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2013/02/09

三和から西紀・春日へ、箱部峠・鼓峠・栗柄峠・三春峠周回

 3週間前に天候悪化と日没で中途半端に終わった、丹波の国の峠越えツーリングのリベンジ。曇天ながら雨の心配のない2月5日の昼過ぎに、福知山市三和町河内野の国道9号線と府道710号線分岐にあるドライブイン跡地にクルマを止める。
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 ランドナーを組み立て、府道710号線を南下。まずは田園地帯から山間部に入り府県境を越えて兵庫県へ。箱部峠は、府県境でなく、兵庫県側に位置している。峠の両側が桑原。おそらく北は端郷なのだろう。峠を越えた本郷の桑原の集落から、本来ならば県道509号線に行きたいところだが栗柄峠の手前で西紀ダム工事のための通行止め。そのまま710号線を進んで県道97号線の鼓峠を越える。福知山と篠山を結ぶ、通行量のいらない最速ルートである県道97号線鼓峠はたまにクルマが通る。私も、クルマでよく利用している道だ。全くクルマが通らない細道の509号線の方が格段に快適である。それでも、鼓峠は自転車では初めてなので、一度くらいは走っておいてもいいだろう。多紀アルプスの三嶽がいろいろな角度から見える。クルマでは気づかなかったアングルだ。
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 ヘアピンカーブで急激に登って鼓峠を越えたら緩く下る、いわゆる「片峠」と呼ばれる非対称の地形だ。この峠は、本州の中央分水界で、日本海側由良川水系から太平洋(瀬戸内)側加古川水系へと移動をしたことになる。
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 通行止めの県道509号線と合流する栗柄集落で西紀ダムの工事現場を右に見送ったらすぐに栗柄峠。篠山市(旧西紀町)から丹波市(旧春日町)の市境をなすこちらの峠は鼓峠を上回る片峠で、なんと建設工事が行われている西紀ダムからの流れ杉ヶ谷川が栗柄峠を越えて篠山市から丹波市の滝ノ尻川へと流れていく。当然水が下から上へと流れるはずはなく、峠とは名ばかりで篠山側からは全く登っていないのである。
 どうしてこうなったかというと、丹波市の滝ノ尻川の侵食の勢いが強く、かつての峠地形を崩して反対側の杉ヶ谷川の水源を奪ったのだそうだ。栗柄集落のある緩やかな谷には、加古川水系の宮田川が南に向かって流れていて、本来は杉ヶ谷川はこちらに合流していたのだが、前述の水源の争奪により杉ヶ谷川は滝ノ尻川となって西に流れていく。同じ谷から別方向の流れが発生する、谷中分水界(こくちゅうぶんすいかい)である。しかも、滝ノ尻川は竹田川を経て由良川に合流して日本海に流れる。つまり、谷の中に本州の中央分水界があり、栗柄は日本海側と太平洋側にまたがった集落ということになるのである。
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 さて、栗柄峠の東、丹波市側は、薄暗い林の中の細道から大規模な道路の拡幅工事現場となり滝ノ尻川の深い谷を見下ろす。左手には多紀アルプス(多紀連山)が屏風のようにそびえる。
 道路工事現場を過ぎ、センターラインのあるバイパスから谷底の集落に降り立ち一車線の細い農道を行く。そのまま栢野(かやの)集落の中の旧道へ。狭い道の両側には、古いが立派な作りの木造家屋が並ぶ。壁は赤く塗られている。「ベンガラ(弁柄)」である。
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 栢野集落を抜けると再びバイパスで田園地帯を西に。三井庄(みのしょう)で北に進路を変え、三春峠を目指す。こちらもバイパスがつけられているが、できるだけ集落の中を行く。やっぱり家がベンガラで赤い。
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 三室ダムを右手に見てしばらく行くと集落は終わり、三春峠への本格的な登りが始まる。それまでは時たまクルマが通ったが、この先はほとんどクルマに出会うことはない。この日も、三春峠越えでは一台もクルマには出会わなかった。やはり自転車はこういう道を走らないと。
 標高440m余りの三春峠は、本日のコース最大の峠。峠が近づくと竹田川の大きな谷を見下ろす。対岸には多岐連山の西端に位置する三尾山。その山腹を貫いて現われた高速道路が高架で山に巻きついている。
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 三春峠は兵庫と京都の府県境。ここまで、府県境が避けた峠、片峠、川が越えている峠など、クセのある峠を越えてきたが、ようやく最後にして正統派の峠である。ここで今日一番の下りに備え中間着を着込む。京都府側の方が風景はさらにダイナミック。まずは尾根を行くスカイラインだが、すぐにヘアピンカーブとなって谷に下っていく。そのヘアピンカーブのあたりからは、大きく深い谷の底に田ノ谷の数軒のトタンに覆われた茅葺屋根の家々が見渡せる。その家々は遠く小さく見えるのだが、下りは早い。あっという間に田ノ谷に到着。
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 あとは緩やかなく下り基調を、国道9号線に向けて北上。だんだんと谷が広く田園風景となって、久しぶりにクルマに出会う。薄暗くなってきたのでLEDライトを装着し、点滅させる。
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 ひっきりなしにクルマが行きかう国道9号線に出た。クルマを止めたドライブイン跡までの1km程は、歩道走行。
 いくつもの峠を越え、府県境や中央分水界をまたいだ38kmの周回コースだが、すべては丹波の国の中での出来事。

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コメント

 なかなかのヒルクライムサイクリングですね。ローカルそうなところで、車の通行量に敏感なはいかいさんの好むルートでしょう。三春峠はいかにもきつそうだし、ボクは行ったことありません。
 山は小雪で、仕方なく(?)自転車に乗っているのでしょうか。

投稿: すう | 2013/02/10 19:13

 桑原・栗柄の県道509号線の細道の峠(これもやや片峠)が通れれば、鼓峠のような幹線道路を通らなくて済むのですが。
 今回のコースでは最大の三春峠も大してきつくありません。春日、三和ともにベースが標高100mを超えているので、標高差は300m程度。最終集落からだと標高差200mしかありません。
 丹波の国は、廃藩置県によって京都府と豊岡県(前身は久美浜県)に真っ二つに分断され、その後兵庫県の拡大を目的に豊岡県は廃止。豊岡県内の旧丹波の国のうち福知山は京都府に、それ以外(現篠山市や丹波市)は兵庫県となった歴史があります。
 つまり、たくさんの片峠や谷中分水界、あるいは水中分水界に象徴されるように地質学的にも、川の上流部の争奪が行われた地であると同時に、人の活動の歴史の上で行政区の争奪が行われた地でもあります。
 まあ簡単に言えば、大きな山脈がなく境目がはっきりしない土地、というのが丹波の国のイメージでしょう。片峠を含む小さな峠を連ねたこのコースは、丹波ツーリングの象徴であるといえます。

投稿: はいかい | 2013/02/10 23:29

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