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2012/12/06

錦秋とびしま小春空(1)

 今年の11月は天気が悪い。近年では11月は日本海側でも小春日和の割合が多く結構自転車で走れたのに。中央分水界よりも南に行けばいくぶん晴天率はあがる。そういうわけで、11月24、25日の土日に遠征に出る。3年ほど前から暖めていた「とびしま海道」ツーリングを実行する。
 23日の勤労感謝の日には十分睡眠をとって鋭気を養い、24日未明、3時半に時雨れる丹後を出発。一路瀬戸内に向けて南下。山陽自動車道姫路東I.C.に入りそこね市街地に入ってしまった。信号は多いがまだ早朝でクルマは流れているのでそのまま国道2号線バイパスまで南下して国道2号線バイパスに乗って西へ。龍野I.C.から山陽自動車道へ。夜が明けてきたものの、丹後からずっと時雨が続いて薄暗い空。岡山を過ぎても雨は止まず。こんなんで自転車に乗れるのだろうか。
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 広島県に入る頃になってやっと雨は止んで、空は明るくなってきた。福山、尾道を過ぎ河内I.C.で山陽自動車道を下りて(休日特別割引で2150円)国道432号線を南下し竹原からは瀬戸内沿いを行く。山が海まで迫る尾道市から広島市の間は、山陽本線、国道2号線、新幹線、高速道路は内陸部を走り、ローカル線のJR呉線と3桁の番号の国道が細々と瀬戸内沿いを走る。その国道185号線は片側1車線の狭い道で、集落の中では歩行者がいればクルマは離合困難となる。その集落には漁港があったり、造船の施設なのか大きな貨物船が見られたりする。
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 現在は呉市に吸収合併した川尻町に「野呂山登山口」という看板が出ている。山頂のアンテナ鉄塔まで車道が着いているようだ。その野呂山の周囲の雰囲気にピンとくるものがあった。日曜8時から放送のTV番組「鉄腕DASH」で、自転車で山のてっぺんから海までペダルをこがず足を着かずにたどり着けるか、という企画の舞台になった山ではなかろうか。帰宅したと調べてみると、2007年10月14日放送の回で確かに野呂山を舞台にその企画は実施されていた。ちなみに標高839mの野呂山は、瀬戸内沿いの山では六甲山に次いで高いそうだ。
 ようやく「とびしま海道」の起点である「安芸灘大橋」にやってきた。呉の中心街の東、川尻と仁川の間から下蒲刈島へと渡る有料道路の橋である。到着は10時過ぎ。5年前、2007年11月に走った「しまなみ海道」は尾道が起点だったが、それより距離にして50km弱、時間にして1時間以上遠い。
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 仁川方面に少し行ったところのパーキングスペースにクルマを止めて、自転車を降ろす。1泊2日の自転車の旅の準備だ。自転車はランドナー。1泊の荷物は、いつもシートポストに付ける簡易キャリアに積んでいたが、今回はザックに入れて背負うことにする。寒い時期なので背中の通気性がなくても大丈夫だろう。思えば、荷物を背負って自転車に乗るのは、10年ぶりくらいだろうか。
 11時スタート。交通量の多い国道185号線を少し戻り、安芸灘大橋へ。先ほどは有料道路と書いたが、自転車および歩行者は無料なのだ。橋で海を越えて島に渡るなんてことは丹後ではあり得ないことなので、テンションがあがる。橋桁の下の海は青く澄んで美しい。寒いとはいえ空気は丹後よりは暖かく、空も薄日が射して自転車に乗って楽しめる雰囲気。
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 最初の島、下蒲刈島に下りると、のどかなムード。往路は島の北岸、本州側を行く。狭い石畳の道を少し走ると小さな漁港があって海とともに暮らしている人々の姿が思い描かれるようだ。その先も同じような小さな漁港がいくつも現れる。たくさんの島々、行き交う船などにぎやかな海だ。先ほど渡った安芸灘大橋が見えなくなったと思ったら前方には次の橋が見えてきた。船の通行のため橋はすべて海面から30m以上の高さにある。つまり橋を越えるということは、アップダウンがあるということである。蒲刈大橋で下蒲苅島から上蒲刈島へ渡る。「とびしま海道」とは呉から竹原の沖に飛び石のように並んだ7つの島々に7本の橋が架かったルートである。「裏しまなみ海道」と呼ばれていたこともあったが、「安芸灘とびしま海道」と命名された。橋の多くは1990年代に完成しているが、蒲刈大橋は1979年完成のもっとも古い橋だ(広島県のホームページ、Wikipediaより)。橋の手前で写真を撮っているとクロスバイクが抜かしていった。たくさんの写真を撮っているので私のペースは遅めのようだ。
