、播磨、丹波の三国の境目である。今の市境がかつての国境そのままかどうかわからないが、景色を見渡すだけでは国境があることに気づかない。国境と国境が合わさるところであるから深い山であることが多く、三国岳とか三国山という山名も多い。
川の左岸を下る。この川が大川瀬のダム湖となるのだ。間新田の集落から湖岸の道へ。湖岸の道はクルマの通行がほとんどないから快適。紅葉も美しい。



湖岸が入り組んでいるので釜屋でいったん県道に戻るが、すぐにまた湖岸の道。湖を隔てて半月前に周遊した右岸の様子もよくわかる。ダムの堰堤が近づくと、別荘地となる。ダムの両岸に別荘地がある。そのあとはダムの堰堤の高さの分だけの急激な下り。三田の市街、あるいはいくつものニュータウン、六甲と思しき山並みを見ながら一気に下る。


あとはダムの堰堤を見ながら車を止めた場所に戻る。
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