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2013/02/08

氷ノ山初めての大倉谷

 快晴の1月31日、正午過ぎに、鳥取県若桜町のわかさ氷ノ山スキー無料駐車場にクルマを入れた。
 支度を整え、スキーパトロール事務所の登山届けに記入してリフト乗車。2本乗り継いだら標高1200mのゲレンデトップ。霞が深く大山は見えるか見えないかのぎりぎりのところ。青空をバックに扇ノ山、青ヶ丸、仏ノ尾は白くきれいに輝いている。
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 こんな平日には山を独り占めだろうと思っていたが、スノーシューの単独男性が下山してきた。見れば、複数のスノーシューのトレースが重なってできる高速道路が上に向かって延びていた。快晴が人を山へと誘ったようだ。
 板をザックに固定してつぼ足で登り始める。しばらくするとテレマークスキーの板を背負いスノーシューをはいた単独の男性が下山してきた。山頂直下までいったところでビンディングが板から抜けてしまい、泣く泣くスノーシューで戻ってきたという。何とも気の毒だが、今日の天候ならば稜線を歩くだけでも値打ちがある。
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 登っていくに連れ木々に小さな樹氷が着いている。いつも雪庇ができているやせ尾根は、今年はまだ雪の量が少ないせいか、雪庇はなかった。
 標高1320m位まで登るとなだらかになってスキーを装着。とりあえずシールは貼らないで、手彫りのステップソールを効かせて歩く。今シーズン、スキー登山はこれで3日目だがシールは全く使っていない。
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 樹氷のブナ林を抜け広大な雪原を歩く。チシマザサが完全に埋まりきっていないところもあるが、おおむね快適に滑れる丘が連なる稜線だ。なだらかで小さなアップダウンが続くので、ステップソールの板が効果を発揮する。
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 三ノ丸、ワサビ谷の頭を越え、標高1448mピーク付近に到着。もう山頂は近いが、山頂は目的地ではない。ちなみにこの1448Pは、一ノ丸つまりは山頂と、三ノ丸に対する二ノ丸ということらしい(「兵庫県大百科事典」神戸新聞出版センター)。
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 積雪期に三ノ丸と山頂の間を行く場合は、1448Pには乗り上げずに、その東側、つまり兵庫側のなだらかな斜面を巻くのが一般的で、西の鳥取側の谷は見下ろしたことがなかった。その1448Pの西側の谷が、大倉谷である。昨シーズン初めてこの谷をすべりおりてみようと思ったが、活動可能な人天候の巡り合わせが悪くて訪れたのは3月の下旬となった。そのころにはすっかり新雪の供給は途絶え、斜面は堅いアイスバーン。急斜面の谷に滑り込むのは断念、ワサビ谷に戻って、そちらを滑降した。
 あれから10ヶ月、今日は数日前の降雪から雨は降っていないし、やや鮮度は落ちても雪は柔らかくなかなかいい条件ではないのかと期待しながらやってきた。大倉谷は右俣・左俣に分かれているが、昨年目星をつけたエントリーポイントは山頂よりの左俣。1448Pには一人の男性が立っている。スキーだろうかスノーボードだろうか、それともスノーシュー。滑走できないとしたら本日中の下山は難しかろう。山頂で泊まりだろうか。足下が見えないのでわからない。大倉谷の急斜面を見下ろしながら1448Pの西側を巻いて左俣へ。
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 立木が多く、急斜面でワサビ谷よりもハードだが、今日は雪が柔らかいので転倒しても滑落のおそれはない。結局シールは使わなかったので、歩行から滑走へは心の準備だけの切り替え。というわけで、意を決してドロップ。
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 谷の上部は落葉樹林のため西部がもろに当たり、新雪というには鮮度の落ちた雪が重い。細い木が多くなかなか快適とはいえない。あげくにはスキーのトップが雪面に突き刺さって、前のめりに転倒。細い木に顔面を痛打。左の頬が痛む。目、鼻、口をぶつけなかったのが幸いだ。
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 何度も転けながら下りていく。切り立った側面から落ちてきたデブリもあり、難儀する。喉のように細くなった急斜面も難所だった。
 喉を越えると右俣との合流点。スノーボードとスキーのトレースが、そちらからきていた。それぞれ単独で数時間前に付けられたもののようだ。
 谷の下部は日陰になるため雪質がよくさらさらだが、その薄い新雪の下は悪雪でやはり苦しい。斜度は落ち着いたが、沢が出てきて切り立った法面を斜滑降で進む。法面をただ斜滑降で滑ればいいというわけではなく、立木や露岩を避けなければならない。下手をすれば沢に滑落してしまうので、緊張が走る。スキーはまだ歩けるからいいが、スノーボードのトレースは、途中つぼ足に変わっていた。
 谷が開けなだらかになって杉林に突入。明るい落葉樹林から暗い林に入るのはワサビ谷と同様だが、こちらは滑りやすい斜度で、しかも前方の木々の隙間から開けた雪原が見える。あっという間にわかさ氷ノ山スキー場の仙谷アルパインゲレンデだ。
 ゲレンデはかちかちのハードバーン。連絡路を経てイヌワシゲレンデに移動し、その下の駐車場に止めたクルマに板を積んで、ブーツを履き替えてパトロール事務所のある樹氷スノーピアゲレンデ入り口にクルマで移動。
 公衆トイレの鏡で、大倉谷の上部にて木にぶつけた顔面をチェック。左目の下と、鼻の左下から出血。特に鼻の左下がひどい。顔を洗ってから、パトロール事務所に帰還報告。ああ、明日はマスクをつけて出勤だ。

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コメント

 これテレマークで行かれたんですよね。ルート開拓お疲れ様です。氷ノ山がまた山スキーとして価値ある山になった気がします。
 山に行くといろんなケガがありますね。出来るだけケガをしないように注意を払っていてもやってしまう。常に総合力を試されます。そんなところも山のいいところ、かな。

投稿: すう | 2013/02/10 19:55

 ルート開拓ではありません。個人的には初めてですが、数シーズン前からいくつも報告を見かけますし、記事に書いたようにこの日も先人のトレースがありました。
 きちんとテレマーク姿勢がとれていないのも、前に転ける理由の一つでしょう。まだまだ修行が足りません。
 そういえば板を立てて撮った写真がありませんね。シールを使っていないので、板を外さなかったっていうこともありますね。
 顔のけがは、すぐに目立たなくなりました。
 そういえば、8年前の6月に、三ノ丸から山頂に向かってMTBで走っていたら、登山道に覆いかぶさっている木の枝に顔面をぶつけて転倒したことがありました。出血はなく、翌日は誰も気づかないほど目立たないものでしたが、直後はしばらく呆然としていました。総合格闘技ならば、KOだったかもしれません。
 実は、先日顔をぶつけた瞬間、この8年前のことを瞬間的に思い出していました。
 というわけで、このあたりは鬼門ですね。
 

投稿: はいかい | 2013/02/10 22:09

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