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2014/02/15

氷ノ山ワサビ谷「やっぱり白い粉は止められねぇ」

 粉雪とホワイトアウト、雪崩は背中合わせです。装備を万全に整え、自分の力量を考えて、行動してください。

 2011年2月13日、ホワイトアウトの氷ノ山で最高の粉雪を堪能した。そして、2014年2月11日、二匹目のドジョウを捕まえる計画を実行した。
 なんと豊岡の最高気温が20度に達した節分の暖かさから一転、立春寒波がやってきた。山陰地方にはさほどの雪をもたらしていないが、じわじわと寒い日が1週間続いている。下界は雨やみぞれの日もあったが、氷ノ山はずっと雪だろう。曇り予報の建国記念の日に狙いを定める。予報は2日くらい前に雪がちらつくものに変わったが、予定通り決行。
 朝6時半、出発。圧雪の道路を慎重に走る。8時過ぎ養父ですうさんと落ち合う。京阪神からスキー場へと北上してくるクルマの列がノロノロ運転で、予定外に時間がかかったそうだ。
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 雪道の若杉峠、そして戸倉峠を越えて、鳥取県若桜町「わかさ氷ノ山スキー場」に到着したのは、10時前。支度を整え、スキーパトロールの登山届けに記入して、10時半頃リフトに乗り込む。スキー場は賑わっていたが、多くは子どものスキー教室のようだ。2本を乗り継いで、標高1190mの樹氷スノーピアゲレンデの最上部。ここからつぼ足で尾根を登る。すでに複数のスノーシューのトレースがあり、歩きやすい道ができている。登るにつれて木々に小さな樹氷が見られる。また少し風があって、そのせいかたまにガスが晴れ景色が見える時間帯がある。気が付けば、三ノ丸も見えているようだ。標高1300m辺りのやせ尾根にはよく雪庇ができるのだが、今回は見られなかった。雪が少な目のようだ。
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 やせ尾根の辺りから、つぼ足がきつくなってきた。そのすぐ先から広くなだらかな主稜線となるのだが、その手前で早めにシールを貼ったスキーを装着する。ところが、シールの粘着力が弱く大苦戦。マジックテープを板に巻いて何とかしのぐ。さらには、応急処置のために板を外したら先日自作したスキーリーシュがちぎれてしまった。スリーブによるロックが甘かった。やっぱり、命を預けるものはちゃんとしたものを選ばないといけないということか。
 とにかく、応急処置のシールは勾配が緩くないとだめ。ある程度の勾配を越えると、フォールラインに沿って登ろうとすれば、チップループ(トップに引っかける輪っか)が外れてしまうし、斜登行でもシールが横にずれて滑走面が丸出しになってしまう。早めのシール登行開始がかえってあだになってしまった。
 標高1320m、広くなだらかな主稜線ではどうにかごまかしのシール登行でも、それなりに歩けるようになった。しかし、今シーズンデビューの板に合わせた新しいシール。ただし、使うのは初めてでなく、すでに3回使っている。今までこんなことはなかった。今までとの違いと言えば、今日は気温がかなり低いことだろうか。
 主稜線の入り口は樹氷のブナ林。それを抜けると、広大な雪原となる。
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 スキーの4人組とすれ違った。視界が悪いので戻ってきたとのこと。賢明な判断だろう。氷ノ山は標高の割に遭難件数が多いと言われている。その多くは視界不良時の道迷いだ。
 といいながら、我々は進む。それも「前回よりも景色が見える」などと言いながら。3年前は、完全なるホワイトアウト。スノーモンスターも避難小屋も10m位まで近づかないと見えず、GPSレシーバーだけが頼りだった。今日は風があるせいか時折景色が開け、薄日も射すほどだ。雪がちらつく時間帯もあるが、最低でも50mの視界は保たれている。ちなみに、前回のようなホワイトアウトを想定して、GPSレシーバーは2人で3台だ。もちろん、それぞれに地図やルートをインストールして備えている。バッテリー切れだけでなく、故障も想定しての装備だ。
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 三ノ丸の手前でスノーボードの3人組に追い越された。彼らは2週目だそうだ。スキー場トップからのスノーシューで踏み固められた道は、彼らによるものだったようだ。 
 13時前、三ノ丸避難小屋で食事の大休止。風雪がしのげる小屋はありがたい。
 13:45、三ノ丸でシールを外す。主稜線は風のためかアイスバーンと吹き溜まりでまだらになっていて難しい。吹き溜まりに突っ込んで転けたら平らで立てない。もがけば体は新雪を掘って沈み、まるでアリ地獄だ。板を外そうと思った瞬間、すうさんに助け起こされる。
