碇高原笠山から筒川へ
1週間前に碇高原を訪れた時には珍しく先行シュプールがあった。そのシュプールに誘われて高原の東端に立つと伊根町の山間部「筒川」と呼ばれるエリアが見下ろせる。足元の急斜面にも雪はついている。直下には、個人経営の牧場がありそこまで一気に下れそうだ。そうだ思い出した。さらに1週間前、濃いガスで氷ノ山、大江山と立て続けに入山をあきらめた後、筒川側から碇高原にアプローチするとき林が疎らな笠山の東面が白く見えたのを思い出した。今足元にあるのが、あの斜面だ。思わずそのまま滑り降りそうになったが、登り返しのことを考えてその時は踏みとどまった。
そういう2週間越しの思いを踏まえ、3週連続で碇高原へ。やっぱり雪が多いこの冬に、いろいろな斜面を滑っておきたい。
ゴール地点の個人経営の牧場の入り口付近の路肩のスペースにクルマを止める。MTBにスキー板を積んでスタート。スキーブーツでのぺだリングだ。雪道を想定してブロックタイヤのMTBだが、全面アスファルトが出ていた。今日は雪の予報。しかし、気温は低いんだけど、雪はちらちら程度。
碇峠を越えて碇高原総合牧場へさらに緩やかに上る。こちらは京都府営の牧場だ。先週滑ったショートコースの急斜面にはデブリのようなものが見える。シュプールも残っている。また、辺りの景色を見ても、1週間でずいぶん雪が減っている。長いシーズンも終盤だ。
いつもはクルマを停めているスペースに、今日はMTBを置いておく。ここからはスキー板を担いでしばらく車道を歩いて、牧場の作業道へ。牧場の作業道も除雪されていたのでそのまま板を担いで歩く。雪の壁は、高いところで2メートルをはるかに超えている。先ほど急斜面でデプリに見えたのは、除雪車から飛ばされた雪だった。
除雪はどこまで続くかと思ったら、半分ほどで唐突に終わっていた。ストックと板を上に放り投げ、除雪の壁をよじ登る。今日初めて雪の上に立った。気になる雪質は…、最悪のモナカ雪だ!表面はアイスバーンだが、その下はとても緩いザラメ。場所によってストックが際限なく沈んでいく。ステップソールの危機も非常に悪いく、斜登行で登る。
笠山展望台のある台地に上がると、そこは雪が薄いせいかモナカでなくアイスバーンになる。相変わらずステップソールのききは悪いので、広い斜面を斜めに笠山頂上へ。スノーシューの足跡があった。但馬の山々など真っ白で見えないが、それでも360度見渡せる。日本海は時化だが、この季節としては大したものではない。ひどい時にはここに立っていられないほどの風が吹き荒れる。日本海から吹き上げる風を背に受けたら、シールもステップソールもなくても、斜面を登れるほどだ。
さあ、滑走開始。笠山の台地はアイスバーンなので、ターンができた。ただし、スキーのエッジは雪面を撫でるだけでほとんどシュプールは残らない。
そして台地の東端に到着。急斜面の始まりは少し全層で雪崩れていた。先週クラックができていたところだ。そこは北側に回り込めば迂回できる。ただし出だしのアイスバーンから、すぐにモナカ雪となり大苦戦。ひたすら斜滑降キックターンを繰り返す。そして何度も転倒する。ああ、こんなことなら先週滑っておけばよかった、と悔やまれる。でも先週は先週で楽しく滑ったのでまあいいか、と自分を慰める。しばらく下ったら林に入る。雪が良ければ楽しい疎林も、スキーのコントロールができないと木にぶつかりそうで怖い。
かなりの難産の末、個人経営の牧場に降り立った。ああ疲れた。大雪で小屋がつぶれている。畜舎から牛が顔を出していた。ここから下の斜面もまだ滑れそうだ。地図を見れば、標高差であと100mくらい行けそうだ。でも、今日はここまで、雪が悪い。
平らな雪原を歩いて車道に戻り、クルマまで歩く。
今日はしょっぱい滑降だったが、それでも今までに滑ったことのないコースを滑った満足感がある。また雪質のいい時に滑ろう。今シーズン、まだチャンスはあるだろうか。また、これは今年のような大雪の時にしか滑れないだろうか、それとも例年並みの積雪でも滑れるだろうか。宿題ができた。
MTBを回収して、帰路に就く。
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コメント
初めての所は、状況がどうであれ楽しいものです。お疲れ様、というよりおめでとうと言いたいです。
写真で見た感じですが、コースとして良さそうな疎林に見えます。
今朝は京都府中部でも湿雪が積もっていました。2月も終わりなのにめずらしいシーズンです。
投稿: すう | 2012/02/29 07:17
昨シーズンは、播州峰山・砥峰高原、三十三間山など初めての山へ遠くまで進出したのですが、今シーズンは天気が悪くて未だ大江山と碇高原だけです。だから、せめて滑ったことがない斜面を滑ることに精を出しているといったところです。
同じ日、直線で30㎞しか離れていない大江山連峰では、そこそこ新雪が積もっていて滑りやすかったようです。海からの季節風がまともに当たりとくに2月下旬にもなると碇高原の雪質は厳しいんでした。先週、先々週と条件が良かったので、すっかり忘れていました。
林の濃さは雪が良ければちょうどいい感じです。今回は上から見下ろして確実に滑れるところとして疎林に入りましたが、林に入らずに滑ることもできることもわかりました。
ところで、筒川は畜産(牛)が盛んなところですね。現在の京都府碇高原総合牧場は京丹後市丹後町と伊根町の筒川地区にまたがっていて事務所の所在地は京丹後市丹後町ですが、その前身といえる「京都府種畜場」は筒川の集落にあったそうです。ご存知かもしれませんが。
大江山連峰の鍋塚東尾根の滑降、今シーズンまだあきらめていませんよ。
投稿: はいかい | 2012/03/01 00:01