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2013/05/09

追分ソーランライン(自転車走行編:瀬棚~共和)

 5月5日、朝。雨上がりの空。夜に降った雨で路面は濡れているが、爽やかな空気と薄雲を貫いてくる初夏の日差しにそのうち乾いていくだろう。正確には、南の方は若干空が暗いが、これから向かう北方の天気が良ければいいのだ。今日は、瀬棚から共和まで。北海道特有の地域区分である支庁でいうと檜山から後志へ。そして、道南から道央へ。天気予報は曇りベースで、檜山では朝のうち、後志では午後から夕方にかけて雨が降りやすいと食い違っているが、要するに不安定ということ。印象では、当面は心配はないが、午後には雨の覚悟をしておかないといけないだろう。でも、今の空を見れば心は軽い。
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 まずは港、そして風車の写真を撮って、津波防止の河口の水門を見て、8:30、北上開始。昨日に引き続き国道229号線の旅だ。今日も南風。順風だ。今日のコースは、去年の8月にスーパーカブで往復している。景色はよく、クルマは極めて少ない最高の道で、ぜひここを自転車で走りたいと思って今回の旅が実現した。確かに、今日もクルマは少ない。ただし、昨日から海沿いには釣り人が多い。たまに通るクルマの多くは、釣り人のものだろう。
 瀬棚の民宿で泊まりあわせた60代くらいの2組の夫婦らしき4人グループも、釣りにきたようだった。宿の食事は、海の幸がふんだんに使われていた。夕食のメバルの唐揚げが特に美味しかった。建物は新しかったが、20数年まえから営業しているとのことで、1993年の北海道南西沖地震の津波も経験したそうだ。ただ、駐車場に止めたクルマのタイヤが少し使ったくらいで、建物はぎりぎり床下浸水しなかったとのこと。また、無線LANを完備していて、ブログの更新ができた。今回は、タブレット端末を携行している。キーボードがないので、文字入力やコピーアンドペーストなどの操作に慣れがいるし、慣れてもやはりキーボードより不便だが、その分全体が小さいので取り扱いはしやすい。列車の中でもブログの原稿を入力することができた。無線LANに接続できることを宿選びの決め手の一つとしたので、頑張ってブログの記事をアップロードしたが、その後すぐに眠りに落ちた。徹夜明けのおかげで、ぐっすりと眠れた。
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 小さな街を抜けると民家はなくなり、次々に現れる奇岩を見ながら進んでいく。8kmほど進み、1kmちょっとのトンネルを越えると島歌という集落がある。ここにも数件の民宿がある。やはり、夏は海水浴、それ以外は主に釣り客を相手に営業しているようだ。また、集落のはずれに島歌郵便局。木造ではないものの、日本海からの潮風にかなり風化して、この辺りの景色にマッチしている。
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 さらに北上を続ける。左手はずっと海の景色だ。奇岩、カモメなどの海鳥、釣り人、そしてトンネルが多い。
 せたな町の北端に近づき弁天岬を越える。岬のすぐ脇に港があり、おびただしい数の釣り人がいる。ここに下降がある須築川を遡る形で道は少しだけ内陸へ入る。標高1520mの狩場山を主峰とする狩場山地が海に落ち込んでいる茂津多岬を越える。といっても、トンネルで越えるのでさほど登るわけではない。ただし、灯台は標高300m近い場所に立っていて、日本一の高さとのこと。おや、高さ日本一の灯台とは、兵庫県の日本海側にある余部岬ではなかったかな、と思いながら進む。実は、灯台の建物の頂の高さ日本一が茂津多岬で、灯火の高さ日本一が余部岬とのことだった。トンネルの手前の道路脇には残雪があり高山の雰囲気。そして、白糸岬を超えるまで1.5~2km程の長さのトンネルが4つ連続してまるで山岳地帯にいるような気になるが、最後のトンネルを抜けると青い海が広がっていて、現実に引き戻される。これで檜山支庁から後志支庁へ。そして、道南から道央へ。
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 道は、南北から東西へと方向を変える。短いトンネルがたまに現れる。トンネルの前後は、必ず渓流や滝が流れている。きっと狩場山地の雪解け水なのだろう。小さな滝は、この時期だけのものかも知れない。
 雲は薄くほぼまともに日が射している。海は青い。道路の両脇に釣り人の路上駐車の列ができて、クルマの離合困難となっている場所があった。基本的に交通量は少ないので、渋滞ということにはならないのだが。暑いので、服を脱ぐ。合羽兼ウィンドブレーカーのアウターウェアの下はTシャツのみ。
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 水上バイクを積んだトラックが追い越していった。1台、2台、3台。あっ、キャタピラ!スノーモビルだった。北海道では、この時期はまだ雪山の季節。昨日、太櫓越峠を越えて瀬棚平野に下りたときに、はるか前方に見えた狩場山地は真っ白だった。