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 小さなピークを越えたところで、ワサビ谷へ下ることにする。もう一つピークを越えた所からエントリーすることが多いのだが、吹き溜まりのラッセルにめげてしまった。本来はワサビ谷のさらに奥、山頂近くの大倉谷を目指していたが、シールの不調で早々にワサビ谷へ計画を下方修正していた。
 この辺りから杉の木が見られるようになるが、スノーモンスターと言うほどにはなっていない。節分の頃の暖かさで一度すっかり落ちてしまったようだ。
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 谷に滑り込むときには、場所を間違えていないか緊張する。今日はシール不調のため、いざというとき登り返すことができないから、なおさらだ。何度も確認していざドロップ。さいわい、この時霧が晴れた時間帯に当たり、北隣の大倉谷、南のミクワ谷との境の尾根がはっきりと見えていた。
 期待通りの粉雪。柳ならぬ、樹氷の下に再びドジョウはいた。しかしながら、ふがいないのは自分の滑り。序盤の急斜面に完全にびびってしまう。樹氷のブナも怖い。細いノドになった部分も、縮み上がってしまう。せっかくの太い板が生かせない。それに比べてすうさん滑りの軽快なこと。雪煙を巻き上げリズム良く滑っていく。
 斜度が緩くなって少し滑りはましになったが、出だしで染みついた恐怖感が拭えない。やっぱりいつもの奥のエントリーポイントより、こちらが若干難易度が高いようだ。
 新雪は常に底無しというわけではなく、時折スキーエッジが堅い雪にふれてガリッと音を立てる。
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 下っていくと、沢が出ていた。スノーブリッジは全くない。例年より雪が少ないようだ。右岸を進む。杉の植林に入れば、等高線沿いかやや登るような形のトラバースで、スキー場のイヌワシゲレンデ上部を目差す。結構ラッセルが大変だった。たいがいは雪が悪いここの杉林だが、このような極上の粉雪のときには緩やかに滑り降りて、スノーピアゲレンデとイヌワシゲレンデ間の連絡路を目差した方が正解だったかも知れない。
 斜度が緩やかになったら杉林を抜けて広い雪原に出た。ほとんど人がいないイヌワシゲレンデだ。途中勾配がほとんどなくなるので、特にスノーボーダーには好まれないゲレンデ。それでも新雪はすっかり踏み荒らされている。それまでの新雪とのタッチの違いにとまどいながらゲレンデを下る。
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 ああ、楽しかった。禁断の白い粉を当てることができた満足感に浸る。一昨年も、去年も訪れたが、なかなかこんなパーフェクトな粉雪には出会えなかった。3年待ってようやく出会った二匹目のドジョウだ。決して粉雪だけがスキーの楽しみではない。ザラメだって楽しい。出会うことの難しさが粉雪の値打ちを高めているのかもしれない。
 スキーパトロールに帰還報告をして帰路に就く。
 最後に…。これはガイドではないのであえて地図を乗せていない。地名等で地図上にコースを思い描ける人のみ参考にしてもらえればよい。途中に書いた通り、道迷い遭難の多い山で、下りる谷を間違えて滝で動けなくなるという事例もある。また、雪崩への備えも必要だ。とにかく、自己責任で。

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コメント

 ありがとうございました。パウダーウハウハでした。
 貴重な映像をありがとうございました。実は滑り出しはテレマーク姿勢がとれてなかったんですよ。後半慣れてできるようになったけど。ボクも急斜面でしっかり滑れるようになりたいです。そのためにはまた行きたいもんです。パウダーの機会はそうありませんけどね。
 またお願いします。

投稿: すう | 2014/02/17 07:21

 動画に満足していただいたようで、よかったです。同じく、粉雪も満足でしたね。
 この日と前後して若桜から氷ノ山に入山したレポートがネット上にいくつか見られますが、ホワイトアウトと強風で三ノ丸手前で撤退、というものが多いようです。しかし、そこに掲載されている写真を見れば、われわれが訪れた時と同じような視界の状況。「3年前より視界がいい」と言いながら歩いていましたが、改めて一般レベルよりも危険な領域まで足を踏み入れているんだという認識を持たないといけないなと思いました。

投稿: はいかい | 2014/02/18 20:28

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