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2011/04/07

若杉天然林から因幡の東山

 鳥取県第三の山、東山(とうせん)は、兵庫、鳥取、岡山の三県の境界をなす三室山、後山、沖ノ山などの標高1300m台の山々が連なる山塊の鳥取県内にある山である。山塊の中では最も高い標高1388mで、この近辺では国道29号線の戸倉峠を隔てて北東側の氷ノ山に次ぐ高さである。
 三県境界の山塊内部には林道はあるものの除雪はされず、冬の間は山塊は雪に閉ざされている。近年では、鳥取県の若桜町の糸白見や吉川から尾根を突き上げて東山に登頂してスキーで滑降するのが主流のようで、特に糸白見側は北斜面になるので雪の質、量ともによく、今シーズンは3月上旬でも麓まで雪をつないで滑り降りることが出来たようである。
 しかしながら、私にとっては標高差、ラッセルが鬼門である。それにザラメ期にはもう麓まで滑ることは出来ないだろう。というわけで、入山は岡山県西粟倉村の若杉原生林と決めて、その時期が来るのを待っていた。冬の間は大茅スキー場までしか除雪は入らないが、3月15日から若杉天然林までの除雪作業が開始され、春分の日の連休頃にはクルマが入れるということを村役場に問い合わせて聞いていた。しかし、3月には寒の戻り波状攻撃。ロングコースなのでラッセルがあると山頂までたどり着けない。根雪は相当深く、シーズンはまだまだ続くはず。時が来るので、ひたすら待つのだ。

岡山県西粟倉村若杉天然林[430]8:21 - 9:22岡山鳥取県境尾根[1087] -
10:50中国自然歩道1158P[1157]11:01 - 12:08沖ノ山林道智頭・若桜越[1114]12:12 -
13:51東山[1390]14:05 - 14:29沖ノ山林道智頭・若桜越 - 15:52 1158P -
16:40岡山鳥取県境尾根 - 17:31若杉天然林
ステップソール付テレマークスキー 16.9km

 満を持して、4月5日に決行。西粟倉は丹後から見て山塊のちょうど真裏。以前、沖ノ山にスキー登山をするときにもこの若杉天然林から入山したが、アプローチは、北の鳥取周りでも南の千種周りでも170kmを越え、3時間以上となった。東山(とうせん)、遠山(とおせん)、山道長いのね、そうよアプローチも長いのよ。
 ところが久しぶりに訪れてみると、兵庫県内の国道178号線沿いの無料高速が延長されていた。さらに、鳥取市からの南下ルートだが、国道53号線を走っていると無料の高速道路が併走している。案内板によれば姫路方面は高速へ、とある。R53は岡山方面なのでいずれ高速はR29沿いへトレーンチェンジしていくと思ってそのままR53で霜の降りた里の中を走るが、高速はずっと寄り添ったまま。つまり、智頭、西粟倉、佐用を経由する、R53→R372に沿ったルート。つまり、私の行きたい方向への道だった。途中でそのことに気付いて高速に乗る。岡山県に入ってすぐに高速を下りて、若杉天然林には京丹後から3時間ちょうどで到着。標高900mは、まだまだ雪が深い。雪解け水が、路面で凍結している。
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 まずは天然林を歩き出す。ブナやナラの気持ちの良い林だ。葉を落とした木々をバックに空が青い。ここをほぼ真北に向かっていけば東山で、西に向かえば沖ノ山である。
 いくつか渡渉ポイントがあるが、森林公園の探索ルートなので、コンクリートで平らな飛び石が作られている。踏切を思い起こさせる。全行程のうちで板を外したのは、渡渉の時のみ。
 今日はアップダウンのある行程なので、ステップソールの板。雪面がガチガチに凍てついていてステップが噛まないので、シールを装着。繰り返すが、とても気持ちのいい林間歩きだ。
 県境尾根が近づいてきて、「遊歩道の第2分岐」の案内板があるところで北西方向の支流沿いに進路を変える。わずかに登った鞍部を越えると鳥取県だ。沢沿いの緩い下り勾配をシールを付けたまま滑り、スノーブリッジを越えて標高1110ピークに登り返す。そのピークを越えて下りた鞍部が芦津・吉川越。1110Pを越える必要はなかったが、結果的には往復ともに越えることになった。この辺りの地形はややわかりにくい。
 若桜越からは真北へ伸びる稜線を行く。稜線には中国自然歩道が敷かれ、6年前の夏にMTBで辿ったことがある。ただし細かなアップダウンの連続で、北上は登り基調。スノーシューのトレースに導かれるように進む。
 標高1158mの三角点ピークで小休止。木々の間に氷ノ山が覗く。三ノ丸が白くなだらかだ。
 北上を続ける。植林帯で余り展望がなかったが、東側が落葉樹林となって展望が開け始める。前述の氷ノ山の他、扇ノ山、青ヶ丸、仏ノ尾も見える。麓の吉川集落も見える。
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 1205ピークからようやく目標の東山が白く見えた。西の木々の合間には大山がちらちら見えた。そして、一気に下って沖ノ山林道の智頭・若桜越。ここは3度目。中国自然歩道のときと、芦津から吉川へ沖ノ山林道を走ったときで、いずれも自転車ツーリングである。そのときは笹や樹林に覆われていた東山だが、笹は雪の下に隠れ、木々も葉を落としているので、とにかく真っ白でどこでも滑れそうに見える。
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 さあいよいよ私にとっては未踏峰、東山への登りだ。智頭・若桜越までですでに4時間近く経過している。スキーのシュプールが何本か残っている。
 智頭・若桜越から1時間半、若杉天然林から5時間半をかけて東山に登頂。改正の空の下360度の大展望が広がる。来たに扇ノ山と青ヶ丸・仏ノ尾、東には東中国山地の盟主、氷ノ山。そして、三室山、後山、沖ノ山、那岐山、はるか西に大山。主立った山を時計回りに並べてみた。皆込谷右股の源頭部は全層雪崩でチシマザサが顔を出している。
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 さて、復路も長い。天然林からずっと付けっぱなしだったシールを外して、滑降の準備。
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 下りは一気だ。とにかく絶景の中、気分上々の滑り。あっという間に、林道智頭・若桜越。
 シールを貼って中国自然歩道へ。1205P手前で勾配がなだらかになったらシールを外す。暖かい日差しで雪は程良く緩み、ここからは登りもステップソールで十分こなせる。
 6年前にMTBで走ったときはこの方向だったので、何となく雰囲気がよみがえる。
 さすがに下り基調で、往路よりは時間短縮。しかし、1158三角点Pを越えると、ルートファインディングが難しい。往路は楽しいと思えたのだが、復路は尾根を間違えて下りそうで不安になる。それに、この辺りは雪面が堅い朝のうちに通過したのでトレースがはっきりしない。何度も行ったり来たり立ち止まったりを繰り返す。今回もGPSレシーバーには大変お世話になった。
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 どうにか県境尾根鞍部にたどり着いて一安心。後は下るだけ。
 緩やかな勾配の若杉天然林を滑り、実に9時間ぶりに駐車場に戻った。満足である。
P1240573