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 11:00、道の駅「よってけ!島牧」到着。スタートから40kmだ。昨日、反対側から眺めた狩場山地が間近に見える。一期は白いのは、狩場山だろう。この道の駅は、公衆無線LANのアクセスポイントなので、メールと昨日更新したブログのチェック。ブログにコメントが付いていたので、返信コメント。この道の駅には、島牧村のビジターセンターのような施設が併設されていたので、見学する。展望台からは隣の島牧ユースホステルが見える。今回の旅の当初の計画では、島牧ユースホステルに泊まる予定だったが、それだと徹夜明けで、しかも10時頃のスタートで120km以上走ることになり、夕食の時間に間に合いそうにないので、宿泊地を瀬棚に変更した。ユースホステルに泊まりたかったが、瀬棚の民宿もよかったし、インターネット接続もできたし、正解だっただろう。差額は1000円ほど。
 道の駅やユースホステルがある集落から、5kmほど走ったら島牧村役場のある集落。ここにはセイコーマートもあるので立ち寄る。ちょうど昼時で釣り人で混雑。
 次の目標は、30km先の寿都。そこにも道の駅があり、少し離れてセイコーマートがある。本日の行程の、序盤から中盤へと差し掛かった雰囲気だ。
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 ただひたすら海を見ながら走るわけだが、トンネルがあったり、標高差50m未満のアップダウンがあったりで退屈はしない。はるかにこれから超える弁慶岬も見えてきた。その向こうにうっすらと見える白い山並みは、ニセコの山々だろうか。
 津波防止の河口の水門があった。島牧村の北の端に近い豊岡という集落。水門を見学して、再スタートを切ったら後輪に違和感。空気圧が極端に減っている。パンクだ。まずいことになってませんようにと祈りながら、後輪を外して点検。小さな金属片が突き刺さった単なるパンクで、ホッとする。タイヤのバーストなど重傷なら、この後の走りに影響するところだった。15分でチューブを交換し、20分で再スタート。予備のチューブはもう1本あるから、この後もう一回パンクしても大丈夫。
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 少し北上したら、歌島という集落。中歌、島歌、原歌、歌島。今日のコースには、名前に歌のつく集落がいくつもある。
 寿都町に入り、弁慶岬が近づくと向かい風になった。それまでは、ほぼ追い風だったのに。岬を回り込めば追い風になるかと期待したが、やはり向かい風。渡島半島の脊梁山脈がとぎれている寿都、黒松内、長万部のラインが風の通り道となっているようで、ここを南風が寿都湾に出て、そのまま湾の外へと回り込んでいるようだ。弁慶岬は、しっかりと海に突き出した岬らしい岬。弁慶の像が立っていた。
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 寿都の中心街が近づく。国道をそれ海沿いの集落の道を行く。ここに限ったことではないが、原色で塗られた家が多い。緑、青、朱色。そして、ピンク。絵本に出てくる家のようだ。
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 道の駅「みなとまーれ寿都」では、牡蠣やイカを炭で焼いて売っている。その名の通り裏手は漁港に面している。去年の夏に来たときには静かでよかったのだが、今日は観光客で混雑。ここも、無線LANのアクセスポイントなので、気象庁のサイトで降雨レーダーをチェック。徐々に空は雲で覆われ、暗くなってきている。やはり、近くで弱い雨が降っている。先ほど通過した島牧だ。これからは、どこで通り雨にあうかわからない状態のようだ。
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 再び、寿都湾を南下。だんだん空は暗く、向かい風が徐々に強くなっていくようだ。さらに、道路の舗装が痛んでいて、特に路肩の状態はひどい。寿都湾のどん詰まりに並んだ発電風車が見える。やっぱり、ここは風の通り道のようだ。
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 朱太川の河口広場には多くの残雪。除雪で溜められたものだろうが、しかし海沿いでこの量はすごい。湾の突き当たりに来て、進行方向が南から東へ。向かい風は横風に変わる。もう少ししたら、進行方向は北に変わる。そうすると…。期待に胸が膨らむ。
 黒松内にちょっとだけ入りここで左折、北上。待ってました、追い風だ。一気に加速。ただし、路面状態は悪い。パンクしませんように。
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 すぐに再び寿都町となりセイコーマートがあったので立ち寄る。歌棄というところ。また歌がつく地名だ。
 寿都からはクルマが多い。去年の夏には、ここもクルマが少なかったのだが。反対車線に比べて、こちら側の車線のクルマが圧倒的に多く、ほとんどが道内ナンバーなので、行楽帰りなのだろう。日本各地で道路の渋滞が起こっている大型連休なのだから、普段余りクルマが通らない道にクルマが列を作ることだってあり得るわけだ。
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 寿都を越えると、次の目標は岩内。終盤の40kmだ。町境の尻別川手前に、津波の避難路があった。集落から裏手の丘に駆け上がる階段だ。奥尻島にあったような、全面透明なパイプ状のものもある。雪や雨の日に地震、そして津波が起こらないとは限らない。階段の除雪もしなくていい。ただし、夏は温室となって暑い。