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 上蒲刈島も同じような漁村の風景が現れる。石を積んで作られた防波堤が印象的だ。また、赤い欄干の太い桟橋がある。これは島々を行き交うフェリーの桟橋で、これから先の島でも頻繁に見ることになる。また、安芸灘大橋が再び現れ、数時間前にクルマで通過した川尻の市街地とその上にそびえる野呂山が海越しに見える。日本海側は時雨模様のこの日、北西の風が吹いておおむね追い風となると見込んでいたが、それは出だしだけでなぜだかずっと向かい風だ。その風のせいで海面には細かい波が立っているが、日本海、特にこの時期に比較をすれば静かな海に思える。
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 さあ道は海を離れて南に向かい、次の橋への登りが始まる。上蒲刈島は串団子(だんご三兄弟)を縦に半分に切ったように、東西に三つの山が連なり、その鞍部に小さな峠道がつけられている。二つ目のだんごを越えたところの鞍部の峠に登り、トンネルで三つ目のだんごの土手っ腹を通り抜けてそのまま橋へと突入する。その豊島大橋は、とびしま海道の橋で一番新しい2008年の完成で、確か私が初めてとびしま海道を認識したときにはまだ開通していなかった。GPSレシーバーで測定したデータでは、安芸灘大橋とは僅差ながら、とびしま海道で最も高い位置にある橋で、最高点は海抜60mもあった。また、この橋のあたりが、とびしま海道の中間点である。
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 3つ目の島、豊島は、ミカンの段々畑が迎えてくれる。頭の中のBGMは「瀬戸の花嫁」になった。ちなみにそれまでは、広島県の瀬戸内沿岸ということで、「時をかける少女」「崖の上のポニョ」が流れていた。
 そしてこの豊島は、上蒲刈島のだんご一つ分の大きさ。一周は9.2kmしかない。半周は5km弱で、しかも橋を下るスロープが1km程あるので海沿いに下りたってから4kmほどで次の豊浜大橋となる。その分、明日走る予定の南側の半周が長くなるわけだが。
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 4つ目の大崎下島は橋がそれぞれ北寄りについているので、北海岸はあっという間に通過。本日のめどが立ってきたの小さな港で腰を下ろして、行動食のパンを食べる。ところで、この先、とびしま海道のどん詰まりの岡村島からしまなみ海道の大三島へとフェリーで渡る予定なのだが、そこを含むいくつかの路線の人と自転車の料金が少し割引になる「サイクルーズPASS」というのがある。インターネットから入手したチラシに記されているPASSの発行場所の一つがこの島の小長港なのでそちらへ1kmほど足を延ばす。その港の敷地内にある「ゆたか海の駅とびしま館」という土産物屋と食堂が一体になった施設の前には、10台ほどの自転車が止まり、サイクリストの姿が見える。ロードレーサー、折り畳み小径車、クロスバイクばかりで、ランドナーは私の1台だけ。とびしま館の中に入ってみるが、PASSの発行はここではないようで、隣のフェリーの切符売り場のある建物に移動。切符売り場でPASSの発行を申し出ると、用紙を渡され年齢・性別や住所と訪れるのが何回目かということなどの記入を求められた。料金は不要。ちなみに、月ごとに一枚の紙に連記していくものなので、本日3人目、今月になってから10人ちょっとの発行数だということがわかった。また、本日の私の前の2人は関西からきた夫婦と思われる初老の男女。それ以前は、週末に地元や近隣から訪れる人が主流のようだ。
 PASSを受け取りながら「このあと岡村から大三島までの便で使用する予定」というと、切符売り場の係員に「これは広島県での取り組みで、岡村は愛媛県だから使えないよ」と言われた。おかしいな、プリントアウトしてきた路線ごとの元の料金や割引額の一覧表を出して応戦しようかと一瞬思ったが、PASSは発行してもらったし実際に岡村港に行けば使えるかどうかはっきりする。
 1km戻って次の島への橋へと登る。5番目、6番目の平羅島と中ノ島はミカン畑があるものの人が住んでいない小さな島。島の海岸に下りることなく連続して橋を渡る感じ。中ノ島から岡村島への最後の橋は広島と愛媛の県境。橋の中央に境界線が引かれていた。
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 とびしま海道のどんつき、岡村島に降り立つ。クルマでのアプローチの時からずっとフェリーの時刻が気になっていたのだが、どうやら十分間に合いそうだ。時間がたつほどに天気も良くなり、恐れるものはなくなった。紅葉も美しい。ただし、風は冷たく途中でウィンドブレーカー代わりに着込んだ合羽が脱げないままだ。
 岡村島を半周して、岡村港フェリー乗り場には14時過ぎに到着。15時ちょうどのフェリーには楽勝だ。サイクルーズPASSの幟があって、PASSはもちろん利用できたし、ここで発行もしてもらえるとのこと。家に帰ってから復習すると、岡村港発着の航路がPASSに参入したのはこの10月からのことで、会社が異なる小長港の係員はそれを知らなかったらしい。また、チラシの発行場所の一覧に岡村港がなかったのも、そのためと思われる。