 さあクルマに乗って、無料の高速道路を延々と走って鳥取市内へ。本日の締めのラーメンを食べて、買い物をして、日本海に沿って東へ。寄り道をしなければ、3時間弱のアプローチ。距離は169kmだ。

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コメント

若杉からでしたか!
スノーシューだと私の足では
とても往復はできません。

ところで鳥取道が無料で佐用から
鳥取までつながったので
去年は智頭の山に数度行きました。

投稿: やまあそ | 2011/04/07 18:59

 スノーシューではとてもその気にならないですね。体力がない私には、ザラメ(ラッセルなし)、スキーが必要条件です。
 もちろん、やまあそさんの糸白見からの登頂を試みたレポートも参考にしました。そちらだと標高差が1000m近くになり、登りの苦手な私が楽しめる限界近くになります。時期が早ければラッセル、遅ければ麓は雪解け、となかなか条件が整わないように思いました。
 また、吉川からの尾根伝いは、登りだしの標高は糸白見より高いものの、南斜面のため麓の雪解けが早い。
 そう考えて、若杉天然林からが最も登頂の条件が整いやすいだろうと判断しました。
 「ひょうご山蹊記」の著者の川崎さんたちは、若杉天然林までの道路が開通する前に大茅スキー場から歩いて往復していました。往復でプラス6kmというところでしょうか。

投稿: はいかい | 2011/04/07 19:59

ボクが行ったルートよりもヤブがなさそうでいいルートのように思えます。ボクは行きたいと思ったら、とにかく突き進んでしまうことろがはいかいさんとは違うんだなと思いました。
 今年は、シーズンが長いので楽しめます。

投稿: すう | 2011/04/08 07:14

あさっての日曜日、私は里山ですが
OAP、TQFの二名は
扇の山らしいです。
あそこだとまだ雪はたっぷりでしょうかね?

投稿: やまあそ | 2011/04/08 19:03

すうさん、決定的な違いは体力です。体力がない者が山頂にたどり着くには条件がそろうまで待たないといけないんです。
やまあそさん、間違いなく雪は多いでしょうね。しかし、どこからの入山かはわかりませんが、いずれにせよチャレンジャーですね。

投稿: はいかい | 2011/04/08 20:07

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