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2011/10/21

昨今の自転車事情に思う

 「自転車の歩道走行に対する取り締まりを強化」とのニュースが聞かれる。これは、東日本大震災以降、特に自転車に対する評価の高まりに水を差さないかと不安に思う。エネルギー不足、地球温暖化、渋滞、生活習慣病などの問題をいい方向に導くのが自転車である。なのに、あまり日の目を見ないところに置かれてきた。
 こんな記事を見つけた。
 「歩道を猛スピードで走る自転車に衝突しそうになって、ヒヤッとした経験のある歩行者も少なくないとだろう。(略)ただ、自転車の歩道走行を厳格に禁止した場合、ルールに従えば自動車と同じ車道の左側を走ることになる。そうなれば、今度は左車線を走行するドライバーが肝を冷やすことにもなりかねない。(goo【新聞ウォッチ】危険な自転車、「歩道は禁止」周知徹底 警視庁)」
 何でこんなに自転車をアウェイとして見るのか。少なくとも車道では自転車は弱者なのだから、もう少し自転車に寄り添った書き方をして欲しいものである。
 自転車側から見れば、(自転車が走行可能な)歩道で前をよく見ずに歩いたり、突然方向を変えたりする歩行者に肝を冷やすことがある。車道を走っていて、猛スピードで走る自動車に衝突しそうになって、ヒヤッとした経験のある自転車も少なくない。
 最近、自転車が加害者になった交通事故がやたら注目されるが、それをはるかに上回る件数で自動車が歩行者や自転車をはねる事故が起こっていることを忘れてはいけない。
 そもそも高度経済成長の時代、自動車優先の社会風潮の中で車道から歩道へと追いやられた自転車。今度はまた車道に戻れというわけだ。自転車が歩行者をはねる事故が増えているからというが、今度は自動車が自転車をひく事故が増えるんではないか。40年前に戻るわけである。
 なにより、警察だってこれまで「自転車は歩道を走りなさい」といってきたではないか。
 実際、大学生の頃に自転車で車道を走っていたら、パトカーからスピーカーで注意された。追い越していったパトカーの後部座席では警官が振り返って手で歩道へと促すサインを送りながらずっと私を睨み続けていた。
 また、1997年8月の終わり、地球温暖化防止京都会議(COP3)のプレイベントの一つとして、CO2の排出が少ない自転車という乗り物をアピールする催しに参加した。具体的には、京都市内の五条通(国道9号線)を数km、自転車で走ってプレイベントのメイン会場にゴールするというものだった。スタート前に、主催者から「必ず歩道を走ってください」と告げられ参加者全員ずっこけそうになった。「国道ですし、警察の目も厳しいですから」というのが歩道走行の理由だった。つまり邪魔にならないように、目立たないようにというわけだ。全く、本気でアピールする気はあるのか、ジェスチャーに過ぎないのか。がっくりきたのを覚えているが、いま書いているのはそのことではなく、やっぱり自転車は歩道を走らなければならないという捉え方が一般的であったである。中学校の自転車通学の指導でも、歩道がある道では歩道を走りなさいといっていることがほとんどではなかろうか(と路上から通学の自転車を眺めていて思う)。
 ところが、むしろ最近では私自身は歩道を走ることが増えている。年をとって車道をクルマと張り合う気力がなくなってきた、あるいは考え方が柔軟になって交通量などを考慮しそのときは知りやすい方を選べるようになったといえる。そして、歩道が走りやすくなってきているということも大きい。バリアフリーが広がったせいか、歩道の段差が以前よりかなり小さくなって、なめらかに車道と歩道を行き来できるようになった。そうなると、自転車は自由である。歩道でも車道でも時と場合によって、あるいは気分次第で好きな方を走ることができる。
 この自由さはぜひとも確保し続けて欲しい。冒頭に書いたように自転車はとってもいい乗り物なのだ。自転車に乗る人が増えた方がいいのだ。自転車が加害者にならないように取り締まるのはいいが、自転車が被害者にならないように守って欲しい。車道を走る自転車がいるにも関わらず、危険な運転をするクルマを徹底的に取り締まって欲しい。そして、自動車や歩行者に邪魔されない自転車道の確保だ。
 ただし、危険な運転をする自転車乗りにはこういいたい。あなた方のせいで自転車が肩身の狭い思いをするとしたら、大変迷惑なことである。ブレーキのないピストに乗るサイクリストが「かっこいいから」とTVのニュースでインタビューに答えていた。かっこよさの基準がよくわからない。自己満足ではないのか。公道でのピストは悪者としか見られない。
 安全に快適に自転車が活躍できるようになって欲しいと思う。

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