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 港には私より先に2人のサイクリストがフェリーを待っていた。ただし、彼らが待っているのは16時20分発の今治行きなので、まだ2時間もあり暇を持て余している。片方が周辺を見てくるといって出ていった。フェリー乗り場の建物の道路を隔てた向かいには、JAの売店と「岡村小学校僻地集会室」という建物が並んで建っているが、見所になりそうなものはない。実際すぐに戻ってきて、地元のおばさんたちとのおしゃべりが始まった。
 15時少し前には、さらに次々とサイクリストが到着。ただし、みな今治行きに乗るようだ。もっと日が長い時期ならば彼らも大三島に渡って、しまなみ海道で今治を目指す方が良いいんじゃないかな。
 私が乗り込む大三島行きのフェリーがやってきた。港に着く前からハッチを開いて、車両甲板が見えている。中には10台足らずの自転車が上陸をスタンバっていて、接岸と同時に岸壁に飛び出してきた。そのあとクルマが1台下りてきた。引き替えに乗り込んだのは、クルマが3台と、自転車が私の1台。次のフェリーを待つサイクリストたちに下船したサイクリストが加わって急に自転車で賑わいだした港をあとにフェリーは出航する。船室は閑散として、お節介ながら船会社の経営状況が心配になってくる。
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 大小の島々を眺めての23分の船旅はあっという間。例によって港に着く前にハッチは開き、「航海中は車両甲板に下りないでください」という案内を無視して乗客は早めにクルマに乗り込み(岡村港でサイクリストとおしゃべりをしていたおばさんたちはクルマの中にいたようだ)、まだ岸壁とブリッジが動いているうちから下船していく。完全に船が止まらないまま下船は完了し、いきなりハッチを閉じながらの離岸が始まる。何ともあわただしい寄港である。
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 短い船旅の間に、空は一面雲に覆われ、夕暮れが近づいたこともあって少し薄暗い感じ。しかも大三島の宗方港は集落から少し離れたところにぽつんと小さな建物があるだけで、寂しくて寒々とした雰囲気。
 そんな港をあとにして、大三島の南岸を行く。宗方集落を越えたところで、1台のロードレーサーが颯爽と追い抜いていった。しまなみ海道は大三島の東岸をかすめるため、このあたりを走るサイクリストは少ない。そのあとすぐに登りが始まった。夕方になっての標高差100m近い登りで、結構応える。が、ロードレーサーは私以上に失速。結局追いつき、追い越した。そのあとは、私の写真撮影のための停止で追い越され、平地での巡航速度の速いロードレーサーに追いつくことはなかった。海の向こうにはしまなみ海道の大きな橋が見える。来海峡大橋だ。
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 逆L字型の大三島の南岸は結構長く13kmもある。1時間かかって、しまなみ海道を走るサイクリストが行き交う島の東岸に出た。しまなみ海道の橋は、すべて自転車も有料で大三島から伯方島へ渡る橋は50円。賽銭箱のような料金箱に放り込む形だ。ところが、なにも考えずに岡村港でフェリーの切符を買うときに50円玉を使ってしまった。お釣りはもらえないのでいったん逆方向に走って自動販売機でホットコーヒーを買って飲む。暖かくて甘くておいしい。
 来た道を引き返して、橋への登りだ。橋の高さは40m。自転車用のスロープを登る。先ほど宗方方面から島の東岸に出るのに橋の真下の海岸べりには道がないため、橋に続く自動車専用道路の高架下をくぐって標高40m程の峠を越えた。そして東岸からまた峠と同じ丘に登り返すようにして橋に乗る。峠から橋への道に入れれば楽なのだが、それは不可能。メインルートをはずれるとこういう不便が起きるのだ。下の道を2人組の釣り人が歩いている。と思ったら、ミカンの収穫のようだった。高枝切りバサミが釣り竿に、台車の上の収穫したミカンを入れた箱がクーラーボックスに見えた。
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 自動車専用道路と完全に仕切られた自転車道は、対面通行。安全のためライトを装着し点灯。クルマも多いが自転車もたくさん行き交う。橋を渡って、伯方島に降り立つ。しまなみ海道のメインルートとは逆方向に1kmほど行った入り江に面した港の集落に、今宵の宿「しまなみ旅館」があった。本日の走行距離は65km。16時50分チェックイン。風呂に入って、夕食をいただく。焼き魚、煮魚、刺身にみそ汁も魚づくし。炊き込みご飯が一膳でちょっと物足りなく、余っていた行動食のパンを食べる。そのあとはずっと部屋でごろごろ。早朝に家を出て寝不足なので早めに布団にはいるが、なかなか寝付けなかった。

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