 防波堤の上に、風避けと思われる設備がある。主に冬場のためのものだろう、ほとんどは金属の柱だけ残し、木の細長い板を横に何本も渡した壁が外されて足下に積まれている。一部、壁が残っていた。
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 尻別川を渡り岩内町に入る。とうとう雨がぽつぽつ降り出した。ただし、幸いというかここからは長いトンネルが続く。600m余りのトンネル(今日のコースでは日常茶飯事)を越えたら、刀掛トンネル。長さ2700m以上。ひゃー、抜けるのに10分近くかかる。しかも、ようやくトンネルを出たら雨が強まっているではないか。さすがにこれは濡れるので、合羽のズボンをはく。すねの関節にマジックテープを巻いて、ぺだりんぐへの負担を軽減する。さらに、靴を濡らすとやっかいなので、とうとう10年以上寝かせていたシューズカバーをつける。ついでに、フロントバッグカバーもつける。登山用のオーバーミトンも持ってきているが、手は冷たくないのでメッシュの指切りグローブのままでいいだろう。これは濡れてもすぐ乾く。それに、もうゴールは近いのだ。ゴールしたら脱いだらいいのだ。ザックの荷物は。まあザックそのものの防水機能で持ちこたえてくれるだろう。
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 そうして次のトンネルへ。1km未満のトンネルを2つ3つ越えたら、とうとう来ました雷電トンネル。長さ3500m以上。10分以上だ。まあ、出入り口では、山が海まで迫ったすごい断崖を見上げることになるわけだが、良くこんなところに道を通したねぇ、という感じ。中央自動車道のトンネル崩落事故は記憶に新しいが、もっと古い記憶をたどれば積丹半島の豊浜トンネル崩落事故というのもあった。この近くである。帰宅してから調べたら、1996年2月のことだった。今日越えているトンネルは、豊浜トンネルの事故以降に古い危険なトンネルからバトンタッチしてあたらしく作られたものなので比較的安心できるが、クルマが怖い。
 長い長い雷電トンネルを抜けると、ぐっと岩内の中心街が近づく。何せ、一連のトンネル群で10㎞近くあるわけだから。雨も小降りになっているが、いつまた降り出すかわからない空模様なので合羽のズボンとシューズカバーはそのまま。ロードマップを見ながら走りたいのでフロントバッグカバーは外す。集落の密度が高くなってきた。岩内の湾越しに泊原発が見える。停止してから1年が建つと今日の新聞に出ていた。また、海と反対側には、ニセコ連峰の末端、岩内岳。岩内国際スキー場のコースは真っ白。まだ営業しているのだろうか。
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 17:35、とりあえず岩内の道の駅でトイレ休憩。断続的に小雨が降っているので、すぐにスタート。ゴールの共和町小沢駅まではあと13kmほど。ラスト区間だ。「ニセコパノラマライン、雪崩の恐れあり、通行止め」という電光掲示が見える。雨はほとんど止み、道路は乾いている。
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 内陸に入り、ニセコと積丹の白い山々に挟まれた岩内平野を行く。走行距離は110kmを超え、さすがにヘタってきた。北海道らしいアップダウンする道が脚に堪える。共和町役場近くの幌似小学校跡には木造校舎が残っている。そういえば、今日通ってきた海沿いの集落でも廃校の校舎ヲ利用したと思われる施設を見てきた。幌似小学校前のバス停待合室で、休憩。パンを食べる。
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 倶知安手前の小沢駅は、高原ムード。たどり着いたときには薄暗くなっていた。18:45。無人駅には、まだ残雪があった。瀬棚から130km走った。

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コメント

 今日も天気はイマイチのようですが、楽しんで走れたようでよかったですね。北海道いいですね。こまめにアップお疲れ様です。

投稿: すう | 2013/05/10 20:04

 雨は降らないに越したことはありませんが、降り出したのが130kmのうちの残り20km地点だったので、もうあとはイケイケで乗り越えることができました。それに実際に降ったのは短時間でした。10年ちょっと前に東京神田の今はなき「アルプス」で買ったシューズカバーは有効です。何せ靴を濡らすと、なかなか乾かないので、ずっと不快な思いをしないといけません。最近は、ビンディング対応サンダルがあって、夏のキャンプツーリングはこれでこなします。水遊びや温泉や足湯の後は、靴下なしで走れます。10年以上前は、靴とサンダルを両方持ってキャンプツーリングしていて、雨のときは靴からサンダルに履き替えていました。ある時、もうすぐゴールというところで夕立にあい、面倒でサンダルに履き替えなかったら靴を濡らしてしまい、翌日も不快な思いをした経験があります。それでシューズカバーを買ったわけですが、最近は何日も走り続けるツーリングをあまりしなくなり、ビンディングサンダルもあって、シューズカバーの出番がありませんでした。

投稿: はいかい | 2013/05/14 17:57

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