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2014/04/23

Slide and Ride 扇ノ山 2014

 4月も中旬を過ぎ、中国山地でスキーができる山は限られてきた。そんな中、扇ノ山の存在は大きい。距離にしてほんの12km南、標高差で200m高い氷ノ山のスキーシーズンがもう終わろうかという頃に、扇ノ山のスキーシーズンの最盛期が始まる。例えば、前年(2013年)などは氷ノ山よりも1ヶ月も遅くまでスキーができた。
 兵庫県の新温泉町からの登山口に当たる上山高原では、ゴールデンウィークに山開きの行事に先駆けて上山高原までの除雪が行われる。本来ならばもうその時期に来ているのだが、今年は例外。前年9月10日に起こった大規模な土砂崩れで今年の秋ごろまで高原へのアプローチ道路が通行止め。布滝入り口の駐車スペースのところにバリケードが設けられている。ただし雪解けが進んでいるから自転車なら上山高原まで入れるだろう。以前も、今回のバリケードの少し奥が雪でふさがれている時期に自転車を使ってアプローチしたことがある。日当たりの関係で、進んでいけば雪が解けていることがある。日当たりの悪い谷あいは雪に閉ざされていても、尾根に上がれば解けている、というわけだ。また、雪解け期には道路の大方は雪に覆われていても、端のほうは路面が出ている区間もある。こういうときこそ自転車が役に立つ。「Slid and Ride」の季節だ。
 ただし、今回はこの通行止めを機に、別方向からのアプローチへ目を向けることにした。鳥取県側の河合谷牧場からのアプローチだ。国道9号線の蒲生トンネルを越える鳥取県に入ってすぐに南下するのが一般的だが、完全1車線の県道31号線十王峠をさけ、日本海沿いの国道178号線を使って岩美までいき、そこから南下して国道9号線をクロスして県道37号線を使ってみた。こちらも岩美町大坂から鳥取市国府町木原へ峠を越えねばならないが、センターラインが引かれた問題なく離合できる立派な道だった。
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 河合谷牧場入り口、標高700mを越えたところで雪により道路がふさがっていた。標高850mくらいまではいけるだろうと見込んでいたので、ちょっとショック。これは行程が長いぞ。折れそうな心で、出発準備。だらだらとしか動けず、どんどん時間が過ぎる。悪い循環だ。
 その間、いろいろなクルマが入れ替わり立ち代り訪れては去って行く。子供をつれた若い夫婦は、牧場はどこか、と聞いてくる。まだこんなに雪に覆われていることなど想定外。それどころか、現実を受け入れることができず、「この先に進めないのか」と聞いてくる人がいるのはいつものこと。見ての通りだし、尋ねている相手はスキーの準備をしているのである。わかっていても、誰かに「もう駄目」と言って欲しいのだろう。ただ、1台、関東ナンバーのワンボックスカーが私のクルマの背後に止まり、迷彩ズボンをはいた男性が山へ登っていった。
 ちょうどクルマの限界点から分岐している牧場の中に入っていく道が除雪されている。チェーンで塞がれていてクルマは入れないが、自転車が役に立ちそうだ。スキー板を積載し、テレマークブーツでペダルを漕ぎ出す。しかし、きついのぼりだ。
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 出だしは谷の落葉樹林。少し景色が開けたところに牧場の事務所や畜舎らしき建物があった。日当たりがよいので、既に辺りに雪はない。そこを過ぎるとまた険しい登り。アスファルトからコンクリート舗装に変わるとインナーローとても乗車できず、押して登る。広い尾根に上がれば再び乗車できる。そしてその分景色が開けてくる。先ほどの牧場の施設を見下ろし、前方には雪を頂いたなだらかな山、振り返れば鳥取市街や岩美の海岸が見渡せる。
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 周囲にちらほら残雪が見えてきたところで、前方に動くものが見えた。人のようだ。なにやら二輪車らしきものも見える。近づいてみると、年配の男性で、黄色いナンバープレートのスーパーカブでやってきたようだった。牧場の作業道の除雪はそこまでで終わっていた。いきなり「まだ先にも二箇所ほど(残雪区間が)あるけど自転車はまだ持って上がった方がええ」とアドバイスをもらったので、雪の上を自転車を押して進む。しばらく行くと路面が現れ、その先でまた雪の区間。はじめのうちはアスファルトが露出した区間が長いが、そのうち雪の区間のほうが長くなってくる。標高980mほどのところで自転車を置くことにした。結果的にはこれが正解で、その後ずっと雪はつながっていた。ちなみに、登山口の「水とのふれあい広場」まではあと800m。牧場入り口から標高差260m、距離約3kmとずいぶん稼ぐことができた。平均勾配は8.5パーセントもあった。
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 自転車からスキー板を降ろして、ブーツに装着。ステップソールがあるのでシールは持ってきていない。20分ほどで、水とのふれあい広場に到着。雪原にぽっかりと山水をたたえた池が姿を現し、その辺には男性が座っていた。私のクルマのそばのワンボックスカーの主のようだった。
 急な階段で始まる夏の登山口を通り過ぎ、少し西側の畑の中の農道に入る。スキーとつぼ足のトレースもそちらに続いている。扇ノ山の山頂から真北に延びる鳥取・兵庫の県境尾根に登山道が走っている。標高1100m付近で登山道は分岐し、それぞれ鳥取県側と兵庫県側に登山口がある。尾根の東、兵庫側は比較的急斜面でそこそこ密度の高い樹林帯となっているので、尾根の登山道、そして登山口から上山高原までは車道を行くことになる。それに対して西の鳥取県側は、なだらかな大根畑や牧草地が広がっているので、自由なコース取りが可能。下りが楽しみだ。
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 段々畑を登っていったら、ころあいを見計らって登山道のあるブナ林に入る。ちょうど小ヅッコの辺りだ。スキーのトレースがいくつか見られる。大ヅッコへの登りの途中で数人のスキーヤーが降りてきた。知り合いだった。時間が遅いので、「泊まりですか?」と聞かれてしまった。一応明るいうちに下山できる見通しだし、万が一暗くなってしまってもライトを灯して歩くだけのことだ。それに、この日は月齢19日、満月からまだ4日目の明るい月夜のはず。と思ったら、晴れていた空はいつしか曇天。月明かりは期待しないほうがいい。
 大ヅッコからいったん下って、山頂に上り返す。ステップソールの板が本領を発揮する。
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 誰もいなくなった山頂に到着。ちょうどガスが湧き出して周囲の景色が見えなくなっていくところ。氷ノ山も鳥取市街もガスの合間に除いたり隠れたりで、全貌が見えることはない。ブナの根明けのように山頂避難小屋の周囲だけ雪が解けているが、その断面は深い所でまだ150cm程ある。
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 ザックをおろして、東斜面のブナ林にドロップ。粗目で快適。ステップソールですばやく上り返して今度はザックを背負ってもう1本。今度は上り返さずに、斜滑降で大ヅッコとの鞍部を目指す。畑ヶ平からの登山道のある支尾根を越えたら、ブナ林の大斜面を縦横無尽にターン。そして大ヅッコへ上り返す。
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 大ヅッコの東斜面は、畑ヶ平の雪原や青ヶ丸、仏ノ尾などのピークを眺めながら滑れるのだが、ガスで展望がなくなったので控えめにする。
 大ヅッコ北の緩斜面はブナの疎林で快適な滑り。毎年遅くまで雪が残り、去年は5月13日に滑っている。現時点者では、昨年より今年のほうが雪が多いのでもう少し遅くまで滑れるかもしれない。ただし、今後は気温が上がり一日で一気に解ける。スキーシーズンの長さは、これからの天候しだいだ。
 上地・大石の分岐の辺りでブナ林から西側の畑に飛び出してみる。ガスで覆われた範囲を抜けて、視界が利くので面白そうな斜面を探しながら滑る。兵庫側はずっとブナ林で、雪解けが進むと藪がうるさくなるばかりなので、こちらは天国のようだ。ただし、あちこちで地面や笹が現れ始め、自由にシュプールを刻めるのは今のうちのようだ。
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 水とのふれあいの広場を越えたら、また雪原へ。段々畑だろうか、それとも牧草地だろうか。そしてあっという間に自転車をデポした地点に到着。
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 素早く板を自転車に積む。以前ネットで板の積み方を写真で公開している人がいて、そのおかげでトゥーストラップ2本で簡単に固定できる。
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 しばらくは、雪の上を押したり、アスファルトの上を乗ったりを繰り返す。除雪済み区間に到達したら、後はらくらく乗って下れる。ただし、リムが雪で濡れてブレーキが効きにくい上に下りが急でスピードは出せない。この前新品に交換したばかりのブレーキシューが一気に磨り減ってしまう。そして、コンクリート舗装の区間は、後輪が浮きそうな急勾配。スキー板が後方に大きく突き出はしているのが、心強い。
 それでもやはり自転車の下り早い。雄大な景色を眺め、まるで空中散歩のように快適に下山。日が長くなったこともあり、十分明るいうちに下山。

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